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料理しかしてないのに仲間が最強になっていくんだが? 〜きづけば領地、ダンジョン、世界を救ってました〜  作者: 尾松成也
第二章 領地の地下に眠る月の封印石

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第二十二話 シャルロットはモツ鍋を許さない

「き……気持ち悪かったぁぁぁぁ……!!」


 杖を支えにへたり込んでいるのはミノタウロスの内臓を運んでくれたシャルロット。どうやら、腰が抜けて動けない様子である。


 俺はその間、血抜きを入念に行っていた。川の中に内臓を浸して血抜きを行い、洗って汚れを落とす。これをかれこれ三回は繰り返している。

臭みが完全に無くなるまでまだ時間はかかるだろうが、プラチナ級ハンターの食欲は飢えた野獣並みだ。この食材を使って明日のダンジョン探索に備えてもらわねばならない。


「でも、シャルロットがいてくれて助かったよ。この大きさの内臓を地下まで運ぶのは俺でも骨が折れただろうし。苦手なのに手伝ってくれてありがとうな」

「どういたしまして……。でも、私……他の仕事で役立てられるようにするわ……」


 ゲッソリとした表情で言葉を発した後、シャルロットは喋らなくなってしまった。


「それにしても、今日は食材が豊富だな。焼肉にするか煮込みにするか。どっちが良いかな……」


 俺はプラチナ級ハンターに振る舞う料理を考えている最中、あるレシピの事を思い出す。「あっ、そうだ――」と声を発した瞬間、虚な目をしていたシャルロットが「駄目よっ!!」といきなり声を荒げたのだった。


「あなた……今、モツ鍋の事を考えたでしょう……?」

「そ、そうだけど――」

「駄目よ、絶対に駄目っ!! あんなグロテスクな食材で美味しい料理ができるわけないじゃないっ!!」

「確かに内臓は鮮度が命だし、使い物にならないから肝や心臓以外は捨ててきた。けど、美味しく食べられるなら話は別だぜ?」


 俺の言葉を被せて発言してくる辺り、モツ鍋を余程食べたくないらしい。確かに基本的に内臓を食さないこの国では見た事のない料理だと思う。だが、シャルロットはあの料理の香りを嗅いでないからそう言えるのだ。俺はモツ鍋は美味しいと断言できる。それに元々、異世界で流行っていたレシピなのだから美味しくないはずがない。


「よし、決めた!! 今日の晩飯はモツ鍋にしよう!!」

「どうしてそうなるのよ!?」

「え? だって、気になるじゃん。それにシャルロットの父さんが過去に作った料理なんだろ? 美味しくないわけがないじゃん」


 シャルロットは、うっ……と言葉に詰まった。


「そ、それはそうかもしれないけど! ほら、臭み抜きが足りなかったらどうするの!? あれって腸を使うんでしょ!?」

「大丈夫! この前見せてもらったレシピ本にニンニクや野菜をたっぷり使うみたいだし、匂いなんて気にならねぇよ! でも……そんなに臭みが気になるなら、シャルロットが自分で洗ってくれたって良いんだぜ?」


 俺がニタリと笑みを浮かべると、シャルロットは「えっ!?」と硬直してしまった。


「俺はモツ鍋をシェーンベルク領の名物料理にしたいんだ。それにこの料理は今の季節にはもってこいの料理だ。ニンニクや野菜もたっぷり使ってるし、これからダンジョンに向かう父さん達に振る舞う最適な料理だって思う。それに……プラチナ級ハンターを唸らせた料理だって、王都で流行らせたらボロ儲け間違いなしだぜ!!」


 俺が拳を強く握りしめると、シャルロットはポカンとした表情の後、プッと軽く吹き出したのだった。


「領土発展の為なら仕方ないわね。仕方ないから協力してあげるわ。も……もし、ここでお店を出すなら私はウェイトレスになってあげてもいいわよ?」

「本当か! 助かるぜ、シャルロット! 王都の人気菓子店、プティ・カシェットの制服みたいに可愛いの着て接客してくれたら、店が盛り上がるかもしれねぇな!」


 シャルロットは自分が制服を着ている姿を想像したのか、「そ、そうねぇ……」と髪を弄りながら顔を赤らめた。


「もう少し短いスカートの制服なら着てあげてもいいわ。メイド服は動きにくそうだし、お皿を配膳する時に転けたら洒落にならないもの」

「了解! 資金ができたら制服も一緒に考えようぜ!」


 つい楽しくて話し込んでしまったが、今はモツ鍋作りに集中せねばなるまい。

俺は軽く咳払いをした後、シャルロットを見据える。危険を察知したシャルロットはジリジリと後退りを始めた。


「さぁ、楽しい時間の始まりだぜ? これから内臓を洗うのを手伝ってもらおうか」

「な……内臓を洗うのに私の力が必要なの!?」

「当たり前だろ? だって、シャルロットもモツ鍋を食べるんだからさ。俺は今の状態で料理をしても全然構わないけど――」

「っ〜〜、分かったわよ! これを機に料理ができるように努力を重ねていくわよ!」

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