♥ ピカチ●ウも吃驚でチュウ 1
──*──*──*── 2日後
──*──*──*── 試合会場
──*──*──*── リング上
スペシャルゲストとして暗黒武術大会に参戦した日から2日後──、セロとオレは2回戦目に挑む為にリング上に立っている。
2回戦目の対戦者達は5名だ。
此方はセロとオレの2名だけ。
「 不公平じゃないか! 」とか「 フェアじゃない! 」とか気の利いた文句を言う観戦客は誰も居やしない。
抑セロとオレが “ 不公平 ” だとか “ フェアじゃない ” って微塵も思ってないからだ。
逆に対戦客にハンデを付けてあげても構わないぐらいだ。
どうせ【 サムシング・グレート 】が勝つんだからな。
結果が分かってる試合をするのって詰まらないよな?
マオ
「 今回も弱そうだな。
敗者復活戦に出れないようにして場外させれば良いよな? 」
セロフィート
「 マオに任せます 」
マオ
「 オレに丸投げすんなよ… 」
因みにリング場での会話は全て試合会場に丸聞こえらしい。
更に初戦の事もあってか、どうやらオレは対戦者達から危険視されているみたいだ。
本当に危険視するべき相手は、オレじゃなくてセロなんだけどな……。
初戦でセロはリング場の上に突っ立って喋ってただけだし、危険視迄はされないか。
マオ
「 今日はセロも戦うんだからな! 」
セロフィート
「 疲れる事はしたくないです… 」
マオ
「 セロは疲れないだろ!
疲れるのはオレの方だからな! 」
なんてセロと悠長に話してるけど、試合開始のゴングは既に鳴り終わっていたりする。
対戦者達が尻窄みしてるのか、全然挑んで来ないんだよな。
どうしたんだろう??
マオ
「 ねぇ──、掛かって来ないの?
降参する相談でもしてんの?
そっちから来ないなら此方から攻めよっか? 」
声を掛けてみるけど、対戦者達からの返事はない。
どゆこと??
マオ
「 セロ、どうしよう… 」
セロフィート
「 遊んであげてはどうです? 」
マオ
「 遊ぶって…… 」
セロフィート
「 マオ、ワタシは読書を── 」
マオ
「 すんなよ。
リング上で読書する奴が何処に居るよ 」
セロフィート
「 ワタシが居ます 」
マオ
「 駄目だからな! 」
なんてセロと言い合ってると、対戦者達が意を決したかのように手に持っている何かのフタを開けて飲み始めた。
マオ
「 どうしたんだろう?
水分補給かな? 」
セロフィート
「 審判さん、試合中に薬物投与はセーフです? 」
審判実況者
「 はい、ありです。
殺しがOKなので大抵の事はOK、セーフとなっています 」
セロフィート
「 有り難う御座います。
マオ、殲滅しましょう 」
マオ
「 えっ……。
捕まえて遊ばないのか? 」
セロフィート
「 あの薬物を入手すれば幾らでも遊──いえ、実験出来ます 」
マオ
「 言い直さなくて良いよ… 」
薬物投与をしたらしい対戦者達の身体が明らかに変わっていた。
背が高くなって、肩幅も広くなって、体型もゴツくなって、容姿なんて化け物染みた感じに変貌している。
自我は保ててるのかな?
薬物の力で姿を化け物へ変えた対戦者達は、武器も持たずにセロとオレに襲い掛かって来た!!
両目を赤く血走らせて口から涎を垂らしながら走って来る!
マオ
「 気持ち悪い!!
セロ── 」
セロフィート
「 はいはい 」
セロは持っていた筈の杖を鞭に変えていた。
マオ
「 何で鞭なんだよ!
剣だろ、剣っ!! 」
セロフィート
「 動くと疲れますし 」
マオ
「 動けよ!! 」
オレは鞘から愛剣を抜いて化け物化した対戦者達を斬り付けるけど、直ぐに傷が回復してしまう!!
身体が硬くて深く斬り付けられないみたいだ。
マオ
「 セロ──、コイツ等に剣は通用しないみたいだ 」
セロフィート
「 みたいですね 」
なんて言ってるセロの近くでは、既に3体の対戦者がリング上に倒れていた。
対戦者達は何故か黒焦げの状態で倒れている。
おい、一体何があったんだよ……。
セロは鞭で何をしたんだ??
黒焦げって……。
オレは1体を相手にするだけでも大変なのに、セロは1人で3体も戦闘不能にした。
そして4体目もセロの犠牲に遭った。
セロの鞭は自由在に伸びるみたいで、勝手に対戦者の身体にグルグルと巻き付くとビリビリビリビリッッッ──と強力な電流が流れた!?
マオ
「 なっ……何…今のは!? 」
電流を受けた対戦者は真っ黒焦げになってリング上に倒れた。
怖っ……!!
マオ
「 セロ、その鞭って……電流が流れるのか? 」
セロフィート
「 1000万ボルト流れます。
マオ、起き上がらないように首と胴体を切り離してください 」
マオ
「 お、おぅ…… 」
1000万ボルトがどのぐらいの威力があるのか分からないけど……ヤバいな。
化け物化した対戦者を一撃で沈ませる1000万ボルトって……恐い。
◎ 私の好きな「 メーテル 」が鞭を使って戦う事があるので、杖を鞭に変えてみました。
サーベルにしても良かったんですけど、鞭を振るう吟遊詩人も良いかなって思いました。
実際には振るってませんけど。
1000万ボルトの電流は、元素魔法の雷魔法を使っています。