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26.ガーデンパーティー9

まずはマクシミリアン。

マクシミリアンには、何を置いても聞き出さなくてはいけないことがある。


オティーリエはマクシミリアンに声をかけると、庭園の入り口の方へと誘った。

セオドアが奥の方に行ってしまったためだ。

残りのメンバーは円卓で会話している。


オティーリエはマクシミリアンにエスコートされてベンチに座ると、マクシミリアンはその正面に背筋をピッと伸ばして背中で腕を組み、軽く足を開いて立った。

軍隊式の休めの姿勢だ。

オティーリエとしては横に座って欲しかったところだったけれど、これもマクシミリアンの個性ということで、そのまま会話をすることにした。


マクシミリアンから聞き出さないといけないことというのは、もちろん、その祖父と父親から、何を吹き込まれているのかということ。

尋ねてみると、出るわ出るわで、マクシミリアンはオティーリエの過去の所業を事細かに語り出した。


例えば、エリオットに連れられて参加した閲兵式で、突然エリオットに促されたにも関わらず、舌足らずな言葉遣いで演説を行ったとか。

騎士団の訓練の視察に出向いた時に、動きの悪い騎士を見つけて声をかけ、事情を聞いてアドバイスをしたとか。

城の防衛体制の会議の時には、騎士の巡回が大変そうだからと移動距離が短くなる巡回経路とタイムスケジュールを提示したりとか。

厨房での出火の際、誰よりも早く駆け付け、わずかに遅れて来た近衛騎士団に指示を出して、避難と消火の指揮を取っていたとか。

領都内の都市型火災で、第二騎士団だけでは手に負えず、救援に出た第一騎士団員が危険な任務を終えてお城に戻ってくると、それを出迎えて、誰一人間違えることなく一人一人全員に名前を言いながら感謝を伝えたとか。


えとせとらえとせとら。


確かにやった。

それらは、確かにオティーリエが行って来たことだ。


しかも、実際のマクシミリアンの言葉はもっと美辞麗句で飾り立てられていて、その称えるような口調で己の所業を並べ立てられるのは、オティーリエにしてみればとても居たたまれない気持ちだった。

それこそ、両手で顔を覆ってしまいたくなるほどに。


しかし、そう思いはしても、それはなんとか踏み止まった。

もっとも、これ以上これを聞き続けるのには耐えきれなかったけれど。

終わりも見えなかったので、オティーリエは自分から聞いたにも関わらず、途中でマクシミリアンの発言を止めた。


こうして、最初から余りにも大きな精神的ダメージを受けたオティーリエだったけれど、そこは気持ちを切り替えて、別の話題に移った。


うん、これはもう気にしてはいけない。


こういう切り替えはオティーリエの得意技だ。

そう決めたオティーリエは、何を聞いているかを聞き出すのを止めて、マクシミリアン個人について質問することにした。


家族のことをどう思っているのか、どう接しているのか。

騎士としてどのような訓練を受けているのかとか、学校での生活についてとか、流れで好きな子がいるのかということまで聞いてしまった。

そうやって話をしていると時間になってしまったので、マクシミリアンとの会話を切りのいい所で終えると、2人で東屋へと戻った。


 ◇ ◇ ◇


アルチュールはセレスフィア、セリアと談笑していたので、オティーリエは次は庭園の奥の方にいるセオドアと話をすることにした。

セオドアのことはもともとよく知っているので、軽く雑談だけ。

会話そのものは談笑していると言っていいものだったけれど、セオドアはずっと地面を見つめたままで、声も小さいままと、チャーリーの演技は徹底したままだった。


 ◇ ◇ ◇


セレスフィア、セリアと談笑していたアルチュールについては、会話の途切れ目を狙って声をかけて連れ出した。

アルチュールに対しても、家庭環境や学習状況や交友関係、家業のお手伝いなどの個人的な話を聞く。


もちろん、合間合間でアルチュールはオティーリエに何度か一般的な女性が好む話題を振ってみたりもした。

と言うのも、アルチュールは会話は男がリードして、そして女性を楽しませるもので、それで自分も楽しいのが一番いいという信条を持っていたので、オティーリエが好む、もしくは楽しむ会話を探っていたのだった。


しかし、それらはもう本当に取り付く島もなく、ことごとく撃墜されたけれど。

実はオティーリエとしては商人の顔をして経済を論じるアルチュールとの会話を大いに楽しんでいて、アルチュールがそれに気づけなかったのは、もう盲点だったというしかない。


ちなみにセリアは誤解しているけれど、、アルチュールはこのような信条を持って女性と会話をしているだけであって、決してナンパ好きというわけではなかったりする。


アルチュールが他の人物と違うところは、ある時はオティーリエを一人の女の子として接し、またある時は領主令嬢として接するのだけれど、その時々で、まるで態度が変わるということだろう。


女の子として接する時は穏やかな笑みで気障な言葉使いで話しかけるが、領主令嬢として接する時は、相手に何を考えているか悟らせないような商人の顔で話をする。

女の子との会話は少々軽薄な印象を受けてしまうけれど、商人としては視野が広く、自分の専門分野に限らずしっかり情報収集を行い、社交性にも富んでいて、でも商売は堅実に足元を固めて、それを積み上げて大きな商機とするのが信条らしい。


オティーリエは、質問タイムの時の会話とこの時の会話から、アルチュールのことを商人として高く評価した。

それこそ、お城への登用(スカウト)を検討するほどに。


アルチュールとしても、この時のオティーリエとの会話は商売面で非常に実りが多いものだった。

勢いあまって、思わずこれから始めようと考えている事業を説明して、アドバイスをもらったりもしたけれど。


ただ、女性の扱いに慣れているという自負については、少々揺らいでしまった。


 ◇ ◇ ◇


―――そして、最後に。

オティーリエは、東屋で談笑している、ラシェル、セレスフィア、セリア、ノシェの4人に声をかけた。

ガーデンパーティーは順調に進んでいきます。

次は、本命。

3人との会話です。

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