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変態メイドとおつかい



「ああっ!!お嬢様っ!お待ちくださいっ!怪我してしまったら旦那様になんと申せば……」

「むうぅ〜分かったから、ハナリア早く、早くっ!」

「グヘヘ……お嬢様、可愛すぎ」

「ん?ハナリア、なんか言った〜?」


 もうお天道様もお顔を隠しはじめてるけどメイドのハナリアと生産職街へお使いに行くの!武器とかを見るのはこう見えても好きだから楽しみだな~。

 今日は、ゴルギアルさんの鍛冶屋さんでロングソードの注文とミスリルの……えーっと、融け屑を1クラゲドル頼まれたんだっけ。

 王都にあるホイヘンス家……私たちの別宅の目の前にあるドクがゲロった大通り……じゃなかったレクシア通りの丁度曲り角ある『人魚のミイラ展示中!』と書いてあるお店が物凄い気になるけど、ハナリアが胸が大きいお姉さんを見つけた時のドクみたいな形相で追いかけてくるから逃げなきゃ。なんでだろ、本能的に逃げなきゃなって思っちゃった。


「グヘッへへッヘへ〜〜〜〜お嬢さまぁ〜、お待ちくださぁい〜」

「お、落ち着いてっ!ほ、ほらっ!もう着いたわよっ!!」

「あっ!お、お嬢様っ!髪の毛にゴミがついておられますっ!わ、私がとって差し上げますっ!!」

「ちょ、や、や、やめてぇえええええええーーーーーーーーーー!!」

「何やってんだ……」


 ハナリアの恐ろしい程の足の速さには勝てなかった。押し倒されて体を弄られてちゃった。

 ううっ、私は汚されてしまったのね……お嫁にいけないかもしれないわ。

 そんな中、半ば呆れ顔で現れたギルおじさんは私のお尻や栄養の足りない胸を触ってるハナリアを引き離してくれた。


「こんにちは!おじさん!!」

「おうっ!調子はどうだ?リムちゃん」

「ん!まあまあかな〜」


 ギルおじさんは会うときには必ず私に食べ物かお金をくれるの!だからって言う訳じゃ無いけど……おじさんの加治屋に行くのは楽しみの1つなんだ~。


「そうだ!今日はどんなご用件で?」

「え~っとね~今日は~」

「お嬢様、ロングソードは注文致しまして、融け屑1クラゲドルはご購入するごご予定でざいます・・・・・」

「そ、そう!今日は~ロングソードの注文と融け屑を買いに来たのっ!!」

「一人で言えて偉いね~じゃあ、そこにある椅子にでも座って待っててくれ。あと、ロングソードは後で俺が屋敷に持っていくで良いよね?」

「うん!!分かった」


 私がそういうとギルおじさんはニッコリ笑って工房の中に入っていちゃった……。ハナリアが私にピッタリとくっついて来るけど無視しよう。

 こういうのは反応しちゃったら負けだってドクが言ってた。胸とかお尻とかを触ったり、首筋とかを「クンクンッ」とか匂い嗅がれてるけど無視しないと……だめだよね?


「ちょっと、目を離した隙に何やってんだあんた」

「『あんた』とは失敬ね。私はリムお嬢様のお身体がご健康であるかを調べているだけで……それを、貴方みたいな『ゴリラ』に言われたくないわよ!」

「いくら、あんたみたいな綺麗なお姉さんでも限度があるぞ?」

「かかってきなさいよっ!貴方はどうせ猿みたいに発情して、はぁ、はぁ……私の豊満なおっぱいにしゃぶりつくのでしょう!!」


 あーいやだ、いやだ。大人の下品な会話。ドクがたまに平民のお友達と話している時みたい。

 ドクは私たち家族の一員なのっ!あんまり、平民の子とは喋ってほしくないんだけどな……。


「そ、それでは、お嬢様行きましょう!!」

「2度とくんな!エロ眼鏡!!」

「おじさん、ありがと~!」

「おう!リムちゃん『だけ』また来てくれよなっ!!」

「もう~、2人とも喧嘩しないのっ!」

「エヘヘ~リムちゃんが、そういうなら」

「お嬢様がおっしゃるなら……」


もうっ!二人とも喧嘩してばっか!

この二人、いっつもこんな感じ。

もうちょっと、仲良くしてくれたら良いのにな~って思う。


 私がギルおじさんと話していると、ハナリアが消え入るような声で言った。


「お嬢様、そろそろお屋敷の方へお戻りになったほうがよろしいかと」


 う~ん、もうちょっとおじさんと話をしていたかったけどお母さんも心配するだろうから帰らないと。


「おじさん、もう帰らないとお母さんが心配しちゃうから……」

「大丈夫だよ~おじさんのことはいいから早く帰りなさい。リムちゃんのお母さんのラナリア様は怒ると恐いから」


 確かにお母さんは恐い。怒って素手で窓硝子を割ったこともあるから……。


「じゃあね~!今日はありがとね~!」

「は~い、またね~!」


 帰るときに融け屑の代金と融け屑を交換する。


 おじさんに手を振ってお別れをする。その間ハナリアはずっと不機嫌だったけど。


「ハナリア~、もうちょっとギルおじさんと仲良く出来ないの~?」

「それだけは、いくらお嬢様の願いでも聞き入れることは出来ません」

「むぅ~仲良くしてよ~」


 私が頬を膨らませて残念がると横から「グヘッ!リム様、マジ天使」というなにやら不穏な事が聞こえたが聞かなかった事にしよう。


「じゃあ、ハナリア!お屋敷まで競争ねっ!」

「では、私が勝ったらリム様の頭をなでなでさせてもらうということで……」

「ごめんなさい。無理です」


「それじゃあ、よ~い――――ドンッ!!」



* * * * * * * * * *



「はぁ、はぁ……お嬢様早すぎます」

「ハナリアが遅いのっ!」

「いや、リム様が早すぎるんです……はぁ、はぁ」


 お屋敷の前で「はぁ、はぁ」言ってるハナリアを置いて、私はお屋敷の中へ入る。


『お帰りなさいませ』


 外にメイドさんが待っていて私が扉の前に立つと一礼して開けてくれる。中にはいるとメイドのみんなに一糸乱れない動きでお辞儀をされる。

 何だか、私が偉い人になった気分になる。エヘヘ、悪くないかも。


「ただいま!!」

「お帰りなさいませ、リム様。ハナリアが何かご迷惑をおかけいたしましたでしょうか?」

「ううん!むしろ、すんごぉ~い頼りになった!」

「それは、ハナリアもさぞかし喜ぶ事でしょう」

「帰ってきて直ぐにで悪いけど、お風呂は沸いてる?」

「勿論です」


 「ありがとう!じゃあ、私はお風呂に入ってるから着替え持ってきてね!」と言い残してお風呂に向かう。

 お風呂は本館にはなく別棟にあるから行くまで時間がかかると思う。


――ドクは何してるかな?

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