桜色舞うころ
今カラ一年前。
俺は名もしらない君に恋をした。
それは・・・中3の春
急いでいた俺は
ある女の子にぶつかった。
「きゃッ」
ドサッ
「すみません。」
「あ、いえ・・・」
「大丈夫?」
そう言って顔を上げた君。
俺は言葉を失う程、
タイプだった。
そして、
君とも目が合って
なんとなく、沈黙の中
俺らは見つめあった。
「・・・あ、えっと、ごめんなさい」
「俺がぶつかったんだし・・・」
「そっちこそ大丈夫?」
「あぁ!!俺は平気」
「よかった」
「じゃぁ、あたしはこれで」
「あ、うん」
これだけだった。
たったこの一瞬のような
出来事で
俺は恋に落ちてしまった。
たしか・・・
桜が舞ってた木の下で・・・
君は桜色のワンピースを着て。。
そして、
あれから一年。
俺はなぜだか
あんな、出会いの恋を続けていた。
名前も知らない
ドコの人かも分からない
何歳なのかも分からない
ただあの顔と
あの桜舞う中の桜色のワンピースの君。
なぜか忘れられずにいた。
あれから今まで
あの木は
若葉色
枯葉色
雪化粧
いろんな変化を遂げていた。
そしてまた
あの日の桜色・・・
今日も俺は
学校に遅刻しそうになって
走っていた。
あの時のあの木下を・・・
そしてまた・・・
ドンッ!!
「きゃッ」
振り返ってみれば
あの桜色のワンピース
「大丈夫ですか?」
「あ、はい・・あ・・・」
「あ・・・」
紛れもなく彼女だった。
今から一年前に
ここでぶつかった彼女
「あの・・・一年前もぶつかりませんでしたか?」
「え?」
覚えているの?
「覚えていませんか?」
「覚えてる・・・」
「俺は・・・君が好きです」
「え?」
「一年前からぶつかったあの時から・・・
ずっと。。君を思っていたんだ」
「本当ですか?」
「うん」
「あたしも・・・
あの時、あなたの顔が忘れられずに
名もしらない、あなたが好きになりました」
今日も桜が二人の周りを舞う
どうか木々達だけは
この思いを守って
「永遠」の中
ふたりとどめて
ここに生き続けて・・・