居眠りしてしまって、ハッとして起きたら知らない穴の中にいた。
掲載日:2026/08/03
たった数分前まで、私は暖かい部屋でテレビを見ていたはずだった。
平穏な日常が、これほど容易く不条理な地獄へと変貌するなんて誰が想像できただろう。
暗闇と土の匂いの中で始まる、絶望の記録。
暗い。湿っている。狭い。
目を覚ました瞬間に感じたのは、喉を灼く土の匂いと、全身を圧迫する圧倒的な重みだった。
居間でテレビを見ていたはずだった。少し首が重くなって、まぶたを閉じただけだったのに。
「あ、起きた」
頭上から、ひどく掠れた声が降ってきた。見上げると、垂直に伸びる深い穴の円形に切り取られた闇の中に、見知らぬ男の顔が覗いている。男の手に握られたスコップから、パラパラと冷たい土が頬に落ちてきた。
「よかった。生きたまま埋めないと、意味がないんだって」
声を出そうとしたが、口の中に湿った泥が押し込まれ、声にならない悲鳴しか出ない。男は満足そうに微笑むと、再び暗闇を泥で塗りつぶし始めた。
読者の皆様、最後までお読みいただきありがとうございます。
日常が一瞬で崩れ去る絶望感と、暗闇の中での息苦しさをリアルに感じていただけていれば幸いです。
主人公はこの底なしの暗闇からどうやって這い上がるのか、あるいはさらなる謎が待ち受けているのか……。




