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人間の歴史。  作者: TAK
近世ヨーロッパ
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貿易戦争勃発!!

なんか日本に随分と章をさいてしまいました。

まあ、これ以降世界史の舞台は300年後まで出ないので良いでしょう。

世界がキリキリ舞している間、日本はのんべんだらりと自堕落に過ごしています。

その間は大火山、大洪水、飢饉、いろいろありましたが他国よりましでしょう。

だらだらだらだらと平和を享受し、芸術、金融、商店、ギャンブル、宗教、現代に続くいろいろな商品、しかも日本だけでなく他国まで影響するものを作りながらいろいろやってます。

富くじ、割札、先物買い、信用取引、ローカルマネー、旅行代理店、活き作り、ゆたんぽ、面白いモノたくさん。

あと現代でも続く老舗は江戸時代からが多いです。

そういうの探してみるのは面白いです。

もちろん三菱とかの歴史とか。





そんな中、世界では1600年代は大荒れに荒れています。


焦点はインド洋。

世界中の富を何倍にする舞台がこちらになりました。

中世から商業はどんどん伸長しているのですが、とうとう国の勢力を差異するほどの巨大産業に育ちました。

食糧増産による余剰人口増加も含め、世界のほぼ全てが一次産業という状態がなくなったのです。


インド洋は一攫千金を狙う金の亡者共、あるいはその金を奪う盗賊共が跳梁跋扈する、文字通りのレッドオーシャンと化しました。



ちなみに次点は大西洋。

もっともこちらは世界と言うよりヨーロッパだけですが。


規模は小さいモノの、こちらはより直接的な金銀財宝とそれを奪う海賊たち。

本当は倭寇と呼ばれる方が規模が大きく質悪かったのですが、ヨーロッパ文学のおかげ、あるいは日本のコミック「ワンピース」のおかげでこちらの方が有名になってしまいましたね。


フランソワ・ロロネー、 ヘンリー・モーガン、 サミュエル・ベラミー、 エドワード・イングランド、 ウィリアム・キッド、 "黒髭"エドワード・ティーチ、 アン・ボニー、 バーソロミュー・ロバーツ、 エドワード・ロー


ちょっと名前を変えるだけで少年ジャンプに出てきたような名前になります。

全部実在の人物。

想像よりしょぼいし、あんま強くないのですが、まあ物語は物語として野暮はよしましょうか。






とにかく、インド洋(次点は大西洋)のおかげで世界中の富が激増します。

なぜって?

そりゃモノは場所を移すだけで価値が上がるのです。(=富が増える)


中国で採れるお茶が、イギリスで何倍も富になります。


東南アジアでとれる胡椒が、フランスでは何倍の値段で取引されます。


アフリカで奴隷という有効な資源が世界中に売りに出されます。


インドではただの雑草「ケシ」が、何倍の値段で取引されます。(要するに麻薬ですが。)


どころかセルベラ・オドラムとか、近づいては駄目な価値マイナスな植物さえお金になります。

ベラドンナとともにヨーロッパ中で暗殺が流行ったとき。


日本でたくさん採れる金銀を、中国に持って行ったら何倍も価値になります。

とくに中国は銀が不足で貨幣が生産できなくなり、デフレ気味になってましたから。



こういう感じで世界の富は量も増えていないのに底上げされました。




一番の取引は香辛料でしょうか。

東南アジアとインドが主流。


南インド、東南アジアで採れる香辛料スパイスは現地では大して役に立ちませんが、各国では何倍もの値段で取引されます。


胡椒こしょう丁字ちょうじ肉桂シナモン、ナツメグ、カルダモン、ジンジャー


そしてなぜかヨーロッパでは何倍どころか何百倍の価値になります。


後から、


「肉を胡椒漬けにしても大して保存期間は増えないんじゃね?」


とかいわれて、「あんなに巨額なお金を流通させて、塩漬けの方が効果あるのかよ!」とか思いましたが、まあプラシーボ効果と味覚の問題で良しとしましょうか。


おいしい商売相手としてもヨーロッパが蛮族から文明人の取引相手に昇格した理由でもあります。

お金出してくれるんなら賞賛はいくらでもしたくなるもんだ。



何にせよ、東南アジア、南アジア、太平洋の各諸島に各国いろいろな商館を建てるほど価値ある地域になります。

日本もアユタヤ日本人町が有名ですね。

いろいろやってます。


ついで、

インドでは綿織物が特産品ですかね。

このおかげでイギリス人に虐殺される不幸が舞い込みますが。





イスラム圏では何と言っても織物


エジプトの亜麻布、クーファやシーラーズの絹織物、ペルシアやアルメニアの絨毯。


ペルシア絨毯はいまでも高額で、投資対象にさえなっている貴重品ですね。

私は学生時代バックパッカーでアジアを歩き回り、最後にペルシアで買い付けてお土産にしたら、半年分の旅費が賄えるほど大儲け出来ました。

今は現地人とのコミュニケーション能力、目利き、マルチリンガルと言うだけで、あとの安全、輸送は考えなくても儲けられるので便利な世の中です。


あと馬。

今のサラブレッドとか「アラビア馬」を元に品種改良したモノ。

ラピスラズリ、宝石各種。加工業、工芸品。世界中がほしがるモノがこちらに集まってます。


意外にお金になるのは宗教。


世界中のイスラム教徒をイスラムに巡礼させるだけで大儲け。

多角的な観光商売の先祖ですね。


関係ないですが日本のお伊勢参り、東海道五十三次も巨大な観光産業のご先祖様です。

旅行代理店、ガイド、富くじ、オプションパック(演芸とか芸能人、スポーツ選手と旅行とか)、お土産の輸送パック、ローカルマネー、ポイント制度とか。





日本は金銀財宝、絹、そしてなんたって日本刀、銃、大砲。

当時は世界最強だけあって武器輸出国です。

特に日本刀は揺れる船内の武器としては優れたモノでした。

鉄を斬る鉄の刀。

世界的に有名になった理由は倭寇という世界の害悪だった奴らが使っていたことと、その自衛のために中国人が大量輸入したこと。

あと、火山国ということで中国の金融市場をコントロールできるほど比重の高い鉱物を持っていたので、当時の超大国ともいえましょう。

お金持ちは強い!






中国はお茶が有名でしたが、ある意味、現代の米国「ドル」というか、世界の貨幣価値を一手に握っていた金融国家でもあります。

世界ナンバー1。

世界中の富が集まる場所。

超大型2000tの船を皮切りに、大量生産500トン、300トンのジャンク船が行き交うところ。


いろいろな特産物がありますし、世界中の特産品が集まるので、それを再び売るような三角貿易もしています。

お茶、絹、細工物、陶磁器、茶器、各種優れた加工品も輸出。


意外にも最大の輸出品はお金そのもの。

銅貨、宋銭。


日本最初の貨幣が和同開珎だとか言ってますが、その前にとっくに宋銭が大量流通してます。

他地域も含めて。


あと銀錠と呼ばれる国際通貨。

貿易には一番信用される銀錠という通貨。


奴隷は特産品ではないのに女性が特産品ってどうなんでしょうね?

中国美人はいつでもどこでも需要があると言うことで。





一応イスラム圏ですが地中海側はレモン、メロン、綿花、パピルス、サトウキビ。

特殊な果実、農産物がとっても重宝されてました。

特にレモンはイギリス海軍のことを「ライミ-」とあだ名にするほど船乗りにメジャーで需要があり、気楽なビタミン摂取方法として有名でした。





アフリカはイスラムが作った港湾都市ベジャイア、アルジェ、オランを中心に金、コーヒー。

すでに世界中で飲まれている嗜好品。

あと奴隷。

アフリカの王様は人を売ることは躊躇ないようで。





東ヨーロッパはヴェネツィアン・グラスといった加工品を筆頭に、工芸品がすごいです。

ヴィザンチンがなくなっても、北ヨーロッパからイスラムまでの通り道は価値ある工芸品でいっぱい。

東ヨーロッパは当時は世界最大の工業国だったりします。

ついでのように蜜蝋や毛皮とかも。





西ヨーロッパは毛皮、奴隷、羊毛、意外なことにサトウキビ。

サトウキビは南太平洋原産ですが、地中海沿岸でもよく育つようで。

あと奴隷か~。

ヨーロッパ内部では奴隷はいない、農奴は奴隷より立派とか言う人いましたが、対外的には普通に売ってたんですね。

なんだかねぇ。


そして西ヨーロッパのおかげで巻き込まれたアメリカ大陸からは、


たばこ、奴隷、ケツァールの羽、カカオ、トウモロコシ、ジャガイモ、キャッサバ、サツマイモ、トマト、カボチャ、落花生、トウガラシ、カカオ、タバコ、ゴム


どれもあんま価値ないです。

あえていえば奴隷ですが、ヨーロッパ人、いろいろな意味で殺し尽くしたので、末期はむしろアフリカ奴隷を輸入することになります。


あとなぜか金銀財宝。

決して特産品ではないのですが、インカ帝国その他王族から奪い取った工芸品。

大西洋のそこに沈んでいる海賊の宝とか彼らの涙の産物。


あ、エメラルドは特産品です。一応。





そんな感じで世界の特産品がインド洋で運ばれ、運ばれた先で富が倍増どころか何百倍の価値になって世界中の富を増やしています。


そしてすでに気づいてるでしょうが、、西ヨーロッパ(+アメリカ大陸)が一方的に持ち出しになる悲しい立場です。

さすがに蛮族とは言われなくなりましたが、ヨーロッパの不幸はまだまだ続くのです。



そして世界中の商人が競争し、欺し、殺し合いながらその富を手に入れようと思いました。

日本で伝説になった「倭寇」。アユタヤで恐れられる日本人、アラビアの「千夜一夜物語」、ヨーロッパの冒険者、海賊たち。

伝説になったのは最後のヨーロッパ人から立脚しているので偏っていますが

一番活躍していないヨーロッパであれですから、当然ほかの国々もいろいろやってます。

そして順繰りに疲れて活躍をやめていく...


そんな物語を次回に。

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