【魔天(創刊号)】
『魔天』(創刊号)
特集!〈義経の首塚を追え〉
2003年5月某日。
記者御名神は、友人から「神代市には〈源義経の首塚〉があ
る」との情報を得た。
早速情報の出所であるI氏にインタビューを試みた。
I氏によれば、首塚は神代病院付近に存在するとのことである。
神代市には、義経は東北の某県にて斬首され、その首を京へ
と運ぼうとした。しかし、腐敗が激しく、神代市付近の山中に
塚を作り、埋めてしまったという伝説があるそうなのだ。
今後、伝説を含め調査報告をしていく。
記者:御名神
特集2〈南極の氷塊に埋もれたミイラの謎〉
近年、地球温暖化により、南極の氷が溶け出している。
これは特に目新しい話題ではない。しかし、魔天では南極に
致命的な亀裂が入りかけているとの情報をキャッチした。早速、
本誌記者、永瀬、藤守、新堂らは、南極調査団の一行に取材同
行する事となった。
旅自体に特に問題も無く、問題のポイントへとたどり着いた
一行は、そこで唖然としてしまった。
なんと、既に大きな黒い亀裂が氷塊に口を開けていたのだ。
吸い込まれそうな恐怖を皆一様に感じていた。だが、我々は
調査団。本分を取り戻し、また興味と関心から、恐怖を振り払
い、調査を開始したのだった。
2006年某日 記者:永瀬
★特集3〈天使とは何者ぞ?〉
近年、天使の名がよくTVや雑誌に出て来ている。
特に有名なのが、〈大天使ミカエル〉であろう。
神の側につく事が許された、御前天使のひとりである。また、
天使長、四大天使、終末を告げる七天使とも言われている。
某集団の代表がミカエルの名を名乗ったのは、自らの終末思
想と七天使の伝説を安直に繋ぎ合わせたものと言える。
とはいえ、ミカエルにはこの様な伝説もある。
彼は、大天使サタン、魔王ルシファーと双子の兄弟である。
大天使であった頃、サタン、ルシファーは最も神に近い存在
と言われた。そんな者でさえ堕ちていくのだから、件の集団の
底がみえそうだ。
記者:藤守
特集!究極の不老不死。
「私には野望があるんです」東北大未来科学技術共同研究セン
ターの川島隆太教授はこう切り出した。「死にたくない。自分
の脳をコンピューターに保存して人類の最期を見たい」
脳は電気信号のやり取りで活動する。脳の解明が進めば、記
憶をハードディスクに保存して電気回路で思考。カメラやマイ
クで「見る」「聞く」こともできる「究極の不老不死」だ。
川島教授は脳の働きを映像化する最先端の手法で研究を進め
ている。脳の血流量を測定して映像で示す機械で、どういう活
動をしているとき、脳のどの部分が活性化しているのか分析し
ていく。
中2の時の失恋が、脳に興味を持ったきっかけだった。「親
や友人と違う、『理解できない他人』を初めて感じたんです。
自分や他人とは何だろうと考え、人格を作っているだろうと思
われる脳にぶちあたった」
(中略)
脳の解明を進める川島教授だが、脳移植には反対だ。「技術
的には近いうちに可能になるでしょう。しかし体は違う人の遺
伝子。『その人はいったい誰だ』という問題は解決されないの
です」。教授の研究の根底には「人間とは何か」「自我とは何
か」というテーマが流れている。「人間はどこから生まれ、ど
こに行くのか。人類の最期を見届ければ答えを見つけられる気
がするんです」
「脳の解明はまだ10%以下。だからこそ面白い。税金から研究
費を出してもらい、あそばせてもらっている」と川島教授。研
究が思い通りにならず、つらい時はないか?との問いには「自
分の研究を楽しめない人は研究者失格です」と言い切った。
朝日新聞2003年1月3日より引用
(つづく)