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37 ポケットの中のコイン

 二日後・・・今、私達は電車に乗っていた。

「ジャック、無線が入ったら教えてくれ」

「昨日ベルが鳴りましたが、知らない番号でした。その後、誤電とのことで言いませんでしたが、どうしますか?」

「場所は?」

「メモリー・ストーンにはビーング領内でしたが、その番号は近衛通信部隊から連絡がありました。どうしますか?」

 メモを受け取り見ると・・・。なる程。彼女か。

「何とか交換手に近衛通信部隊を使わずに連絡が取りたいな」

「発車まで二十分。駅のソコに公衆電話があります。ですが、バークの話しでは、いま敵の警戒でレイラさんが張っています」

「私を張っているんだろ?エマ、リア、ハジメ様に下着を見たいと言わせられないか?」

「それは、難しいですね」

「姉ちゃん、レイラさんの下着がハジメ様が見たいって言わせればいいんじゃない?」

「つまり、男の気分が上がったから見せてって言って貰うのね」

「違うよ。下着を試着して欲しいって言うの」

「いいわね。レイ様少し待っていて下さい。その隙に十分なら時間が取れると思うので」

 私達は電話の見える窓を探してレイラを監視していた・・・エマが来て、何かを話すと。彼女は嬉しそうに電車の中に入ってきたではないか。

 上手くいったな。

「参謀、行きましょう」

 私とジャックはすぐに電車を降りた。

 公衆電話に着くと小銭を入れ・・・相手が出た。

「こちら「ラック」だよ」

 ん?この声は女将さんか?

「フレイザーだ。女将さんか?」

「おやっ、元気そうだね。この間は助かったよ」

「用件は?」

「グレンって男から頼まれたんだが、ジャックって男は居るんだろ?代わっておくれよ」

「ジャック、代われ。私の知り合いだが時間は使うな」

 ジャックと代わると周りを警戒し、バークを見つけた。バークも気付いて寄って来る。

「ボス、ノエルの姿がないです」

「大丈夫だ。交換手も通信部隊も関係無いアンダーグラウンドの番号を使っているからな」

「三十年前くらいまで使っていたやつですかい?まだ、地下は動いていますが近衛隊が動きますぜ」

「分かっている。それよりノエルを探せ。セリカとウィーネがキール様を抑えている今しかないんだ」

「参謀、こちらは分かりました」

 公衆電話の受話器を渡してくるジャックは嬉しそうな顔をしていたではないか!

「何があった?」

「二十分、時間を下さい。特別コードを作りますから」

 言って、走って行ってしまった。

 私は女将さんに聞いてみる事にした。

「女将さん、何があった?」

「通信機の秘密だよ。ジャックさんなら出来るってグレンって男が言っていたよ」

「ああ。我が隊きってのメカニックだからな」

「エマとリアに落ちついたら電話を寄越すように言っておいておくれ」

「ああ。女将さん、今度呑みに行くよ」

「無事を祈っているよ。頑張りな」

 そこで、受話器を置いた所で・・・誰かが目の前に・・・バークの首にナイフを押し付けていたノエルが居た!?

 落ち着け、冷静に対処しろ!?

「誰と話しをしていたの?」

「・・・そうですね」

 私は眼鏡を掛け直す。

「バークがこの間抱いた女に、私が代わりに別れの電話をしていたんですよ」

「そうなの?」

 ノエルのナイフに力が籠もる。だがバークは笑った。

「良い尻の女でしたよ」

 せせら笑うバークの口元が引きつっていた。

「レイ君、嘘はダメよ」

「嘘ではありません。バーク好みの良い女でしたよ」

「俺も一時間程楽しませて貰いました」

 ナイフを下ろし溜め息をついた。そして、私に近付いてきた。

「状況を考えましょうね」

「ええ、そうでした。バーク、ダメだぞ」

「すいやせん、ボス」

 刹那、ノエルは私の大事な物にナイフが触れた。・・・危険だな。

「女を買うのは恋人とは言わないわよ。溜まっているなら後で女の子を紹介してあげるから事件を解決しなさい」

「ノエルさんは焦りがありませんね?」

 ノエルはナイフを仕舞って笑う。

「気にしているわよ。それより、約束が違うわよ!」

 ノエルは前に居るが、私は後ろから首にナイフを押し付けられていた。この胸をグイグイ押し付けるのは、レイラしかいない。

「それで、約束とは?」

「ハジメ様がノエルにもキール様にも何もしないのよ」

 ノエルの口調がキツい。ノエルの脅しなのか、何時でも殺せる距離に立っている。

「でも、セリカとは仲良くしているの。何でノエル達を抜いてセリカなの?」

「そう言われても、私に何が出来ると?それより、事件の解決なのでは?」

「どうとでもなるわよ」

 呆れ口調のノエルは本音としか思えないが、キール様も噛んでいるのか?

 いや、キール様が本気を出していないには何か理由があるのか?

 私は何か勘違いをしているのか?

「その辺にしておきなよノエルの姉ちゃんよー」

 D,Jの声・・・レイラのナイフが離れた。後ろには彼が立っていた。

「そろそろ出発だろ?早く乗ろうぜ」

 私達はそこで電車に乗った。

 かなり危険な状態だったが、何かを私達は勘違いをしているのか?

 キール様とノエル達は余裕だったが、やっぱり・・・何かあるな。

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女将さんが出て来た!ノエルは何を考えているんだろう?
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