24.受け取った者1
セリア・オスターはその日、学校に向かっている途中で見知らぬ男性に声をかけられた。
「はじめまして。
セリア・オスターさんですね?」
その男性は、背が高くて不思議な色合いの瞳をした、とてもハンサムな人だった。
年齢的にはセリアより少し上だと思う。
「あ、はい、はじめまして。
そうですけど、どなたですか?」
ハンサムさんとはいえ、知らない人だ。
セリアはちょっと警戒しつつも、話を聞くために足を止めて、その男性に向き直った。
「ティリエからの使いでお声かけさせていただきました。
こちらをどうぞ。」
その男性が封筒に入った手紙をセリアに差し出した。
宛名に、セリア・オスター様へ、と書いてある。
「・・・ティリエから?」
セリアはその手紙を受け取ると、裏面を見た。
ティリエより、と書かれている。
「この手紙は、必ずお一人でいる時にお読み下さい。
それから、読み終わった後は、必ず火にくべて燃やして下さい。」
「え?」
セリアが男性の言葉に驚いて手紙から目を上げた時、すでに男性の姿はそこになかった。
少し離れた所に、セリアに背を向けて歩いて行くのが見える。
セリアは慌てて追いかけようとしたが、男性はあっという間に人混みに紛れて見えなくなってしまった。
追いかけるのを諦めたセリアは、周りをキョロキョロと見回した後、手に持った手紙を太陽にかざすようにして眺めた。
「うーん、本当にティリエからなのかな?
さっきの人、知らない人だったけど。
まあ、手紙だし、読んでみればいっか。
でも、一人でいる時かぁ。
家に帰ってからかな。」
呟きながら、セリアは手紙を手に持っていた鞄の中に入れて、学校へと歩き出した。
◇ ◇ ◇
「・・・何よ、これ。
何よ、これーーー!!!」
学校から帰って来たセリアは、早速、自分の部屋で朝に預かった手紙を読んでみた。
本物だったら初めてのティリエからの手紙だと思って、うきうきで読み始めたのだったが、読み始めた途端に顔が険しくなり、読み終わった時には思わず立ち上がって大声を上げてしまっていた。
バタンと座っていた椅子が大きな音を立てて後ろに倒れる。
その大声と大きな音に、部屋を出されていたお付きの侍女が部屋に入って来た。
「どうされましたか、お嬢様。」
入って来た侍女が、ことさらに落ち着いた声音でセリアに声をかける。
すると、セリアはハッと我に返ったように侍女を見て、パタパタと乱れていないスカートをはたいて整えた。
それから、コホンと一つ、咳払いをすると、にこやかな表情を侍女に向けた。
「大丈夫、なんでもないわ。
それより、今すぐ出かけるから、車を用意して。
行き先はフィアのお家よ。」
そう言うと、セリアは再び手紙に視線を落とした。
侍女が部屋を出て行く気配を感じながら。
別れの言葉を受け取った側の反応その1です。
まさに青天の霹靂。
簡単には飲み込めないお話でした。




