セロフィート
「 マオ、どうしました?
彼等に安息を与えてください 」
マオ
「 言い方を変えてもする事は “ 人殺し ” だろが! 」
セロフィート
「 彼等が天へ召されなければ、試合は終わりません 」
マオ
「 何でオレに斬らせるんだよ… 」
セロフィート
「 ワタシの杖で斬れますか?
マオは剣士でしょう 」
マオ
「 ………………ねぇ、お姉さん 」
審判実況者
「 あ、はい。
どうされましたか、マオ選手? 」
マオ
「 場外にしたら駄目かな? 」
審判実況者
「 場外…ですか?
場外ですと10カウント過ぎれば負けになりますが… 」
マオ
「 対戦者が死ななくても【 サムシング・グレート 】が勝ち残れるって事で良いの? 」
審判実況者
「 あ、はい。
そうなります。
敗者は別の試合会場にて敗者復活戦に挑戦出来る事になってます 」
マオ
「 そう…なんだ?
敗者復活戦……。
──セロ、敗者復活戦には出場出来ないようにするからさ、場外で許してあげよう 」
セロフィート
「 マオ…… 」
マオ
「 いいだろ?
こんな状態の対戦者達を殺すのは流石に気が引けるよ 」
セロフィート
「 はいはい。
マオの好きにしてください 」
マオ
「 セロ!
有り難な! 」
審判実況者
「 マオ選手、『 敗者復活戦へ出場出来ないようにする 』との事ですが、どうされるおつもりですか? 」
マオ
「 え?
何って──、両腕と両脚を斬り落として、場外にポイするんだけど?
手足が無ければリング場に上がって来れないし、戦えないから敗者復活戦にも出場出来ないと思うんだ。
生きてるんだし、殺しちゃうよりはマシだろ? 」
審判実況者
「 え…えぇと……それだと大会後の生活が大変そう…ですね…… 」
マオ
「 う~~~ん?
出場者の選手達ってさ、殺し殺されるのを覚悟して大会に参戦してるんだろ?
死なずに済むならラッキーじゃん?
大会後の生活迄は知らないよ。
大事な手足を失いたくないなら試合を辞退すればいいだけじゃん。
だろ?
降参する選手の手足迄斬り落としたりしないよ 」
審判実況者
「 ………………そ、そうですか… 」
セロフィート
「 マオ、お喋りが過ぎます。
時間が掛かるなら〈 テフの源みなもと 〉へ変へん換かん── 」
マオ
「 あ、御ご免めん!
直すぐ済すませるから! 」
対たい戦せん者しゃ達たちの命いのちを助たすける事ことになったのが気きに入いらないのか、セロは御ご機き嫌げん斜ななめのようだ。
身み動うごきの取とれない対たい戦せん者しゃ達たちが〈 テ原げん質しつフの源みなもと 〉に変へん換かんされてしまう前まえに手て早ばやく作さ業ぎょうを始はじめる事ことにした。
原げん因いん不ふ明めい── 十じゅっ中ちゅう八はっ九くセロの仕し業わざだと思おもってるけど ──でリング上じょうに這はいつくばって動うごけないでいる対たい戦せん相あい手て達たちの両りょう腕うでと両りょう脚あしを粛しゅく々しゅくと愛あい剣けんで斬きり落おとしたら、両りょう腕うでと両りょう脚あしを炎ひファイア魔ま法ほうマジックで燃もやして消けし炭ずみにした。
これで斬きり落おとした腕うでや脚あしをくっ付つける事ことは出で来きなくなった。
念ねんの為ために義ぎ手しゅや義ぎ足ぞくを付つけれないようにもしとかないとな。
オレは切せつ断だんした切きり口くちに毒どくポイズン魔ま法ほうマジックで化か膿のうさせて義ぎ手しゅや義ぎ足そくを付つけれないようにした。
オレのセロを侮ぶ辱じょくしたんだからこ・れ・ぐ・ら・い・の事ことは大おお目めに見みてほしいもんだ。
手て足あしを失うしなった対たい戦せん相あい手て達たちの頭あたまを掴つかんだら、1人りずつ引ひき摺ずってリング場じょうから離はなれた場ば所しょへポイっと投なげ捨すてる。
這はって来くるのは無ム理リだと思おもうけど、念ねんの為ために出で来きるだけ壁かべ側がわへ投なげたんだ。
マオ
「 よし、コイツで最さい後ごだ! 」
リング上じょうに残のこっていた最さい後ごの1人りを場じょう外がいへポイっと投なげて、オレの作さ業ぎょうは終しゅう了りょうだ!
マオ
「 セロ、終おわったぞ。
お姉ねえさん、場じょう外がいにしたから10カウントだっけ?
してくれる? 」
審判実況者
「 あ、はい…。
規き則そくなので10カウント取とらせていただきます! 」
司し会かい者しゃ(?)のお姉ねえさんはリング場じょうから下おりると、場じょう外がいの地じ面めんに倒たおれている対たい戦せん者しゃ達たちのカウントを取とりに行いった。
マオ
「 セロ!
3人にんもショック死ししてたぞ。
本ほん当とに何なにしたんだよ? 」
セロフィート
「 はて……何なんの事ことです? 」
マオ
「 惚とぼけなくて良いいから!
それよりさ、手て伝つだってくれても良よかったんじゃないか?
1人りで場じょう外がい迄まで運はこぶの大たい変へんだったんだぞ! 」
セロフィート
「 何い時つ運はこんでました?
引ひき摺ずって投なげてるように見みえましたけど? 」
マオ
「 “ 手て伝つだう優やさしさ ” の事ことを言いってんだよ! 」
セロフィート
「 1人で頑がん張ばれましたね、マオ。
凄すごいです♪ 」
マオ
「 思おもい付ついたように褒ほめんな!
態ワザとらしいわ!! 」
審判実況者
「 え~~~、10カウントを取とりました!
【 エクゾネス 】チームは全ぜん員いん戦せん闘とう続ぞっ行こう不ふ可か能のうとさせていただき、勝しょう者しゃは【 サムシング・グレート 】チームとなります!! 」
司し会かい者しゃ(?)のお姉ねえさんが高たか々だかと宣せん言げんすると観かん戦せん客きゃく達たちからブーイングと野ヤ次ジと暴ぼう言げんの嵐あらしが飛とび交かう。
メッチャ怒いかりを買かってるじゃんか!
オレ達たちって勝かったら駄ダ目メだったのかよ??
不ふ安あんに押おし潰つぶされそうな思おもいを胸むねに抱いだきながらセロへ目めを向むけると──、セロは全まったく気きにしてないのか観かん戦せん者きゃく達たちへ笑え顔がおを向むけて手てを振ふっている。
野ヤ次ジ,暴ぼう言げん,ブーイングを気きにしないなんて、流石さすがはセロだな。
審判実況者
「 皆みなさーーーん!!
御ご静せい粛しゅくに!!
物ものを投なげないでくださ~~~~い!!
え~と、では勝しょう者しゃとなられた【 サムシング・グレート 】の御お二ふた人りにインタビューさせていただきたいと思おもいます! 」
司し会かい者しゃ(?)のお姉ねえさんが言いうと「 聞ききたくねぇーぞーー! 」「 引ひっ込こめーー!! 」「 人ひとでなしーー! 」っていう野ヤ次ジが飛とんで来くる。
「 お前まえらだって人にん間げんじゃないだろ! 」って中なか指ゆびを立たてて言いい返かえしてやりたいけど、セロの前まえだから下げ品ひんな事ことはしたくない。
此こ処こは大人おとなの対たい応おうだ。
黙だまって我が慢まんするんだ。
オレもセロを見み習ならって笑え顔がおだ、笑え顔がお……。
くぅぅぅ……顔かおの筋きん肉にくが引ひき吊つりそうだ……。
審判実況者
「 今いま迄までの大たい会かいでスペシャルゲストが勝かつという事ことはなかったので、観かん戦せん客きゃくの皆みなさんも現げん実じつを受うけ入いれられないのか荒あれておられるます。
気きにしないでくださいね 」
マオ
「 スペシャルゲストって勝かった事ことないの? 」
審判実況者
「 そうですね~~。
前ぜん座ざと言いいますか……余よ興きょうと言いいますか……。
【 エクゾネス 】チームは前ぜん回かいの大たい会かいで優ゆう勝しょう候こう補ほに上あがるくらい強つよいチームだったんですよ。
なので……誰だれもスペシャルゲストに負まけるとは思おもっていなくて…… 」
マオ
「 そう…なんだ?
スペシャルゲストってのは、大たい会かいを盛もり上あげる為ためだけにリング上じょうで血ち祭まつりに上あげられる生いけ贄にえだったって訳わけだ?
盛もり上あげるどころかテンションを駄だ々だ下さがりさせちゃったんだな… 」
セロフィート
「 所しょ詮せんは優ゆう勝しょう候こう補ほ者しゃですし、それほど大たいしたチームではなかったのしょう。
弱よわかったですし 」
マオ
「 セロの魔ま法ほうマジックが上うわ手てだったって事ことか 」
セロフィート
「 ワタシは何なにもしてません 」
マオ
「 何い時つ迄まで白シラを切きるつもりだよ… 」
セロフィート
「 今こん回かいは唯ただのラッキーです。
彼かれ等らが転ころんだまま起おき上あがらなかったから勝かてただけです。
其そ処こを忘わすれてはいけません 」
審判実況者
「 ラッキー…ですか?
もしそうなら、相そう当とうな強きょう運うんですね! 」
セロフィート
「 はい♪
ワタシは賭かけ事ごとに負まけ知しらずな強きょう運うんに惠めぐまれてます 」
マオ
「 ははは…… 」
審判実況者
「 有あり難がとう御ご座ざいました!
【 サムシング・グレート 】チームの御お二ふた人りでした!
次つぎの試し合あいは2日か後ごなので、施し設せつで自じ由ゆうに御お過すごしください 」
セロフィート
「 有あり難がとう御ご座ざいます。
施し設せつにカジノはあります? 」
審判実況者
「 あると思おもいますよ 」
セロフィート
「 マオ、聞ききました?
カジノでガッポリしましょう♪ 」
マオ
「 ………………隠かくし財ざい産さんとか裏うら金がね迄まで根ね刮こそぎ搾しぼり取とる気きだろ? 」
セロフィート
「 まさか。
健けん全ぜんな “ お小こ遣づかい稼かぎ ” をするだけです 」
マオ
「 何ど処こ迄がが健けん全ぜんなんだかな…… 」
どうやら次つぎの試し合あいが始はじまるみたいだから、試し合あいの終おわったセロとオレはリング場じょうから下おりた。
セロは試し合あいを見みるつもりはないらしく、試し合あい会かい場じょうから出でて行いくつもりらしい。
オレは試し合あいを見みてみたいんだけどなぁ……。
リング場じょうに飛とび散ちっている血こん痕せきは掃そう除じしないみたいだな。
余よ程ほどの事ことがないとリング上じょうの掃そう除じはしないのかも知しれない。
セロフィート
「 マオ、昼ちゅうラン食しょくチを済すませてからカジノへ行いきましょう 」
マオ
「 真まっ昼ぴる間まからカジノかよ…。
まぁ、良いいけど… 」
オレはセロの左ひだり隣どなりを歩あるきながら試し合あい会かい場じょうを出でた。