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料理で魔物を浄化する俺、気づいたら辺境領地を再生していた件 〜父は生活能力ゼロ、仲間は最強。世界もダンジョンもまとめて救います〜  作者: 尾松成也
第二章 領地の地下に眠る月の封印石

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第二十一話 討伐後の戦利品

「えっ!? それじゃあ、その男が〝魔王の残滓〟をばら撒いてるって事!?」


 シャルロットがそんな事があり得るの? というような反応を見せていたが、俺だって未だに信じられなかった。


「それでも半信半疑だけどな。俺は食材に宿った〝記憶〟を見ただけだし、実際に自分の目で見るまでは実感は湧かねぇからな」

「確かにそうよね。けど、どうして食材から〝記憶〟を得られたのかしら? いつもは〝対話〟なのよね?」

「俺もどう仕組みか分かってねぇんだけどさ。いつもは食材を触ると暖かい食べ物になりたいとか、冷たい食べ物が良いとかイメージが浮かんでくるんだ。こんな事は初めてで俺も戸惑ってるというか……」


 俺は腕を組みながら考える。明確な答えは出なかったが、やはり〝魔王の残滓〟が関係しているのかもしれないと思った。


「とりあえず、今は〝魔王の残滓〟を纏った男に用心するって事だけ頭に置いとこうぜ」

「そうね、ジークさん達が帰ってきたら情報共有しておいた方が良いんじゃない? ほら、犯人は必ず現場に戻るっていうし。もしかしたら、これから行くダンジョンで出会うかもしれないわ」


 シャルロットの言葉に俺は大きく頷いた後、砦の門からルカとルナの遠吠えが聞こえてきた。窓から外の様子を伺うと、ズシン……ズシン……という地鳴りと共に木々が倒れ、砂埃がもくもくと上がっている。どうやら、ジーク達が帰って来たようだ。


「丁度良いタイミングで父さん達が帰って来たみたいだ」

「なんで分かるの?」

「ルカとルナの鳴き方だよ。あの二匹は砦の番犬としても活躍しててさ。敵だと激しく唸ったり吠えたりするんだけど、この吠え方は父さん達が何か手土産を持って帰ってきた時の吠え方なんだ」


 そう説明して俺は厨房の壁に掛けていた解体用のナイフをいくつか手に取った。それを見たシャルロットは嫌な予感がしたのか、「もしかして、今から解体したりするの……?」と恐る恐る聞いて来たので、俺は意味深な笑みを浮かべたのだった。


◇◇◇


「スッゲー!! こんなでかいミノタウロスは初めて見たぞ!!」

 

 目の前で白目を剥いたまま寝そべっているミノタウロスを見て大興奮する俺。俺の反応を見たジークとバルドは満足そうな笑みを浮かべて腕を組んでいた。


「そうだろう、そうだろう? ミノタウロスの巨大な斧を真剣白刃取りで受け止めた時は、自分のレベルが上がったって感じがしたな!」

「流石は俺がライバルと認めた男! ミノタウロス如きにやられる男ではないと思っていたが、あの時は少しヒヤッとはしたぞ! だが、俺の正拳突きも負けていなかっただろう!? 鍛え上げられたミノタウロスの強靭な腹筋に俺の拳がめり込んだ瞬間を!」

「あぁ、お前も頼もしかったぜ!! あの一発でミノタウロスが怯んだ後、俺が脳天に踵落としを喰らわせたのが良かったかもしれねぇな!」

「あの踵落としも痛快だった!! だが、俺の爆裂拳も見事なものだっただろう!! ハッハッハ!!」


 二人は熱く語り合いながら力強く握手し合っている。

俺は見慣れているから良いのだが、隣にいたシャルロットは「ミノタウロスを素手で倒すなんてあり得ないわ……」と軽くドン引きしていたのだった。


「さてと! 俺達の自慢話はこれくらいにしといて、解体作業に入るとしますか!」

「父さん、俺も手伝った方が良い?」

「いや、今日は俺達で解体するからリヒトはシャルロットちゃんを支えてやってくれ。五指が揃ったモンスターの解体は初めて見るだろう? きっと、ぶっ倒れちまうだろうからさ」


 俺は隣にいたシャルロットに視線をやると、立っているのもやっとな状態になっていた。状況を察した俺は持っていた解体用のナイフをジークとバルドに渡す。すると、二人は地べたに転がっていた砥石でナイフを磨き始めた。


「よし、今から俺とバルドは内臓の処理をしていくからリヒトは勉強がてら見学しててくれ。シャルロットちゃん、気分が悪くなったらリヒトを頼れよ」

「は、はい! お気遣いありがとうございま――っ!?」


 シャルロットはお礼を言い切る前に絶句した。目の前で行われていた解体作業があまりに素早く、気付けば血抜きが終わっていたからだ。


 しかし、作業が進むにつれてグロさは増してくるもの。バルドがミノタウロスの腹に刃を突き立てたところで、シャルロットは目を背けてしまったのだった。


「おぉっ……! 見ろ、ジーク! このミノタウロスは当たりだ! こんなデカい肝が詰まってるとは思わなかったぞ!」

「見事な色艶のレバーだな! これくらい新鮮だったら、生で食べても腹は壊さないはずだぜ! ギルドで換金せずにレバ刺しにして食うぞ!」

「それは名案だ! 早速だが、リヒト君! 下処理を頼んでいいか!?」


 バルドに話しかけられた俺は「はい!」と大きな声で返事をした。入れ物はまだ用意できていなかったので両手で砂袋以上に大きな赤い塊を受け取る。外気に触れた影響でレバーから白い蒸気が上がり、内臓のしっとりとした生温かさを感じた俺はまださっきまでミノタウロスが生きていた事を実感したのだった。


「おっも!? なんなんだよ、この重さは!?」

「ハッハッハッ! タイタン級のミノタウロスだからな! そいつを運ぶだけでも良い筋トレになるぞ! そいつを運び終えたら、次は腸だ! こいつの大まかな下処理はこっちでやっておくから、また取りに来てくれ!」

「が、頑張ります……!」


 そうは言ったものの、想像以上の重量感だった。俺はレバーを落とさないように注意しながら運んでいると、顔面蒼白になったシャルロットが立ち竦んでいた。


「大丈夫か? 魔法使いだとこんな光景は見慣れねぇし、辛かったら砦で休んでもいいぞ?」

「……いいえ、私もやるわ」


 そんな事を言われるとは思わず、俺は「えっ!?」と驚きを露わにする。シャルロットは続けてこう言ったのだった。


「私は客人としてではなく、将来的にここに住むって決めたんだもの。だから、私にできることを増やしていかないと……!」


 意を決したシャルロットは手にしていた杖をミノタウロスへ向けた。しかし、暫くして宙に浮いた生々しい内臓を見た瞬間、「いやーーーー!!」と叫んだのだった。


「だ、大丈夫か!?」

「大丈夫じゃないぃぃぃ!! それより早く道案内してよぉぉぉぉ!!」

「こっちだ!! 途中で落とさないでくれよ!?」

「分かってるから早く案内してっ!! さもないとぶん投げるわよっ!!」


 シャルロットは号泣しながらも運ぶのを手伝ってくれたお陰で、俺は下処理を早く済ませる事ができたが、一連のやりとりを見たプラチナ級ハンターの二人がニコニコと微笑んでいた事に気付くことはなかった。

お久しぶりです!

すみません、体調崩してました_:(´ཀ`」 ∠):

皆様も風邪をひかないようにして下さいね(涙)

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