44 ホークの語り
「ウィーネ、レイさんが任されそうな一カ所ってこのホテルか?」
ホークの隣にはウィーネと、エマとリアが一緒に隠れていた。
「ええ。そうよね?エマ、リア?」
「さっき聞いた話しだから間違いないわ」
「リアも聞いたし、ジャックさんが傍受したから大丈夫。もちろん、ジャックさんは少し姿を消すらしいけど」
エマとリアの返答はホークには都合が良かったが、リックの指示もあったから間違いがない。
そのホテルは5階建てのホテル。奴が入っていったのは間違いないが、どうやって入るかだ。このホテルは帝国でも屈指の高級ホテル・・・だが、金次第で犯罪者でも入れる曰く付きのホテル。襲撃をするにしても4人では無理があるから、ウィリーを待っているのだ。
そんな中、背後からウィリーが近付いてきた。
「待たせたな」
そんなウィリーの手には紙袋が握られていた。
「すまねぇな。レイに言われても、オレの隊には女が居なくてよ。だから、ウィーネ達はこのドレスに着替えてくれ」
ウィーネ達は紙袋からドレスを受け取り物陰に持っていった。
「ウィリーさん、コレがドレスコードってやつが必要なホテルとは思えないが、犯罪者の巣窟なんだろ?」
「らしいな。上の許可を取る代わり、証拠を掴めって言われたよ」
「それで、一気に殴り込む事になったんだろ?」
「レイの親父んの口添えつきさ。グレン閣下のお墨付きでな。ホーク、オレの隊は気にしなくていいから、上手いことやれよ。ウィーネ達はオレが中に連れて行くから。その後はこのホテルを潰してやるよ」
ウィリーはスーツ姿が余り似合っていないが、迷彩服しか見ていないからだろう。
「じゃあ、オレッチは先に潜り込んで職員のフリをしているから。後は任せましたよ」
そして、ウィリーの手配してくれた服で潜入をした。
だが、帝国の高級ホテルに入るのは初めてで勝手が分からない。でも、ウィリーの部下に付いていくだけだ。彼は潜入も馴れているらしい。
「支配人、この者が町の女を連れてくるので、お話しを聞いて下さい」
皆がグル。だが、それはグレン閣下の指示から可能になった。でもコレに関しては、バレるなとの指示が下りていた。だから、レイにもこの事はまだ教えていない。ホークもリックがここまで動いているとは思っていなかった。
そして潜入が始まった。
ホークは地下の部屋・・・危険な客専用の部屋に通された。
「ウォーカー中将、本日は「シャルル・ホテル」にお越し頂きありがとうございます」
奴は一人・・・ではなく、弱った女が一人隠れる様にシーツに隠れていた。コレは・・・ラムダ?
「早く、女を連れて来い!」
「はい、直ちに」
ホークは言って、すぐにウィリーが通したウィーネ達を連れて行く。
そして、ドアの前で話をする。
「いいか?ラムダが居たから気を付けろ。奴は女を喰って魔力を回復するから近づくな。上手く資料か手帳を奪えよ」
ウィーネ達は赤や紫の派手で扇情的なドレスを着ている。その手の仕事の女に見えるのはドレスのせいか?
いや、ウィーネに関しては娼館に売られたから、先輩に指導を受けていたのをホークは知っている。まあ、客を取る前にリックとホークで連れ出したが。
「エマは余り化粧をしないけど大丈夫?」
「リアもそうなの。なんかドキドキしてきた」
「商売すんなら丁度いいだろうよ。それより、行くぞ」
ドアを開け、特別ルームに入っていった。
「おお!中々の上玉じゃないか!」
ウォーカーは言ってシーツの中の女にも聞こえる様に言って続ける。
「先に抱いていいか?」
根っからの女好きって所か?と、皆は思ったが・・・。
「お前も見ていろ」
見られながらするのが好きなようだ。
「さあ、コッチに来い!」
言って、三人を引き寄せるが、ウィーネはポケットの中から新品の下着をウォーカーの頭に被せた。自分のでない物、なのに脱いだと勘違いしたのか大喜びだ。
「慌てないで、旦那様」
ウィーネは馴れた口調で言うがウォーカーはそれでも興奮状態だ。
「いい女だ」
ウィーネを気に入った様子のウォーカーに隠れてエマとリアが体中を探り・・・。
「皆、可愛がってやるぞ!」
刹那、リアが何かを見つけた!
「お前達も脱げ!」
興奮状態で気づいていないうちに手帳をポケットに仕舞った。
そして、エマにリアが合図を出すと!
「オッサン、調子に乗るなよ!」
言って、エマがウォーカーの股間を蹴り上げた!
「ぐお!!」
更にウィーネは彼を引っぱたいた!
「早く逃げるぞ!」
ホーク達は外に出て、リアが炎の術を放った。
コレで時間稼ぎが出来る!
「やったぜ!」
ホーク達は手帳を持って逃げた・・。