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料理しかしてないのに仲間が最強になっていくんだが?〜きづけば領地、ダンジョン、世界を救ってました〜  作者: 尾松成也
第二章 領地の地下に眠る月の封印石

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第二十五話 ダンジョンへ向かう者と残される者

「父さん、テレポートの巻き物は持った?」


 ジークはウェストバッグから巻き物を取り出し、「持ってるぞ!」と見せびらかしてきた。


 今日はマーリンがギルドに出した大事な調査依頼なのだ。今後、砦とダンジョンを繋ぐ為にも巻き物を忘れるなんて凡ミスはできない。


「砦から山頂まで最短で二日かかるだろうし、俺が作った携帯食料も入れてるから。後、山頂に着いたらちゃんと連絡してくれよな」

「あぁ、俺達のサポートとしてルナを連れていくから山頂に着いたら遠吠えでルカに知らせる。そのタイミングで砦と山頂にあるダンジョンを繋げられるようにシャルロットちゃんも準備しておいてくれ」


 ジークの言葉にシャルロットは深く頷いた。


「ルナ。父さん達のサポート、よろしく頼むな」


 俺はルナの頭を優しく撫でると嬉しそうにペロペロと手を舐めてきた。バルドとジークも昨夜あれだけ飲み食いをしたにも関わらず、体調はいつも以上に良いようで、自慢の鎧が羽のように軽いと公言し、俺達に見せびらかしてくる程の余裕っぷりを見せてくれた。


「くれぐれも気をつけてくれよ? 〝魔王の残滓〟を纏ったフードを被った男に遭遇するかもしれねぇしさ」


 新ダンジョンで何が待ち構えているか分からない不安もあったが、俺が一番懸念している事は〝魔王の残滓〟のオーラを纏った謎の男だった。アサルトドラゴンを〝魔王の残滓〟に感染させた得体の知れない存在と遭遇してしまったらと思うだけで、俺は――。


 深刻そうな顔で考え込んでいると、父さんは俺の頭をポンポンと撫でてきた。


「あぁ、分かってる。ありがとな、リヒト。エリザベートから受け継いだお前のスキルが俺達を守ってくれてる。だから、そんなに心配そうな顔するな。なんてったって、俺はこの国で数人しかいないプラチナ級ハンターだからな!」


 父さんがニッと笑ったついでに隣にいたシャルロットの頭も撫で、「それじゃあ、行ってくる!」と大剣を背負い直し、気を引き締めた表情で踵を返す。


「っ……」


 だんだん背中が小さくなっていく父の姿を見た俺は、何か声をかけなくちゃいけないような衝動に駆られた。父さんは強いから必ず戻ってくる。そう思うのに今回はイレギュラーな事が多すぎて不安になった俺は息を大きく吸い込んだのだった。


「父さーーん、領地の税金の事も忘れないでくれよーー!? シェーンベルク家の家訓その二、人との約束は必ず守れだからなーー!!」


 俺の声が山彦となって反響する。父さんは盛大にズッコケた後でこちらを振り返り、「分かってるーー!!」とだけ大きな声で返事をしてくれたのだった。


「あーあ、行っちまったな」

「そうね。待ってる間、私達はどうするの?」

「やる事はたくさんあるぜ。領地の整備にアサルトドラゴンの肉を使った料理の試作だろ? 後は――」

「スフレパンケーキの試作ね!?」


 言い切る前にシャルロットが嬉しそうに言ったので、俺は「そうそう」と笑い合った。


「午前中は領地の整備をして、午後からスフレパンケーキの試作に取り掛かろうか」

「賛成! 私もスフレパンケーキ作りに協力するわ!」

「えっ!? いいよ、俺だけで作るからさ!」


 俺が慌てて拒否すると、シャルロットは即座に「いいえ、手伝うわ!」と反論してきた。


「いい? スフレパンケーキ作りには私の協力が必要不可欠なのよ! 昨日、ミノタウロスの肉を焼いた時に魔力の加減の仕方も分かったんだから!」


 自分の胸に手を当てて自信満々な様子で断言していたものの、俺はまたダークマターを生成するのでは……? と不安になってしまった。

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