オレの名前はマオ・ユーグナル。
≪ エルゼシア大陸 ≫で生きているエルゼシア陸民には珍しい黒髪,黒い瞳をしている。
既に他界している両親,両親の親,兄姉弟妹の誰にも似ていない容姿をしている。
それだけじゃなくて、成人しているのに身長が150cmしかなくて背も低くい。
男なのに小柄で華奢な身体だし、女の子に間違えられてしまう童顔でもある。
何時も未成年に見られて、子供扱いされては「 可愛い 」から脱却が出来ないでいる。
流石に慣れたけど、肉体の成長が完全に止まっている事だけは未だに素直に受け入れられないでいる。
自分の事を “ 残念男子 ” だと思ってしまいがちなオレは、自称 “ 吟遊大詩人 ” を名乗って地球上に存在している≪ 大陸 ≫を旅しているセロフィート・シンミンの専属 “ 守護衛士 ” をしている。
謂わばオレは、セロだけの守護衛士ってわけだ。
オレの初恋の相手でもあるセロは、全身が雪のように真っ白で神秘的な雰囲気を醸し出している美丈夫で、慈愛に満ち溢れる慈母神様みたいな微笑みと笑顔の素敵な絶世の美青年の容姿をしている。
褒め過ぎかも知れないけど、虫すらも慈しんで殺さないような感じに見えるんだ。
中身は全然違っていて、外見詐欺師なんだけどな~~~。
本当は吟遊詩人ですらない。
「 旅をするのに便利な職業だから 」とか「 旅の道中に狙われ易いから 」っていう実にけしからん理由で態と “ 吟遊大詩人 ” って名乗っていたりする。
≪ エルゼシア大陸 ≫では職業を偽っても罰せられたりしないから、護身の為に頻繁に職業を偽る旅人は結構居て、旅人の為に副業登録制度迄あるくらいだ。
オレの本職は守護衛士だけど、場合に合わせて剣士,剣術士,双剣士,双剣術士と偽る時もある。
セロの場合は超越の魔法使いと偽る時もあるけど、人智を遥かに超える強力な魔法が使えるから偽りにはならないんだよな…。
セロの格好は吟遊詩人っぽいけど、仙人が持ってるような長い杖を左手に持っていて、見方に依ってはマギ法ほうタ使つかいにも見みえなくもないんだ。
“ 吟ぎん遊ゆう詩し人じん ” って名な乗のるより、マ魔まギ法ほうタ使つかいって名な乗のってる方かたがし・っ・く・り・す・る・と思おもう。
他ほかには奇き術じゅつ師しかな。
種タネも仕し掛かけも無ない手て品じなを披ひ露ろうして路ろ銀ぎんをガッポリ稼かせぐ時ときもある。
そんな事ことは置おいといて──、セロとオレは現げん在ざい、普ふ通つうとは違ちがう異い色しょくが漂ただよう場ば所しょに来きている。
何なんでこ・ん・な・所ところに居いて、こ・ん・な・状じょう況きょうに陥おちいってるのか状じょう況きょうが全まったく掴つかめていない。
セロとオレは此こ処こで何なにをさせられようとしているんだろう??
マオ
「 セロ……此こ処こって何なにする所ところなんだ?
あの平ひらっぺた丸まるい石いしの台だいって何なんだろな? 」
セロフィート
「 あれは “ リング場じょう ” と呼よばれる物ものだそうです。
彼処あそこにある階かい段だんを上あがり、リング上じょうで何なにかをするようです 」
マオ
「 何なにかって? 」
セロフィート
「 それはワタシにも…。
向むかい側がわに5名めい居いますね 」
マオ
「 此方こっちはセロとオレだけだな。
何なんかさ、人にん相そうが悪わるくて不ぶ細さい工くな奴ヤツ等らが多おおいな 」
セロフィート
「 マオ──、不ぶ細さい工くで化ばけ物ものゴースターみたいなんて失しつ礼れいです 」
マオ
「 “ 化ばけ物ものゴースター ” なんて言いってないだろ!
いや、まぁ……否ひ定ていは出で来きないけど…。
上うえの方ほうには大おお勢ぜいの観かん戦せん客きゃくが居いるみたいだけど……人にん間げんの姿すがたが無ないのは何なんでかな??
──っていうかさ、彼奴アイツ等らって何なんなの?
二に足そく歩ほ行こうに進しん化かした怪かい物ぶつモンスターの類たぐいかな?? 」
セロフィート
「 ──そう言いえば、“ 妖よう怪かい ” とか言いってましたね 」
マオ
「 ようかい??
何なにそれ?
亜あ人じん類るいみたいなもんかな? 」
セロフィート
「 先せん代だい達たちの記き憶おくにも無いです。
新しん種しゅの生せい物ぶつかも知しれません。
喋しゃべってますし、種しゅ族ぞくも多おおそうです。
此こ処こはき・っ・と・未み知ちの生せい物ぶつの宝ほう庫こです♪ 」
マオ
「 セロ……何なんでも直すぐに実じっ験けん体たいに位い置ち付づけるの止やめないか? 」
セロフィート
「 何な故ぜです?
彼かれ等らを弄いじくり回まわして生せい態たいを調しらべたいでしょう? 」
マオ
「 〈 創そうゴデ造ぞうィオ主しゅールの館やかた 〉の実じっ験けん施し設せつに転てん移いさせるなよ? 」
セロフィート
「 こんなに沢たく山さん居いますし、半はん分ぶんお持もち帰かえりしても怪あやしまれません 」
マオ
「 半はん分ぶんは多おおいよ!
事じ件けんに発はっ展てんしちゃうだろ! 」
セロフィート
「 その時ときは〈 テ原げん質しつフの源みなもと 〉へ変へん換かんしてしまえば騒さわぎになりません 」
マオ
「 止やめろよ、絶ぜっ対たいに! 」
セロフィート
「 何な故ぜです? 」
?
「 あの~~~~、そろそろリング場じょうに上あがってもらえませんか? 」
マオ
「 えっ──、セロとオレ?? 」
?
「 はい、そうです。
対たい戦せん前まえに出しゅつ場じょう選せん手しゅの紹しょう介かいをしたいので 」
マオ
「 対たい戦せん??
出しゅつ場じょう選せん手しゅ??
何なんの事こと?? 」
セロフィート
「 マオ、取とり敢あえずリング場じょうへ上あがりましょう。
野ヤ次ジが飛とんでますし 」
マオ
「 あ……うん…そだな 」
オレは今いま置おかれている現げん状じょうも理り由ゆうも何なにが何なんだか全まったく分わからない状じょう態たいのまま、セロの後あとに続つづいて短みじかい階かい段だんを駆かけ上あがるとリング場じょうの上に立たった。