木剣を構えたオレに対して百目族の男──ヒラギロは羽織っていた黒マントを脱いだ。
ルールで真剣の使用を禁止されているオレと違ってヒラギロは当然真剣を使う。
ヒラギロの真剣は妖しく光っている。
どうやら真剣に妖力を纏わせているみたいだ。
オレの魔法を纏わせている木剣に対抗する為なのかな?
唯の真剣よりも妖力を纏わせた真剣の方が厄介なのは “ 妖力 ” ってのが何なのか解らないオレにも理解は出来る。
気を抜けない相手である事は先ず、間違いない。
セロを相手にして剣術の訓練をしているオレが、同じ剣士相手と勝負して負けたりなんかした時には、セロから軽蔑されて愛想も尽かれて捨てられるかも知れない!!
そんなのは嫌だ!!
絶対に負けられない!!
オレが木剣を構えるとヒラギロはニヤッと不気味に笑った。
かと思うとヒラギロの姿は消えていて気配も感じなくなった。
殺気も感じない。
まさかと思うけど、百目族ってのは高度な気配殺しや殺気殺し迄使えたりするのか?
嘘だろ!?
オレだって未だセロから合格点が貰えなくて極めれてないのに!!
妖怪って実は凄いのかな??
今更だけど、オレも気配を読まれないように気配殺しと殺気殺しを────。
マオ
「 ──うわっ!? 」
駄目だ!
何処から攻撃が来るのか分からない上、気配殺しと殺気殺しをする邪魔をされる!!
これじゃあ格好の的じゃないかぁ!!
ヒラギロから繰り出される素早い剣技を何とか防げてはいるけど何時迄も防ぎ続けられない。
何とかしてヒラギロの動きを止めて一撃を食らわせないと!!
何か方法はないのかよ!
ヒラギロの動きを一瞬でも止められるような────。
そうだ!
あるじゃん!
ビリビリ感電させたら良いじゃん!
良し、アレを使おう!!
アレならビリッとした後に一定時間麻痺らせる効果もあるしな!
という訳でオレは広範囲な魔法のとっておきを使う事にした。
マオ
「 ──サンダートルネード!! 」
雷魔法と風魔法を掛け合わせた魔法を発動させた。
案の定、ヒラギロは感電してくれて、何処に居るか分かった。
オレはすかさず、ヒラギロへ目掛けて雷を纏わせた木剣を振り下ろす。
マオ
「 ──サンダーショック!! 」
「 ズッコい手を使いやがって! 」とか言われるかも知れないけど、オレがヒラギロに勝つには正々堂々と挑んでいたら無理だ。
ヒラギロに勝つ為には手段を選んでたら駄目なんだ!
セロに捨てられたくないからな、オレは剣士の誇りも恥も捨ててどんなズッコだってするぞ!!
そんな訳で、オレは木剣に風を纏わせると感電して動けないヒラギロをリング外へ飛ばした!!
場外になったヒラギロは全身が痺れて動けないみたいだ!
このまま10カウント負けしてほしいんだけど……。
審判実況者:ドミコ
「 ──凄まじい雷の竜巻でしたーーーー!!
動きの止まったヒラギロ選手にぃ、マオ選手の木剣がヒラギロ選手にクリーンヒットぉぉぉぉおっ!!
あれは激しく痛そうだぁぁぁぁぁぁ!!!!
マオ選手の木剣の衝撃を受けてヒラギロ選手は場外へ吹っ飛びましたぁぁぁぁぁ!!
どうした事かぁ、ヒラギロ選手は動けないーーーー!? 」
ドミ判ぱんコ実じっさ況きょうん者しゃ──、丁てい寧ねいな実じっ況きょうなんて後あとで良いいから先さきに10カウントしてくれないかな!!
何なんでかな…………実じっ況きょうも大だい事じだとは思おもうんだけど、妙みょうに悪あく意いを感かんじて止やまないんだけどぉ!!
オレの気きの所せ為いなのかな??
ド審しんミ判ぱんコ実じっさ況きょうん者しゃに迅じん速そくに審しん判ぱんしてくれるように催さい促そくすべきかな??
──早はやく10カウントしてくれないと麻マ痺ヒ効こう果かが薄うすれてヒラギロが動うごけるようになっちゃうだろがぁ!!
オレは──、どうすりゃ良いいんだよぉ!!
審判実況者:ドミコ
「 ──ヒラギロ選せん手しゅが場じょう外がいとなりましたので、今いまから10カウントを取とりま────えっ?
あっ……え?
はい…………はい……はい…………分わかりました……。
えぇ~~~今いまから、リプレイ映えい像ぞうがスクリーンに映うつし出だされるそうです!
10カウントは解かい説せつが済すみ次し第だいさせて頂いただく事ことになりました… 」
まるでド審しんミ判ぱんコ実じっさ況きょうん者しゃの判はん定ていを遮さえぎるかのように絶ぜつ妙みょうなタイミングでカウント取とりが中ちゅう断だんされるなんて、明あきらかな不ふ正せいだし悪あく意いを感かんじるんだけど!!
そんなにオレを勝かたせたくないのかよ!
マオ
「 ド審しんミ判ぱんコ実じっさ況きょうん者しゃさん、リプレイ映えい像ぞうより10カウント取とってよ! 」
審判実況者:ドミコ
「 マオ選せん手しゅ、申もうし訳わけないです…。
運うん営えい側がわから『 カウントはリプレイ映えい像ぞうの解かい説せつ終しゅう了りょう後ごにするように 』との指し示じでして……。
カウント取とりは暫しばらく御お待まちください 」
申もうし訳わけなさそうに言いうド審しんミ判ぱんコ実じっさ況きょうん者しゃも運うん営えい側がわの指し示じに対たいしては不ふ服ふくそうな表ひょう情じょうをしている。
もしかしたらド審しんミ判ぱんコ実じっさ況きょうん者しゃは、当とう然ぜんの権けん利りのように職しょ権けん濫らん用ようして不ふ正せいをする運うん営えい側がわの人にん間げんではないのかも知しれない。
オレはスクリーンに映うつし出だされたリプレイ映えい像ぞうが終おわる迄まで、カウント取とりを待またないといけない状じょう況きょうになった。
酷ひどい話はなしだ。
──*──*──*── リプレイ映像終了後
運うん営えい側がわめぇ!
態ワザと長ながい映えい像ぞうをチョイスしやがってぇ!!
リプレイ映えい像ぞうなんかに20分ぷんも費ついやしやがってぇ!!
悪あく意いの塊かたまりだな、運うん営えい側がわってのは!!
審判実況者:ドミコ
「 ──リプレイ映えい像ぞうが終しゅう了りょうしましたので、場じょう外がいされたヒラギロ選せん手しゅのカウントを取とりま~~~す! 」
ド審しんミ判ぱんコ実じっさ況きょうん者しゃは未いまだに地じ面めんに倒たおれているヒラギロの元もとへ駆かけ寄よるとカウントを取とり始はじめてくれた。
やっとだよ……。
ヒラギロが場がい外しゅつしてから30分ぷん近ちかくも経たってからカウントを取とり始はじめるなんて異い例れい中ちゅうの異い例れいなんじゃないか?
カウントを取とり始はじめてくれたのは良よかったけど、カウントの取とり方かたが通つう常じょうよりもゆ・っ・く・り・なんじゃないかと思おもえて止やまないのはオレの僻ひがみでもなければ気きの所せ為いでもないと思おもう。
まさか──、カウントの速そく度どを遅おくらせるように運うん営えい側がわから指し示じが出だされてるのか??
運うん営えい側がわめぇ、小こ狡ずるい真ま似ねしやがってぇ!!