先生強いです…!
コゼットくんが村まで案内してくれた。
小さな村で、農村などをして暮らしているような田舎だった。
村の入り口で、一人の少女が出迎えてくれた。
ストロベリーブロンドのショートヘアに、フリルが付いた黄色のワンピースを着ている。
年齢は8、9歳くらいだろうか。
幼い。
でも、その顔に無邪気さはなく、どこか落ち着いた雰囲気。
「ようこそ、いらっしゃいました」
女の子は挨拶をしながらも、私や先生と目を合わせようとしない。
人見知りなのかな。
先生はニコリと上品に笑った。
「こんにちは。お嬢さん。僕はアリス・タルコスです。今日は、洞窟調査の依頼を受けてこの村にやって来ました」
女の子は小さくコクリと頷いた。
「私は、ププルと申します。貴女のことは、祖父から、聞いております」
「祖父? 貴女のお祖父様はどなたですか?」
「祖父は、村長、です」
「そうですか」
どうやらププルさんは村長のお孫さんのようだ。
ちなみに今回の依頼主は村長。
さっそくププルさんは村長さんの屋敷へ案内してくれた。
村長さんの屋敷は、村で一番立派な建物で、唯一の煉瓦造りだった。
村長の部屋に通される。
大きな広い部屋で、その中央には長い机が置かれていた。
その奥に小さなご老人がチョコンと座っている。
あの人が村長さんかな。
ご老人が言った。
「やや、ようこそいらっしゃいました。アリス先生。私はこの村の村長をしております。どうぞ、お掛けください」
アリス先生はププルさんの時と同じように自己紹介をした。
ついでに私の事も助手として紹介してくれた。
本題に入る。
まず村長さんが尋ねた。
「この村の近郊の洞窟に、悪魔が住み着くという話はコゼットからお聞きになりましたか?」
「ええ。」
「女性を連れ去るという話も?」
「・・・いえ、それは今初めて聞きました」
「そうですか。では、ご説明致しましょう。ここ最近魔物の動きが活動的になっているのはご存知ですね」
「はい」
「その事と関係があるかは定かでないのですが、数年前から洞窟に悪魔が住み着くようになったのです。なぜか奴は、夜な夜な村の女性を攫っていくのです」
アリス先生は「ん?」と首を傾げた。
「なぜ洞窟の悪魔が女性を攫っていると分かったのですか? 貴方は悪魔を見たことがあるのですか?」
「私ではないのですがね、村の者が見たのです。夜中、大男が女性を攫っていく様子を」
「なるほど」
「どうか、我が村を救っていただけないでしょうか…」
「・・・他に情報は?」
「いえ、奴の事は詳しく分かっておらず、これぐらいしか…」
アリス先生は頷くと、立ち上がった。
「では、今からその洞窟に案内して頂けますか?」
「え?」
村長さんが驚いたような顔をした。
「今からお行きになるのですか? 準備などもありましょう。明日にしたらどうです、宿も用意してあります」
「いえ、すみませんが仕事が立て込んでいるので、村には泊まれません。すぐに洞窟へ案内してもらえると助かります」
村長さんは困った顔をしたが、アリス先生の勢いに押され、渋々「分かりました」と頷いた。
村長さんが「ププル!」とお孫さんを呼んだ。
「はい」
ププルさんが飲み物が乗ったお盆を手に部屋に入ってきた。
「先生方を今すぐ洞窟に案内なさい」
「…え? 今から?」
「ああ。」
「分かった。お爺ちゃん…」
***
早速、ププルさんの案内で洞窟に向かった。村を出て、森を通る。
すぐに洞窟に着いた。
ププルさんが洞窟を見つめながら言った。
「ここが、例の、悪魔が出るという洞窟…」
よく見るとププルさんは、頬を真っ赤に染めて、目には熱いものを溜めている。
怖いのかな。
アリス先生が杖を取り出し、ププルさんの方へ向けた。
ププルさんの体が水色に光った。
「はい、君にお守りの結界を張っておいたよ。あとは僕達に任せて、村に帰りな」
「ありがとうございます」
「こちらこそ、案内ありがとね」
ププルさんはペコペコと慌ただしくお辞儀をすると、村へ帰っていった。
「さて」
アリス先生は洞窟の方へ目を向けた。
「ここに悪魔がいるのか。確かに異様な魔力を感じる…」
私は不安気に尋ねる。
「悪魔は強いですか…?」
「どうなかなあ。まあ僕の敵ではないだろうけど」
自信たっぷり。
さすが先生。
洞窟に入っていった。
しばらく歩くと、
奥の方から
ドスンドスン
と喧しい足音のようなものが聞こえた。
「あ、悪魔ですか…?!」
「いや、魔物でしょ。恐らくドラゴンかなあ」
敵が闇の中から姿を表した。
先生の言う通り、赤い甲羅のドラゴンだった。
ギャオオオオオン
と吠えた。
ひっ…!
やっぱり迫力がある。
私は杖を取り出して、ドラゴンの方へ構えた。
警戒を怠らない。
しかし先生は至極落ち着いている。
パチン
と先生が指を鳴らした。
するとドラゴンは「キュ・・・」と小さく呻き声を上げたあと、バタンと倒れた。
ん? 今、何が起こったの?
「せ、先生、何を…」
「魔法で首を絞めて殺した」
怖!そんなリアルな殺傷能力あるの?
もっと、炎でバーンとか、水バシャーンみたいな派手な戦闘が繰り広げられるかと思ってた。
***
それから、ドラゴン、ゴブリン、オークなどの魔物に何度も遭遇した。
その度にアリス先生が面倒くさそうに倒していった。全て瞬殺。
本当にお強い…。
丁度10体目の魔物を倒したその時、
「あ・・・」
先生が何かハッとしたように声を上げた。
そして、顔を真っ青にして私に言った。
「…ごめんね助手ちゃん、僕ばっかり魔物を倒してた…」
「え?」
「助手ちゃんも戦いたかったよね、せっかく魔法覚えたんだもんね…」
「あ、いえ…」
戦いたくはないです。
こいつは俺にやらせろ!的なバーサーカーではありませんから。
常識人です。
「次に魔物に遭遇したら、助手ちゃんに譲るね」
「はあ」
譲るって何ですか譲るって。
頼んでないよ…。
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