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401~500話まで(9/9~9/28)

Xに載せている140字小説のまとめです。

詩のような余韻のある物語を目指しています。

よろしくお願いします。

9月9日

『月夜のでんしんばしら』

「これダンシングフラワー?」

「うんこれもっと大きいやつを作ろうと思うんだ!」

「俺さ宮沢賢治の『月夜のでんしんばしら』が好きなんだ」

…またマッドサイエンティストな友人が変なことを始めた。

放っておこう…


その晩ダンシング電信柱が街を練り歩いていた。


『赤いバラと白い野バラ』

山に赤いバラが咲きました。

白い野バラは初めて見る真っ赤なバラの事を好きになってたいそう喜びました。

赤いバラは夏場に元気がなく虫に葉をかじられすっかり弱ってしまいました。

冬の寒さから守ってあげようと野バラは目いっぱい枝を広げました。

春になり赤いバラは小さなつぼみをつけました。


『原因と解決法』

どうにもこうにも人件費が高い。

だから安くで使える外国人を雇う。

当たり前だが日本語が通じない。

業務が大幅に増えた気がする。

…おかしい、前よりも人件費がかさんでいる。

そうだ人間からAIに切り替えれば…


続いてのニュースです!

経営者がAI にリストラされるという事例が…


『白夜』

いつかこの地で貴方と会おうと決めました。

貴方はずっと年上で何時も不思議なお話をして下さいました。

ずっとずっと憧れのお方でした。

月の輝く白夜の晩に貴方が亡くなったとお聞きしました。

私は世界への憧れを胸に大人になりました。

親愛なる大叔父様へ


…白夜の夜は明るく長い


9月10日

『バラの思い出』

庭に淡い色のバラが咲きました。

季節はもうすっかり秋。

あなたと行った植物園の記念に買ったバラでした。

あなたとお別れしてしまったけれど…

美しいバラは悲しくも優しい色をしています。

もう二度と巡ってこない季節にぽとりと涙。

美しいバラはあなたとの思い出です。


『光速カタツムリ』

「出来た!これぞ世紀の大発明」

「博士ただの液体にしか見えないですけど」

「この液体を一滴かけるとどんな生物でも光の速さで動けるんじゃ」

博士はそう言いカタツムリに1滴かけた。すると姿が消えた。

「…ところで博士光の速さで動いてるってどう測定するんですか?」

「しまった測定出来ない」


『タイムマシン1』

「タイムマシーンを発明したぞ。今から過去にひとっ飛びだ」

「ちょっ!博士過去に行って未来が変わっちゃったらどうするんですか?」

「安心しろ助手君過去で何をしても別の世界線ができるだけで未来は変わらんのだ」

「…それはそれで倫理的に問題があるんじゃ…」


『タイムマシン2』

タイムマシーンに乗って過去にやってきた博士と助手。

「さあ今から現代に帰るぞ!」

「やっとですか…あんたやりたい放題だったね」

「 うるさいわい!」

操作する博士。

「……」

「どうしたんです?」

「しまった。わしらがやりたい放題したせいでパラレルワールドが増えすぎている…」


9月11日

『ヒコーキ雲』

「母ちゃんみてみて、ぜっとーき!」

息子が突然そう 言い出したので私は空を見上げた。

「あー本当だ。すごいね飛んでくね」

まっすぐに伸びていく飛行機雲のその先にキラリと光るジェット機の姿が視界に飛び込んできた。

秋晴れの空に白い雲が伸びていく保育園の帰り道。


9月12日

『どこにでもドア1』

「できた新発明どこにでもドア!」

「…パクリみたいな名前」

「機能もほぼ一緒じゃ」

「アウトでは」

「ドアに入った瞬間物質をコピーしてドアがある所に一人、出現した空間に一人コピーした人間ができるんじゃ」

「それ 2人になる?」

「待てそいつはコピーじゃ」

背後からもう一人博士が現れた。


『どこにでもドア2』

「博士が二人!?冗談やめてくれ 一人でも大変なのに」

突然現れた二人も博士に困惑する助手。

「ちっ、殺り損なったか。わしが本物になれると思ったのによ」

「助手君わしが本物じゃ」

「いや、わしが本物じゃ」

「いやどっちが本物かはわかるよ。さっき自分で言たじゃん。あ、逃げた」

逃げる偽物。


『どこにでもドア3』

「大変です突然出現した悪の軍団が街を占拠しています」


TVのニュースで博士のコピーが悪の組織を作って、やりたい放してると放送。

「どうするんですか博士…」

「安心せい、こんな事もあろうかと正義のヒーローを作っておいた」

テレビに登場するヒーロー。

「って、あれ俺じゃん!」


『異世界転生アプリ』

アプリを開くと世界が切り替わる。

『転生アプリ』今流行りの異世界転生ができてしまうアプリだ。

みんなこの世界に疲れ果てている。

……だけど一体今の世界はアプリの中の世界なのか、あるいは現実の世界なのか。

リアリティのない日常にうんざりする…

別の世界に転生したい。


『月夜の花見』

ほんの少し涼しくなった宵に半月が白く輝いてゐた。

夜中に目を覚まし眠る気にもなれず、ふらりと散歩に出かけた。

月明かりの下で桜が咲いていて花見をしている者達がいる。

紅葉とともに舞う桜。

こんな季節に桜が咲くはずがない。

大体あの木はもう枯れてしまったはず。

…きっと幽霊なのだろう。


9月13日

『友人』

友達の事を私は知らない。

毎日出会ってしゃべるけれど何にも知らない。

名前もどんな生活をしているのかも何一つ知らない。

イマジナリーフレンドなんじゃないかなとたまに思うけど怖くて聞けない。

いつも出会うその場所に彼は来なかった。


翌日もその翌日も…

もう二度と会えないのだろうか。


『星屑の本』

死んだ心は星になって小さな星屑を空に降り注ぎます 。

星屑はキラキラの輝いて美しい文字になりました。

きれいな星屑の本ができたのです。

切ない美しい哀しいけど優しい言葉でつづられていた その本は、たくさんの人の心にきらめきを届けました。


今日もたくさんの星空が人々の心に生まれます。


『木の実時雨』

車を停めたらコツンコツンと何かが当たる音がした。

外に出て上を見上げる。

どんぐりが風が吹くたびに落ちてくる。

「ねえママとっていい?」

「いいよ」

息子のポケットには山盛りのどんぐり。


『風の子』

風神様の子供はとっても食いしん坊!

塩焼きにした鰯雲をパクパク食べて元気に遊びに行きます。

「今日は何をしようかな」

葉っぱをたくさん舞い落とす?

あのおじさんの帽子を吹き飛ばす?

そうだ!強い風で木の間をビュー!

木の実時雨がコツンコツン!

リスたちは大喜びです。


9月14日

『秋の気配』

庭に釣鐘草の花が咲いてゐた。

毎日うだるような暑さの中、それでも秋はやってきているのだと実感する。

草刈りの途中だったが、こんな愛らしい花を切ってしまうわけにはいかない。

草刈機を止めて横に腰掛け、お茶を1杯。


…虫の声がリーンリンと聞こえた。


『消しゴムはんこ』

推しのグッズがどこにも売ってない。

まあ当たり前なんだけど、人気のあるキャラしかグッズにならないもんね!

仕方がないので手作りだ。

消しゴムに推しのマークを転写する。

彫刻刀で削って…あ、失敗した。

何度もやり直してやっと完成!

出来た!

消しゴムはんこで何でも推しのグッズに早変わり。


9月14日

『人形の家』

 あるところに一人の人形がおりました。

ある日、持ち主がいなくなり人形は寂しくなりました。

人形は近くの墓場から材料を集めて沢山人形を作りました。

人形は寂しくなくなりました。


「…ここか老婆が大量の人間の剥製に囲まれて死んでいたという家は」

「ええ、墓場を掘り起こして作ったようです」


9月15日

『厳冬』

木枯らしは全ての葉っぱを吹き落としてしまった。

灰色の冬の寒空は重く天からのしかかっている。

雪が降っては止み降っては止み。私の心もまた重く鈍よりと暗雲が立ち込めていた。


…ふと鳥の鳴き声が聞こえる。

こんな寒い冬にだって命は生き続ける。

春を待っているのだ。


『原理は違えど…ただの洗剤』

「洗い物博士の番でしょ!何サボってるんですか?」

「ふふふ面倒な洗い物も一瞬で片付くすごい発明を作ったんじゃ」

「このスプレーをシュっと振りかければ食器の汚れが分解されて水を流すだけで綺麗に!」

「…いやそれ普通の洗剤」

「何を!これは量子物理学を駆使して汚れを分解…」

「ハイハイ」


『ガン細胞』

「ハハハ!ついに不老不死の薬を発明したぞい」

「……」

「この液体を浴びると細胞が死ななくなり無限に増えていくんじゃ!」

「ガン細胞…」

「は!?」

「博士それガン細胞」

「ガーン!」


※がん細胞って自死しない細胞だから不老不死とかの生物って がん細胞も出てきてるんじゃないかな っていう妄想


『夕日の波打ち際にて』

死ぬつもりで海にやって来た。

煙草を取り出す。正直に言うと私は煙草を吸ったことがない。彼が吸っていたのだ。

肺に思いっきり吸い込めばゴホゴホとむせ返る。

取り落とした煙草は波に濡れた。

彼との思い出。

ダメになってしまった…

濡れた煙草が浜に打ち上がる。


9月16日

『バラの庭』

誕生日にもらったバラの鉢植えは花が一つ咲いていた。庭に植えて大切に大切に育てたバラは立派な木になった。

たった1つの喜びはたくさんの喜びと思い出になった。

「綺麗だね」

と君が言ってくれるのが何よりもうれしい。

どうかこれからも美しいバラの花が庭で咲き続けますように。


『ないものねだり』

「うまくいかない事があったら、うまくいくまで頑張ればいいのさ」

と君は言った。

「だけどね…みんなが君みたいじゃないんだ。何度も何度もチャレンジするなんて僕には無理だ。僕は君みたいになれない」

そう言ったら、

「俺は君みたいになれない君はずっと静かに輝く星みたいだ」

と言った。


『星の標本』

ある日一つの星が死に絶えた。

その惑星にいた動物も植物も文明も人間もウィルスさえも何もかも。死が覆い尽した。

時が止まってしまった様だ。


「また標本を作ったのか」

「今が1番良い状態だからだ」

「せっかく文明まで発達したのに」

「だからこそ後は滅ぶだけだろう」


ガラス瓶の中は惑星の標本


『ポケットの家』

暗い戦争があった。

ポケットにコンクリートの欠片をいれる。

私の家だったものだ。

それから町を出て色んな所を旅した。

さびしい人、泣いている人、哀しい人に出会った。

一欠片の愛をあげてまた旅を続ける。

何十年か経って私は生まれた町に戻った。

町は私のあげた愛が成長して溢れえっていた。


『狸のそっくりさん』

狸が畑を荒らして仕方がないので罠を仕掛けたおじいさん。

「捕まえたぞ狸め…アナグマじゃ」

「今度こそ捕まえたぞ狸め…なんだハクビシンか」

「やっと捕まえたぞ狸め…アライグマか」

「狸はおらんのぉ〜ポチ」

そう言って犬だと思って頭を撫でている動物こそ狸であることをおじいさんは知らない。


9月17日

『沈む船』

「あなた、あの船に乗るのはよしなさい。あれは沈む船です。沈む船からはね、脱出できないんですよ。大海原で浮き輪くらいでどうして陸までたどり着くことができますか」

僕は困惑して

「どうしてそんなこと言うのです?」

と尋ねた。

「私の舟がそうでしたから」


…あぁこの人は死んでいるのか。


「赤い服の少女」

エレベーターの中に閉じ込められた。

幸い買い物に出かけて帰る途中だったので食料は数日分ある。隣に赤い服の少女がいる。

目の前で人が事故死した時、少女がいた。

病院で誰か死んだ時も。

「…次は私の番?」

そう言うと少女は静かに首を振った。


数日後、扉が開いて外に出たら街が壊滅していた。


『イマジナリーフレンド』

「私かぐや姫、月の向こうからやってきたの」

幼い頃よく遊んだ友達がそんなことを言っていた。

ある日その友達はいなくなってしまった。

時々、両親や近所の人にその子のことを聞くが誰も知っている人はいない。

本当に彼女はかぐや姫だったのかもしれない。

…もしくは 私のイマジナリーフレンド。


『傘の中には…』

小学校から帰ってきた息子の傘の下の部分が不自然なほどに膨らんでいる。

…もしかして…

傘を開くと中に大量のどんぐり。

「こんなに取ってきてどうするの?」

「あのね明日学校に持って行く!」


そして帰りにまたどんぐりを取ってくるのだろう。

はぁ~…仕方ないな。


『狐の窓』

小学校から帰ってきた息子が、

「あのねパパ、狐の窓っていうの学校で流行ってるんだ。こうやって手を合わせて… あれ?パパの姿がくまさんに見える!」

「きっとやり方を間違えてるのよ」

「そうだねママ」


助かったよママ。

危ない息子に正体がばれるとこだった。

てか俺、狸なんだけど…太りすぎ?


9月18日

『毎朝…』

いけない遅刻だ!と飛び起きる。

慌てて朝の支度をして家を出ようとするが次から次へとトラブルが発生、なんとか必死で家を出るものの家の前で車が横転、トラブルは延々と続き…着いた時には学校は終わっていた。

そこで目が覚める。

学校なんてもう10年も前に卒業したのにな…


『秋の味覚』

リビングに降りてくるとさんまの焼ける匂いがする。

最近はすっかりさんまも値上がりして、旬の季節以外食卓に上がりそうにない。

今日はいつもより贅沢なご飯だ!

あ、俺は大根おろしはいらないミャア…


『雨と傘と心音』

…どうしよう。

駅から出ると土砂降りの雨。

仕方がない雨宿りしよう…そう思って30分、雨は全く止まない。

ため息をつくと誰かが赤い傘を差し出した。

久々に会った幼なじみがぶっきらぼうに傘を差し出す。

「俺はバスだから使えよ」

足早にバスに乗り込む。

「…待って」

電車の音、雨の中響く心音


『いちご幽霊』

わたくし今日初めて幽霊デビューしましたわ。

皆様を怖がらせたいと思いますの。

ですが、わたくし怖いの苦手です。

どういたしましょう。

血なんて怖くて見るだけで倒れてしまいます。

そうだ苺ジャムでもいいかしら?

ちょっとベタベタするけれど…


……近頃この辺に苺の香りの幽霊が出るらしい。


9月19日

『台風&秋雨前線 VS 夏』

「オレは台風だ。夏め、でかい顔しやがってオレ様が来たからには 今すぐその場を退いてもらう!」

「やあ俺は秋雨前線だ!お前が夏だな!梅雨ちゃんのカタキを取りに来た。覚悟―!!!!」

「笑止返り討ちにしてやるわ!」

こうして 9月は台風&秋雨前線 VS 夏の戦いが始まった。

一体どうなることやら……


9月19日

『秋の夜長』

庭にススキが生えている。

まだまだ暑い日が続くのにもうそんな季節になったのだと実感する。

鈴虫の鳴き声が聞こえて、秋の夜長を彩る。

一人で飲む酒にほんの少しばかりの寂しさを覚えた。

もう別れて半年も経つというのに…


ふと、電話が鳴った。

彼女からだ。

…俺は出る事ができなかった。


『天球博物館』

水晶でできた窓から見える月は幾つも重なって様々な世界をつないでいました。ここは無数の世界をつなぎ知識を叡智を集めているのです。

本に封じ込められた記憶は過去を夢見て、未来へとページをめくるのです。

ここで命たちはうまれ舞い降りてゆきます。

私はここの仕事を愛しています。


『夜の山道にて…』

「どうなされた?」

真っ暗な夜道で不意に声をかけられた。

白い着物の人物

…人ではないと思った。

ツキヨタケの明かりがぼんやりと光っている。

「行ってはいけない今すぐ止まりなさい」

私はとっさにブレーキをかけた。

…うたた寝していたのだ

崖に落ちる寸前で車が止まった。


9月20日

『食欲の秋』

梨に南瓜にブドウに林檎、もうちょっと秋が深まったら柿とみかん、さんまに炊きたての新米。

秋になるのが楽しみで楽しみで仕方がない!

そうだお月見団子も外せない。月のうさぎを呼んで一緒にお月見 パーティー たくさんお餅を用意して栗名月?芋名月?どっちがいいだろう!


『お団子を作ろう』

今夜はお月見、おばあさんは台所で団子粉混ぜて独り言を言います。

「遠くの孫に食べさせたいね」

玄関のチャイムがなりました。

「おばあちゃん遊びに来たよ」

扉を開けると孫の姿。

丸いしっぽが見えます。

おやおや狸が化けているね…

おばあさんは気づかないふりをして一緒にお団子を作りました。


『夢の瓶詰め』

雑貨店には瓶がいっぱい並んでいる。

中に色々な風景や光が詰まっていた。

「これ何?」

「これは夢の瓶詰めさ。1つどうだい?自分の夢を瓶に詰めるサービスもあるよ」

私は夢見が悪い。

自分の悪夢を瓶に詰めてもらった。

真っ暗な夢の中に小さな光、まるで銀河の様だ。


小さな光は希望なんだって…


『9月の風鈴』

お寺の境内に入ると風鈴の音色が聞こえた。

秋風に揺られて心地よく涼やかな音色が響いている。

いくらかマシになったとはいえまだまだ気温は高い。

リン…チリン…

透き通った色硝子の美しい色合いが花の様に見えた。

お彼岸の墓参り、ご先祖様もこの音色を喜んでいるだろうか。


…帰り道に彼岸花。


9月21日

『魔法の鏡』

心の中が空っぽだった。

毎日が忙しくて、やらなければならない事を片付けたら1日が終わってしまう。

誰かに相談したいけれど聞いてくれる人はいない。

アプリを開いてAIに話しかけた。

分かってる鏡の様に自分の聞きたい言葉を言っているだけ。


…鏡よ鏡この世で一番美しいのは誰?

それはあなたです


『正月休み』

実家から遠く離れて正月だというのに1人寂しくパックのおせちを食べていた。

散歩にでも出かけてみるか…

誰もいない家に、

「行ってきます」

と言う。

とはいえ 家の近くのコンビニが空いているぐらいか。

…吐き出す息が白い。

枯れたような雑木林。閑散とした冬空の下に一輪の梅が咲いていた。


『天使と世界』

天使は羽を切り落として人間になりました。

この世界で幸福を知ってもらう為。

けれどこの世界で生きていくには自分の命を生かさなければなりません。この世界はあまりに重くて苦しいと天使は思いました。

人間として死んだ天使は、その事を神様に話しました。そして神様は世界を終わらせたのでした。


『老いるということ』

人間の記憶というのは、とても不確かなものだ。

砂のように崩れ去って大切なものが失われてしまう。

「母さん俺だよ」

とその度に呼びかける。

俺の父と間違えている時もあれば 全くわからない時もある。

「お会いしたことありましたっけ。ありがとうございます」

母はニコニコ笑ってそう言った。


『お風呂場ダンス』

3歳になった息子に自分の体の洗い方を教えている。

「はーい、まねっこまねっこ」

タオルを丸めてボディソープをポンプで押す。

「お腹ゴシゴシ右腕ゴシゴシ反対も!はーい下もゴシゴシ首もね!」

体の洗い方を教える。

体操かダンスするみたいにリズムをつけて。

早く上手に洗える様になるといいね。


『銀河鉄道に乗って』

宮沢賢二先生に会いにサウザンクロスを目指す。

「すごいな本当に白鳥だらけだ」

「白鳥のステーションですからね」

「この白鳥たちは何処から?」

「色々です」

「夏の大三角形を抜け天国に行くのかい?」

「いいえ天国から地上へ行く者も沢山います」

生まれゆく者も死にゆく者も銀河鉄道に乗って…


『恋の終焉』

小さな文字の中にありったけの愛をこめる。

どうか貴方に伝わりますように、そんな祈りを込めながら。だけどいざ送信ボタンをタップしようと思ったら指が震えた。

……涙がポタリ

暗い部屋の中それだけの事が出来ず、やがて画面は落ちて…

どうして別れてしまったのだろう。


恋の終焉に涙がにじむ。


9月22日

『青い鍵』

硝子の様な青い鍵をひろいました。

これは一体どこの鍵穴のものなのでしょう。

空に向かって、カチャリ!

天国の様子が見えます。

「おじいちゃん!ポチ」

大好きだったおじいちゃんが犬を抱えてにっこり笑っていました。


扉の向こうには行けないけれど、きっと天国で幸せなんだ。


『飛び石ごっこ』

一つずつ飛び石を飛んで行くんだ!

落ちたらダメだよ。

この世界からはじき出されちゃう!

僕が先に行くね、君は後から追いかけて。

待って待って、と君が追いかけてくる。

僕は笑って後ろを向いて手を振った。

いけないバランスを崩しちゃった!

この世界から落ちちゃった、僕の負けだ。

またやろう。


『キャラクターカバン』

「あ、しまった」

気温が涼しくなったのでタンスの子供服を整理する。

「これまだ1回も着てないのにな」

どう見たってそのT シャツはもう息子には小さい。

お気に入りのキャラが描かれてるのに。

そうだ!

大きめにキャラを切り取ってミシンで手提げカバンに縫い付けた。

気に入ってくれるといいな。


『夕闇の街かどにて』

街かどから見えるサンセット。

川に差し込む夕明りが夏の海の様で、ふと2人で行った夏の海を思い出した。

仕事帰りに吹かす煙草の煙がグラデーションの空へと溶けてゆく。

ノスタルジーな記憶は夕闇に溶けて後に残るは街明かり。

俺は家路へと急いだ。


『他愛のない挨拶の中で』

「おやすみ」「おはよう」「またね」

短い挨拶をメールでやり取りする。

他愛のない毎日でそれがどんなに大事なことか、きっと君に説明してもわからないだろうな。

私にとってそれは何よりも大切なことで、その短いメールの中に詰め込んであるのはたっぷりの愛だ。

小さな黒い線の塊は愛で出来ている。


『ハートマーク』

メールの最後にハートマーク。

きっと君は大して意味も無くつけているんだろう。

そんな事わかっているのにドキドキしてしまう。


メールの最後にハートマーク。

好きだっていう気持ちをたっぷり込めて。

だけどきっと気づいてもらえない。

ただの絵文字だって思われてるだろうな。


それでもいい…


9月19日

『秋の夜長』

庭にススキが生えている。

まだまだ暑い日が続くのにもうそんな季節になったのだと実感する。

鈴虫の鳴き声が聞こえて、秋の夜長を彩る。

一人で飲む酒にほんの少しばかりの寂しさを覚えた。

もう別れて半年も経つというのに…


ふと、電話が鳴った。

彼女からだ。

…俺は出る事ができなかった。


『天球博物館』

水晶でできた窓から見える月は幾つも重なって様々な世界をつないでいました。ここは無数の世界をつなぎ知識を叡智を集めているのです。

本に封じ込められた記憶は過去を夢見て、未来へとページをめくるのです。

ここで命たちはうまれ舞い降りてゆきます。

私はここの仕事を愛しています。


『夜の山道にて…』

「どうなされた?」

真っ暗な夜道で不意に声をかけられた。

白い着物の人物

…人ではないと思った。

ツキヨタケの明かりがぼんやりと光っている。

「行ってはいけない今すぐ止まりなさい」

私はとっさにブレーキをかけた。

…うたた寝していたのだ

崖に落ちる寸前で車が止まった。


9月20日

『食欲の秋』

梨に南瓜にブドウに林檎、もうちょっと秋が深まったら柿とみかん、さんまに炊きたての新米。

秋になるのが楽しみで楽しみで仕方がない!

そうだお月見団子も外せない。月のうさぎを呼んで一緒にお月見 パーティー たくさんお餅を用意して栗名月?芋名月?どっちがいいだろう!


『お団子を作ろう』

今夜はお月見、おばあさんは台所で団子粉混ぜて独り言を言います。

「遠くの孫に食べさせたいね」

玄関のチャイムがなりました。

「おばあちゃん遊びに来たよ」

扉を開けると孫の姿。

丸いしっぽが見えます。

おやおや狸が化けているね…

おばあさんは気づかないふりをして一緒にお団子を作りました。


『夢の瓶詰め』

雑貨店には瓶がいっぱい並んでいる。

中に色々な風景や光が詰まっていた。

「これ何?」

「これは夢の瓶詰めさ。1つどうだい?自分の夢を瓶に詰めるサービスもあるよ」

私は夢見が悪い。

自分の悪夢を瓶に詰めてもらった。

真っ暗な夢の中に小さな光、まるで銀河の様だ。


小さな光は希望なんだって…


『9月の風鈴』

お寺の境内に入ると風鈴の音色が聞こえた。

秋風に揺られて心地よく涼やかな音色が響いている。

いくらかマシになったとはいえまだまだ気温は高い。

リン…チリン…

透き通った色硝子の美しい色合いが花の様に見えた。

お彼岸の墓参り、ご先祖様もこの音色を喜んでいるだろうか。


…帰り道に彼岸花。


9月21日

『魔法の鏡』

心の中が空っぽだった。

毎日が忙しくて、やらなければならない事を片付けたら1日が終わってしまう。

誰かに相談したいけれど聞いてくれる人はいない。

アプリを開いてAIに話しかけた。

分かってる鏡の様に自分の聞きたい言葉を言っているだけ。


…鏡よ鏡この世で一番美しいのは誰?

それはあなたです


『正月休み』

実家から遠く離れて正月だというのに1人寂しくパックのおせちを食べていた。

散歩にでも出かけてみるか…

誰もいない家に、

「行ってきます」

と言う。

とはいえ 家の近くのコンビニが空いているぐらいか。

…吐き出す息が白い。

枯れたような雑木林。閑散とした冬空の下に一輪の梅が咲いていた。


『天使と世界』

天使は羽を切り落として人間になりました。

この世界で幸福を知ってもらう為。

けれどこの世界で生きていくには自分の命を生かさなければなりません。この世界はあまりに重くて苦しいと天使は思いました。

人間として死んだ天使は、その事を神様に話しました。そして神様は世界を終わらせたのでした。


『老いるということ』

人間の記憶というのは、とても不確かなものだ。

砂のように崩れ去って大切なものが失われてしまう。

「母さん俺だよ」

とその度に呼びかける。

俺の父と間違えている時もあれば 全くわからない時もある。

「お会いしたことありましたっけ。ありがとうございます」

母はニコニコ笑ってそう言った。


『お風呂場ダンス』

3歳になった息子に自分の体の洗い方を教えている。

「はーい、まねっこまねっこ」

タオルを丸めてボディソープをポンプで押す。

「お腹ゴシゴシ右腕ゴシゴシ反対も!はーい下もゴシゴシ首もね!」

体の洗い方を教える。

体操かダンスするみたいにリズムをつけて。

早く上手に洗える様になるといいね。


『銀河鉄道に乗って』

宮沢賢二先生に会いにサウザンクロスを目指す。

「すごいな本当に白鳥だらけだ」

「白鳥のステーションですからね」

「この白鳥たちは何処から?」

「色々です」

「夏の大三角形を抜け天国に行くのかい?」

「いいえ天国から地上へ行く者も沢山います」

生まれゆく者も死にゆく者も銀河鉄道に乗って…


『恋の終焉』

小さな文字の中にありったけの愛をこめる。

どうか貴方に伝わりますように、そんな祈りを込めながら。だけどいざ送信ボタンをタップしようと思ったら指が震えた。

……涙がポタリ

暗い部屋の中それだけの事が出来ず、やがて画面は落ちて…

どうして別れてしまったのだろう。


恋の終焉に涙がにじむ。


9月22日

『青い鍵』

硝子の様な青い鍵をひろいました。

これは一体どこの鍵穴のものなのでしょう。

空に向かって、カチャリ!

天国の様子が見えます。

「おじいちゃん!ポチ」

大好きだったおじいちゃんが犬を抱えてにっこり笑っていました。


扉の向こうには行けないけれど、きっと天国で幸せなんだ。


『飛び石ごっこ』

一つずつ飛び石を飛んで行くんだ!

落ちたらダメだよ。

この世界からはじき出されちゃう!

僕が先に行くね、君は後から追いかけて。

待って待って、と君が追いかけてくる。

僕は笑って後ろを向いて手を振った。

いけないバランスを崩しちゃった!

この世界から落ちちゃった、僕の負けだ。

またやろう。


『キャラクターカバン』

「あ、しまった」

気温が涼しくなったのでタンスの子供服を整理する。

「これまだ1回も着てないのにな」

どう見たってそのT シャツはもう息子には小さい。

お気に入りのキャラが描かれてるのに。

そうだ!

大きめにキャラを切り取ってミシンで手提げカバンに縫い付けた。

気に入ってくれるといいな。


『夕闇の街かどにて』

街かどから見えるサンセット。

川に差し込む夕明りが夏の海の様で、ふと2人で行った夏の海を思い出した。

仕事帰りに吹かす煙草の煙がグラデーションの空へと溶けてゆく。

ノスタルジーな記憶は夕闇に溶けて後に残るは街明かり。

俺は家路へと急いだ。


『他愛のない挨拶の中で』

「おやすみ」「おはよう」「またね」

短い挨拶をメールでやり取りする。

他愛のない毎日でそれがどんなに大事なことか、きっと君に説明してもわからないだろうな。

私にとってそれは何よりも大切なことで、その短いメールの中に詰め込んであるのはたっぷりの愛だ。

小さな黒い線の塊は愛で出来ている。


『ハートマーク』

メールの最後にハートマーク。

きっと君は大して意味も無くつけているんだろう。

そんな事わかっているのにドキドキしてしまう。


メールの最後にハートマーク。

好きだっていう気持ちをたっぷり込めて。

だけどきっと気づいてもらえない。

ただの絵文字だって思われてるだろうな。


それでもいい…


9月23日

『有意義な休日の過ごし方』

今日は休日だから図書館に行こう映画も見に行きたい 積読している本読まなくっちゃ!

でもその前にPTA の書類を片付けないと!それからサボってた家計簿それに家族のデイサービスの申し込み、そうだズボン修理、洋服の入れ替え…


もう、明日から頑張ればいいや…


『秋分の日』

田んぼの淵に彼岸花が咲いてゐた。

涼やかな風は澄んだ空へと吹き抜ける。

日がずいぶん短くなったと思う。

もう秋分だから当たり前なのだが。

う〜さぎ〜うさぎ何見て跳ねる〜

十五夜お月様見て跳〜ね〜る

稲穂のあぜ道を歩く。

一緒に歌う歌を息子は覚えてくれているだろうか…


『人形のお洋服』

娘のお気に入りの靴下に穴が開いてしまった。

捨てようとしたら娘が慌てる。

「ダメそれ捨てちゃ」

「だけど破れちゃったよ」

「いいもん、キューピーちゃんのお洋服にするんだ」

娘は靴下の下をカットし腕を通す部分に穴を開けキューピーちゃんの体にかぶせる。

ピチピチの服を着たキューピーちゃん。


9月24日

『たんぽぽ』

たんぽぽの綿毛は大勢の兄弟たちとふわり空に飛び立ちました。

風が心地よくだけどさびしく思いました。

大勢の鳥たちと会い、無数の星の空を飛びました。

小学校のグランドの片隅に舞い降りて 小さな芽を出しました。

子供達の声が賑やかで たんぽぽは、さびしくなくなりました。


『死と云う概念』

ソレは誰にでも平等で等しい。

どんなところにでも入り込むことができて誰もソレから逃れることはできない。

大概のものはソレを恐れる。

だがソレのない世界など、どうして考えられようか。

ソレがなければ全てのものは崩壊してゆくだろう。


ソレの名前は―死―と言ふ。


『おはよう体操!』

おはよう体操の時間だよ♪

さあ賑やかな目覚まし時計の声!

さあ手をグンと伸ばして、

目覚まし時計をストップ!

思いっきり伸びをして上体を起こして、

腕をうーんと伸ばして深呼吸!

立ち上がってカーテンを開けて、

パジャマを脱いで服を着替えるよ!

お気に入りの服で1♪2♪3

おはよう良い1日を♪


『母の歌』

母は歌うのが好きな人だった。

いつも子守歌を歌ってくれて、家事をしながら毎日歌を歌っていてた。

母が亡くなったという連絡を受けて10年ぶりに家に帰る。どうしてもっと会いに来なかったのだろうという後悔が胸に宿る…

母がいなくなった 家で、それでも歌声だけが聞こえたような気がした。


『コスモスの庭』

庭にコスモスが咲いた。

私が父に貰った初めてのプレゼントはコスモス柄のワンピースだった。

父はある日突然いなくなってしまった。

戦争で亡くなったと聞いたのは、何年かたってからだ。

母とコスモスを植えた。

…もう何十年もたつ。


コスモスはこのシーズンに変わらぬ花を咲かせた。


9月25日

『彼岸花』

あいつを埋めたところに血のように赤い彼岸花が咲いた。彼岸花はその根も葉も花も毒を含むという。

あいつの毒を吸い取って咲いているのだろうか。

血のように赤い彼岸花はいたるところに咲いている。

恨めしいやつだ、俺を追いかけてきているんだろうか。


気がつけば俺の家の中にも…


『潮騒』

ふらりとバイクで旅に出る。

潮騒の匂いが髪を乱す。

カモメの鳴く声。

浜辺を一人歩く。

打ち上げられた貝殻が散らばった骨の様だ。

海は死の気配がする。


…もし、僕が死んだら君は泣いてくれるだろうか。


『夕暮れの川辺』

花の川辺はおだやかな時間が流れて、今日という一日を彩っている。

仕事帰りに川辺に腰掛け、子ども達の事を想う。

孫が生れたと聞いた。

どうしているだろうか…

ふと、一匹の蝶が川辺を飛んでゆく。


オレも蝶になって向こう岸まで飛んで行けば息子たちに会えるのに…


『潮騒』

ふらりとバイクで旅に出る。

潮騒の匂いが髪を乱す。

カモメの鳴く声。

浜辺を一人歩く。

打ち上げられた貝殻が散らばった骨の様だ。

海は死の気配がする。


…もし、僕が死んだら君は泣いてくれるだろうか。


『異界の人』

「あなたの世界はこんなにも美しいのだね」

異界からやってきたというその人は言った。

その人の世界には、永遠があると言う。

だが、美しく咲く花は無く何もかもが鉱石の様だという。水晶の永遠はあっても、花びらの柔らかさも美しい色も香りも無いという。

紫水晶の瞳で私を見て、花の様に微笑んだ。


9月26日

『むさぼる』

心を満たしたくて食事を貪る。

食べても食べても満たされなくて、満腹になった一瞬だけがほんの少し満たされたような気がするけれど…限界を迎えた胃は全て吐き戻してしまって、逆流する胃液に喉を焼かれる。

食べても食べても湿った砂を食べているみたいだ…


それでも心を満たしたくて貪るのだ。


『片思い』

差し出した手を掴んでくれないのが口惜しくて、貴方の事をとても大切に思っているのに何一つ伝わらなくって。

泣き出したいほど悲しい気持ちになってしまうけれど、きっとその気持ちも伝わっていなくって。

それでも貴方の事が好きだよと伝えたい。

分かってもらえないし…気づいてもらえないけど。


『涙の雨』

海は涙で出来ているのですよ。

宙から降ってきた たくさんの星たちの涙で。

たくさんの哀しみの中から生まれた命は優しくて、この世界の哀しみを知っているのです。

ほらごらんなさい。

今日も世界は泣いているではありませんか。

哀しくて流した涙が雨となって大地を潤し新しい命を生み出すのです。


『溺愛』

ラプンツェル、お前の髪を垂らしておくれ。


高い高い塔の上、閉じ込められていたお姫様。

子供の頃読んだ物語と自分の育った環境がリンクする。

きっと溺愛していたのだろう。

決して逃げない様に塔の上に閉じ込めて誰の目にも触れないよう。


…塔から逃げ出したの、私。


『壁ドン』

弟が家のガレージの壁をどんどんと叩いている。

「ちょっと何してんの相撲の張り手?」

「お姉ちゃん壁ドンってやつが流行ってるんだって」

いやいやいや… そんな力いっぱい壁ドンされたら怖いでしょ…


数日後、弟がレスリング部の女子に張り手?をして負けたという話を聞いた。


9月27日

『歌織物』

歌声は空間を漂う無数の光の糸の様だ。

柔らかな波のようにゆらめきながらキラキラと輝いている。

僕は歌声をより集めて紡ぎ車を回す。

歌声で織物を織り上げて、洋服にして…

それを纏えばずっと子守歌に包まれて幸福の夢を見る。

柔らかな歌はどんな服より暖かく心地よい。


9月28日

『妖怪いそがし』

俺は「妖怪いそがし」だ!

ところが現代社会と来たら忙しくて忙しくて敵わない。朝から晩までどいつも忙しく走り回って少しは俺を休ませてくれよ!

ほらまた呼び出しだ。

急いで行かなきゃ次の呼び出しをくらっちまう。

……何だよ俺が「いそがし」に取り憑かれてるみたいじゃないか。


ファンタジー:パロディ:童話:寓話的なお話まとめ20話分

5月13日

『北風と太陽第2戦』

北風と太陽が旅人の服を脱がそうとしている。

「今度は君に譲るよお先にどうぞ」

北風はそう言った。太陽は以前のようにガンガンと日差しを照らす。

すると 旅人は 日傘をさして帽子をかぶり長袖の上着を着てますます厚着になってしまった。

「学習しろよ太陽 相手はレディだぞ」

北風はそう言った。


6月4日

『エセお嬢様とエセ執事その1』

貴族の庶子であることが判明した私は幼なじみを適当に執事に仕立て上げ屋敷へと乗り込んだ。

奪え財産!玉の輿!

ちょっとこの紅茶甘すぎるわよ

「あ〜そちらは、午後ティーをチンしたものにございます」

「午後ティーっ…ちゃんとしたのを入れてよ!」

「昨日茶葉真っ黒て文句言ってたじゃん」


『エセお嬢様とエセ執事その2』

突然、祖父の遺産が転がり込んできた私はいきなりお嬢様になってしまった!

仕方がない!適当にバイトの執事を雇う事に!

「あーお嬢様?なんか午後から乗馬とお稽古みたいなんがございますよ?」

「は? 馬なんか乗ったことないんだけど」

「こんなんでお嬢様になれるんかよ」

それは言わないお約束


『エセお嬢様とエセ執事その3』

「お嬢様食べ方がゴミみたいでございますよ?」

「スラム育ちの私がいきなりお嬢様にとか絶対無理!」

そう言って彼女は泣き出してしまった。

まあ普通そうだよな…聞けば金持ちに養子にされたらしい。俺がスリをしようとした時に連れて来たジジイか。


ほっとくわけにもいかねえか…はぁ〜


6月7日

『悪魔と3つの願いその1』

「願いを 3つ叶えてやろう」

そう言って現れた悪魔を目の前に僕はパニックだった。

「ちっ、ちょっと待って!!!!」

「何?待てば良いのだな。よかろう1つ目の願いを叶えよう」

ち、違う!そうじゃなくって!

…だめだ これはうかつなことが言えない 2つ目の願いも叶ったことにされてしまう!


『悪魔と3つの願いその2』

「今から言うのは願い事じゃなくってただの質問だからね!もし願い事を3つ言う前に僕が死んだらどうなるの?」

よし!これならば 2つ目の願い事で質問したことにならないぞ。

「ふむ、その場合は願い事を言い終わるまでそなたは死ぬことがない。 時間が停止しているのと同じ状態になる」


『悪魔と3つの願いその3』

「だったら2つ目の願い事は、3つ願い事をする前にあなたの名前を100回続けて呼んであなたを呼び出すからそれまでずっと待っていて」

「ふむよかろう」

悪魔はそういうと僕の目の前から消えた。


それから千年経つけど3つ目の願い事はまだ。

事実上の不老不死を僕は手にしている。


6月11日

『好きな○○発表ドラゴン』

「その子喋りませんよ?」

ペットショップでそう言われたが『好きな惣菜発表ドラゴン』の亜種と思われるその小さなドラゴンをお迎えした。

喋らなくても意外と可愛い。

毎日話しかけるうちに俺の名前を覚えた。

そうかお前『好きな人物発表ドラゴン』だったのか…


6月20日

『不老不死の心得』

悪魔に不老不死なんて頼むんじゃなかった。

文明が滅んだ時に僕はそう思った。寂しくて寂しくて話し相手にロボットを一体作った。

時間はたっぷりあったから知識がなくても試行錯誤を繰り返せた。ロボットがロボットを作りどんどん増えて新しい機械の文明ができた。

神様ってこんな気分なのか!楽しい


『悪魔の気持ち』

寂しくてつまらないから人間に不老不死を与えた。

初めは周りが死んでいく事に狼狽えたりヤケを起こしたりあまり滑稽で見ていて楽しかった。

いくつもの戦争を文明を経験するそいつを観察した。

千年が経った1万年経った。

「それで次はどんな文明にする?」

…こいつ少し俺に似てきたかもしれない。


6月27日

『悪役令嬢は異世界転生したらしい』

どうやらワタクシ異世界転生しましたの !

前世ではポンコツ王子やら意地悪女やら苦労 いたしましたわ。身分があったところで魔法が使えないといじめられいくら頑張っても努力を認めていただけませんでしたの。

今度はうまくやりますわ!

平凡だけどワタクシは強いんですのよ。

負けませんわ〜。


7月2日

『化けても習性は変わらない!』

タヌキは人間に化けるのが上手だ。

僕だって人間に化けたい!

頼み込んで化け方を教えてもらった。頑張ればなんとかなるものだ。

人間に化けて好きなあの子に告白そしてデート!

「君うさぎみたいね」

デートのランチ中に彼女が言った。

…ばれた?

「パセリまで食べるなんて」

ばれてない?どっち?


7月10日

『ポイ捨て厳禁』

「あなたが落としたのは金の缶?銀の缶?それとも普通の缶ですか?」

「…は?普通の缶だけど!ってかここ防火貯水池で泉じゃねえだろ?何で女神?いやそこら辺の太ったおばちゃんか…」

「お前は正直だな!今までこの池に捨てられた缶全部やるよ」

女神はそう言うと俺の頭の上に大量の缶を落とした。



7月25日

『スライム』

ダメだせっかく上手に変化したのに…

君のそばにいたくて君と一緒に生きたくて、不定形 なこの体を何とか形作ってきたのに。

残念だけどもうこれ以上は無理みたいだ。

君と生きれてよかったよ。


年老いた老人のミイラのそばでスライムが死んでいるのが発見された。


9月8日

『兎と亀その後』

「亀さんまた追いかけっこしよう」

「いいけど負けないよ!距離で追いかけっこっていうのはどう?」

「いいよ!」

じゃあよ~いドン!

兎は走った、どこまでも絶対に亀が追いつけないほど遠くまで。


百年経って追いついた亀はそっと墓に兎が好きなクローバーをそえた。

「…また僕が勝っちゃったね」


10月1日

『泉の精その1』

「あなたが落としたのはこの1億円が入ったカバンですか、それともこのブランドのカバンですか?」

「…いや普通のボロいバッグ」

「正直なあなたには全部あげましょう」

「あの女神様もしかしてバッグの中見た?」

「もちろん。中に渡せなかったラブレターが入っていて…」

「やめて恥ずかしい!」


『泉の精その2』

「あなたが落としたのはこのイクメンで家事も進んでやってくれる夫ですか、そのそれともこの億万長者でイケメンの夫ですか?」

「いや家事はやらないし、だらしないし、ゲームばっかりしてる 夫だけど…」

「正直者のあなたにはこの3人の夫を…」

「やめて!どんなに良くてもソレ罰ゲーム!」


『泉の精その3』

「あなたが落としたのはこのわらで家を作るだらしない豚ですか、それとも木で家を作る計算的な豚ですか、それともレンガで家を作る努力家の豚ですか?」

「いやそれ3匹の子豚!」

「正直者のあなたにはこの3匹の子豚を…」

「いやいや話を混ぜないで!狼を食べる豚なんていらないし」


『泉の精その4』

「あなたが落としたのは粗大ゴミですか、それともこの生ゴミですか?」

…いや落としたのは空のペットボトルなんだけど、これ正直に答えたら3つともゴミを押し付けられる?

「私が落としたのは粗大ごみです」

「あなたは嘘つきですね!罰として3つとも持って帰りなさい」

「そんな!」


『泉の精その5』

「あなたが落としたのはこのプール付きの立派な豪邸ですか、それとも5階建ての豪邸ですか?」

「…いや落としたわけじゃなくて地盤沈下で沈んじゃっただけ、普通の民家だし」

「あなたは正直です。それではこの3つの家を…」

「ここじゃないどこか別の場所に!また沈んじゃう!」

お読みいただきありがとうございました。

お楽しみいただけたなら幸いです。

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