表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/33

第22話 二兎追うものは一兎も得ず

 えー皆様、異世界ニュースのお時間です。


 某異世界、某国、某街付近にある森林の中で二日間放置されていた男性の戦士『銅殻どうから紗世さよなら』(18)の首無し遺体が、今日街の捜索隊の手によって家族の元に無言の帰宅を果たしました。


 事件の全容が明らかになったのは、友人だけが早々に街に戻り『銅殻紗世楢』が次の日になっても帰宅しない事を不審に思った家族が、友人を問いただした所「自分だけ先に逃げ出した」と、証言した為です。



 その友人の話によりますと、『銅殻紗世楢』は街から『たでの葉の採取』の依頼を受けて友人と街付近の森林に入った所、木の陰から兎らしき生物が姿を現し『銅殻紗世楢』に接近。この時に、危険を感じた友人は『銅殻紗世楢』に逃げ出す事を提案、しかし『銅殻紗世楢』は提案を聞き入れず兎らしき生き物と戦闘を開始、すると『銅殻紗世楢』の後方からもう一匹、兎らしき生き物が現れた為、友人はひとりで逃走、『銅殻紗世楢』は帰らぬ人となりました。




『銅殻紗世楢』の母親


「確かに、息子は少し無鉄砲な所はあったかと思います……。あの様な仕事をしていれば危険もつきものでしょう。でも……、まさか、街の近くの森林で亡くなるなんて! 息子を置き去りにした友人も許すことは出来ません!!」



『銅殻紗世楢』の友人

とも深須みすてる』さん


「俺は……俺は、あいつはヤバイから一緒に逃げようと言ったんだ! あの兎は……あのもふもふは、兎と似た何かだった!! あれと戦うなんてどうかしてる! なのに、あいつは前後から挟み撃ちにされたってのに、戦いを挑みやがった! 無鉄砲にも程がある!! みんな俺の事をどうこう言うけど、死んじまったら元も子も無えじゃねえか! 逃げて何が悪い!!」





 街の近くの森林に生息する兎のような生き物

宇佐義うさぎ地我有ちがう』さん


「チュ? チュチュッ、チュー! チューチュー、チュチュチュッ、チュー! チュチューチュチュー!! チューチュチュー、チュッチュッチュッチュー! え? 人語? 素ですらすらと話せるけど? 逆に。は? 何であの戦士を天国に送ったかって? それ本気で聞いてンすか? マジウケるんですけど。だってあたし、軽く殺されかけたンですけど? あいつに。そしたらあたしだって死にたくないから、本気でいくじゃん? 逆にー。何の不思議があんの?」




 ……………………兎のような生き物は、兎ではなかったようですね。

 皆さまも森林に入るときは、もふもふに充分注意してくださいね。



 異世界ニュースのお時間でした。



続いて、もふもふ異世界、兎国のアミューズメントパーク、『もふぽみ館』で行われた一大イベント、『もふもふ大行進』のニュースです……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ