episode1 出会い
この本をお手に取っていたいだき有難うございます。
本書は学園都市に存在する''魔法学校''に通う少女のお話です。
今回は短めに書いているので、あっという間に読み終わると思います。是非空いた時間に読んでいただけると嬉しいです!
ピピーピピー。姉の金切り声に似た目覚まし時計の音が私の眠りを妨げる。
「ストップ。あ…と五分、いや10分…」そんな寝ぼけた声で私は言う。「ガチャッ」ドアを開ける音が聞こえたがまぁいい、私は寝る。気にしない。「いつまで寝てんだこの馬鹿妹!」姉が突然取り箸を持ちながら部屋に入って来た。「今何時だと思ってんの!8時よ!このままだと遅刻するわよ!」…ん?…今何て言ったこの馬鹿姉…。私はぼやけた視界の中、目を擦りながら目覚まし時計を見る。「えぇー!もうこんな時間!やばい、やばい。遅刻しちゃうよ。馬鹿姉何で起こしてくれなかったのよ!」焦りと苛立ちの中私はとりあえず姉に文句を言った。「刹那が起きないのが悪いんだろ」取り箸をこちらに向けながら言ってくる。…あぁ怒っていらっしゃいる。今度何かスイーツ奢ってあげよ。うん。「とりあえず朝ご飯作ったから急いで食べて準備しなよ」「ありがと、凛華お姉ちゃん」急いでリビングに行き刹那と凛華は朝食をとる。「今日から刹那は''エルモー魔法学校''の一員になるんだね」「うん!エリート学校なのだよ!」エッヘンと言わんばかりの態度を取りながら言ってみせる。「あ、時間だもう行かなきゃ!」急いでご飯を掻き込み、荷物を部屋に取りに行く。
自慢のポニーテールを揺らしながら姿見鏡を見る。「刀良し、教材良し、制服良し、もう行かなきゃ」階段を一個飛ばしに降りていく。「刹那本当に刀持って行くの?今の時代、そんな武器を使ってる魔法生は居ないよ?」首を傾げながら言う。「私は私!私はこれで学園トップになって、全魔法学校から選ばれた人達が出る''学園都市魔法大大会に出て優勝するの!」楽な道のりじゃないかもしれないけど私は本気よ、と凛華に目で語る。「そっか、じゃあ頑張りなさいな」凛華はそう微笑みながら言った。「それじゃ、行ってきます!」「行ってらっしゃい」凛華は刹那のことを見送り、リビングに戻る。
「今日から刹那も高校生か、時間の流れって早いね、''パパ''、''ママ''」凛華は仏壇の前で言う。両親が事故死して10年。刹那は今年で16、姉の凛華は19才になる。
「電車乗り遅れたら遅刻だよー、あと3分で行けるかな」全速力で駅に向かう。程無くして無事駅に着いた。「ギリギリセーフ」電車に駆け込むと安堵の表情で刹那は言う。エルモー魔法学校行きの電車なので魔法生でぎゅうぎゅうだった。…私達の代はピンクのリボン、近くに新入生いないかなー…刹那はそれとなくあたりを見渡す。「よろしく、新入生ですよね?」隣の少女が話しかけてきた。「よろしく、私…」振り向きざまに名前を言うはずが口が動かない。…綺麗な銀髪、それにまつ毛も長いなぁ天使みたいだな…「ど、どうしたんですか?」唖然とした顔で見つめる刹那に少女は少し驚いていた。「ご、ごめんあまりに綺麗だったから、つい見惚れちゃって。」うんうん。と首を縦に振りながら言う。「あ、ありがとうございます。」少女は少し赤面していた。「自己紹介が遅れたね、私は刹那、真永刹那だよ。よろしくね。」「私はロスティング・フォン・アルシアと言います。お好きなように呼んでいただいて構いません。よろしく真永 刹那さん。」言葉の最後に一礼をした。「あの有名なロスティング家の人だったんだねー。よろしく''アルシアちゃん''。」…好きに呼んで良いとのことだったから下の名前で呼んでみたけどダメだったかな…「はい、よろしく''刹那さん''。」アルシアの表情が少し緩んだように見えた。
「まもなくエルモー魔法学校に到着致します。忘れ物ございませんよう、お気をつけ下さい。」
たわい無い話をしていたらもうすぐで学校に到着するようだ。「アルシアちゃんと同じクラスだといいな。」「全9クラスの大きい学校ですからね、確率的には低いですよ。それに学力、模擬戦結果の良い順にクラスが決まります。」アルシアは淡々と刹那に説明する。「でも、同じクラスになりたいですね。」と、付け加えて言った。「だね。」刹那は嬉しそうに相槌を打った。
「エルモー魔法学校に到着致しました。お出口は右側です。足元にはお気を付け下さい。」
「アルシアちゃんまた後で会おうね。」刹那は電車を降りる前にアルシアに言った。「はい!また。」そう言って別れを済ませると刹那は先に行った。
「とは言ったもののこれどうやって行けばいいのかな、トホホ」苦笑いをしながらマップを見る。程無くしてエルモー魔法学校に到着した。校門付近には沢山の新入生と在校生がいた。在校生は部活の勧誘のために朝早くからここにいたらしい。「魔法研究会に入りませんかー」「一緒に武の道を極めようぜ!」「是非、魔法式バトミントンをやりましょう!」色々な部活の勧誘が聞こえてくるが刹那の耳には届いていない。「ここが、あのエルモー魔法学校。凄い!広いし、生徒は多いし、今日から私もここの一員なんだ!」あたりを見渡しながら校門を通り抜け校舎に向かう。「クラスはここに張り出されてるのかー。」刹那はクラス決めのやり方が書かれている紙に目を通し始めた。…なになに、エルモー魔法学校では、成績順にクラスが決まります。1クラスは特に優秀な魔法生のクラスで、下に行くほど成績が低いクラスとなっていきます。自分のクラスに異論のある者は校長室に来なさい。また、一番下のクラスだからっと言って成績が悪いわけではありません。我が校の9クラスの魔法生諸君は全国平均を少し上回っています。平均を下回っている魔法生はいません。なので上を見て日々精進に励んで下さい。健闘を祈っています。校長、葉渡皇巳より。へーってことは私結構凄いんだ…「どれどれ、低く見積もっても5クラスぐらいかな…ってそんなわけないか、やっぱり9クラスだよねー。筆記は結構良かったんだけど模擬戦の結果がなぁ。でもこれ以上下がないならあとは上がるだけだ。頑張れ刹那!」自分を鼓舞し終わると自分のクラスに向かった。
「ここが9組か、いやー本当に大きい学校だな。時間ギリギリだよ。私の席は…ここか。」カバンを横にかけると小さいため息をしながら席に着く。そして時を移さずに担任が来た。「みんなおはよー。担任の青水雪音です。よくふわふわしてるとか天然とか言われるけどそんなことはないのです!」今クラスの全員が思った。この人は本気な天然だと。「この後すぐ入学式だから体育館に移動しますよー。」程無くして整列したのち体育館に移動した。
…アルシアちゃんどうしてるかなー。何組になったのかなー…刹那は逸る気持ちを抑え、壇上を見た。
「校長先生のお話です。葉渡校長先生お願いします。」カツ、カツ、革靴の音が体育館全体に響く。そして壇上の真ん中に立ち、話し始めた。
「諸君、おはよう。そして、入学おめでとう。諸君らは入学するために沢山の研鑽を積んできたことだろうと思う。諸君らは私にとって、学校にとっての誇りだ。少し話が変わるが、エルモー魔法学校とは学園都市に存在する魔法学校7校の中の一つだ。特にエルモー魔法学校は最も歴史が古く、今年で創設200年になる。端的に言えば古くからある魔法学校なのだよ。そんな由緒正しい魔法学校に入学できたことを誇りに思って欲しい。今ここにいる全ての魔法生は何かしらの才能を持ち、そして努力を積んだもの達だ。これからの君達に祝福が訪れることを切に願っている。」淡々と粛々と葉渡校長のお話は終わった。
「ありがとうございます。次は新入生代表挨拶''ロスティング・フォン・アルシア''さんお願いします。」…え!アルシアちゃん凄い子だとは思ってたけどそんなに凄い子だったんだ…「はい。」アルシアは立ち上がり壇上に向かう。そしてマイクを取り新入生代表挨拶を完璧にこなしすぐに席に戻った。その立居振る舞いは見事なもので、男子魔法生はおろか女子魔法生までもが魅了されていた。「立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花とはまさにアルシアちゃんのことだね。」と、小声で軽口を叩いた。「それでは、入学式を終了したいと思います。」入学式は色々あったが30分ほどで終わった。その後、全ての学年がクラスに戻って行った。
「みんな入学式はどうでしたかぁ?面白かったですかぁ?」青水先生はにこにこしながら聞いてくる。「いやー長かったすっね」男子魔法生が答えると大半の魔法生も首を縦に振った。「さて話は変わるけど、クラス委員長を決めたいと思うのですがやりたい人いますか?」クラスの全員と目を合わせる。「はい!私やりたいです。」真っ先に立候補したのは刹那だった。他のクラスメートは呆気に取られたような顔をしていた。だがそれも束の間、もう1人立候補者が出てきた。「僕もクラス委員長やりたいです。」少し食い気味に言うと青水先生が話し始めた。「今年は元気のある子が多くて良いですねぇ。だけど委員長は1人しかなれないのよ、ただ副委員長になるって道もあるから2人ともなれるわよ。どちらか副委員長でいいよって言うなら決まりだけどぉ。」青水先生は二つの道があること説明した後に2人に目配せをした。当然と言えば当然だが2人とも同じことを言い返した。「クラス委員長になりたいです!」互いに少し目を合せると軽い自己紹介をした。「私は真永 刹那、よろしく。そっちの名前は?」「僕の名前は風魔広だ、よろしく。」互いに自己紹介が終わると、次の話に移った。「どっちが委員長、副委員長になるかってことよね。何で決める?風魔君。」何で決めるか悩んだ末に風魔に丸投げしてみることにした。「そうだな、一般的には投票かもしれないが…」風魔は魔法学校らしい決め方にしようと考えているが良い方法が思いつかない。その時青水先生からある提案が出された。「そしたら、模擬戦をするというのはどうでしょうかぁ?」クラス全員が青水先生のことを見る。「ほぉ?僕は全然構いませんよ。それより真永さんはこれでいいのでしょうか?」勝ち誇った顔で刹那に言う。「いいよ!改めて自分の実力知りたかったし!」…受験の時はあまり勝てなかったけど私ならいける!…「皆さんに決議を取ります。クラス委員長を決める方法は模擬戦でいいでしょうかぁ?良い人は挙手してくださいね。」クラスの全員が挙手したため満場一致で模擬戦に決まった。「皆さんそれでは模擬戦場に向かいましょう」程なくして模擬戦場に着いた。「凄い!凄すぎるよ!何てデカさなの!」模擬戦場の規模は普通の学校一個入るほどの大きさだった。「そしたら私たちは観客席に行きますよぉ。風魔君と真永さんは本会場に入ってね〜。」刹那と風魔は本会場に向かい、更衣室に入った。
「服装よし!刀よし!マジックディフェンダーよし!それじゃあ行きますか!」刹那は早々と準備を終わらせると模擬戦会場内に向かった。
「僕は勝つ。風魔の名を引き継ぐ者としてこれ以上の失態は許されない!あんなよく分からない人には負けられない。」「ガチャッ」マシンガンにマガジンを装填する。風魔は銃のメンテナンスを少しするとすぐに模擬戦会場内に行った。
2人が会場に入ると模擬戦場の説明が始まった。「模擬戦場へようこそ、ここでは模擬戦やランク戦など、色々なことをやっております。模擬戦もランク戦もあまりルールはあまり変わりませんが、一つ異なる点は模擬戦では''学園都市ランキング''に変動がありません。それでは模擬戦のルールを説明していきます。ルールは簡単で、相手のマジックディフェンダーを破壊したら勝ちです。マジックディフェンダーとは装着者が一定のダメージを受けると試合が強制終了になるアイテムです。また、相手が負けを認めたらそれで試合終了です。ルール説明は以上です。頑張ってください。」ルール説明が終わると2人は模擬戦場の中心に向かった後、ある程度の距離を保ち2人は止まった。
「模擬戦開始まで30秒」アナウンスが入る。
「真永さんなんだいそれは?君は戦う気がないのかい?もしかして怖くなってきちゃった?」風魔は眉を顰めて刹那には言う。「刀とか舐めてんか?蜂の巣にしてあげるよ。」何を言われても刹那は動じなかったが一言だけ言い返した。「風魔君うるさい。」その一言で場が凍りついた。刹那の雰囲気が変わったのは観客席にいる全ての人間に伝わるものだった。
「模擬戦開始まで5秒」
「調子に乗るなよ!!」風魔は刹那にマシンガンを向ける。
「模擬戦開始!」
「お前を倒す!」重低音が響く。風魔は開始と同時に銃を乱射する。「何!?どこにいったんだ!」風魔は先手を打ったはずが目の前に刹那はいない。「まさか!」風魔は上を見上げると刀に手を掛ける刹那がいた。まだ鞘から刀を抜いていなかった。「馬鹿め!空中で俺の弾は避けれない![風魔法ホーミング]」ホーミングは認識した対象を追うことのできる魔法。風魔はこれを使い必中の銃弾を打った。
[鬼式強化魔法・気]刹那は空中で身体強化魔法を使い、周囲を見渡す。「追ってくる銃弾は13の発か、避ける必要はない!斬り伏せる!」刹那は地上に向かいながら弾を斬る。地上に着地すると同時に刀を鞘に納めた。「なぜ当たらないんだ、それならこれでどうだ![ウィンドカッター][ホーミング]」
[居合源流・朧]模擬戦場内に薄い霧が立ち込めた瞬間だった。一瞬の錯綜。霧が無くなったと思った瞬間、刹那は風魔の背後に立っていた。風魔は状況を理解出来ていなかった。
「風魔 広のマジックディフェンダーが破壊されたため模擬戦は終了となります。」このアナウンスが出た瞬間風魔は理解した。負けたのだと。「僕の負けかぁ、強すぎるよ刹那さん」模擬戦場の真ん中で倒れ込む。「風魔君も強かったよ。」刹那は手を差し伸べた。「ありがとう。さっきはあんなことを言ってすまなかった。」本当に申し訳ないと頭を下げた。「気にしないで!今の時代刀使ってる方が不思議だから!」少し笑いながら言った。
「おぉー!!すげー!」「2人とも凄かったよー!」観客席から声援が飛んで来る。着替え終わるとクラスに戻った。「それじゃあクラス委員長は真永さんで副委員長は風魔君に決定しましたぁ」2人はクラスメートから拍手をされた。
---これは少女が数多の壁を乗り越えその先へ、高みへと歩みを進める物語である。---
最後まで読んでいたいだき有難うございます。
え、もう終わり?短くない?と思う方も多いと思いますので、次からは長く書かせていただきたいと思います!次の展開はどうするか今から楽しみです笑