1話 失った記憶をサガしに
この作品はノベルゲームを作るに至る前にシナリオを練っていこうという事で書いた作品です。
ゲームのメッセージウィンドウをイメージしているので句点を無くし、行の始まりにスペースを敢えて入れていません。
読みづらいかも知れませんが悪しからず…!
ここはどこだ…?
辺りを見回す
真っ赤だ…
目に写るのは大量の鮮血
鼻に突き刺さる臭いだ
そのまま脳に刺さり溶かしてしまうのではないかと思うほどだ
頭がグラグラとして倒れそうだ
足元も覚束ない
まるで重りを両足に掛けているみたいに
…何か聞こえる…
コツン…コツン…
誰かが近づいてきてる
コツン
その人と目があった
手には刃物のようなものが見える
「…レロ…」
その人が何かを言っている
「ワスレロ」
「ワスレロワスレロワスレロワスレロワスレロワスレロワスレロワスレロワスレロ」
「うわあああああ!!!!」
ぼくは勢い良く起き上がった
周りを見渡すと見覚えのある机や壁があり、嫌と言うほど聞いた目覚まし時計の独断ライブステージの轟音が部屋に響いている
迷うことなき自分の部屋だ
「はぁ…なんか変な夢を見たような気がする…」
…なんの夢だったか…?
思い出せない…
今日は妙に疲れを残した起床をしたようだ
「…学校に行かなきゃ…」
ぼくはアユム、16歳で高校二年生
好きな食べ物はたこ焼き、関東住みだがたこ焼きだ
髪は灰色で瞳は赤色
一人っ子な上に、両親は出張が多く家を開けることが多いため料理や掃除など、家事全般が得意になってしまった
案の定、今も出張中で家には誰もいない
寂しくないと言えば嘘になるが、一人は慣れているから割りと問題はない
一人って言っても友達ぐらいはいるからな?
しっかりと仕送りもしてくれるのでお金にも困っていない
支度を素早く終わらせ、サッとトーストを焼いてジャムを塗り口に放り込み牛乳で押し込む
「いってきます」
返事が来ない空間に一方的なキャッチボールをして家を出る
平日の朝に決まったルーチンで動くぼくは、玄関の前のポストを毎朝確認している
「何か入ってる」
親からの手紙だろうか
しかし、見たこともないほど真っ赤な封筒だったのでそれはないと判断する
「派手な見た目だな、送り主の名前はないな」
中を開けて見てみると、一枚の紙が入っていた
『キミのことを知っている
何でもだ、キミの秘密も
興味があるならば四谷病院に来てくれ』
なんだこれ、あからさまないたずらだな
家に置きに戻るのも面倒なので、とりあえずでポケットに入れて学校へ向かう
見慣れた通学路を歩いていると
「おはよー!」
後ろから声をかけられた
振り向くと、紫色のストレートロングの素直そうで可愛い女の子のがいた
「アユムなんかげっそりした顔してるけど大丈夫?」
…?
あれ?
「どうしたの?私にみとれちゃった?」
「…君は誰だ?」
「…え?」
彼女はすっとんきょうな声をあげて固まった
そう、ぼうは彼女を知らない
人違いだろうか?
でもぼくの名前を呼んだよな…
それともぼくが忘れているだけか?
ぼくの友達にこんな可愛い子かいたかなぁ…
………あれ…?
…思い出せない…
この場合の思い出せないは彼女のことではなく、ぼくの友達に関してだ
確かぼくには友達がいた
見栄を張って言ってる訳じゃなく確かにいた
しかし、どうやってもその人が誰がどんな話をしたかが思い出せない
すごくもどかしい
もしかして、目の前の女の子はぼくの知り合いで、ぼくが忘れているだけなのでは?
「…えっと、君はぼくの友達…?」
彼女は少し戸惑っているように見える
こんな質問されたらそりゃそうなるわな
「どうしたの?私のこと忘れちゃったみたいな顔して」
「…うーん、本当に思い出せないんだよな…」
彼女はほほーんと呟きにやけた顔をした
「では問題です!」
「…え?」
「私はアユムの何でしょう!」
え~…
これ信じてないでしょ…
彼女も楽しそうに答えを待ってるよ…
まぁ、彼女とぼくの関係性は考える必要がある
友達に関する記憶を無くしたと考える以上、実質確実に知り合いと言えるのは目の前の女の子だ
「そうだな…
顔見知り程度で、この素直そうな子が冗談で問題を出すなんてことはしないだろうから、おそらくは友達以上だろう」
こっちは冗談ではないんだけど…
「おぉ…聡いねぇ…!」
「…当てたらどんな罰ゲームをしてもらおうか…、楽しみだなぁ」
ヒヒヒと悪どく笑って見せる
「ど、どどんなって!恋人じゃないのに!あ、あんなことやこんなことはダメだよー!」
両手をブンブン振って慌てふためいてる
「恋人ではないなら、やはり友達か」
「あ」
ちょっとカマを掛けていこうかとし始めたら、一瞬で引っ掛かった
チョロすぎやしないかこの子?
「じゃあ罰ゲームだな」
「えー!そんなルール決めてないー!」
「勝負はリスクを背負ってこそだぞ
敗者はそれをただ受け入れるだけさ」
「屁理屈じゃーん!」
屁理屈でもなんでも言い
このチャンスを物にするしかない!
「よし!罰ゲームとして…」
彼女が息を飲む
そしてぼくは力強く言いはなった
「とりあえず自己紹介をしてくれ!!」
沈黙がおきた
それから、ぼくはなんとか今の状況を説明したところ…
「う~ん、にわかには信じられないけど確かにアユムの様子はおかしいし…
うん、アユムのこと信じてみるよ」
なんていい子なんだ!
涙が出てきたじゃんか!
「私はアヤネ、16歳でアユムと同じ学校で同級生だよ
アユムとは幼馴染で小さい頃から良く遊んだんだよ~
好きな食べ物はアユムの作るおかず!
たまにアユムの家に押し掛けて食べに行くほどだね!」
友達だとは思ってたがまさかの幼馴染だったとは、ある意味ぼくの答えは不正解だったかもな
て言うかぼくの家に入り浸ってるのかこの子
それからアヤネにぼくの友人関係について色々聞いてみた
「どう?何か思い出した?」
「…いや、何も…ごめん…」
「そんな、謝らないで!」
それから学校につき、クラスの違うアヤネと別れて自分のクラスに入る
なんだこれ…
いつも通う教室に見慣れた風景
なのに、そこにいる人だけが誰かわからない
教室のドアを開けた音に反応して振り向く見知らぬクラスメイトたちに見られる、不気味としか言い様がない
この不気味な空間に胃の辺りがムカムカする
無理だ…
ここには居られない…
開けたドアをそのままにぼくは教室と逆の方向に走り出した
違う教室でチラッと見えたアヤネと一瞬目が合う
少し驚いたような顔をしてたが、そんなことはどうでもいいと目線を足元の方に向けて走り続ける
あっという間に家につき、家に飛び込んだ
「学校サボっちゃったな…」
玄関に座り込み、息を整えながら思考に溶け込む
ぼくはなんだ?
アユムだ
ごく普通の高校生だ
成績も運動も普通
帰宅部のエースとして平日は毎日部活動を怠っていない
いつから記憶がない?
おそらく今日だろう
でなければこんなに取り乱したりはしないはずだ
どんな記憶がない?
自分のとこは覚えてる
家のことや家族、通う学校に教室も覚えてた
しかし、それ以外の人物との記憶がない
友達どころではない
どこで誰とどう話したかが思い出せないのだ
人間関係だけが思い出せないギャップがぼくを蝕んだ
これはどうにかしないと…
これからどうする?
自然に思い出すだろうか?
こんなにも不安な気持ちで時間経過を待つのか?
ただじっと待つのは精神的に辛い
なら、ぼくにできることはあるか?
アヤネにぼくの人間関係を聞きまくり、思い出す又はどんな友人がいたかを覚えるか?
ダメだ、アヤネにだって知らないことぐらいあるだろうし
頼ってばかりも良くない
何か手がかりでもあれば…
俺を知っている人…
「…そういえば、この手紙」
ポケットに入ってる赤い封筒を開けて、もう一度中を見る
『キミのことを知っている
何でもだ、キミの秘密も
興味があるならば四谷病院に来てくれ』
今日忘れた記憶に今日届いた手紙
この手紙は本当にただのイタズラなのだろうか
タイミングが良すぎる
日付や時間指定もなくただ場所だけ指定されている
四谷病院
そこに何か手がかりがあるということなのか
スマホで四谷病院について調べてみる
するとあるニュースの記事が目についた
「四谷病院は二年前に潰れている?」
どうやら廃病院らしい
そんなとこに手がかりなんてあるのか?
当たり前だが四谷病院のサイトは止まっており、病院について詳しく知ることが出来なかった
これは実際に言ってみるしかないのか
「ははっ、アヤネのことチョロいとは言えないな」
自分から怪しいと思っているところに飛び込みに行くのだ
あんな言葉に踊らされているチョロいことよ
制服から私服に着替え、家を出る
すると、家の前にアヤネがいた
肩で息をしていることから、ぼくが走っていくのを見て、走って追いかけて来たのだろうと予測する
「アユム、本当に忘れちゃったんだね…」
「…ごめん…」
「だから、謝らないでって言ったでしょ?
私に協力できることがあるなら何でも言って?」
目頭が熱くなった
勝手に一人で逃げ出して、抱え込んで、塞ぎ込んでだぼくに唯一の光が差し込んだようだった
彼女には手紙のことを話そう
かくかくしかじかと
「なるほど、かくかくしかじかなのね」
物語においてとても便利な言葉で納得をするアヤネ
「私も一緒に行く」
「いいのか?
この手紙とても怪しいし、廃病院だなんて危なそうだ」
「それでも、アユムが心配だからね!」
これは意志が固そうだ
意外とアヤネは頑固な性格なのかもしれない
「じゃあ、行こうか」
ぼくたちは廃病院へと向かい出した
話の構成や登場人物は大体決まっているので、後は具体的な会話を煮詰めていきますね!