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魔天  作者: 雨宮 瞬壱
7/11

【魔天(第7号)】

『魔天』(第七号)


★連載1〈義経の首塚を追え〉第7回

たどり着いた先は、山頂。森はいつの間にか切れており、肩ほ

どまである長く生い茂った雑草はそれを包み隠していた。そこ

には、イギリスのストーンヘンジを思わせる石柱が天に向かっ

て聳え立っていた。御神体…そう。石柱は神の宿る物ではない

かと思った瞬間、記者は一瞬眩暈を感じた。これは、義経の時

代の物なのだろうか、と… 石柱が御神体なら、遥かな昔から

この地に在り、周囲の物を、者を、護ってきたのではないのか?

だとすると、麓で起きた数々の現象は何なのだろう。少なくと

も、悪意しか感じない。何より、御神体…いや、石柱に纏わり

つく黒いヒトガタを見ても、善なる雰囲気は無い。だとすれば、

この石柱は一体何なのだろうか。記者は、恐る恐る、石柱へと

近付いていく。好奇心が勝っているとは言え、恐怖そのものを

克服しているわけではない。自分の中で好奇心と恐怖心が危な

い綱渡りを続けている事を感じていた。そして、石柱に触れた

瞬間、反射的に手を引いてしまった。熱いのだ、石柱が… 

季節は未だ夏に遠い時期だ。熱射のアスファルトの様に石柱が

熱を持っているのだ。一体、この石柱は何なのだろう。日本は

火山列島だ。この石柱の下には溶岩溜りでもあるというのか?

いやいや、それでは想像の翼を羽ばたかせ過ぎと言うものだ。

この山が御神火を引き起こしそうな山ではない事は幼稚園児で

も分る事だ。ここは所詮裏山でしかないのだ。

 気を取り直し、調査を再開すると、石柱に女性の顔が浮かび

上がっているのを発見してしまったのだ。

瞬間黒いヒトガタは、気付いた記者の隣に立っていた。

『い…ザ…』

 話し掛けてきた言葉〈イザ〉が何を意味するのかに気付いた

時、止まった時が動き出した。(つづく)


   記者 御名神



★連載2〈南極の氷塊にうもれたミイラの謎〉第7回

前回、彼は意志を伝えてこないと思っていたが、それは間違い

であった。何故なら、彼はその身をさらけ出しながら全てを語

っていたのだ。彼は、自分の事を教えるように一枚一枚ヴェー

ルを脱いでいった。

彼そのものの形である水晶球は、いわば棺だった…

水晶球それ自体の物質はどこにでもある物であった。そして、

その身に宿すものもどこにでもいる者であった事に後で気付く。

それは、三層から成り、外層は万物にそれを存在せしめている

エネルギーである〈エーテル〉の結晶体で構成され、その内部

には〈アストラル〉と呼ばれる思考、感情、欲望を生み出す層

があった。そして更にその深層には〈イデアル〉と呼ばれる意

志そのものの層があり、エーテルとアストラルを保持していた。

これは後の研究で、生物全てが内在している物である事が分っ

た。

しかし、これらの三層により、一体何が覆い隠されているのか…

 研究の過程で、我々三人はある印象を持った。

『水晶球はまるでモーゼの十戒を収めた聖櫃のようである』

我々はその印象を元に、水晶球に〈Ark:アーク〉と名づけたの

だった。(つづく)


   記者 永瀬



★連載3〈神代オカルト調査ファイル〉第1回

天岩戸アマノイワヤト

 日本神話、古事記に登場した洞窟である。

 暇乞いに高天ヶ原に現れた素差戔鳴男命(スサノオノミコト)

に対して、武装して対峙した天照大御神(アマテラスオオミカミ

)は、宇毛比(ウケイ)という物事の正否を決める神事を執り行い、

彼に自分への反逆心が無い事を知ると、スサノオに高天ヶ原に

滞在する事を許した。

 だが、宇毛比の結果に慢心と増長を見せたスサノオは高天ヶ

原を荒らしまくった。天照はそれでも弟を許していたが、それ

を覆す決定的な事件を起こす。スサノオが機織小屋に生皮を剥

いだ馬を放り込んだ際、機織女が死んでしまったのだ。

 それに激怒した天照は天岩戸に篭ってしまう。

 そのため、世界は闇に包まれてしまったのだ。

 そこで高天ヶ原の神々は思兼神(オモイカネ)に一計を案じても

らう。

 天岩戸の前で神の使いである鳥を集めて鳴かせ、八咫鏡(ヤタ

ノカガミ)や八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)を御幣や祝詞を奉

らせたのである。

 そして日本最初のストリッパー、天宇受売命(アメノウズメノ

ミコト)が半裸で舞を舞うと、不審に思った天照が岩戸をわずか

に開けて様子を窺った所を機に、天手力男命(アメノタヂカラオ

ノミコト)が天照を引きずり出したのだった。

 これらの事を考えると、天照大神は男神ではないかと思ってし

まう。しかし、宇毛比は女性が行う神事であった事からも、多く

の文献も女神の様に描かれている。やはり女神なのだろうな…


   記者 新堂



★信者募集!

カルトNo006 地球教(チダマキョウ)

代表:星 英雄さん

活動地区:地球全土

地球万歳!

 地球は我が母、地球を我が手に!という謳い文句を聞いたこ

とがある人、銀河英雄伝説Loveな人達、お手紙下さい。

 あ、ヤン=ウェンリーを暗殺した集団とは無関係ですのでご

心配なく。


 最近、色々なファンが多いみたいですね。ヤンという方は知

りませんが、かなり怪しげな集団も多いみたい。皆さん、気を

つけて下さいね。


   記者:藤守


『参考文献』

+事典系+

魔導具事典 (Truth In Fantasy事典シリーズ)山北 篤


+伝説系+

「日本の神様」がよくわかる本 八百万神の起源・性格からご利益までを完全ガイド PHP文庫 (PHP文庫)戸部 民夫



(つづく)

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