同年代のお友達
「だからもうあるんだってばあ」
馬車を見送った後、先生は私の肩をガシッと掴んで、泣きそうな声で言った。
「ねえ、助手ちゃんなら信じてくれるよね」
「…は、はい。信じますとも!」
グスリ、と鼻を啜る先生。
元々『魔道四大人』で名を上げていた先生は、絶世の美少女だったことも相まって「ステップ魔法は、あります」でさらに有名になってしまったみたい。
子供達にまで広まるくらいに…。
先生は、子供達の言葉にかなりダメージを受けているようだった。
「こんにちは。アリス先生」
男の子の声が聞こえた。
見ると、金色の髪をした美少年が立っていた。私と同じくらいの年齢に見える。
先生は泣きそうな顔からスッと真面目な表情に変えた。
「こんにちは。コゼット・ユーゴーくん」
「先生、ご無沙汰しております。今日は遠くからありがとうございます」
「いえ良いんですよ。可愛い教え子のためですから」
教え子ってことは、この子は先生の生徒さんなのか。
それにしてもアリス先生、表情から口ぶりまで全て変わってる。
これは『先生の顔』なのかな。
アリス先生が私を少年の前に突き出した。
「この子は僕の助手のモミジさんです」
慌ててペコリとお辞儀をした。
「はじめまして、モミジと言います」
「はじめまして。ボクはコゼットです。モミジさんは何歳?」
「12歳です…」
「じゃあ同い年だね。タメ口で良いよ」
「…!うん!」
この世界に来て初めて同年代の子と会った。
なんだか嬉しい。
コゼットくんが、アリス先生の髪の毛へ視線を向けた。
「お下げなんですね…」
「女児にやられました」
「はい?」
先生は三つ編みヘアーで、私は赤リボンの二つ結び。
解こうとすると女の子が泣きそうになったので、そのままにしていた。