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料理しかしてないのに仲間が最強になっていくんだが?〜きづけば領地、ダンジョン、世界を救ってました〜  作者: 尾松成也
第一章 遠い親戚と出会ったら、領地改革どころじゃなかった件

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第十三話 王都・フェルマリアへ

「ひゃ〜っ! 早い早い早ーーいっ!!」


 シャルロットと俺はルカの背中に乗り、森の中を駆けていた。ムーンウルフは月が出ている時間帯のみに飛翔する事ができ、朝から夕方にかけては普通のウルフ系モンスターと同じく地上を駆けて移動するのだ。


 胸が……胸が背中に当たってる感触がする……!!


 俺は緊張していた。シャルロットに背後から手を回されていたので、彼女の胸が容赦なく背中に当たる。勿論、布越しだ。けど、普段は男二人だけの生活だからか変に意識してしまっていた。こういう時、ゴーグルを着けてて良かったって心底思ってしまう。


「ねぇ、リヒト! 後、どれくらいで王都なの!?」

「この森を抜けたら崖に出るんだ! 崖下を降りると王都に続く街道が見えてくる! その先に見える城壁が王都・フェルマリアさ!」

「が、崖下!? まさか、崖から飛び降りるの!?」

「え、そうだけど? あ、ルカの脚力なら崖から飛び降りても平気だぜ?」


 ルカも走りながら『ワウッ!』と返事をする。けれど、シャルロットは終始不安な様子で先程よりも体を密着させてきた。


「そりゃあ、こんな大きなモンスターに乗ってるんだから大丈夫でしょうけど!! どれくらいの高さから飛び降りるつもりなの!?」

「んー、体感だと四回建ての塔くらいの高さかもな」

「よ、四……!? 嘘でしょ!?」

「大丈夫、大丈夫! ほら、行くぞ!」


 森の中を突っ切り、ルカは空高くジャンプした。視界いっぱいに広がる青空と白い鱗雲――からの急転直下。フワッとした嫌な浮力を感じた直後、重力を全身で感じ取る。


「キャアァァァァッ!!!!」


 シャルロットの悲鳴が遠くに聳え立つウォーレン山脈に虚しく反響した。


◇◇◇


 俺達は王都・フェルマリアの郊外にあるドライブモンスター専用の繋留所にやってきた。ルカの他に民間の商会が所有するエンジェルホースが数頭、騎士団が所有しているドラグーン達が繋留されていた。昼時だった為か、騎士達がドライブモンスター達に水や野菜、肉を与えている様子が伺える。


 繋留所の近くには馬車の中継場がいくつも設けられており、タイミング良く乗車を締め切るベルがカランカランと鳴るのが聞こえてきた。どうやら、今からエンジェルホース達が飛び立つらしい。


 騎手が手綱を握り、首から下げていた笛で合図を送っていた。八頭のエンジェルホース達が乗客を乗せた馬車を引いて一斉に走り出す。砂埃が舞い上がる中、大きな翼を羽ばたかせながら太陽の光に向かって駆け上がって行った。その光景を見た商人達が大歓声をあげながら拍手を送っていた。


 余談だが、エンジェルホースはエルデンラント王国の象徴であり、この国のシンボルとして国旗にも描かれているモンスターだ。王国にしか生息していないので、同盟を結んだ証として寄贈される事が多い。平和を代表するモンスターでとても縁起が良いのだ。


「ハァ……ハァ……。し、死ぬかと思った……」


 シャルロットは足を地面に着けるなり、半泣きになりながら膝から崩れ落ちた。俺はというと、先程作ったばかりのドーナツをルカに与えながら、「大袈裟だなぁ」と笑う。


「あんなの序の口だって。ルカが本気を出したら、うちの領地から王都まで一時間もかからずに着くぜ?」


 ルカが上機嫌で『アォンッ!』と返事をすると、「う、嘘でしょう? あれ以上のスピードがまだ出せるの?」と青褪めた顔で項垂れてしまったのだった。


「とりあえず、さっさと用事を済ませようぜ。王立魔法生物研究所に〝魔王の残滓〟と〝ダークネス・スパイラル〟を届けに行って、それから市場でスフレパンケーキの材料を購入しに行こうか」

「えぇ、行きましょう! 私も早くマーリン・スィルヴァノアさんに会ってみたいわ!」


 マーリン・スィルヴァノア――。ジーク曰く、千年以上も生きている黒エルフの魔法使いらしい。魔王を倒した勇者達とも関わりが深く、旅の途中で行き詰まった時には何度も助言を授けていたのだそう。


 俺は期待で胸が高鳴った。〝魔王の残滓〟や〝ダークネス・スパイラル〟が研究対象になれば、ギルドに素材回収の依頼が出る。そうなれば、うちの領内にできたダンジョンの調査依頼が現領主であるジークに来るだろうし、ダンジョン攻略をせざるを得なくなるのだ。


 俺は自然と口角が上がるのを感じたが、すぐに自分の頬を両手で叩いて気を引き締め直した。ここで気を緩めたら誰かに足を掬われる気がしたのだ。


 俺はハンターだけで飯を食っていけるとは思わねぇ。第一、父さんみたいに大剣を振り回せるような筋力はないし、ハンターとして前線で活躍できても領地を維持するのは難しいからな。


 万が一、父さんが大怪我して動けなくなったら、誰がうちの領地を守るんだよ? 父さんは強いけど、一人で背負うには限界がある。それにモンスター嫌いな人間が領主になっちまえば、迫害されちまう可能性だってあるんだ。そんな未来、絶対に御免だ!


 俺は決意を胸に深く刻み、遠くにある城門を見据えた。


「早くマーリンさんに会いに行こうぜ! ダンジョン攻略は領地を改革する夢への第一歩だ!」

「えぇっ、ここから走るの!? 私、走るのが苦手なのに〜!」


 俺達は石造りのアーチ橋を渡り、市民区(コモンサークル)に繋がる門に向かって走っていった。

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