【魔天(第5号)】
『魔天』(第五号)
★連載1〈義経の首塚を追え〉第5回
東北という土地柄、義経の首塚と言う事で調査を行ってきた。
前回まで、様々な情報が寄せられ、現場の確認も行った。やは
り、神代病院の裏山には何かがある、或いはいる、と言った方
が良いかも知れない。結界の内に護られた……、いや封じられ
た存在がいるのかもしれない。思うに、それが義経であれ、そ
れ以外の何かであれ、必ずしも友好的な者であるとは言えない
だろう。現にこの病院では変化が現れてしまった。新たな情報
によれば、混沌を司る者に憑かれたナース、破壊を司る者に憑
かれたナース、破滅を司る者に憑かれたナース……と、崩壊を
背負った三人が院長の周囲に存在している。以前の霊視によれ
ば、仏の守護を受けていた院長だが、今では崩壊に感化されて
いる様だ。もうこの病院自体に、裏山の存在から多大な影響を
受けている。更に新しい情報では、お稲荷様が不在だった時期
と現在では霊の通り道が動いたとの話しもある。悪い話ししか
聞こえてこない。もう、全ての元凶たる裏山そのものを本格的
に調査するしかない。(つづく)
記者 御名神
★連載2〈南極の氷塊にうもれたミイラの謎〉第5回
もう、我々は引き返せない所まできてしまったのだろう。
我々は……いや、私は手に入れてしまったのだ。神の意志を内
在するモノを……
彼は、私に様々な事を語りかける。世界不和、同時多発テロ、
イラク戦争、SARS、北朝鮮の恫喝……過去に起こった事、現在
継続している事、様々な人間による害悪を伝えてくる。それを
聞くうち、我々ヒトという種は何と罪多き存在なのか、と思い
知る。これを解決する手立ては無いのかと不安になる。しかし、
彼は優しく私に語り掛ける。
「ヒトは選ばれなくてはならない」
と…。確かにその通りだ。今、世界のトップにいる者達は、
周囲がさせたいと願ったというより、自分がしたいと強く望ん
だ者が立っている。世界の意志は、世界の全ての者の意志では
なく、トップの者が語るヴィジョンであり、個人の意志なのだ。
それではいけない。
だが、所詮ヒトの考えなどでは世界を平和に保つ事など出来
はしないのだ。
神の意志を見た私は、彼の望みである、〈神のおわす世界の
再臨〉を果たすべく、研究を始めようと思う。(つづく)
記者 永瀬
★信者募集!
カルトNo004 赤竜団
代表:マリア=F=サタナエルさん
活動地区:神代市
私達は、数々の黙示録を研究し、終末をどう生き残るかを研
究しています。また魔道書の研究、解析、実践を行っているい
わゆる黒魔術集団です。
現在、科学とオカルトの融合、サイコ・テクノロジー=サイ
テックの研究を開始しました。
興味のある方は連絡下さい。
……どうやら、お友達…いえいえ、信者を本格的にさがして
いらっしゃるのですね。サイテック……確かに進んだ科学は魔
法に見えますよね、テレビのリモコンとか……興味大です。
記者:藤守
(つづく)