1.悟ってしまいました
私はスパージアン公爵家長女、ペルシア・スパージアン。突然ですが、十二歳にして自分の運命を悟ってしまいました。
自分が乙女ゲームの悪役令嬢であることを。近いうちにこの国の第一王子の婚約者となり、いつか現れるヒロインにその座を颯爽と奪われてしまう。そして、第一王子と二人の兄が攻略対象その1、その2、その3であることを。
それが頭をよぎったのは、なんでもない普通の日に窓の外をぼーっと眺めていた時。ちょうどその時になんとなく理解してしまった。文字通り、悟ったのだ。
乙女ゲームだとか攻略対象なんて単語は、知らないはずなのに。バカバカしい、デタラメだと割り切ればいいだけなのに、何故かそれができなかった。そんな自分に確信した。これが本当に私の運命であるということを。
「…大変なことになったわね」
いや、正確には大変なことになるのだ。悪役令嬢が悪役令嬢と呼ばれるのは、それだけの理由がある。私の場合は生まれついた頃から根付いた難儀な癖があるのだ。
「お嬢様、お着替えをお持ち致しました」
ドアを叩く音がしたと思えばひとりの侍女が入ってきて、着替えを手伝う。その途中で、彼女は感心するように言った。
「今日もお綺麗です」
「…無駄口を叩いていないで、さっさとしなさい」
「し、失礼しました!」
そう、難儀な癖とはこれの事だ。ペルシアは生粋のツンデレなのだ。しかもツンが強すぎるあまり、勘違いされることが非常に多い。
その結果、周囲の人間とすれ違いまくって悪役令嬢のレッテルを貼られる。そして最後はヒロインに魅了された攻略対象を始めとした人々に断罪されてしまうのだ。その内容はヒロインが進むシナリオにもよるが、投獄とか、国外追放とか、最悪の場合は処刑まで有り得る。
「処刑だけは絶対に嫌…!」
一人になった部屋で立ち上がって叫んだ。鏡にうつる自分を見れば、そこにはとても綺麗な女の子がいた。
「ひとまず、見た目は問題なしね。まずやるべき事は性格矯正かしら。」
ペルシア・スパージアン公爵令嬢の処刑。ヒロインにとっては最高のハッピーエンド、けれど私には最悪のバッドエンド。
ヒロインには申し訳ないけれど、それだけは回避したい。そのために、ヒロインに対するイジメや暴言などは絶対にやらない。けれどそれだけでは…
「ゲームの強制力が怖いわね。私がやっていないことも、ヒロインがやったと言えば…それは事実のように扱われてしまうかもしれない」
だからこそ確実に悪役令嬢の運命を避けることができるなにかが欲しい。どんなものでもいい、名案が思い浮かばないかと必死に思考を巡らせる。
「…わかったわ!ヒロインよりも先に攻略対象と仲良くなってしまえば、いざと言う時に私の言い分も少しは信じてもらえるかもしれない。そうすれば、悪役令嬢とまでは言われないかもしれないわ!」
私にとっては幸いなことに、攻略対象と関わるのは難しいことでは無い。なぜなら攻略対象の三分の二がこの家で共に暮らしているお兄様達なのだから。
(まず仲良くなれそうなのは、二人の兄のうち、性格も朗らかで優しそうな長男のアルヴァお兄様ね…!)
目指すは反対側のアルヴァ様の執務室。私は悪役令嬢にならないための第一作戦を決行するため、自室の重い扉を勢いよく開けて外に飛び出した。
ペルシアって、ほぼヘ○シアじゃん。最近ト○ホのマークが脳裏に焼き付いて離れません。ダイエット中だからかな…。
ここまで読んでくださりありがとうございます!新連載始めました。大体10話くらいを想定しています。お付き合いいただけたら嬉しいです✩.*˚
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