──*──*──*── リング上
マオ
「 ──うわっ、結構デカいし広いじゃん。
此処で対戦ってのをするのか~~ 」
セロフィート
「 相手は向かい側に居る彼等のようです 」
マオ
「 5対2って事だな。
何かさ、見かけ倒しで弱そうだな? 」
セロフィート
「 マオ──、蛞蝓みたいに弱そうだなんて…。
蛞蝓さんに失礼です 」
マオ
「 言ってないだろが! 」
?
「 あの~~、そろそろ自己紹介をして頂きたいのですが… 」
セロフィート
「 はいはい。
ワタシはセロフィート・シンミンです。
何処から見ても人畜無害な吟遊大詩人です 」
マオ
「 人畜無害は余計だろ? 」
セロフィート
「 マオ──、君も自己紹介してください 」
マオ
「 オレの名前はマオ・ユーグナルだよ。
セロの守護衛士で剣士をしてる 」
?
「 有り難う御座います!
今回のスペシャルゲストは、吟遊大詩人のセロフィート選手と剣士のマオ選手の御二人で~~~す!! 」
マオ
「 スペシャルゲストぉ??
どゆこと?? 」
?
「 対しましては~~~~ 」
マイクを持って饒舌に喋っているお姉さんが対戦相手の自己紹介をしている。
インタビューって言うらしい??
司会者…みたいなもんかな?
セロフィート
「{ マオ── }」
マオ
「{ 何だよ? }」
セロフィート
「{ この試合に優勝すると “ どんな願いも叶えてもらえる ” そうです }」
マオ
「{ えっ、どんな願いも?!
マジかよ }」
セロフィート
「{ さて…どうでしょう。
眉唾物です。
“ どんな願いも叶えられる ” なんて夢物語です。
手に入れて調べましょう。
マオ、優勝しますよ }」
マオ
「{ 優勝!?
オレだけに戦わせたりしないよな?
セロも戦うんだからな! }」
セロフィート
「{ 疲れる事はしたくないです。
ワタシの分も頑張ってください }」
マオ
「 駄目に決まってるだろが!! 」
審判実況者
「 マオ選手、どうかされましたか? 」
マオ
「 えっ、いや……何でも…………あっ…えと……武器!
武術大会なんだよな?
武器とか魔法は使っても良いの? 」
審判実況者
「 御心配無く!
全く問題ありませんよ。
リング上内で対戦中のみ使ってOKです。
一方のチームが全員戦闘不能になったら負けになります 」
マオ
「 戦闘不能って気絶させれば良いの? 」
審判実況者
「 殺しちゃってOKですよ。
此処では捕まったりしませんから、心置き無く遠慮なく対戦相手を殺しちゃってくださいね★ 」
マオ
「 …………ははは……マジかよ… 」
セロフィート
「 良かったですね、マオ。
{ 手加減は苦手ですし、生死を問わないのは助かります }」
マオ
「{ セロはちゃんと手加減しろ! }」
セロフィート
「{ ワタシに “ 魔法を使うな ” と言います?
酷いです… }」
マオ
「{ リング場が壊れない魔法を使ったら良いだろ? }」
セロフィート
「{ そんな大人しい魔法はないです。
対戦に合わせて即興で作るとします }」
マオ
「{ 即興で創作魔法を使うつもりかよ…。
何か恐いな… }」
セロフィート
「{ マオ、大丈夫です。
仮に試合会場を消し飛ばしてもマオとワタシは死にません }」
マオ
「{ 消し飛ばさない魔法にしろよ!! }」
セロフィート
「{ はいはい }」
審判実況者
「 ──それではセロフィート選手とマオ選手にもお聞きいたしま~~す。
暗黒武術大会に優勝されますと、願い玉にどんな願いも叶えてもらえる事になっているのですが──、セロフィート選手とマオ選手は何を願われますか? 」
マオ
「 え~~と……オレは…………今のセロと旅を続けたいから、セロの寿命を無くしてもらいたいかな。
寿命が無くなれば、〈 久遠実成 〉に作り替えられる事も人格が替わる事も無くなると思うんだ 」
審判実況者
「 は…はい?
それはつまり…『 セロフィート選手を不老不死にしたい 』という事でしょうか? 」
マオ
「 あ~~~確かに……。
そうなるのかな? 」
審判実況者
「 自分の私欲を願うのではなく、セロフィート選手の事を願われるのですね!
セロフィート選手の叶えて欲しい願いは何でしょうか? 」
セロフィート
「 そうですね…。
ワタシの場合は大抵の事は自分で叶えれてしまえますし、特にはないです 」
審判実況者
「 セロフィート選手は願い玉には願わない──という事でしょうか? 」
セロフィート
「 強いて言うなら願い玉とやらを解体して調べたいです 」
審判実況者
「 え゛……願い玉を解体して調べる……ですか? 」
セロフィート
「 願い玉が何故 “ 願いを叶えられるのか ” ──その仕組みを知りたいです。
謎を解明する為に解体するのは定番でしょう? 」
審判実況者
「 ………………セロフィート選手は『 願い玉の所有者になりたい 』という事で宜しいですか?
宜しいですよね!
有り難う御座いました~~! 」
マオ
「{ セロ……『 願い玉を解体する 』って本気なんだな… }」
セロフィート
「{ 当然です。
幾らでも〈 テフの源みなもと 〉で構こう成せい出で来きますし、問もん題だいないです }」
マオ
「{ それなら優ゆう勝しょうする必ひつ要ようないじゃんか }」
セロフィート
「{ 優ゆう勝しょうして手てに入いれた願ねがい玉だまを解かい体たいする事ことに意い味みがあります }」
マオ
「 そうかよ…… 」
セロの「 願ねがい玉だまを解かい体たいして調しらべたいです 」発はつ言げんが拙まずかったのか、観かん戦せん客きゃく達たちからは「 ふざけんなーー! 」とか「 何なに考かんがえてんだーー! 」とか「 イカれてんじゃねーのかー! 」とか「 秒びょうで死しねぇーー! 」とかと・ん・で・も・な・い・野ヤ次ジが飛とんで来くる。
野ヤ次ジだけなら未まだマシかも知しれないな。
中なかにはど・さ・く・さ・に紛まぎれてゴミを投なげ捨すてて来きやがるマナーもモラルも皆かい無むな観かん戦せん客きゃく迄まで居いる始し末まつの悪わるさだ。
司し会かい者しゃ(?)のお姉ねえさんも「 ゴミを投なげないでくださーーーい!! 」って呼よび掛かけてるけど、観かん戦せん客きゃく達たちからの野ヤ次ジとゴミ投なげは収おさまらない。
一いっ方ぽうの問もん題だい発はつ言げんをか・ま・し・た・セロはと言いうと、観かん戦せん客きゃく達たちへ笑え顔がおを向むけて手てを振ふっている。
それが更さらに御ご機き嫌げんを損そこねた観かん戦せん客きゃく達たちの怒いかりを煽あおっている事ことにセロはち・っ・と・も・気き付づいてな────い訳わけがなかった。
セロは敢あえて態ワザと観かん戦せん客きゃく達たちの神しん経けいを逆さか撫なでするような事ことを笑え顔がおでしているんだ。
観かん戦せん客きゃく達たちの野ヤ次ジもゴミ投なげもセロにとっては最さい高こうに面おも白しろい光こう景けいなんだろう。
マオ
「 セロ!
野ヤ次ジを飛とばして来くる奴ヤツ等らに笑え顔がおを振ふり撒まくなよ!
それに手てを振ふるのも禁きん止し!
怒いかりを煽あおって怒おこらせて、どうすんだよ 」
セロフィート
「 賑にぎやかになりました♪
マオも一いっ緒しょに手てを振ふりましょう 」
マオ
「 嫌やだよ… 」
セロフィート
「 マオは恥はずかしがり屋やさん~~♪ 」
マオ
「 違ちがうからな!
後あと、歌うたうな! 」
審判実況者
「 え~~~、それではチーム【 エクゾネス 】とチーム【 サムシング・グレート 】の対たい戦せん試じ合あいを始はじめたいと思おもいます!
試し合あい形けい式しきは5対たい2の── 」
司し会かい者しゃ(?)のお姉ねえさんが対たい戦せん方ほう法ほうの説せつ明めいをしてくれている。
──っていうか【 サムシング・グレート 】って……何い時つの間まに司し会かい者しゃ(?)のお姉ねえさんに伝つたえたんだよ?
セロらしいチーム名めいだと思おもうけどさ。
審判実況者
「 両りょう者しゃ共とも、試し合あいを始はじめてください! 」
説せつ明めいを終おえた司し会かい者しゃ(?)のお姉ねえさんが言いうと、何ど処こからか試し合あい開かい始しのゴングが鳴なり響ひびいた。