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料理しかしてないのに仲間が最強になっていくんだが?〜きづけば領地、ダンジョン、世界を救ってました〜  作者: 尾松成也
第二章 領地の地下に眠る月の封印石

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第十八話 新たな来訪者

 シャルロットと二人で王都を訪問してから一週間――。

マーリンが王立冒険者協会へ調査依頼を出した後の展開は早く、ジークの話によると職員達は通常業務に加え、現地に調査員を派遣するなど大忙しだったそうだ。


 調査依頼の内容はこうだ。

その一、ダンジョン内に生息するモンスターの調査。

その二、〝魔王の残滓〟による侵食度。

その三、〝封印石〟の有無。

 

 特にマーリンは二番目以降を重要視しているようで、報酬金額はなんと破格の大金貨一枚。世界に影響を及ぼしかねない重大案件という理由から、国の防衛費から捻出したという噂が流れているらしい。


 理由はどうであれ嬉しい誤算ではあったが、逆を言えば未知のダンジョンの調査には、それだけ危険が伴うという証拠でもある。そういう経緯もあって、今回はプラチナ級ハンターのみが受けられる依頼となっているようだった。


 ――というわけで、今この砦には父と同い年でライバルであるプラチナ級ハンター、バルド・グランツが新ダンジョンの調査の為に来訪していた。


 ちなみにバルドもジークと並んでも見劣りしない容姿に加え、仲間からの信頼が厚い男である。これだけ聞くと実直な好青年に見られがちだが、実際の彼はジークと同じ穴の狢であった。


「やるな、バルド!! お前の上腕二頭筋が唸りを上げてるぜ!!」


 只今、バルドとジークは上半身裸で本気の腕相撲対決をしている真っ最中。俺は見慣れているが、シャルロットは初めて見る光景に背後でプルプルと震えていたのだった。


「くっ……、ここで会ったが百年目!! 今日という今日こそ、どちらが最強のハンターか決めようじゃねぇか!!」

「臨むところだ!! お前の挑戦、受けて立つ!!」


 何分もの間、膠着状態が続いた。たまにジークが優勢になったり、バルドが優勢になったりしているが、今日はどちらに勝利の女神が微笑むのだろうか――。


「「ぬああぁぁぁぁぁっ!!!!」」


 二人が決着をつけようと渾身の力を込めた。その直後、石造りの机が粉々に砕け散り、この勝負は引き分けとなった。シャルロットは何が起こったのか分からず、「男の人、怖い……」と更に震え上がっていた。


「ハァッ……ハァッ……! くそっ、まだ俺ではジークには勝てんのか!」


 バルドが悔しそうに床を叩きつけた瞬間、石造りの床に大きな凹みができた。これもいつものお決まりの光景ではあるが、プラチナ級ハンターになる者はどこか頭のネジが抜けてる人間ばかりだな……と改めて思い知らされてしまったのだった。


「まだ諦めるのは早いぞ、バルド!! 今から俺と特訓だ!!」

「と、特訓!? お前と俺の二人きりでか!?」

「そうだ! シェーンベルク流、特訓術その一。丸腰で巨大モンスターに立ち向かえだ!」

「丸腰だと!? それで強くなるのか!?」

「あぁ! 強くなる事、間違いなしだ! 特訓内容はだな――」


 バルドが這いつくばったまま勢いよく顔を上げると、ジークは片膝をついて熱く語り始めた。


 説明しよう! シェーンベルク流、特訓術とは!?


 剣も盾も持たずに丸腰でモンスターに立ち向かい、その場にある物を使って倒そうぜ! というアホみたいな特訓内容である。ジーク曰く、持っていた武器が壊れた時に役立つ力説していた。(ちなみに母さんに死ぬ程、怒られていた)


「――というわけで、今からモンスター討伐に行くぞ!」

「本当にそれで強くなれるんだろうな!?」

「あぁ、なれるとも! 今回の俺達の相手は人型巨大魔獣ミノタウロスだ!!」

「ミノタウロス、だと!? うおおおぉぉぉっ、燃えてきたぁぁぁぁーー!!」


 二人は上半身裸のまま本当に武器を持たずに砦を飛び出していった。


「明日の討伐に支障出すなよー」と声をかけてみたものの、二人には聞こえていないだろう。けど、あの二人はきっと大丈夫。だってプラチナ級ハンターの中でも規格外のハンター達だ。だから、今回の新ダンジョンの調査依頼に二人が選ばれたのだ。


「本当に行っちゃったの……?」


 俺の背後で怯えていたシャルロットがそっと顔を出す。「うん、行ったよ」と返事をすると、シャルロットは安堵の溜息を吐いたのだった。


「ねぇ、ハンターって皆あんな感じなの? こんな真冬に上半身裸で外へ出るなんて、今時の子供でもしないわよ……」

「あの二人が特別なだけだって。だから、そんな不審そうな目で見ないでくれると助かる」


 俺が神妙な面持ちで断りを入れると、シャルロットは「それもそうよね!」と納得したようだった。


「皆、あんな感じだったらリヒトも強くないとおかしいもんね!」


 シャルロットの爆弾発言に俺は盛大に吹き出した。どうやら、まだ弱いと思われているらしい。


 俺は軽く咳払いをしてから話し始めた。


「いいですか、シャルロットさん? 俺はあの脳筋二人組とは違うやり方でモンスターを倒してるんだ。こう見えて俺はシルバー級のハンターなんだぜ?」 

「え、そうなの? なんだか意外ね。勝手にコッパー級のハンターだと思ってたわ」

「コ……コッパー級……。ハンターの中でも見習い中の見習いランクじゃないですか……」


 シャルロットの悪気ない言葉に俺は両膝を着いてしまった。


 だが、ここであることに気付く。床がズン……ズン……と僅かに振動していたのだ。それに一早く気付いた俺は床に耳を着けて目を閉じる。


「どうしたの?」

「床下が揺れてるんだ。こう……何かが這って歩いている時みたいに」


 俺が両手でジェスチャーすると、シャルロットは「なんだか気味が悪いわね……」と眉尻を下げた。


「もしかしたら、モンスターが入り込んだのかも。俺、ちょっと見てくるよ」

「えっ!? 私を一人にするつもり!?」

「すぐ戻るから心配しなくても大丈夫だって。ただ、バルドさんが来る度に建物のあちこちにヒビが入るからさ。このまま振動が続くと崩れ落ちてきそうな気がするんだよね。一応、補修はしてるけど建物自体も古いしさ」


 俺の発言を聞いたシャルロットは床が抜けるのを想像したのか、不安に満ちた表情に変わった。


「そんなの嫌、絶対に嫌! 私も行く! 一人で居る時に床が抜け落ちるなんてハプニングに見舞われたくないもの!」


 という事で、武器を携帯してシャルロットと砦の地下へ降りることになった。

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