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601~700話まで(10/25~12/3)

Xに載せている140字小説のまとめです。

詩のような余韻のある物語を目指しています。

よろしくお願いします。


10月25日

『寛容な彼女』

「仕方ないじゃん次考えよ!」

いつものように不安や悩みを彼女に打ち明ける。

いつもいつも私の話を聞いてくれて相談に乗ってくれる。彼女は庭に咲いているヘレニウムの花のように丈夫でたくましくて豪快で寛容な性格だ。

彼女のようになりたいと思う。


10月25日の花言葉:ヘレニウム:寛容


10月26日

『雨空アクアリウム』

曇りの空はいつだって重々しい。

パラパラと振り仕切る雨音の中、あちらこちら海月の様な傘が開く。

くるくると舞い踊りまるで海の底。

雨の街はアクアリウム、雨音の歌、たくさんの珊瑚の森、きらめく街灯り。

いつのまにか私も魚になって、深い海の底を泳いでいる様だ。


……あゝ雨が上がる。


『カボチャ畑』

「しめしめ」

狸は畑に盗みに入りました。

おじいさんが来て慌てて南瓜に変身!

「立派な南瓜がなっとるわい」

おじいさんは狸が変身した南瓜を抱え上げました。

…おやおや?しっぽ?これは狸が変身してるに違いない。

「ははは、今日はうまい南瓜料理じゃ」


ポン!

狸は慌てて逃げましたとさ。


『久かたの帰郷』

庭にボタンヅルの花が咲いている。

久々に帰ってきた田舎は相変わらず何もない。

10年ぶりだ。

就職とともに家を離れそれっきり、変わらぬ風景にどこかホッとする。

「ただいま」

「おかえり」

と母の声。

扉を開けると我が家の愛犬が飛びついてきた。

もう15歳。

お前、随分おじいちゃんになったな…


10月26日の花言葉:ボタンヅル:休息


10月27日

『魔法の薬』

「叔母さん薬剤師なんでしょ。魔法のお薬をちょうだい」

姪っ子が遊びに来るなりそう言った。

何でもクラスの好きな男の子に告白したいらしい。

『勇気が出る薬が欲しい』そうだ。

キャンディを一つ姪っ子に渡す。

「ありがとう!」

姪っ子は笑顔で走って行った。


…勇気は心の中にあるんだよ。


『10代の花園』

彼女はいつも穏やかで花の様に笑いおしゃれで魅力的な女性でした。同じクラスメイトなったその日はじめに話しかけてくれたのは彼女でした。

花の様な微笑みで小鳥がさえずる様に話す彼女は淡いバラの花を彷彿とさせました。

「一緒に帰ろ」

「うん」

手を繋いで帰り道。

私は彼女に恋をしたのです。


10月27日の花言葉:バラ(ニコル):魅力


『寂れた街』

街は活気にあふれていた。

走り回る子供の声と車の音、できたばかりのショッピングモールは大きな看板が目印。

あれからどれほどの歳月が経ったのだろう。

子供達は成長し今ではもう老人。

鮮やかなペンキは色あせ記憶は忘却の彼方へ、人の気配の無い街。

広告は剥がれ落ち、後にはただノスタルジー。


10月28日

『血の色』

「鳩の血色って言うんだって」

緋色のルビーに口づけて君はそう言った。

彼女が結婚していたことをその時初めて知った、そして死別したことも。

マリッジリングは一生外さないらしい。

涙を拭った指に血色の石が輝く。


『クッキングタイム』

テーブルに飾られたツンベルギアの花の色と同じ橙色のエプロンをつけ妹は楽しそうに料理をしていた。

友達とお菓子の交換をするらしい。

レシピを見ながら小麦粉を混ぜる。

「出来た」

そう言ってキラキラの美しい瞳で得意げにクッキーを僕に見せてくれる。

「お兄ちゃんにもちょっとだけあげる!」


10月28日の花言葉:ヤハズカズラ(ツンベルギア) :美しい瞳


10月29日

『トリックオアトリート』

「トリックオアトリート!」

扉を開けると子供たちが笑顔でそう言った。

この近所じゃ見ない子だな…と思ってよく見たら丸い しっぽ、黄色いしっぽ 。2つに分かれた細いしっぽ。

ははん、近所に住んでいる黒猫とキツネとタヌキだな。

「いたずらは堪忍してくれよ!」

そう言ってお菓子をあげた。


『初めてのデート!』

真っ白なワンピースがひるがえる。

清純な蘭のアングレカムの花の様に見えて僕は思わず息を飲んだ。

2人で初めてのデート。

学校では男勝りな彼女。

いつもとの違いにドキッとする。

「ごめん待たせちゃった?」

「ちょっとだけだよ!」

…本当は楽しみすぎて30分前から待っていたなんて言えない。


10月29日の花言葉:アングレカム:清純


『星空の手紙』

手紙に小さな穴がポツポツ開いていた。

祖母に当てた祖父の古い手紙だ。

虫食いの後だと思ったが下の方の穴が北斗七星の形をしている事に気がついた。

これは意図的に開けられたものだ。

ランプにかざすと星座の形が浮かび上がる。


星の光の様に必ず生きて帰ります。

…手紙にはそう記されてあった。


10月30日

『最後の晩餐』

「人生最後の晩餐は何がいい?」

夕食時、突然聞かれたその質問にちょっと戸惑う。

「なんだよ急に」

「別に…」

「俺はいつもの料理が食べたいな」

「そっか…」

「何かあったのか」

「あのね、癌が見つかったの」

それで気落ちしているのか…

「病院には?」

「来週検査」

「分かった一緒に行く」


『交差点のポリ袋バレエ』

強い風の吹く日だった。

風はぶつかり渦を巻き自由気ままにふき荒れる。

ヒューヒュルルー、歌声を響かせ枯葉もゴミも巻き込んでところ構わず踊り出す。

半透明のポリ袋はバレエのマドンナに大変身。

交差点の楽曲が流れ踊りが始まる。

それはほんの一瞬の美しいダンスショー。


『春の訪れ』

「全くこうも寒いのにに元気だね」

庭に積もった雪を見て大喜びで走り回る息子。

「母ちゃん緒に雪だるま作ろう」

この少ない雪で作ったら雪だるまと言うより泥だるまになりそうだけど…

庭の少ない雪をかき集め、小さな小さな雪だるまをいっしょに作る。

雪の間から小さなクロッカス。

春はもう少し…


10月30日の花言葉:クロックス(紫):エネルギー


10月31日

『庭の白い花』

庭に白いタマスダレの花が咲いていた。

潔白な性格の彼が好きだと言った花だ。

いつのまにか庭は白い花で埋め尽くされていた。

花を見れば彼のことを思い出す。

潔白でまっすぐで融通が効かない性格だった彼。

そんなところが好きだった…


10月31日の花言葉:タマスダレ:潔白


『ハロウィン』

さあさ、今宵はハロウィンだ。

妖精も魔女もモンスターも宇宙人も人間の子供たちと一緒に楽しもうじゃないか!

日本の妖怪たちも一緒においで!

待ちに待ったハロウィンだ!

おや、あれは本物じゃないか。

な~に、ハロウィンの晩には気づくまい!

君の隣にもいるかもしれないよ!本物のお化けたちが。


11月1日

『繁栄』

窓辺にフウセンダマノキの生け花を飾る。

町はずいぶんと発展して繁栄しているものだ。

いろんな人達がやってきて様々なものが流れてきてどんどん建物が建って行く。

こうやって何百年もこの町を見続けていた。

人間たちが繁栄していくのは何と面白いことだろう。

…私は人間に擬態し溶け込んでいる。


11月1日の花言葉:フウセンダマノキ:繁栄


『初霜』

霜は凍った空の涙だといふ。

見上げる空はどこまでも青く澄み切ってひんやりと 冷たい。凍てつく冬はそれだけでも辛いけれど、朝には美しい霜が降りて堪え忍ぶだけではないと思い起こさせてくれる。


今日初霜が降りた。

キラキラと輝き朝をたたえている様に思えた。


『ぐうたら冬休み日記(笑)』

朝起きたら雪がたっぷり降っていた。

庭に出てみたら昨日息子が頑張って作っていた雪だるまが雪のどてらを着ている。

なんだか寒いはずなのにほくほくと暖かくなってくるような気がした。

息子は今日もご機嫌で雪だるまを作り、母はこたつで丸くなりどてらを着てこたつみかん。


11月1日

『紅葉のワンピース』

紅葉みたいな赤いのワンピース飾られていた。

少し奮発してワンピースを買うといつもの待ち合わせ場所に向かう。

あいつに笑いかけるとちょっと照れたみたいな顔して目をそらした。

「いいじゃん赤意外と似合うし…」

あいつの顔も紅葉みたいに赤くなっている。

私は笑って手を握った。


11月2日

『巣立ちの日』

「いい?困ったら電話してよ」

「もういいって、わかってるってば!お母さん心配性なんだから」

娘はちょっとムッとした顔して家を出て行った。

独立して今日から寮で一人暮らし。

寂しいけど成長したな…とテーブルの上のハナキリンの鉢植えをつつきながらぼんやりと考えた。


広くなったリビング。


11月2日の花言葉:ハナキリン:独立


『焚火と思い出と灰』

火は何もかも飲み込んでしまう。

一斗缶で焚火、あの人との思い出を燃やしてゆく。

橙の炎が楽しかった思い出も別れた悲しみも燃やしてしまう。幸福の色は橙色をしていると思う。

暖かくて優しくて…

だけど私はそれを全部燃やして灰にしなければ前に進めない。

…涙すら橙に輝いていた。


11月3日

『憧れの先輩』

甘い蘭の香りがした。

オフィスにはパフィペディラム花が飾ってある。

「斉藤さんこれ会議の書類」

上司の早川さんに書類を渡される。

丁寧にきっちりとまとめられた書類は彼女の思慮深さを表しているようで 分かりやすくてとても読みやすかった。

憧れの先輩、彼女みたいになりたいなと思う。


11月3日の花言葉:パフィペディラム:思慮深い


『読書と紅茶』

1杯の紅茶を飲み干すと私はページをめくった。

本の中には魔法の世界が広がっている。

ほんのひととき私は自由な翼を得て不思議な世界へ旅立つ。

一冊の本は何よりも私を豊かにしてくれる。

茶色の革の表紙を撫でた。

読書の喜びを 私は何よりも愛している。


11月4日

『名前の知らない友人』

朝起きれば びっしり霜が降りていた。

外は良いお天気で少しだけ朝の散歩に出かける。

いつもの散歩道はピラカンサ が赤い実をつけている。

「おはようございます」

いつも犬を連れて元気に挨拶してくれる高齢の女性。

「おはようございます」

名前すら知らないけれど陽気な挨拶に思わず笑顔になる。


11月4日の花言葉:ピラカンサ:陽気


『灰色の空と赤い傘』

空はどこまでも灰色でポツリポツリと雨音が聞こえてきた。

大切な人と別れてしまった。

悲しみが心を押しつぶす。

不意に後ろから赤い傘が出される。

「…何やってんの」

呆れ顔の友人が後ろに立っていた。

涙がこぼれた。

私の話を聞いてくれる人がそばにいてくれた。


11月5日

『愛の告白』

「俺好きな子いてさ」

「うん」

「その子はいつも俺の話を親身に聞いてくれるんだ周りもお似合いって言ってくれる」

「最高じゃん」

「だから好きって言いたいんだけど」

「頑張れ!」

「だから付き合ってください!」

「…え?」

デンドロビウムの鉢植えを渡され突然の愛の告白に私は固まっていた。


11月5日の花言葉:デンファレ:お似合い


『暖かい湯気の向こうに』

熱でぼーっと視界がかすむ。

玄関のチャイムが鳴った。

カチャ扉の開く音

「大丈夫起き上がれる?」

友人の姿。

「…ん、ちょっと無理」

なんとか体を起こすと友人は台所に入って行った。

「待ってて何か作るから」

湯気がたつ白い温粥。

…一人じゃない

手から伝わる暖かさに心休まる。


『熊男』

俺は友人と山登りに来ていた。

「ギャー」

突然の友人の悲鳴、振り向くと熊に襲われている。

熊は俺を押さえつけ首元に噛み付いた。

…怖い痛い、動けない!

「次はお前の番だ」

熊はそう言い去って行った。

俺の腕から毛が生える。

俺はみるみる熊の姿に変わる。

「いたぞ!」

後ろから猟師が現れた。


11月6日

『母との冬の思い出』

真綿のように白いカーネーションをあなたの墓の上に供えた。

真っ白な雪が降り注ぐ。

ふと子供の頃の思い出がよみがえる。

雪の中はしゃいで冷え切って家に帰ってくると暖かい ココアを入れてくれてこたつに入って飲んだっけ。

母の思い出はいつも優しい。

清らかな雪のような優しい愛。


11月6日の花言葉:カーネーション(白):清らかな愛


『朝の霧の魔法』

銀の朝霧、金の月。霧にぼやけて辺りはにじみ。

霧に沈んで冷たい風が、朝から森を冷やします。

葉っぱは色づき赤に金、美しい宝石 へと変わります。

小リスは慌てて冬支度。

小鳥は夜明けを歌い、今日という1日が始まるのです。

秋の魔法は朝の霧から。

恵みの季節を生み出します。


11月7日

『頑張ったあなたに…』

「頑張ったじゃない!」

「うんでも…」

娘は暗い表情をしている。

マラソン大会確かに順位は後ろから数えた方が早いかも、だけど私は娘がものすごく頑張っていた事を知っている。

だから今日は特別なんだ。

欲しがっていたキャラのミニタオルをプレゼント、赤いミニバラが描かれていて可愛い。


11月7日の花言葉:ミニバラ(赤):特別な功績


『ばけばけ合戦!』

落ち葉を踏めばカサカサという音がするよ。

金色でふかふかだ!

森の子狐は葉っぱの布団で遊びます。

「おやおや狸さん何しているの?」

葉っぱを頭に乗せてドロン!

銀杏色の着物の男の子に変身!

「すごいね」

子狐も真似してドロン!

赤いもみじの葉っぱの女の子に変身したよ。


11月8日

『夜風の物語』

空は群青、夜の風

夜風は紺の着物をまとひて星の空をゆきます。

泣いているあの子の家の扉の隙間からこっそり入って涙を拭ってあげるのです。

「大丈夫だよ怖くない、もうお布団に入っておやすみ」

優しい風は窓の隙間から抜けて また 星の間を飛んで行きました。

涼しい秋の夜でした。


『ヒーロー爆誕』

俺の仕事はヒーローショーのスーツアクター。

ちびっこの夢を背負ってる立派な仕事さ!

今日も仕事でヒーローショー。

そんな時に目の前で本物のテロリストが現れた。

幸い 俺のスーツは防弾性、奴らをバッタバッタとなぎ倒し本物のヒーローになっちまった…

どうする俺?


『社会的な標語ってディストピア感満載だけど現実問題としてそれらを全部否定した世界の方がディストピアよね〜っていうお話』


ディストピアっぽいアナウンス

『さあ皆さん今日は社会科見学の時間です。

素晴らしい社会のコマとして働いていただきましょう。皆さんは社会を回すために必要なのです。』


さてこれらを全部否定した結果どうなるか…

人間性のない野獣の世界の出来上がりである


『彼岸花と思い出』

秋晴れの空はとても美しい。

接骨院の帰り道足の悪い母はゆっくりと歩く。

私が子供の頃、母はとても足が速かった。

いつも追いかけっこをしていたっけ。

車の窓から見える彼岸花。

ちょうどこんな道を…

「彼岸花ももう終わりね」

と母が言った。


『最後の一葉』

病院の窓から見える桜の葉が赤く色づいていた。

母の余命宣告をされてから半年。

きっともう長くはないのだろう。

ふと子供の頃に読んだ最後の1葉という物語を思い出した。物語のようにペンキで最後の一葉を描いたら母はずっと生きてくれるだろうか。

桜の葉が舞い散っていくのが悲しい。


『異形たちの祭り』

祭りじゃ祭りじゃ…

寂れた神社を通りかかった時そんな声が聞こえた。

どこからともなく祭り囃子嫌な予感がする。

僕は逃げようとしたが 足が動かない。

足が草で切れてどろりと血がにじむ。

人がいないはずなのに灯籠に明かりが灯る。

だめだ逃げなくては!

人ならぬものの境界に踏み込んでしまった。




11月8日

『期待の色』

黄色い色は期待の色。

私は わくわくしながら彼のことを待っていた。

黄色いステルンベルキアの花みたいなワンピースを身につけて。

いつもデートは本当に待ち遠しい!

2人で一緒に手をつないで。


11月8日の花言葉:ステルンベルキア:期待


『赤信号』

いってはだめだ、止まりなさい!

突然そんな声が耳に飛び込んできた。

いや脳に直接飛び込んできたと言った方がいいのかもしれない。

足がすくみ 動けなくなった。

その途端トラックに引かれてゆく友人たち。

横断歩道の信号は青から赤に変わる。

あたり一面血の海。


11月9日

『ないものねだり』

紫式部の実が公園で色づく季節。

読書の秋というが僕はどうも本を読むのは苦手だ。

身体を動かす方が好きだ。

だけど才媛あふれる彼女が本を読む姿は好きだ。

だから思いもしなかった。

彼女が運動をする僕の事が好きなんて!


11月9日の花言葉:紫式部:才媛


『思い出の栗菓子』

秋になると栗菓子を和菓子屋さんでばあちゃんよく買ってきてくれた。

栗のお饅頭を頬張りながらお茶を1杯。

焦げ目がついていてそこが特に好きだった。

「ばあちゃん俺大学生になったよ」

仏壇に手を合わせながら栗菓子を供える。

仏壇の写真はあの頃のにこやかなばあちゃんのまま。


11月10日

『苦い思い出』

植物園に行った時コダチベゴニアの花を娘が勝手に手折ってしまった。

無邪気に笑う娘に私はとても焦った。

「すみません、すみません」

何度もスタッフさんに謝る。

「いいですよ」

と言ってくれたスタッフさん。

そんな娘とまた植物園に行った。

娘は二十歳、あの日のことを覚えているだろうか。


11月10日の花言葉 :コダチベゴニア:無邪気


『星の夜に』

星霜の長き時間を経て私はこの星にやってきた。

深い碧いこの星に。

空は澄んでいて私の故郷のあの星が見える。

紫色に輝くその星はもうとっくにない。

長い旅路の果てに この星にたどり着いた。

星降る夜、故郷を思ふ。

…私は隕石。


11月11日

『いつかの約束』

藍の色は冬の海の色にも似て、深い夜の色にも似て。

藍染の着物を着てふらりと海辺の街を旅行する。

町の匂い、音、文化。

旅は色々なことを教えてくれる。

いつの日か君と行きたい言いながら、その機会を失ってしまった。

いつかなんて来ない。


君とすぐにでも出かければ良かった。


『新しい習い事』

床の間に白い花が飾ってあった。

「ねえこれ椿?」

「ツバキのシーズンじゃないでしょ。それはお茶の木の花だよ」

「ふうん」

姉はまた新しい習い事を始めたらしい。

今度は花道。

いつも向上心に満ち満ちているなと感心する。

姉がたてたお茶を飲みながら花を眺める。


11月11日の花言葉:チャノキ:向上心


11月12日

『夜の星』

地上で生まれた悲しみたちは空に上がって星になるのですよ。癒されなかった心が夜の空で輝いて星になって人々を癒すのです。

だからね、あなたの悲しみも いずれは星になるのでしょう。

大丈夫、あなたは強い人ですよ。

悲しみは星になって夜空で輝いているのですから。

もう泣かないできっと大丈夫。


『かぼちゃのパイ と夏の思い出』

深い緑色のかぼちゃを半分に割ってパイを作る。

秋はすっかり色づいて赤や金色に山々を変えていくけれど、深い夏の緑が豊かな収穫と秋の恵みをくれる。

明るいオレンジ色のかぼちゃを食べながら。

楽しかった 夏を思い出した。

かぼちゃのパイは恵みの味!


11月13日

『冬のバス停』

いつのまにかすっかりと木枯らし吹く季節となった。

「うー、寒い」

バス停で山茶花の花が咲いている。

愛らしい花に心が和む。

さっきまで寒くて寒くてたまらなくて早くバスが来ないかと考えていたのに花を見ていたらもっとここにいたいという気持ちになる。

案外、冬も悪くない。


11月13日の花言葉サザンカなごむ心


『ミルク色の夜』

お風呂の湯気はミルク色。

心地よくってほっぺたがバラ色。

お風呂上がりはミルクを1杯。

夜空を見上げればミルキーウェイ。

ミルク色の毛布にくるまれて、

今夜も幸せな夢を見る。

みるみるうちに夢の中。

空にはミルク色のお月様。

明日の朝にはきっと

ミルクみたいに白い霜。


11月14日

『冬の教室にて』

教室の窓辺にシクラメンが飾られていていつも美しい花を咲かせていた。

その花世話をするのはいつも決まった子だった。係だったわけではない、ただ花世話が好きな女の子だった。

そんな彼女が好きだった…


「あ、あの」

「何?」

「いつも花の世話ありがとう」

そう言うと彼女は、はにかんだ笑顔。


11月14日の花言葉:シクラメン:はにかみ


『木の実と小リス』

小リスは木々の間をくるくると回ります。

平べったい変わった木の実を見つけたぞ!

子リスは喜んで木の実をかじろうとしました。

「痛い!」

平べったい木の実はとても硬くて歯が立ちません。

怒った子リスはポイと投げます。

後には歯型のついた銅貨が1枚。


『思い出屋』

商店街の裏に小さな店がある。

あなたの思い出買いますと書いてある。

昔この店で思い出を売った。

20年ぶりに店を訪ねて私はその思い出を買い戻した。あの人に恋した私がそこにいる。


失恋なんて大した事じゃないと思うかもだけどあの当時の私には一大事だったのだ。

あの頃とは違う涙がこぼれた。


『月と星の物語』

ねえどうして月が満ちたり欠けたりするか知ってる?

月のかけらはね、小さな小さな星に変わるの。

毎日毎日たくさんの星が月から生まれるの。

だから月はねどんどんどんどん小さくなっていくの。

だけど安心してまた海から月が生まれてくるから。満月の晩は海の力が満ちて新しいお月様になるの。


11月15日

『目玉焼きとお月様』

目玉焼きの黄身がまんまるお月様みたい。

綺麗な黄色の満月だ。

だめだ、なんだかムズムズするよ!

僕はポンと狼男に変身しちゃった。

目玉焼きをパクパク食べると元通り。

お月様みたいな目玉焼きは美味しいけど気をつけないと変身しちゃう。


満月はまだまだ先だっていうのにな…


『あなたの様に』

「おや?アイリスが咲いてる」

「いいえ、それはモレアの花よ」

花と同じ薄紫色のワンピースを着た彼女は感性が豊かでとても素敵な女性だ。

ふわりと花のように笑ふ。

「あなたみたいになりたいな」

と言ったら、

「あなたはとっても素敵な人よ」

と花のような笑顔で返された穏やかな午後の昼下がり。


11月15日の花言葉:モレア:豊かな感性


11月16日

『古い手紙』

墨で書かれた手紙はおじい様のものだろうか。

達筆で旧字体で書かれているから読めないところも多いけれど…


この戦争が終わったら結婚いたしましょう。

どうかそれまでお待ちください。

あなたのことを愛しています。

必ず必ず生きて帰って参ります。

愛しいあなた様へ


『秋の色』

昨日の晩は霜が降りて、庭は真っ白になっていた。

たった1日で庭の木々は一気に紅葉し変化する。

ワレモコウを花瓶に飾る。

気温は一気に寒くなってしまった。

今日は秋物の衣類を買いに行こう、いや今ならもう冬物だろうか。


秋の色は移りにけりないたずらに……


11月16日の花言葉:ワレモコウ:変化


11月16日

『孫とグミ』

庭 にグミの実がいっぱいなった。

「ばあちゃんこの赤い何」

「グミの実だよ」

そういうと孫は輝かせる。

「グミ好き食べたい」

「一応食べれるけど」

そう言うなり孫はパクッと食べてしまった。

途端にしかめっ面。

「もっと甘いグミを買いに行こう」

心が純潔で可愛い性格の孫はぱっと笑顔になった。


11月12日の花言葉:グミ:心の純潔


11月17日

『サンタさんへ』

真新しいノルディック柄の毛布は深い緋色をしていた。昔見たクリスマスの絵本と同じ。

これをかぶればあの頃の子供の時代に戻れるような気がした。

いい子にして待ってればサンタさんが来るんだよ。

もう大人になってしまったけれど…


サンタさんへ

私、頑張ってるよ。


11月18日

『来ぬ人を待ち続け』

寒々とした青空の下、灯台は白く輝いていた。

ぼーっと汽笛の音が鳴る。

何をの音を聞きながら、あの人のことを待っていた。

今日帰ってくる、今日こそ帰ってくる…

冷たい風が頬をなでる。


あの人はきっと今日こそ帰ってくる…


11月19日

『夢』

とても不思議な夢を見た。

それだと言うのに目が覚めたら全部消えてしまって内容をよく思い出せない。

煙に巻かれたみたいだ。

いつもと変わらぬ日常が始まる。

家の外に出て深呼吸をして朝を迎える。

玄関の鉢植えのベリストロフェの花が朝日に白く輝いていた。


11月19日の花言葉:ベリストロフェ:不思議


『干し柿作り』

干し柿をお母と一緒に作る。

果物ナイフでくるくると柿を回して最後に紐をつけて吊るす。柿は綺麗な朱色だ。

乾燥したらうんと甘くて美味しくなる。

「お母さんのむくの上手だよねー」

「こういうのは慣れよ慣れ!」

そうは言っても母みたいに上手くなるのは一体いつになるやら。


11月20日

『花になりたい』

「花になりたいな」

心を病んでいる友人がそう言った。

「おまじないでね、命と引き換えに一つだけ願いを叶えてくれるんだって」

「馬鹿な事言わないで」

「優美な花になりたいな」

ある日彼女はいなくなって…

教室ただニオイザクラ花だけが咲いていた。


11月20日の花言葉:ルクリア(ニオイザクラ):優美な人


『白いワンピースと私』

失恋した。

落ち込んで死んでしまいたい様な気分。

雨空の下、ショーウィンドウばかりが眩しく輝いている。

ふと真っ白なワンピースが目に留まった。

花の刺繍、店員さんに聞いたらネリネの花らしい。気がついたら買っていた。

明日はこれを着て出かけよう。


…秋晴れの空の下白いワンピースが輝く。


11月17日の花言葉:ネリネ:再生


『熱意の空まわり』

俺は悩んでいた。

彼女へのプロポーズどうしよう。

そうだ!

クリスマスパーティを開催しカラー 花の鉢植えをテーブルに飾った。

その上に婚約指輪。

気づいてくれよ俺の熱意!


…しかし、虚しくパーティーは終演。

どうしよう渡しそびれたじゃないか…!!

俺は鉢植えを抱え彼女追いかけた。


11月18日の花言葉:カラー:熱意


『都市の片隅で』

宵闇の中、静寂だけがそこにはあった。

闇に溶け込む様に黒い服を着て誰にも見つからないように都市の片隅で私はひっそりと生きている。

カーテンを閉めスマホの画面を見ながら泣きたくなる思いをそっとこらえた。

一人で生きていこうと決意した日から…


だがこの暗闇を私は愛していた。


11月21日

『俺と姪っ子』

俺は子供が嫌いだ。

だから姪っ子の世話を押し付けられた時はうんざりしてた。

仕方ねえな全く。

「散歩に行くか」

「うん」

「肉まん食べるか」

「うん」

「滑り台楽しいか」

「うん」

夕方妹が迎えに来て姪っ子は 頬は桃色にして、

「おじさんありがとう」

俺は子供が嫌いだ…だが姪っ子は別だ。


『手をつないで帰った帰り道』

「あっマーガレット!」

「これは浜菊だよ」

「物知りだね!」

2人で手をつないで帰った帰り道。


「あっマーガレット!」

「これは浜菊だよ」

「物知りだねママ」


小学生だった頃、 親友と話したやり取りと同じことを娘とする。

どうしてるかな…彼女、久々に会いたいな


11月21日の花言葉:ハマギク:友愛


11月22日

『電話』

侘助の白い花が咲いた。

簡素で美しいその花をポツリとテーブルの上に飾る。

家の中はガランと寂しい。

紅茶を飲んでいれば電話が鳴った。

遠く離れた娘からだった。

明るい声が響き渡る。

ふと簡素な家の中に花が咲いたような気がする。


11月22日の花言葉:ワビスケ:簡素


『紅茶のダンス』

紅茶のダンスが始まった。

ドレスを広げてくるくる舞い踊る茶葉のダンサーたち。

舞踊りながら琥珀色に染まってゆくお湯の中、金色の檸檬もやってきた。

檸檬さんこんにちは。

小さな小さなダンサーたちはレモンの周りをくるくる回る。


さあ琥珀色の紅茶を召し上がれ。


11月23日

『霜と霜柱』

今夜はとてもよく冷えた晩でした。

空からゆっくりと舞い落ちた雨粒は地面の上で1人寂しくしゃがみ込んでいました。

ふと地面から何かが伸びてきます。

それは地面に染み込んだ水たちでした。

雨粒は寂しくなくなりました。

やがて朝がきて雨粒は霜になり、霜柱の上で輝きました。


11月24日

『冬至に南瓜!』

「何それでっかいひょうたん?」

「まさかそんなわけないじゃん南瓜だよ」

翡翠色の大きな野菜は僕の知る南瓜と随分違う 見たを目していた。

鍋コトコト煮れば確かに普通のかぼちゃと変わらない美味しい味。

改めて野菜って色々種類があるんだなって思う。


…冬のかぼちゃの煮物はホッとするなぁ。


『冬の色』

冬の色は翡翠のような透き通った半透明。

鳥たちも獣たちも冬支度が忙しい。

植物たちは葉っぱを落とし、あるいは地面に張り付いてこれからのシーズンを迎えようとしている。

吐いた息が白い。

透き通って向こうに見える空が淡い色になっていよいよ冬がやってきた。


『初恋再び!』

「久しぶり」

そう 声をかけられて 一瞬 誰だかわからなかった。

彼女がとても美しい白バラの様な優雅な女性に成長していたから。

胸がドキドキとする。

「久しぶり…」

なんとか必死の思いでそう答えれば、ふわりと花のように笑う彼女。


11月23日の花言葉:バラ(白):よみがえる愛


11月25日

『人魚の肉』

スーパーで人魚の肉が半額で売っていた。

今日の晩御飯はお刺身にしよう。

綺麗にお皿に盛りつけて、

あの人は

「うまいうまい」

と食べている。

人魚の肉は不老不死になるらしいから、あの人は永遠に私のもの。

死が二人を別かつまで…なんて、死神にも奪わせない。


『雪待ちの花』

庭に紅色のサザンカが咲いた。

降り出した雪が花びらにかかる。

このシーズンだというのにサザンカは美しく咲き誇る。

それは雪を待ちながら、淡く恋する乙女の様に…

冬を心待ちにしているのだ。


『高値の花』

床の間に冬ボタンが飾られていた。

「今のシーズンってボタン咲くんだ」

「なかなか手間がかかるんだって」

なるほど高貴な印象がして確かに手間がかかりそうな花だ。ちょっと彼女に似てる。

立てば芍薬座ればボタン歩く姿は百合の花 なんて言うけど…


美しい花には手間とお金がかかるものなのさ。


11月24日の花言葉:フユボタン:高貴


11月25日

『造花の花』

「胡蝶蘭だ。どうしたのこれ」

「伯父のお店の開店祝いのやつ。いらないらしいからもらった」

「へえ、でも栽培が難しいんじゃないの?」

「造花だよ」

「…なんだ」

「永久に変わらないんだからいいでしょ」

「そういうもんかな」

「そうだよずっと好きなものは変わらないでいてほしいじゃない」


11月25日の花言葉:胡蝶蘭:永久の愛


11月26日

『冬の夜長』

冬の夜長は寒くて暗い。

ぽつりぽつりと雪が降る。

深まってゆく寒さにそっとカーテンの隙間から空を見た。

ボタン雪が舞い落ちる。

「寒いね今夜は積もりそうだ…」

明日は雪かきが大変に違いない。

だが、愛猫はそんなこと お構いなしである。

こたつの中で

「ミャア」

となく。


『遠い記憶の底から』

寂れた遺跡には石の柱ばかりが残っていて栄華を極めた文明を感じさせるものは何もなかった。

観光に来たこの地で大昔のことを想像してシーマンニアの花のような赤いスカーフを巻いて1人石の舞台に立つ。

ふと歌いたくなった。

私の歌声は響き渡る。

それは昔の歌姫のように。


…観光客は拍手喝采。


11月26日の花言葉:シーマンニア:栄華


11月27日

『セピア色の思い出』

思い出はセピア色に染まり、記憶の底に沈んでゆく。

楽しかった日々は霞んでもう思い出せない。

あの人が亡くなってもう20年。

一緒に住もうと息子たち夫婦が言ってくれるけど…

そのためにはこの家を離れなくてはいけない。


アルバムの写真を見ながらぽたりと涙が落ちた。



11月28日

『ストーブをつけて』

ストーブの火をつける。

冷え切った部屋がだんだんと温まりどこかホッとする。一番先に帰ってくるのはいつも私。

そして家族の帰りを待つのだ。

「ただいま〜」

家族が帰ってきたみたいだ。

「おかえり」

安心して帰ってこれる家には暖かさと灯りが必要なんだ。


11月29日

『贈り物』

あなたに贈れるものを贈りたい。

あなたは私にとって何よりの賜物だから。

あなたの幸福が私の一番の幸せ。

可愛い我が子のほっぺに口づけする。

あなたが私の人生で一番の贈り物。

だから今度はあなたに私から贈り物を、

金色の街灯りの下で……


『家の中の森』

「観葉植物は寒さに弱い、大概は本来あった場所とは違う場所で栽培されているのだからね」

と姉が言う。

テーブルの上にクロッサンドラが飾ってあって、美しい橙色の花を咲かせていた。

丁寧に育てられた観葉植物は彼女の内面の美を表しているようだった。


室内はちょっとしたジャングルの様だ。


11月27日の花言葉:クロッサンドラ:内面の美


『約束』

「誕生日ケーキ毎年作ってやるからさ」

それが彼のプロポーズの言葉だった。

約束通り毎年ケーキを作ってくれる。

と言っても作ってくれるのは 誕生日 ケーキだけなのだが。彼の職業は パティシエ。

口いっぱいに甘いモンブランのクリームが広がる。


11月28日の花言葉:クリ:約束


『マリーゴールドの思い出』

庭に咲いていたマリーゴールドをテーブルの上に飾る。

そういえば初めてのおつかい 3歳の時、近所の八百屋さんで果物を買って帰った。

お母さんに偉いねと褒められて マリーゴールドの花を胸に飾ってもらった。

信頼されているのと金メダルみたいな花が嬉しかったっけ。


懐かしいなぁ……


11月29日の花言葉:マリーゴールド:信頼


11月30日

『お見舞い』

親友が交通事故で入院した。

真っ青になったけど怪我は軽いらしい。

私はサイネリアの花を買って彼女のお見舞いに行った。

扉を開ける笑顔の彼女

「もう心配したんだから!」

「ごめーん!検査入院だって」

「怪我は?」

「足首の捻挫だけだよ!」


いつもの陽気な彼女の様子に胸をなでおろす。


11月30日の花言葉:シネラリア:いつも陽気


『プロポーズ』

銀色の雪が積もっていた。

きっと私の事はただの友人だと思ってる。

一方的な片思い。

分かってるそんなこと…

ショッピングモールの貴金属店。

「一緒に行ってくれないかな君に送りたいんだ、その …指輪を」

え、突然そんなこと言われてどうしろっての?


どうしよ心臓がバクバクする。


『コンビニにて』

コンビニで明日の天気が売っていた。

1つ買って家に持って帰る。

ところで、これってどうやって使うんだろう?

ビニールを開ければ雲が空の上に向かって飛んで行く。

そういえば買ったのは雪だっけ…

朝、目を覚ますと銀世界。


12月1日

『冬の映画館』

冬になれば絶対に映画に行くことにしている。

子供の頃から冬休みの映画を楽しみにしていて両親が連れて行ってくれるのがとても嬉しかった。ストーリーが始まる瞬間はサンタさんにプレゼントをもらったみたい。

ポップコーンを抱えてワクワク!

ほら始まった!


『空っぽの部屋』

あなたのいなくなった後、泣きたくなるような気持ちをこらえて部屋を整理する。

あなたのいない寂しさに胸が潰れる思いだ。

あなたの使っていたベッド、あなたのブラシ。

星のような瞳と美しい毛並みを思い出す。

あなたはいつも膝に乗ってミャーと鳴いていた。


『ポストアカポリス』

人類がいなくなって久しい。

文明の後はあっという間に植物の間に埋もれて、まるで何も存在しなかったかのようだ。

『私』という存在は一見すると 人間そのものと変わらぬように見える。

『私』は一体いつから存在したのだろう。

人間がいなくなった世界で『私』だけが存在する。


『別れ』

後ほんの少しだけ、そばにいさせて。

私の寿命はあなたよりとっても短いけれど、私の一生分の時間をあなたと一緒にさせて。

あなたは私が死んでしまったら、いつかきっと忘れてしまうと思うけれど…

あなたのことが好きだから、後ほんの少しだけ…ニャア


12月2日

『凍った月の涙』

よく冷える晩だった。

涙に滲んだ目で空を見上げれば月も泣いている様に見えた。

世界でたった一人でいるような気になっていたけど見上げた月は私のために泣いてくれたんじゃないかなって思う。

私は1人じゃない。


月の涙も明日の朝は凍って霜になっているかな…


12月3日

『とばっちり』

「姉貴、彼氏と別れたんだって?」

「だってあいつこの間カレー屋でサフランライスおかわり自由だからって山盛りついでみっともない!節度の美ってもんがあるでしょう」

「あー確かにそれは恥ずかしいかも…」

「あんたも気をつけなさいよ!前に同じ事してたでしょ恥ず!」

「…すみません、お姉様」


12月1日の花言葉:サフラン:節度の美


『謙譲で献上!』

「ひめにこのはなを、けんじょうします」

「まあうれしい、なんておはななの?」

友達の女の子にお姫様ごっこで謙譲した態度を取る娘の様子を見ていた。

娘が走ってこっちにくる

「ママこのお花なんて言うの?」

「ヒメシャラだよ」

「お花にも姫ってついてるんだね!」

パッと笑顔の娘。


12月2日の花言葉:ヒメシャラ:謙譲


やっぱりどうしても作りにくい花言葉ってあって今回なんてどう使っていいのやら頭を抱えてしまいました(笑)

とっても強引です。


『テーブルの花』

テーブルにツワブキの花が飾られていた。

どうやら姉が来たらしい。

姉は気が利く性格で相手に対するちょっとした心遣いも忘れない。

テーブルの黄色い花は姉の性格みたいに明るくて、そのつやつやとした葉っぱを輝かせていた。


12月3日の花言葉:ツワブキ:心づかい

お読みいただきありがとうございました。

お楽しみいただけたなら幸いです。


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