日常と罵倒女
おはようでございます!
こんにちは!
こんばんは!
咲ヶ丘ゆづきですっ!
【それでも君は僕を憶えていてくれますか?好きでいてくれますか?】の第二部です!
それでは!どうぞ!お楽しみくださいっ!
学校に向かっている途中で空腹に襲われ、倒れそうになったので近くのコンビニ 【ロートン】に入る。
「いらっしゃいませ~♪」
元気いっぱいの店員の声が聞こえた。見てみると、学生さんのようだ。朝からバイトなんて大変だなぁと思っていると、
「お帰り下さいお客様」
店員としてあり得ない言葉が飛んできた。どうすればいいか立ち往生していると、
「さっさと帰れ、そこの突っ立ってる客」と更に怒声が飛んできた。さすがにムッとした僕は徹底抗戦でコンビニに居座ることにした。
徹底抗戦といえどあまり時間もないし、当初の目的、飯を選んで買って帰ろうと会計に持って行く。店員は鋭くにらみつけていた。どうしてそんな嫌われるのか分からなかったが、不意に店員のネームプレートが目に入った。
富井川?何か聞いたことあるような、ないような……。
「さっさと帰れって言ったのに」
彼女は機嫌が悪そうな猫のように呆れた声で言う。
「ねぇ、早く商品出してくれない?万引きで訴えるわよ?」
僕は無言で、言われた通り商品かごを出す。さすがの僕もここまで言われたら気分は良くない。
ちなみにかごに入れたのは炒飯おにぎりとBBレモンの二つだ。
「豚が豚を食べるなんてキモチワルイし、BBレモン飲んで炭酸でお腹膨張して死ね!」
なぜ、ここまで罵倒されないといけないのか、万引きと言われたが、逆に訴えてやる!と思い、顔を見る。もしかして……。
会計の数字が出た。表示された金額は―――。
「百八十万九千九百二十六円です。早く払って下さい。ゴミ」
「高すぎだろ!」
つい突っ込んでしまった。
「早く払わないと、万引きと私へのセクハラ発言とパワハラ、他で訴えるわよ?」
えへっとちょっと笑っている。ちょっと可愛いが言ってることが怖いし、もうそれ脅迫だよね?
「ほら、ミノムシみたいに顔面凶器のあんたに営業スマイル(特別版♥)してあげたんだから感謝しなさいよね!で、払うの?払わないの?」
可愛かったのに、営業スマイルなんだ……。まぁ、それもそうか、こんな僕に本当の女の子の笑顔なんて拝めないよな。
彼女に聞こえないようにため息をつくと、お金で笑顔もらうなんて本望ではないけど、とりま、払わないと学校行けないし、彼女がそれで満足するなら……。
う、今月のライブDVDは諦めるか、バイト入れなきゃなぁと考えていると、後ろに他のお客さんが並びだした。さすがに他人に迷惑かけるのは悪いと思い、
僕は、
「ごめん、わかった。ATMで下ろしてくるから少し待ってもらえます?」と伝え、返事を待たずATMに向かった。彼女はかなり驚いていた表情をしていたように見えたが、きっと気のせいだろう。
ATMで二百万を下ろし、長くなった列に並ぶ。
遠くから彼女を見ていると、仕事も早くて、笑顔も振りまいていて(但し営業スマイル)、さらにコミュニケーションも完璧。二十人近くいた客を2分くらいで一人で裁いていた。
再び僕はレジの前へ。ちなみに後ろにはもう誰もいない。
「下ろしてきたよ。じゃあ、また会計お願いします」
彼女は無言で商品のバーコードに光を当てる。そして案の定加算されていき……。
「百九十九万九千九百九十九円です」
……ちょっと、待て。
「なあ、おい、ちょっと高くなってないか?」
「気のせいですよ……ねぇ、まだ思い出さないの?」
「思い出す?何を?」
「だよねー覚えてる訳ないよね。記憶力皆無だもん」
「もしかして、昔会ってたり、とか?」
ビクッと彼女は体を震わせた。
「な、何……、初対面の女の子に昔会ってましたかって……。ストーカー!?おまわりさ~ん!」
「ちょ、ち、違うから!大きな声出さないでよ!変な人って思われるじゃん!」
「いや、もう充分変だけどね……これもあれも、全部ぜーんぶ君が悪いんだから!……覚えていてくれていない君が……」
心なしかそういう彼女は少しだけ寂しそうだった。
「あと、さ……」
あんなに罵倒してきた彼女にしては歯切れが悪い。
「……怒ってる?」
「ん?何に?」
質問の意味がよく分からず首を傾げる。
「というか、私は怒っています!どのくらい怒ってるかと言うと、『激おこプンプン丸ムッカチャッカファイヤーブリザードサンダー落とし』くらい怒ってます!」
いや、怒りたいのは、僕なんだけど……。てか少しオリジナル入ってなかった?ファイヤーなの?ブリザードなの?サンダー落としってなんだよ。
僕はもう、苦笑するしかなかった。
ちょっと必死になってるのが可愛いからいっかということで
怒ることをやめた。
「まぁ、とりあえず、はい二百万。渡すのはいいけど、逆に数えるの大変じゃない?」
「いえ、機械が全部やってくれるので……」
「時代って進化してるんだなぁー」
「あんたも少しは進化しなさいよ……(小声)」
「ん?何か言いました?」
「べ、つ、に!(怒)」
彼女は何故か頬を膨らませている。ハリセンボンみたいで可愛い。
携帯の振動が時間を知らせる。登校時間が、迫っているようだ。少しのつもりが、長くいすぎたみたい。
おつりの一円玉をもらい、商品を受け取る。
「じゃあ、これで。ちょっとの間だったけど楽しかったかな。ありがと」
そう言い入り口へ向け歩き出す。
「あ、あの!」
店を出る直前で後ろから大声で呼ばれた。当然のことながら僕達は他のお客さんの注目の的だ。
「ん?」
振り向いて見ると、彼女はレジを飛び出していた。
手の人差し指と人差し指を合わせている。よく見えないけど多分顔が赤い。
何か言い出そうとして、でも言えなくてもじもじしていた。
少しの間しか一緒にいなかったけど、何故か一瞬の懐かしさと、彼女らしくないなと思った。
時間もあまりない……。
「ご、ごめん今日学校の入学式で、僕あんまり単位取れてなくて遅刻すると留年の可能性あるんだ。だからもう行くね」
そう言うと彼女は、
「いいもん。私より学校の方が、単位の方が大事なんだね(小声)べー!だっ!さっさと帰れ!ミジンコのような小さいの器の最低男の優君!二度と来るなっ~!」
少し、顔を赤らめて、ぷるぷると震えながら彼女は言った。
最後の最後まで罵倒された。まぁ、その方が彼女らしくていいか。そう思う。てか、ミジンコのようなって……ミジンコって小さいどころか微生物やん。僕ってそんなに器小さいかな~傷つくなぁ~と思いながら彼女に背を向け左手を挙げて、店をあとにした。
……あの子に、僕名前名乗ったっけ?いやいや、名乗ってないよな……。なんでしってるの?彼女に名前の事を聞こうと思ったが時計を見ると、最終登校時間まで約五分前だった。
「やっば!」
今は余計なこと考えてる場合じゃない。学校までここから全力で走って間に合うか、否かくらいだ。僕は全力で学校へ走って向かった。
――――――その頃。
休憩室で私は涙を流していた。
「――――なんで私、あんなこと言っちゃったんだろ……。せっかく、せっかく”また”会えたのに。なのに……最後まで気づいてくれないし。もう会えないのかな……」
涙がさっきから止まんない。私、こんな涙脆くないはずなのに。
「会いたいよ……もう一度やり直したい。会って昔みたいにギュッて―――?!」
私は何考えてるんだ!!あんな奴!あんな奴!……。なんで私に気づいてくれないの……。
涙が頬を濡らす。透き通る涙は透明で水晶より綺麗だった。
泣くなんて久しぶりだな。女の子を泣かせるなんて最低よ……。
私はバックから一枚の写真を取りだした。そこには、幼い頃の私と、隣で無邪気に笑っているのは―――。
「……バカ」
休憩室で私は一人声を殺して泣いた。その事は私以外知らない。誰も知らない。涙の理由なんて私には分からない。違う。本当は分かってる……。だけど言葉にする勇気を私はまだ持っていない。
ただただ、拭っても拭っても涙が溢れるだけだった。
【それでも君は僕を憶えていてくれますか?好きでいてくれますか?】ご覧頂きありがとうございました!
これからも頑張りますので!面白いなぁって思ってくださったらとっても嬉しいですっ!
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今日は頑張ってもう1話書こうと思います!
そちらもご覧になって頂けると幸いです。
ここまで読んでくださりありがとうございました!
咲ヶ丘ゆづきでした!(`・ω・´)