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28.街の観光。のつもりが事後の状況確認

4人は漁協会館の次に、が荷捌場に向かった。

荷捌場の近くに来ると、中で作業していた人のうちの一人の男性が手を止めて4人に近づいて来た。

4人は笑顔で迎えたけれど、近づいて来た男性は厳しい顔をしている。


「あんたらが噂のお屋敷の人だね?

 ここは大きな荷物を運んだりして危険だ。

 近づかないでくれ。」


刺々しい口調でそう言ってくる。

それにセリアが言い返そうとしたのをノシェがちょっと手に触れて止めた。

そして、穏やかな笑みを浮かべて尋ねる。


「失礼しました。

 よろしければ、少し中を見学させていただきたいのですが、よろしいでしょうか?

 危険な場所には近寄らないようにしますので。」


ノシェの丁寧な態度に、その男性は少し気が緩んだようになったけれど、すぐに厳つい顔に戻った。


「いいや、ダメだ。

 言葉の裏を読めないのか?

 ハッキリ言って、アンタらのような余所者にウロチョロされると目障りなんだよ。」


腕を組んで、威嚇するように言う。

それでも、ノシェは態度を崩さずに答えた。


「分かりました。

 それでは、残念ですが近付かないようにします。」

「近付かないんじゃなくて、どっか行ってくれ。

 邪魔だ。」

「・・・分かりました。

 お忙しいところにお相手いただいてありがとうございました。」


そう言うと、ノシェは振り向いてみんなにあっちに行こうと手振りで促した。

3人も残念そうな顔で振り向くと、4人でその場を離れた。

男性はそんな4人を見送ってから、持ち場に戻った。


 ◇ ◇ ◇


4人はダメ元で物揚場の方に向かったけれど、こちらでもやはり同じような対応だった。

諦めて、その場を離れる。


「まあ、じっくりとは見れなかったけど、少しは見れたし、雰囲気も味わえたから、とりあえずオッケーかな?」

「そうね。

 これ以上は無理そうだし、仕方ないわ。」


ノシェが沈んだ空気を払拭するように明るい声で言った。

セリアもそれに同調したけれど、まだ少し残念そう。


実はオティーリエはエマかリアーヌに案内をお願いすれば大丈夫だろうと考えはしたけれど、わざわざ案内してもらうのも悪いと思って、口には出さなかった。

セレスフィアも同じことを考えていて、やはり口に出さなかった。


「それじゃあ、いっそ、町長の家でも見に行ってみる?」

「あ、行きたい。」


悪戯っぽい顔で冗談半分でノシェが言うと、即座にオティーリエが賛成した。

それに、ノシェが逆にちょっとびっくりしてしまう。


「え、行きたいの?」

「うん。

 漁協会館が警察に押さえられてるくらいだから、町長のお屋敷はどうなってるのかなって気になって。」

「後がどうなっているのか確認するのもいいかもしれませんね。」


オティーリエが答えると、セレスフィアも同意した。

2人が賛成なら、もう決まったようなもの。


「まあ、確かに気になるしね。」

「じゃあ、町長の屋敷に行こうか。」


セリアとノシェも賛成して、4人はマクシムの屋敷へと向かった。


 ◇ ◇ ◇


移動中、すれ違った街の人々の反応はマチマチだった。

相変わらず胡散臭そうに見て来る人もいるけれど、半分くらいは好意的で笑みを向けられたり、お辞儀されたりだった。

おそらく、ロハンが街の人々にマクシムのことを話して、その話の流れで4人のことを伝えたのだろう。

こんな小さなことからも、3人が頑張っていることが窺えた。


 ◇ ◇ ◇


マクシムの屋敷も周囲を非常線が張られ、入口に警官が立っていた。

4人は顔を見合わせた後、オティーリエに視線が集まった。

漁協会館でもオティーリエが声をかけたことだし、今回も、ということ。

オティーリエとしてもそのつもりだったので、オティーリエが一歩前に出て、警官に話しかけた。


「こんにちは。

 何かあったのですか?」

「ああ、君達が署長の言っていた子達だね?

 ありがとう。

 おかげで町長を捕まえることが出来たよ。」


その警官は友好的な態度だった。

にこやかに笑みを浮かべている。


「そうだったのですね。

 それはよかったです。

 でも、そもそも証拠を見つけたのはリアーヌさんですので、リアーヌさんのお手柄ですよ。」


オティーリエがそう言うと、警官はにっこり笑った。


「ああ、それも聞いているよ。

 リアーヌも大したもんだね。」

「はい。

 でも、もう町長を確保したのですか?

 電撃作戦だったのですね。」

「ああ、そうなんだ。

 夕飯時に署長から直々に緊急招集がかかってね。

 そんな時間なのに、この街の巡査は全員出動だよ。

 まあ、おかげで一人も逃がさずに確保出来たけどね。」


警官は少し苦笑いで言った。

苦笑い、と言っても嬉しい苦笑。


「じゃあ、町長の私警団や、私警団上がりの方々も確保出来たのですか?」

「ああ。

 正直、署長がここまで出来る人だとは思ってなかったから、ちょっと意外だったけどね。

 見直したよ。」

「でしたら、署長は名誉挽回出来たのですね。

 それもよかったです。」

「君達のおかげだよ。

 ありがとう。」


警官は最後、4人全員に向かってお礼を言った。


 ◇ ◇ ◇


マクシムの屋敷の前を離れた4人は、とりあえずカフェ・デュ・パリエに向かっていた。

まだまだ午前も半ばな時間だったけれど、もしお店を開けているなら、すでに開店している時間。

昨日のリアーヌの様子だと開店してるだろうな、と4人で話しながら向かうと、やはり開店していた。


4人がカフェの扉をくぐると、カウンターからエマが出て来て出迎えた。


「お嬢様方、いらっしゃいませ。

 昨日はどうもありがとうございました。」


落ち着いた様子で、笑顔で対応してくれる。


「いえ、こちらこそ、色々とありがとうございました。

 リアーヌさんのご様子はどうですか?」


出迎えてくれたエマに、セレスフィアが答える。


「おかげさまで元気いっぱいです。

 昨日の今日で少々心配ではありましたけれど、本人が行くと言って聞かないので、今は学校に行ってます。」


ちょっと苦笑しながらエマが答えた。


「それをお聞きして安心しました。

 今日はお手伝いには来られないのですか?」

「今日はお手伝いの予定はありません。

 でも、皆様がいらしたと知ったら残念がりそうです。」


と、エマはそこまで言ってからハッと気が付いた。


「そうだ、いけない。

 お客様を立たせたままお話するなんて。

 ご覧の通り、今は客が誰もいませんので、どうぞご遠慮なく、お好きな所にお座り下さい。」


そう言って、エマは店内を手で示した。

エマの言う通り、店内にはエマ以外、誰もいない。

4人は、最初に来た時と同じ、窓際の席に座った。


 ◇ ◇ ◇


4人はそれぞれケーキセットを注文した。

エマが注文の品を持って来ると、誰もいないからとエマはそのまま4人の会話に混ざる。


エマの話によると、ロハンは、まずすぐに声をかけられる漁師仲間を集めて、会館の大会議室にある荷物の差し押さえと、街外れの倉庫の監禁犯の確保を行ったらしい。

マクシムと他の私警団員はピエールが警官を動員して確保。

とりあえず確保するだけでいい会館の荷物と監禁犯は漁師に任せて、本命かつ抵抗が予想されるマクシムと私警団の確保を警察で行うようにしたのだそうだ。

その後、レチアからも州警察がやってきてポール・セリジュアルの警察に合流し・・・と言うより、ポール・セリジュアルの捜査権を奪って州警察主導で捜査が始まり、ポール・セリジュアルの警察はその補佐を行っているらしい。

漁師達はこの時点で捜査からは手を引いて、普段の生活に戻っている。

ただ、すでに捕まっているので今後はないと思われるが、今後はマクシムや私警団からの指令が来ても町民が一致団結して対抗することで意見をまとめたとのことだった。

当然ながら、その立役者はロハン。


エマは、そんなロハンが誇らしいと惚気てから、4人のテーブルからカウンターに戻って行った。

順調に町長の案件は解決に向かっているようで、ほっと一安心の4人でした。

観光のつもりが、なかなかそこまで辿り着けない一行ではありましたが。


申し訳ございません、昨日、19時ころに投稿と書いていたのですが、操作を誤って早い時間に投稿してしまいました。

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