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19.ガーデンパーティー2

それぞれの付き人が料理やお菓子を主人の前に置き、全員が一口、口にしたところで、オティーリエが会話の口火を切った。


「皆様、どうぞそのままでお聞き下さいませ。」


そして、全員をさっと見回してから。


「まず、本日は通常と異なるドレスコードを指定したためにご苦労されたことと存じます。

 それにも関わらず、男性の皆様には公的な場でもご着用されるフォーマルな装いで。

 また、女性のお二方には、招待状にて連絡させていただきました服装の意を汲んで下さった装いでお越しいただきました。

 おかげさまで、場の雰囲気も崩れることなく統一感も保てましたわ。

 ここに深く御礼申し上げます。」


今回、オティーリエは通常とは違うドレスコードを指定したので、服装については触れておかなければならない。

特に、セリアが学校の制服という、大胆と言えば大胆なチョイスをしているから尚更。


オティーリエのお墨付きをもらったセリアは、ちょっと得意そうにアルチュールを見た。

アルチュールも、よかったねという意味を込めてセリアを見返して頷く。

その横でマクシミリアンは、なるほどそういうことだったのかと頷いていた。


セオドアはと言うと、最初から頑張って主催者をしているオティーリエを微笑ましく眺めていた。

もちろん、チャーリーの演技は続けながら。

もっとも、オティーリエを微笑ましく見つめていたのはセオドアだけでなくセレスフィアもそうだったりする。

二人とも、気分は学校の参観日だ。


「今回、お集りいただきました皆様は、これから各分野で次代を担う方々だと確信しておりますわ。

 その皆様と知己を得られること、大変嬉しく存じます。

 そこで、今回は初めて顔を合わせる方も多いかと存じますので、まずは自己紹介などいかがでしょうか?

 少々照れくさいかもしれませんけれど、お互いを知るのに一番の近道かと思いますので。」


オティーリエがそう言うと、参加者はそれぞれがお互いに様子を見合った後、全員が諾の拍手をした。


「ありがとう存じます。

 それでは、言い出しっぺである(わたくし)から始めさせていただきますね。」

「いえ、オティーリエ様。

 ここは(わたし)、マクシミリアンから始めさせていただいて、オティーリエ様には殿をお勤めいただきたく思います。」


オティーリエが言うと、頬張っていた肉を飲み込んだマクシミリアンが、居住まいを正して発言した。


一番最初に誰が自己紹介をするか?という問題は、場によって異なる。

公式な場では立場が一番上の者から始めるが、会議の場においては、立場が下の者から始める場合もある。


フランクな場なら男性から始めるのが通例で、こういったガーデンパーティーにおいては、男性から始めるというのが正しい順番だ。


今回の場合は、領主令嬢主催のためオティーリエから始めてもおかしくはなく、また基本的に初顔合わせに近いメンバーのためオティーリエが自分から始めると言ったのだけれど、マクシミリアンが男性から始めた方がいいと判断して提案した形だ。

マクシミリアンとしては騎士の家系の者として、また男性で一番家格が高い者として、自己紹介の最初は自分が、という意識での提案だったのだけれど、これはオティーリエにとっても大歓迎だった。


と言うのも、どうしてもオティーリエの自己紹介の時には質問が集中するのが目に見えているので時間を取りたかったし、立場的にマクシミリアンは最初に自己紹介をするのに適任だったから。

年齢的には不適ではあるのだけれど、そこは名門の息子の矜持に期待。


「分かりました。

 この場の一番槍はマクシミリアンにお任せいたしますね。

 よろしくお願いいたします。」


オティーリエが笑みを浮かべてマクシミリアンに言うと、マクシミリアンはバッと立ち上がって敬礼した。

その後ろで、さっと椅子を引いた付き人の手腕には拍手を送りたい。


ところで、この場面、実は少々緊張感のある場面だった。

領主令嬢という領内において最高位の立場の人の提案を撥ね退けるというのは、さすがに今は厳罰に処すということはないにしても、厳重注意くらいは受けても仕方のないことだった。


だけれども、オティーリエが笑顔でそれを受け入れたことで、この場においてはそういったことはない、むしろ歓迎するということを実際に示せたので、この流れはオティーリエとしても大歓迎だった。

各自が食べ物を取って、いよいよ本格的にガーデンパーティーの始まりです。

まずは自己紹介から。

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