梅雨の前に
まず、この物語の主人公を紹介する
七海 幸、性別は女
俗に言うキャリアウーマンで、仕事に対する評価は高い
だが、
20代も中盤に差し掛かっても、彼氏と呼べる男はおらず
趣味:パチンコ、酒
家事が苦手で3食コンビニ弁当、洗濯は週に一度のコインランドリー
部屋には酒のボトルが転がり、灰皿は吸い殻でいっぱいで片付けが出来ない
なのに、パチンコに関しては別だ
データ収集をこまめにし、土日は朝から誰よりも早く店に並ぶ
大半は誰よりも早く帰ってくるのだが、懲りずに毎週通っている
幼なじみに言わせれば『儀式』だ
「今日は女の子達の調子が悪かったんだよね、うん」
「給料日だし、出さないでしょ」
そしてそんな幼なじみ、真島 隼は幼少時から幸へ密かに気持ちを寄せている
たまに幸の部屋に来ては掃除をしたり、料理を拵える等マメな男である
「やっぱジュンの作る料理は美味しいね
お惣菜のはなんか味が薄かったり濃かったりするもん」
「そ、そう?」
「今度はきんぴらごぼうよろしくー」
「……え?」
今夜も幸の好きな肉じゃがを拵え、酒を飲み交わしていた
週末という事でペースは早く、隼が片付けた部屋に再び酒のボトルが転がった
「ていうか、あのオヤジ
まーた新人に手ェ出してんのよ」
「部長だっけ
……ってアレ?サチの電話鳴ってる」
「うっわー、噂をすればーってか」
ディスプレイに浮かぶ上司の名に、幸は顔を歪ませ通話ボタンを押す
「はい、七海です」
しかし、その応対は先ほどまでとは一転した明るい声で、隣で聞いていた隼は酒を吹き出した
(凄い猫被り……)
布巾で辺りを拭い、隼は新しい酒を取りにキッチンへと向かった
「どういう事ですか」
突然響いた幸の声に隼はびくりと肩を震わせた
「はい……はい……
……わかりました」
「? どうしたんだよ」
電話を切って、静かに頭を抱えた幸に隼は首を傾げる
そんな幸を見た事がなかったからだ
「会社、
クビだって……」
続
はじめまして
珠雪と申します
小説は初めてです
が、
精一杯頑張りますのでよろしくお願いします