偉大なる「ガリガリ君」
私は最初は研究職だったのですが、なんか巡り巡ってなんだか良くわからない職を転々としてました。
ま、んなこたぁどうでも良いのですが、そのうちのマーケティング部門の話。
まあ、端的に言うとデータ集めて「戦略」を組み立てることです。
そして「戦略」といっても軍隊みたいなかっこ良いものではなく、登山で言うと、まあどっちの山に登る?程度のモノでしょうか。
で、そのなかのエピソード1
「僕たちは困難な中南米のXXのシェアを80%取ることに成功しました!誉めて!誉めて!」
てな奴がいたんですよ。
で、役員のまえで大風呂敷を広げるわけです。
得意の絶頂のイラッとくるドヤ顔でのたまうわけです。
こいつさんざんこちらが警告与えたのに、なんか姑息に上に取り入り、他の場所の数倍のお金をかけて立ち上げたわけですよ。
しかもこちらの作った資料を乱用し、誤用させ、「XXのニーズXX%『しか』ない」を周りの資料を組み立て直すことで「XXのニーズXX%『も』ある」。
最近の大衆を欺したいマスコミと同じ手法ですな。
老害というか今の50代特有の姑息というか、中身変えずに包装紙だけを変えればボクチャンは許されるという意識というか、なんか共通点ありますね。
そしてそれが問題なく通るという甘ったるい意識も。
で、ドヤ顔でのこの言い草、温厚な私でもブチッと切れてしまい、けちょんけちょんにしてしまい、奴が辞めるまではとっても恨まれました。
筋違いの恨みとかもこの年代特有なんですかね?
ま、私も50代なのですが。
何にせよ、その中南米のXX国とやらのシェア80%、他国に比べて2桁くらい小さな利益は数年前の立ち上げの時に予想できてたこと。
だって彼が何を叫ぼうと、中南米のXX国の人のお財布の中身は増えません。
彼のどんな情熱でも、数字は太刀打ちできない。
「数字は嘘はつかない」
いつでも嘘をついているのは、その数字をドヤ顔で解釈する奴、当たり前ですな。
エピソード2
アフリカ中央部。
実際行かないとどのようなところかは全くわかりません。
日本の開発援助で得た太陽電池が錆びて転がってました。
だって整備できる奴いないもの。
ヤマハの発電機がたくさん活躍してました。
普通の奥様が、スパナもって日本のガソリンスタンドのあんちゃんより上手にばらして整備できます。
コンセントないのに携帯電話は全員もってます。
充電屋がタバコ屋みたいな感じでそこら中にあります。
インターネットバンキングは日本人より使いこなしてます。
「グンマー」は思ったより魔法使いは多いです。
・スマホ
・ピックアップトラック
・バイク
・オーディオ
・MP3プレーヤー
・テレビ
・発電機
・洗濯機
・クーラー
・冷蔵庫
この国で若者が欲しがるモノ一覧。
冷蔵庫は最下位です。
当たり前ですな。
いままで何百年間も冷蔵庫なしで暮らしていた食生活を変える必要性はないです。
変えないのであれば面倒な冷蔵庫は必要ありません。
豆を冷蔵庫に入れる馬鹿はいません。
しかし現地で言われてみないと気づかないことでもあります。
我々の必要度とは全然違います。
イラクのように、日本人が一時的にたくさん居たら別だったかもしれません。
自衛隊の好感度が絶頂なのは、彼らの善行より「ガリガリ君」を常備していたからという説は伊達ではありません。
イラク人なら冷蔵庫を欲しがるかもしれません。
(持ってますが)
新しいモノは即座に心引かれますが、既存を書き換えなければならないモノは案外受け入れられない、でもほんのちょっとのきっかっけでその国の様相が変わる。
それが具体的に何か?
数字ではわからないものです。
まあ何にせよ、この2つで私は偉そうに講釈たれるつもりはありません。
そこらの「おまえは金持ちになれる」とか「勝つならおまえは謙虚になれ」「勝つならおまえは傲慢になれ」「NOと言え」「NOと言うな」とかいう本屋にならべてある頭の良い人が書いた詐欺本があるのに、頭の悪い私に何が言えましょうか。
ただ一つ
上で言う何かを述べましたがじゃあどうすりゃ良いの?
というものに答えは「ない」というところです。
数字の帳尻が合えばわかった気分になれるかというとそうでもなく、
現地に行けば数字を打破できるかというとそうでもなく、
結局便利な解決方法などないのです。
「やってみなければわかるまい」
という愚者が自分の意見を押し通す論理。
「やって駄目だったらどう責任取るんだ」
という一番無責任な奴がのたまう責任回避論理。
でも、突き詰めればどの事象も同じことです。
やるやらないは「やる気」「勘」「思惑」「責任」等で決めるべきで、上のような論理だけでは何も言ってないも同様です。
そして最悪なのは
「もっと慎重に」。
お茶を濁す以外何の役にも立たない意見、
慎重にならなくてすむように下らないエネルギーを消費するなら、それはどれくらいでしょうか?
シミュレーションゲームで、偵察だけで部隊を壊滅させた旧日本帝国海軍士官とかいたらしいです。
「慎重に」「慎重に」「慎重に」
全ての部隊が偵察部隊になって消えたそうです。
でも、そんな所業は実は誰もが笑えないこと。
大なり小なり、似たようなことは誰もが絶対にしているのです。
成功していれば反省はしないでしょうが。
失敗しても、それ以外の選択肢選んでも反省すべき点があるとは気がつかないでしょうし。
大英帝国の構築は、中身をほっぽり出し、上の3つの意見が中身なしにせめぎ合い、意図したモノと違う結果が多発していたのが英国です。
いまもそれが続いているでしょうか?
自分の思惑も意思もほっぽり出し、選挙に丸投げし、選挙の結果に更にいちゃもんつけ、自分たちの意図でなかったという無責任さでEU脱退を決めた英国はあまり変わってないかもしれません。
もっとも、英国のEU離脱は長期的には悪くないと思うんですけどね。
その「覚悟なし」のみっともなさを別にすれば。
スペイン人のように「スペイン人が一番嫌いなのはスペイン人」というような反省の欠片も見せず、「ポカホンタス」という恥知らずな物語をつくる、英国らしいと言えば英国らしい所業です。
産業革命後のインド経営、中国への対処はそんな感じで進みます。
東インド会社、資本が足りずに、誰も理解されずに窮窮の状態で合資会社から始めたもの。
現地で心中覚悟!いきなり本番一発勝負でなけなしの船をインドに派遣します。
一発勝負の調整なし!
彼らは賭に勝ちました。
その賭に勝っても強者である日本人やタイ人にいぢめられ、フランスやオランダとまるでヤクザやマフィアの抗争のように骨肉の争い、血を滲ませて作り上げました。
しかし苦労しただけあって、成功は大企業の創始者の企業話のようにかっこ良くてスマートです。
そして創始者の企業話は嘘八百でしょうが、東インド会社は本物です。
皆が奪い、欺して得ているものを、東インド会社は誰もがWin-Winとなる仕組みから一生懸命考え、インド人が率先して協力するような体制を作り上げました。
オランダ人も、フランス人にも出来なかったこと。
ある権力者が美味しいケーキを食べたければ、それは奪うだけでは駄目なのです。
奪われるとわかっていて率先して新しいレシピをつくる料理人はいません。
誉められるとわかっているからつくるのです。
昔のモンゴル人がオアシス国家に投資したように、イギリスはインドに投資し、成功し、そしてかってないほどの利潤を上げて勝ちました。
しかし、そのビジネスモデルが通用する期間は短かった。
というか、産業革命がおこり、今までのありとあらゆる商品の値札が書き換えられました。
綿織物は、インド名物ではなく、イギリスの特産品になったのです。
煉瓦やガラスはイスラム圏や北アフリカの特産品ではなく、イギリスの特産品になりました。
肥料をばんばん作るようになり、その肥料で作った小麦もフランスの特産品です。
今までの商品価格より一桁も二桁も下げてです。
なにしろ機械に石炭くべて、材料セットして、安い女子供をつかって機械を操作させ、できた商品を梱包し、運び、出荷するだけ。
職人は必要ありません。
インドが勝てるのは、味がある、こってる、丁寧、まあ日本の農業とか手作り品とか、機能無視してプレミアついた時計とかで良く聞く話です。
ちなみにブランド好きなら、そのブランド会社に就職してはいけません。
私はシステム屋だったとき、名だたるブランドに出入りし、生産システムや物流システムの一貫で勉強しましたが「それ島村より安普請や!」と思ってしまったブランド多数。
ガッカリ感が大きくなるブランドは結構あります。
そして正直、社会主義が出てくるまでは工場従事者、労働者は奴隷以下と言えるほど搾取されます。
それは以前話したとおり、経営者も切実なのです。
インターネット、通販でサービス業、小売業、スーパーマーケット、大店舗、効率良いほど人に優しくない仕事になります。
Amazonが一人勝ち気味なのはとっても単純。
購入者はブラウザのURLを書き換えるだけで、Googleの上から下を嘗めるだけで購入先を変更できます。
そこまでになってもAmazonが危ういのも単純な理屈。
Amazonよりお得な業者が出来たらたちまちそこに乗り換えるのは当たり前。
#昔、検索サイトと言えばYahoo!だったのを
まだ覚えている方はいるでしょうか?
A工場は、同じ商品を作っている競合のB工場より一円安くつくれたら、上ほど極端ではないですがB工場を潰すことが出来ます。
B工場の注文を奪い、倍の労働者を雇って生産すれば良い話。
一円でも安くできるならば労働条件を悪くする誘惑に簡単に堕ちるでしょう。
どころか、優しい経営者が労働条件を良くして一円でも高くしたら、その工場は潰れます。
労働者は路頭に迷い、工場に投資する額を考えれば経営者は首くくることにもなりかねません。
ちまたに言われる大英帝国の悪口は、こういう背景から始まります。
そもそも、煤煙と発がん物質に覆われて毎年数万人死亡したかもしれないロンドンからして不幸の塊なのです。
オーバーオールを着た煙突掃除の男の子は、18歳まで生きれればとってもラッキーでした。
イギリス人は大英帝国を嫌いませんが、成功者以外はあまり幸福を受け取ってません。
最初に大英帝国を忌み嫌ったのはアイルランド。
元々毛皮と小麦が特産。
彼らは大英帝国に強制されて...実は経営者が原因なのですが...コットンの生産、ジャガイモの生産に変わりました。
そしてジャガイモ飢饉が発生したとき、飢えているアイルランド人の目の前でジャガイモは運ばれ、他国へ輸出されます。
そりゃ怒り狂います。
でも、ジャガイモを運ぶ輸送業者や作業者に言われてもね。
経営者も、首くくらなければならないよりは、目を瞑って契約書に書いてある数のジャガイモを揃えることを優先するでしょう。
かくしてIRAが生まれ、イギリス野郎に恨み骨髄な訳です。
そしてイギリス人的にも、何も契約をやぶってないしPaddy野郎が自業自得を棚に上げ、俺らに脅迫するのは何事ぞ。
ロンドンッ子も同じく不幸な気もしますが、アイルランドッ子はそんな意識は知ったこっちゃないですしね。
。。。どっちが悪いと思います??
インドも似たようなことが起こります。
蜜月だった東インド会社は、結果論としてインド人を裏切ります。
たくさん購入してくれた布製品、産業革命後はその2桁も3桁も安いコットンを買わされることになります。
イギリス人的には「嫌なら買わなきゃ良いじゃん」と思いつつ、恨まれていることを自覚しつつ、後ろめたさを知りつつ。
ムガール帝国は失業者だらけ。
英国人的には、勝手に期待されて迷惑と思いつつ、やっちゃった感を自覚しつつ。
まだまだ後ろめたさがあったのか、英国頑張ったんですよ?
インド人をイギリス人と同等な権利を与えつつ、教育を与えつつ、産業革命をインドに広め、一緒に富もうよ的な感じで。
実際、ガンジー、孫文じゃないですけど、アジアの独立に活躍したインドの知識人はたくさんいます。
イギリス人を恨むのもわかるけど、一方ではその原動力はまずイギリス人が与えたという考え方もあります。
そしてインド人の自業自得は、アイルランドのそれより激しいです。
ヒンズー社会の最下層級層が、一番被害を受け、飢えましたがそこらへんはカースト制度の存在も大きいです。
『触れるべからざるもの』として忌避されてきた人達が飢えました。
イギリス人はそれなりみんなを救おうとしたのです。
「アウトカーストの人たちも、同じく大英帝国の臣民である」
叫び続けたのはイギリス人達です。
その直後に、インド人を人間大砲にして虐殺したのですが。
産業革命の二面性を良く現してます。
そして、東インド会社頑張ります。
新しいビジネスモデルをつくってみんな幸せになろう!
英国も、インドも、中国にとって弱者です。
金銀も一方的な持ち出し。
中国のお茶が欲しい、金属が欲しい、いろいろあってどんどん持ち出し。
実は日本や中国は産業革命ほどではありませんが技術が起こると同様、貿易が起こると同様なことが起こるといち早く気づき、対処しました。
大英帝国と違って、中国は皇帝、日本は将軍、判断したのは経営者ではありません。
こまった民衆を助けるためなら鎖国もやむなし。
商人がいくら文句言おうと、一声で鎖国に出来ます。
結果論としてはみんな感謝しました。
しかし大英帝国は無理。
経営者、民衆、政府、誰が判断するのでしょうか?
鎖国したら、その失う財産補償してくれる?
インド、1858年までは大英帝国ではない、は東インド会社と組んで「率先して」対中国対策、対産業革命対策に変わる新しい商品として阿片を増産します。
ちなみに、この時代は麻薬取締法で捕まるような悪の薬ではないですからね?
タバコと同適度の娯楽です。
アヘンの発見者は女神デメテル、ギリシャ時代から鎮痛剤、睡眠剤として重用されてました。
20世紀初頭までは民間療法の薬剤として用いられて、今のヘロインの原料「人間辞めますか」な悪の薬ではありません。
人手や手間もかなりかかる。その割に得られる量はごく僅か、1kg のアヘンを得るのに、ケシの実が約2000本も必要な貴重なこの薬は産業革命後の隙間産業としてよく考えた商品と思います。
現代の「麻薬」という要素がなければ。
ちなみに日本でも「ツガル」というケシの俗称で売られてました。
歌舞伎『富岡恋山開』
「新右衛門、それでおれが、月々呑まそうと思って、伝手を頼んで、津軽のお座敷で所望した一粒金丹」
江戸市中で売られていた貴重な薬。
1912年にはハーグ阿片条約が結ばれるまで、それは高価な薬剤、嗜好品でしかなかったのです。
アヘン戦争がおこった1840年から70年以上も「悪の薬」ではありません。
中国が怒ったのは、鎖国を守らないことだけだったりします。
ただの貿易問題。
ただ一点。
中国人はさすがに科学が発達してました。
他国が経口薬として使用していた阿片、中国人だけはもっと効率的な使い方を知ってました。
喫煙によるアヘンの摂取は脳中枢系に集中的に吸収され、しかも速効性。
経口で腸管吸収を経て、遅効性であると思い込んでいた他国とちょっと違ったのです。
アヘンの乱用で深刻な社会問題にいたるのは中国だけでした。
そういう他国の認識の違い、現地行かなければわからないこと、現地の都合と本国との乖離、労働者、経営者、それらによって職を奪われた失業者、金銭という数字だけを取り扱っている連中、それぞれの思惑は違い、そして事が起こるまで事態の深刻さはわからない。
ヨーロッパの戦果が飛び火した、植民地戦争、代理戦争、いろいろ言われていますが、実はそういう立場ではありません。
経済戦争とも言うべき、各々の立場が全くわからない原因で起こった全く新しい戦争形態だったりします。
産業革命が起こるまではなかった戦争。
アイルランド、インド、中国、産業革命の恩恵、苦しみを味わった場所から順番に反乱/戦争が始まります。
大英帝国が幸せな時期というのは相変わらずありません。
苦しい時代が続きます。
その苦しさは世界を巻き込み始めます。
最近?ではナタデココや海老、ワインとかで似たようなことが起こってます。
日本人は責任を持って俺らを飼え的なことを商社や政府が言われて頭抱えてました。
一方では、整備料とか保守料とかまで置いて、搾取され、錆るだけの太陽電池を置いていくバカで欺しやすい日本人とかバカにしながらね。
その馬鹿なはずの日本人も、それを置いていった業者は実は中抜きしそうなることがわかってて面倒内容にとんずらしただけだったり。
今でも未だにいろいろありますね。
納税者が欺されたとも、それを作っている労働者、経営者を考えても素直に言えないでしょうし。




