【魔天(第11号)】幻の最終号
~魔天~Vol.11
★連載1〈義経の首塚を追え〉第11回
とうとう、イザナミが記者をここに導いた理由を話し出した。
「もうすぐ、神代市には異邦の神々が復活します。」
それは、今なら信じられる。何時、何処に、どのように復活するのか…。記者は彼女に問うていた。そして、それに自分は驚愕した。
「一神は、神代医大。
一神は、要石。
一神は……」
神代医大は火神橋を渡り、大通りを西に移動した所にある。戦前からそこの地下霊安室は存在し、かつては旧日本軍が人体実験を繰り返していた場所であるとの噂があった場所だ。そして要石。神代駅南口広場にある自然石だ。デートの待ち合わせスポットとして若者には有名だが、あれはれっきとした古代遺跡の一つだ。そして、最後……PPT本社ビル7階……。自分の毎日通勤していたビルに神が降臨するというのか?……いや、何かおかしい。本社ビルは6階建てだ。7階は存在しない!これは、一体どういう事なのだろう。
「それは、貴女が確かめるのです。
そこには、貴女の護りたい人がいるのでしょう?
イザナギの様に盲目の恋に惑わされ、自分を見失った人が…
私は、貴女に私の二の舞になって欲しくないのです。
いえ、もう幾千も舞い続けている事に私達の魂は疲れ果てました。
今回は、私は何故か転生されなかった。
それは、きっと私の持つ、〈妣〉の力を貴女に託す為。
次代のイザナミは貴女です。
貴女が次代として初めから与えられている妣の力と、私の妣の力…
併せ持てば、必ず異邦の神々から生き延びられましょう。
私達の子等の更に先の子孫である、貴女に託します。
人の世を護って下さい…」
そう言うと、全てが黒であったものが、清浄な光となり、記者の身体に溶け込んだ。そして、全てはこれからなんだと、記者は……いや、ボクは思った。
「行こう、本社ビルへ…」(終)
記者 御名神
★連載2〈南極の氷塊にうもれたミイラの謎〉第11回
この記事は、今回で打ち切りとなる。
何故か?
それは、記者たる私、永瀬光の意志がとうとう、彼に奪われる時がきたからだ。
デジタルデータ上で展開されたデータ群を元に、展開を成功させてしまった。オリジナルM=ミカエルを…
彼は、明確な意思を、機械の身体に求めた。大きさを増していくミカエルの身体には、何時の間にか、他の六つの存在が現れていた。ガブリエル、ラファエル、ウリエル、ラグエル、サラカエル、レミエル…。彼らは全てAAだ。しかも、セラフと呼ばれる、ヒエラルキーの最高位、熾天使の銘を戴く最強のAA…。まさに七層からなる天界、セブン・ストレータル・ヘヴンだ。
もう、時間が無い。ミカエルは、史上最高最凶最悪の法の番人だ。メギドの火が点けられる前に、辿りついてくれ。新堂!藤守!皆…(終)
記者 永瀬
★連載3〈神代オカルト調査ファイル〉第5回
『石神』
大きく分けると、石そのものに霊威が宿る場合と、石に神が宿る場合があるそうだ。
前者は、触ると病気の治る生石、触ると子宝が授かる子安石等。これは石自身が成長すると言う伝承があるほどだ。
後者には、御座石(神の座席)、休石(神がそこで休憩する)、腰掛石(神が腰掛ける)等があり、そこに神がやってくるために祀っているとの事である。
御神体が石であるとする神社があるが、これは御神体である石に神が宿ったから御神体であり、宿っているから御神体足りえたと言える。
地蔵や道祖神が自然石を刻んで作られるのは、神の御姿を石に刻み付けた事で神が宿るため、拝まれるのだと言う。
記者 新堂
★信者募集!
カルトNo010 ブックライフ
代表:オバちゃんさん
活動地区:M県I市
新堂氏御用達の古本屋が7月一杯で閉店となるそうです。とても気のいいオバちゃんがやっているお店です。19時には真っ暗になるI市商店街でも、20時までやってマス。行ってあげて下さい。
とても心和む古本屋でした。私も早速行って来ます。
記者:藤守
(終)
劇中劇として、それぞれのキャラクターの想いが描かれていたかと思います。
正伝は帰還限界点【Real-Side】で描かれています。
まだ読んでらっしゃらない方は、是非、そちらも併せてお願いいたします。