世界最強チャンピオン!
<8年9ヶ月後>>
巨大な規模の世界で最も強い男を選り分ける近代の格闘技術であるボクシングタイトル防衛戦が繰り広げられているある競技場だった。 いつ核爆発が起こったのかと言わんばかりに、周りの人々は全部自分の身を装った…。 いや、装いを超えてぜいたくな人がずらりと並んでいた。 おかっぱ頭に真っ赤な口紅をした真っ白な純白のミス... 薄くてきれいな指には、一見玲瓏と輝く丈夫なダイヤモンドの指輪がはめていた。
そして、その長い指の先の部分は、たちまち「ポン!」と折れるような赤いマニキュアが、光を放っていて、手にはその時代の高価な小切手と思われる、紙幣の授与状が握られていた。 熱狂する雰囲気の中で、自分も知らないうちに透けて見える赤い唇の口元には、タバコをたくさん吸ったのか、すっかり腐ってただれた黒色の歯と歯茎がその醜さを露にした。
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今の時代の人々がますます単純でクラシックなものに多少野蛮ながらも近代的な純粋な力に魅了されたのはなぜだろうか..?? すでに一度の世界の終末に接した後の存在だったので、各自の地獄のような瞬間に接したはずだ。 それもそのはず、周りを見回せば、一見すると高価なスーツを着た人々の間に偏見なく穴があき、服が全部破れたのであって、浮浪者たちが一緒になっていた。
一般的な常識では到底納得できない姿だった。 社会的にまた財力的に圧倒的な貧富の差を見せる二つの集団がお互いに行って.. それぞれが何気なく混ざっているなんて! いや、それは貧富の差というのも何という今の世の中では埋められない身分と階級の差だった。このように、世の中は変わっていた。 今この世界はみんなが死を経験した死以後の世界。。 終末以後、新しい第3世界が開かれた世の中だったのだ。
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それもそのはず、中央のリングの上で戦うのはとても単純なボクシング。 時代的にまた技術的に何段階も進んでいる総合格闘技よりもはるかに人気を集めている理由は何だったのだろうか。 単に二つの拳で戦うということを見ると、かなり単純でかつ純粋だ。 ある意味、この分野が再び人気を集め始めたことを見ると感じられるかもしれない。 多くの人々の認識が変わったという事実を。
複雑な現代社会の中で、それぞれの人々は自分たちにもどうしようもない複雑なものを瞬く間に失ってしまった。 もちろん、その中には戦争のさなかでも様々な財力を手にした集団。 あるいは権力と身分を手にした集団が存在し、逆にそうでない集団も存在するしかなかった。 しかし、この時代の人々はただ一つ!、単純だった。 いつでもどこでも「終わり」が出る可能性があるという事実を身をもって直接経験した世代だったからだ。
だから複雑なことは嫌いだった。 単純で、その瞬間の意味と快楽に最も大きな意味を置いた。 過去に縛られる人は立ち後れることを超えて抜け出せないほど馬鹿だとされており、未来のために生きる未来志向的な人は標的になるどころか、多数の人にそっぽを向かれるのが常だった。 また、このような世相をいちいち説明すること自体も理解できなかった。
ただその瞬間の最も重点的な理由... その理由が最も重要だった。 死のうが生きようが.... あるいは、勝っても負けても… 好きでも、嫌いでも... このようにその瞬間の最も重要なことが何かを追求した。
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そんな純粋な楽しさと勝負の饗宴が繰り広げられているララパルージャの現場…!! そのような世の中で、まるで存在しなかったかのような二つの存在が目についた。 緊迫して誰かにあるいは何かから逃げている彼らは,まさにユートピアで世の中と隔離されて生きてきたペトロとソリだった 先の退屈だった試合が終わってしまって、続いて本格的なメインイベントの試合が始まる直前... 観客席の間を掻き分けながら逃げていた
相次いでその後を追っている、得体の知れない黒いスーツの男たちが、自分たちの大きな体をどうすることもできず、右往左往しながら、二人の後を追っていた。
「ハァハァ…ハァハァ… 急がないと。ソルリ。」
「う、ん…!! ペトロ…!!~」
其の間から試合が始まろうとしていた たぶんリングを取り囲んでいる周りの人々はその数だけでも数千人余り。。 まるで巨大な伝説の怪物が目の前で喊声をあげるような歓声。 そこに存在する観客席の熱気があまりにも熱くてすごかった! 鼓膜が裂けるような歓声が少し静まったのには理由があった。 まさにリングの上に登場する一人の男のためだった。
彼は第三次世界大戦後,すなわち核戦争後の世界に登場したチャンピオンだった. そして、ただのチャンピオンではなく、一度も敗れたことのない絶対的チャンピオンだった。 彼は莫大な財力を握っていたにもかかわらず,このような暴力的で危険なスポーツを楽しんだ. そのような理由は、おそらく彼から到底隠せない人類史上最強の遺伝子を持っていたためかもしれない。
一瞬静かな静寂 もちろん、大金がやり取りされるバッティングも行われたためかもしれない。 しかし、単純にサード世界最強者の姿に魅了された人々の目には緊張の色がありありだった。
[時 - あん~!!]
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最強のチャンピオンの前でどうしようもなく緊張した目つきがありありと感じられた. ボールが鳴り、試合が始まるやいなや急いで緊張感を払うための猛烈な攻撃を浴びせ始めた。 何千、何万回も振りかざしたような愚直ながらも、すぐに伸びたストレートパンチが放たれた。 そして相次ぐハンマーのような破壊力が感じられる強力なフック! すれ違うだけで頭蓋骨の蓋が飛び散ってしまいそうなアッパーカットなどが吹き出した。
でも、そんな強力な相手が顔負けの水が流れるように、あまりにも柔軟で自然に逃げるチャンピオンの男!! ボクシングを初めて学ぼうとする入門者に「ボクシングとはこうした分野のスポーツだ」と教えるかのような動きだった。 怒った挑戦者の猛攻から,のびのびとコーナーから抜け出したチャンピオン
抜け出したタイムを逃さず、あっという間に追いついた相手のボクサー。 自分のすべての技量と技術を発揮する勢いだった。 休まず連発されるパンチの洗礼の中から感じられるように。 かなり弾性的な筋肉が魅力的な東南アジア系エリートボクシングの有望株だった。 一般的な常識ではすでに人間の身のこなしとは思えない鋭いスピードと重圧感が感じられる様子だったが、それもチャンピオンの前ではすでに一発、一発のパンチが全部。 いや、その相手の細胞の動き一つ一つがすべて感じられるように、彼の動きがあまりにもゆっくりに見えるだけだった。
しかし、そんな姿にもこのような考えを知らせない観客たちは歓呼を上げ、その刹那の瞬間と状況…。 すべてが遅く、あくびが出そうな孤独な状況を残念ながら自分だけが接することができるという。 そんな自分だけの孤独でありながら特別な特権を享受しながら楽しんでいるかのようなチャンピオンの姿だった。
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頭を体と分離させてしまうという勢いの挑戦者の会心のストレートが空を横切った。 そのように自分を当てられない必殺技を避けた後、にやりと笑ってみせるチャンピオン。 そして、瞬間的に目つきが鋭く変わり、絢爛たるフットワークで相手の後ろに回り、グローブをはめた拳で相手の肩をポン! と、ぐいと突き出してしまった。
あっという間に相手をコーナーに追い込んだのだった。
瞬間的に自分がコーナーに押し出されたことを自覚している間、自分のわき腹で強力なダイナマイトが爆発した。 とんでもない感じを受けた相手のボクサー。 強力な一撃を放つレフトフックが脇腹の肋骨を崩した。 論理的にとんでもないパワーの一撃を受けた彼は、瞬間的に命の脅威を感じたらしく、首をすくめて両肩と腕などを全て防御に重点を置いたまま…。 まるで殻の中に入った亀のように防御態勢を整え始めた。
1秒…2秒…3秒…?? でもパンチが飛び込まない…は…??
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もう一発のダイナマイト爆弾が爆発することに備えた彼に、それ以上のパンチは飛んでこなかった。 そしていつの間にか… 今にも競技場を吹き飛ばすような観衆席のにぎやかな歓呼の声も聞こえなかった。 相手の挑戦者を思い出した。 今自分が感じる瞬間が自分だけが感じる錯乱性..?? あるいは気絶後に感じた夢のようなものではないかという想像を。
すでに先の短髪の爆弾に当たって、一撃で倒れてしまったのではないかと。 数万時間の間、自分の限界を超えて鍛錬をしてきた彼は知ることができた。 自分はまだリングの上に置かれていたし、今この瞬間は試合中だという自覚を。 平静を取り戻し授与秒後… ガードを少し下げ、チャンピオンの動きをちらつかせようとした瞬間、彼は驚愕するしかなかった。
すぐ自分の鼻の前… まるで遠くから標的を狙っていたような狙撃手の姿勢とも似ていた。 そうして自分の前で息を殺したまま待っていたチャンプは、いつでもパンチを放つ勢いをとっていた。 本当に戸惑うことにそのようなチャンピオンの姿に観衆さえ魅了されて息をのんだまま。渾然一体となって自分を見守っていたのだった…!!
すぐに状況を認知したような彼が、「チ、イ…!」とガードしようとした瞬間、
[チュッ]と音を立ててジャブが舞い込んだ。 実際に狙撃銃に撃たれた感じがこんなだったかな..??
その音の振動と破壊力はまるで消音機をつけた拳銃の銃砲の音と同程度の破壊力だった。
一瞬、首を持ち上げ、ガードが少し緩んだ彼に両手を同時に飛ばす態勢を取ったチャンピオンの姿だった。 しまった!と思ってまた頭を下げようとする挑戦者… そして、口の外に次々と嘆声がもれる直前の観客たち。 そして、そんな彼につかつかと近づいていくチャンピオンの姿。 その瞬間、そのようなスロータイムを終えようとするチャンピオンのパンチが降り注ぎ始めた!
[トゥータ、ポン!] パーパーパーパーパーパーパーパーパーパーパーパーパーパーパーパーパー!! トゥッター、パーフォーク! パパ、パッパ、パッパ、パッパ! パン!パー、パー、パー! パッパーポン!!]
振動消音機をつけたランボー機関銃を乱射するかのように,猛烈ではあるが鋭く展開された. 数多くの技術を駆使して披露するチャンピオンのパンチ洗礼は、まさにその姿は…。 そうだよ。神技に近かった。ジャブ、アッパーカット、フックなどの。 すべての技術が目に見えないほどすばやく繰り返し繰り広げられた!
目に見えないほどのスピードとモーションで相手を翻弄するチャンプ。 その姿は、まるで人間サンドバッグを打つよりもすごいと思えるほどの姿だったため、歓呼をしながら見守っていた観衆は徐々に言葉を失い始めた。 中には口を大きく開けたまま閉じられない中年の男性観衆。 持っていた飲み物をあまりにも強く握ってあふれることも知らない若い青年、そして座っていては思わず反射的に飛び起きてしまう人もいた。
再び静かで静かな雰囲気が熟した。
しかし、その瞬間もつかの間!
続いて場内が崩れるほどの歓声が無差別に上がり始めた。
自分の前にいた男は、まるで戦争中に帰ってきた敗残兵のように。 自分の仲間のために数千発の銃弾受けになってしまったように、炸裂してリングの上にそのまま倒れてしまった。
[ク]ううんー!!]
この全ての状況が終了するまでは、試合開始40秒足らずの短い時間だった。
自分の勝利を既に確信しているらしく、左手を持ち上げたチャンピオンの姿。 そのような威風堂々たるチャンピオンの勝利に競技場はまたもや飛び上がるような歓声が響き始めた。 そんな中… 珍しい風景が自分の目に映った. 遠くからかすかに見える観客席,いろいろなスーツ姿の巨体の男たちに追われているペトロとサリを見つける 正確に言えば、ペトロとソリのうち、もう一度ソリに集中的な視線がいく。
すぐに何か日常生活では接することのできない、こんな退屈なチャンピオン防衛戦のようなことよりもずっと興味深く面白いことができたような予感を持った彼は、 すぐさまリングの上を飛び立ち、彼らがいるところへ大またで歩き始めた。 そのようなチャンピオンの姿に単純なショーマンシップだと思った観客たちはどうでもいいというようだ。 チャンピオンの体に触れてみようとタッチしたり、背中を撫でたり…。 ただ熱烈に歓呼するだけだった。
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外に逃げるために通路の前に立ったペトロとサリ!でも、すでに彼の前でも待機していた巨体の男2人が2人を遮っていた。 続いてペトロとソリを追っていた2人も合流して前。 後、すべて塞がってしまった状況になった。
その瞬間だった..!!
[トン]トン!]
だれかが追いかけてきた巨体の男たちの一人、肩にノックをするような気配がした。
振り向くと巨体の男の視界には誰もいなかった。 いや、真下にいた。
実際、試合をしたチャンピオンの身長も183cmと低い身長とは言えなかったが、その巨体の男たちがあまりにも巨大な肉体を持っていたために発生したハプニングだった。
わざと屈辱を味わったチャンピオンの男は、ペトロとソリを指差しながら、2人の子どもたちを送ってほしいというモーションをし始めた。 そして男たちに指を突きつけながら,自分の方に飛びかかってこいという手振りをし始めた. あっけに取られたペトロと、その状況を見守っていたその場所の正体不明の男たち。 突然の出来事に、しばらく傾倒したかと思いきや、そのうちの1人がチャンピオンの腹部にどっしりとパンチを放った!
そしてもう一発…!チャンピオンの顔面真ん中にパンチが的中…! さて? そのパンチを食らっても黙々と1mmも押し返されないまま。 黙然と立ち尽くすチャンプ 少し当惑したように拳を握ると、チャンピオンの顔から鼻血が出た。 すると表情がゆがんで変わるチャンピオン。 それはあまりにも驚くべき表情のチャンピオンだった.
'いや.. どうしてこの私にパンチを飛ばすことができるんだ..??' でも.. そんな大柄なのに、どうしてこんなにも綿菓子のようなパンチを食らわすんだ…?!」といぶかしげな表情をしていた。
そして続いて「そうだ、これは私に対する挑戦!」 俺に攻撃したんだ。「~?」というニュアンスを漂わせ、完璧ながらも突風の吹く強力な風圧感が発散されるアッパーカットが炸裂した。 そのアッパーカット一発でブウブウ飛び上がったまま。 そのままへとへとになった巨体の男だった。 すると周囲にいた3人の巨体の男たちが同時にチャンピオンに飛びかかった。 もちろん、彼らもまたチャンピオンの強力な一発、一発のパンチに打ち落とされたが···。 屈せずに再び立ち上がる彼らの姿を見て、みんな鷹の巣だけは普通ではないような気がした。
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その間に乗じて慌てて逃げ出すペトロとサリだった。 巨体の男たちと熾烈な乱闘劇を交えながらも、ペトロとソリが無事にうまくやっていけるかちらりと眺めている余裕を見せるチャンピオンだった。 そしてまた… サリの後ろ姿に集中的に視野が固定されるチャンピオンの目..
ソルリが見えなくなると,再びチャンピオンの座に戻り,多くの花火が打ち上げられそうな激しい乱打戦を繰り広げ始めた. その姿はスティーブの一方的なショーに近かったが。
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ソルリの手首をぎゅっとつかんだまま.. 薄暗く静かな都心の夜の街を急いで逃げているペトロ。 口からは冷たい息が出るのを見て、かなり冷たくて寒い都心を思わせる季節だった。 目まぐるしく輝くネオンシャインの光と電光掲示板。 そして、にぎやかな都心の多くの人々と未来志向的な新式車両が並ぶ非常に活性化された都市だったが、ペトロとサリ一行を助けてくれる人は、そこには一人も存在しないような索漠さが感じられた。
あちこちを用心深く観察していたところ、人の出入りが全く見えそうもない狭い路地に入っていく二人だった。
「こっちだよ、ソルリ…!!」
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暗い路地の片隅… 冷たいまま冷たくなった硬い絶壁の階段に並んでうずくまっているペトロとソリの姿。 その姿がとても可哀相で哀れに見える。
「ペ…ペトロ… あの、あの人たち···。 私たちを捕まえに来たんだよね?
私たちはこれからどうなるのかな。。?? 私、本当に怖い。」
おっかなびっくりしたような体をペトロに寄りかかったソルリ。 そして、そんなソルリをそっと抱きしめ、暖かく慰めるペトロの姿だった。
ちぇっ...時間が経って世の中に出て見ると, もう私たちの家は全部消えて新しいビルがどっかり置かれていたんだから... しかもそこに所属しているらしき奴らに発覚した我らは、理由もわからず逃げ腰になってしまった。 しかもスーツの能力を最大化させて引き上げたけど、むやみに力を消耗すると回復に時間がかかるから、やたらと使えないしね。)
疑問の存在を避けてここまで逃げてきたのが疲れていたのか。 そばでしばらく眠ってしまったソルリを眺めながら、とてもこの状況を切り抜ける術がないような暗澹たる表情のペトロだった。
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