⭕ 大波乱の3回戦 2
──*──*──*── リング上
4対5の対戦と言えば、リング上で5名を相手にして4名で戦う事だ。
【 サムシング・グレート 】のメンバーは吟遊詩人のセロ,剣士のオレ,キノコン2体の4名…………とは御世辞でも言えないような実にふざけたメンバーだったりする。
キノコン2体なんて容姿が可愛いもんだから戦力外のマスコットに見られていそうだ。
試合会場に居る誰もキノコン2体がオレより強いなんて夢にも思ってないだろうし。
当のセノコンは短い両手を器用に振りながら観戦客へ可愛さをアピールしているし、マオキノなんて蝶々を追い掛けてリング上を無邪気に動き回っている。
審判実況者のドミコさんも「 可愛いですね~~~♥️ 癒されますね~~~♥️ キノコの妖魔ですかぁ? 」なんて言ってるし。
妖魔じゃなくて怪物なんだけど、どうやらこの世界では怪物よりも妖魔や妖怪の方が馴染みがあるらしい。
セノコンとマオキノの存在が試合会場の殺伐とした雰囲気を和ませていた。
これがセロが考えていた “ 戦わずして勝つ ” 戦法なのかな?
セロフィート
「 セノコン,マオキノ──、どちらが5名と遊びます? 」
マオ
「 うん?
遊ぶ?
遊ぶって何だ?? 」
セロフィート
「 マオとワタシの代わりに戦う──という意味です 」
マオ
「 会場を和ませる作戦じゃないのか? 」
セロフィート
「 はあ?
何の為に会場を和ませます? 」
マオ
「 『 何の為に 』って──、戦わずして勝つ為だろ? 」
セロフィート
「 戦わないのはマオとワタシです。
キノコンに戦わせれば、戦わずして勝てます 」
マオ
「 そういう意味かよ…… 」
完全にオレの勘違いだった(////)
恥ずかしいなぁ、もうっ(////)
マオキノ
「 セロさま,マオさま──、此処はボクに御任せくださいませエリ。
マオさまに仇なす輩は全てボクの敵ですエリ。
敵は綺麗に排除しますエリ 」
マオ
「 マオキノ……。
可愛い容姿で物騒な言葉を言わないでくれよ… 」
セロフィート
「 今回はマオキノに任せます。
思う存分、遊びなさい 」
マオキノ
「 セロさま、有り難う御座いますエリ。
全身全霊で挑みますエリ 」
心配な面持ちなオレを余所目に、マオキノはセロへ向かってビシッと敬礼をする。
対戦者達の方向へ向き直したキノコンは、体から何かを出す仕草をしている。
そんな仕草も可愛いな~~~♥️
マオキノが体から何を出したのかと言うと、短いステッキ……のような物だった。
マオ
「 ──何だよ、あれ?
こんな時に玩具なんて出して何する気なんだよ? 」
セノコン
「 マオキノ──、アレをするエリね!
皆、配置に付くエリよ~~~! 」
セノコンは体を上下に動かしてピストン運動をすると分裂する。
セノコンの分身体達はリング上の下へ降りると、体の中から何かを取り出した。
キノコン達は短い両手に光る棒を持って何かを待っている??
セノコン
「 マオキノ、準備完了エリ★
何時でもOKエリよ 」
セノコンが短い手で器用に親指を立ててグッドの合図をマオキノへ出すと、それを見たマオキノが頷いた。
一体全体マオキノはこれから何を始めようとしてるんだろう?
マオ
「 セロ……。
何が始まるんだろうな? 」
セロフィート
「 見てれば分かります 」
セロは何時も通り冷静だな。
マオキノがステッキに付いているボタンを押す仕草をするとステッキ……みたいな持ち手がシャキーーンと伸びた。
マオキノがステッキ……みたいなのを頭上へ掲げると、ステッキの中央のキノコがクルクルと回り出した。
回っているキノコが眩く光出す。
マオキノ
「 キノコンの真の力を見せるエリ!
キノコン・メルヘンパワー・マジカ~~~ルアッーーープぅエリ! 」
ファンファンファンファンタジぃ~~~~♪
キッノコン・キノコノキノコン♪
キッノコン・キ~ノキノコン♪
キッノコン・キノコノキノコン♪
キッノコン・キ~ノキノコン♪
キノキノ~コ・キノキノ~コ・キノコノキノコ~~~ン~~♪
ウゥ~~ウウウゥ~~ウゥ~ウ~・キ~ノコ~~~ン・ルルル~~~♪
ウゥ~~ウウウゥ~~ウゥ~~~ウゥ~~♪
マジカル★キ・ノ・コ~~~ン♪
マオキノが変な呪文みたいな言葉を高らかに叫んだ後、リング外に居るキノコン達が一斉に両手に持っている光る棒を器用に振りながら、踊りながら、ハモって歌い出した。
本当に何事だよ!?
オレが現状に追い付けなくてプチパニックを起こしている間、メルヘンファンタジーな光に全身を包まれたマオキノは、5秒後に光の中から現れた。
オレの腰程迄しか背丈がなくて、愛らしくて可憐で可愛い姿だった筈のマオキノの面影は何処にも無くて、変わり果てた姿に変わっていた。
マオキノの身長はセロの190cmを余裕で超えているぅぅぅぅぅぅ!!
身長だけじゃなくて体も巨体化しているぅぅぅぅぅぅぅ!!
何でだよ!?
どういう仕組みになってんだ!?
マオキノ
「 ムキムキマッチョキノコン──、エリ! 」
マオ
「 ………………オ…オレのマオキノがマッチョになったぁぁぁぁあああああああッッッ!!!! 」
マオキノ
「 お前等を~~~屠るぅ~~~今ぁ此処でぇ~~~殺すエリ~~~ 」
マオ
「 オレの知ってる可愛い声じゃないーーーー!!!! 」
マオキノの野太い声を聞いて、オレはショックを受けた!!
そんなオレを尻目に、ムキムキマッチョキノコンの姿に変身(?)したのか成長(?)したのか分からないけれど──、マオキノはリング上に立っている対戦者達を容赦なくグーパンチで殴ったぁぁぁぁぁ!!
予想外のダメージを受けた対戦者達は、マオキノに頭と足をむんずと掴まれる。
マオキノはまるで雑巾を絞るかのように対戦者達を捻り始めたぁぁぁぁぁぁ!!
対戦者達の骨をバキボキバキバキボキボキボキと容赦なく折って、次々に気絶さていく。
折れた骨が再生不可能な程に粉々にされる音が、スピーカーを伝って試合会場に響く。
マオキノに雑巾絞りされた対戦者達の意識は完全に飛んでしまっているみたいだ。
白目を剥いていて、口からは血が混ざったような汚ない泡が出ている。
マオキノはピクリとも動かない対戦者達をむんずと鷲掴むと、大きく開けた口の中へ頭から入れてバリボリと噛み砕きながら喰べ始めたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
既に戦闘不能となっている5名の対戦者達を残さず美味しく頂いてしまったマオキノは、大きなゲップをかました。
時間切れなのか、用が済んだからなのか──、マオキノのムキムキマッチョボディーが光に包まれ始める。
光が消えると、マオキノは元の愛らしく可憐で可愛いキノコンの姿に戻っていた。
マオキノ
「 マオさま、敵は完膚無き迄に殲滅しましたエリ★ 」
衝撃的過ぎる一部始終を見ていたオレに向かってマオキノは器用に親指を立てて、グッドの合図を出してくれる。
1人──いや、1体で試合に勝ってくれたマオキノに対してオレは────。
◎ ムキムキマッチョキノコンのイメージモデルは「 筋肉マッチョになった戸愚呂弟 」です。
どんな感じだったのか忘れているので、検索してみてください。
「 筋肉マッチョの刃牙 」でもいいんですけど……、一応キノコモンスターなので、人間場馴れしている容姿の「 戸愚呂弟 」をモデルにしました。
◎ 「 光る棒 」はアイドルのライブとかで使われる「 ペンライト 」みたいな物です。
「 キノコンの踊り 」は、アイドルを応援するファン達が踊るキレッキレッの「 オタ芸 」だと思ってください。
結構激しい動きなので筋肉痛になりそうなオタ芸です。