プロローグ 意思を持ちし魔物
新作です。
そこには一匹のデュラハンが居た。彼は意思もなくただただ人間を狩り続けていた…
「ひぃ!い!嫌だああ!死にたくな…ギャアアアアアアア!!!」
「…………………」
彼はその日不思議な人間と出会った。
「ハッハッハ!デュラハンがすぐ見つかって助かったぞい!我が生涯をかけた研究!それは魔族に進化する前のモンスターに意思を与えることが出来るというもの!さあデュラハン!私を倒せえええ!」
もちろん彼はその言葉の意味など分からないが、いつも通り人間を狩ることにした。
「ックックック…これでお主も魔王の束縛から…解放されるで…あろ……」
その瞬間デュラハンには意思が芽生えた。
…人間の…魂…狩らねば……何の為に?…わからん……私は何だ?…わからん………何も……わからない……私は…何をすれば…私には…何が必要なのだ…………何も…わからない…
「嫌だ!デュラハンが出た!死にたくない!」
…人間…狩らなきゃ…何故?…
「人間…私は…何のために…貴様らを…狩らねばならんのだ?…私は何なのだ?…私は何をすればいいんだ?…私には何が必要なのだ?…教えてくれ…私は何なのだ…教えてくれ…教えてくれ…教えてくれ…教えてくれ…教えてくれ……」
「デュラハンが喋った!嫌だ!こっちに来るな!やめろ!クソが!あっち行け!喋るデュラハン!」
早く…狩りたい…何故?…
「狩りたい…狩りたい…狩りたい…狩りたい…狩りたい…狩りたい…狩りたい…何故?…何のために?…わからない…」
「お、おい!見逃してくれんのか?」
「狩りたい…何故…理由はわからない…狩る必要はあるのか?」
「と、とりあえず逃げる!」
人間が…消えていった…走った?…狩らなきゃいけない?…別にいい……何も…することがない…暇だ…何をしよう…わからない…あの人間はどこに?…追いかけてみる?…
何だこれは?…馬が木の箱と繋がっている?…乗る場所がある…あの人間が置きっ放しにした?…乗ってみる…
「ヒヒーン!ヒヒーン!」
「静かにしろ…走れ!」
「ヒヒ、ヒヒーン!!!」
早い…これに乗ろう…
「はあ…最悪だ!喋るデュラハンから逃げてきたら盗賊に左腕を切られて…ああもうなんなんだよ!」
さっきの人間…狩らねば…別にいい…腕がない…
「大丈夫か?…人間…」
「ひぃ!俺の馬車にデュラハンが乗ってるぅ!?しかも喋るデュラハンが!?」
……狩らねば…別にいい…
「人間…乗るか?…」
次回から2作品同時投稿になるかもしれません。次は恐らく超能力者Yの日常と毒草転生になります。