全てはアメリカから
近世といってもヨーロッパの不利は相変わらず変わりません。
人口少、金なし、武力なし、衛生最悪、治安もひどい。
イスラムの文明、技術、お金が入ってきても、一定数超えれば疫病が蔓延、餓死おこり、戦争ごっこでお金も貯まらない、お金が貯まっても買うものないですし。
そんな閉塞感がもたらしたものでしょうか。
この時代は「大航海時代」と呼ばれます。
東はイスラムかタタール。西は大西洋、南もイスラムかアフリカ、北はヴァイキング、ヨーロッパはどこにも行くことはできません。
お金を投資しても何も発展しないで食いつぶすだけ。
ヨーロッパは内部で蠢いてもなにもいいことない、ならば外に!
大西洋に乗り出すことにしたのです。
当時の状況は、とにかく陸運も海運も、中心はイスラムと中国。
ジェノバやヴェネティアもこの二国を中心の航路で商売をしていました。
ヨーロッパ交易はイタリア半島からシリア、シリアから短い距離を陸送してから紅海-インド洋へ。
ここを通りたくないキリスト教国だと四苦八苦です。
イスラム教徒的には
「お金になるなら手伝うし、お金払わないのならばほっとくし、ご自由に」
という感じ。
そんな状態を打破しようとしたのはポルトガルです。
1488年にアフリカ南端に最初に到達したのがバルトロメウ=ディアス。
彼はあまりにも嬉しかったので喜望峰と名付けました。
信心深いキリスト教徒はヴェネティアではなくポルトガルを通すべし、そして喜望峰で外国船を見かけたら打ち壊せ!
ポルトガルは喜望峰回りのインド、中国貿易を独占しました。
まあまあ儲けたそうです。
しかし「まあまあ」程度。
そもそもヨーロッパは、既にジェノバやヴェネティアのアラビア陸路を経由した海路があったのです。
途中でイスラムに搾取されるにせよ、喜望峰回りはアフリカ一周は遠いし、ポルトガルも欲の皮つぱって既存価格を据え置きしてあまり独占を有効活用せず、単に航路が一つ増えた程度に納まりました。
既存航路と比べてもたいしてうれしくない喜望峰回り。
しかもポルトガル野郎が独占。
そんななかスペイン国王に持ちかけたジェノバの若僧「クリストファーコロンブス」が
「俺は新しいインド航路知ってるぜ!」
とスペイン国王に持ちかけます。
もちろん嘘でした。
1492年10月11日、よくある物語のとおり~彼が思ってたインドではなく~アメリカ大陸につきました。
自分が生涯、到着した場所がアメリカ大陸ではなくアジアと思っていたらしいですが。
結局、アメリカ大陸はコロンブスの大陸「コロンビア大陸」と呼ばれず、アメリゴ・ヴェスプッチの「アメリカ大陸」と呼ばれるようになります。
まあコロンブスだけでなく、上記のメンバの誰もが図々しいんですけどね。
人類で初めてアメリカ大陸発見って、じゃあ既に住んでいるインディアンって人類ちゃうんか?
とか
ヨーロッパ人ではじめて発見、とか キリスト教徒が初めて発見、とかも、当時の典型的なヨーロッパ人よりよほど文明が発達していた北欧人~小さなバイキングのビッケってテレビで昔やってましたね~が10世紀に辿りついてますしね。
現実問題として、コロンブスの船はイスラム圏や中国がが使用していた排水量の1/4という小さい船。
すでにその数百年前にイスラム圏では南極大陸や南米の地図を持っていたりします。
イスラムが進出しなかったのは、すでにインド/中国貿易のほうがよほど旨みがあり、そんなのいらなかっただけが現実だったりします。
喜望峰にもとっくに辿り着いてます。
アフリカの西側に手を出さなかったのも、アメリカ大陸に手を出さなかったのもお金にならなかったから。
南太平洋、ポリネシア人もすでに貿易してました。
エスキモー(イヌイット)も北極圏やアラスカを通してユーラシア大陸と行き来してます。
中国もコロンブスの80年前発見となってます。
ちなみにアフリカ人も中東とのつきあいで、ヨーロッパ人よりよほど大きな船と港を持ってます。
なんか西欧の教科書は、「大航海時代」はヨーロッパ人だけが世界を広げていたという雰囲気醸し出してますが、現実はむしろびっくりするほどビリッ尻ランナーという感じです。
しかも民衆のモラルって農業や商業で育つってのも多かったりします。
村で自分の立ち位置を決めみなで協力して村を盛り上げ、とか、真心こめて商売する方が長期的にはうまく行くのが商売、とか、そんな延長で社会性が育つと。
それが長らく蛮族で一次産業しか知らない、その一次産業も猫額だわ、荒地だわ、奪う方が楽とか山賊跳梁跋扈とか。
そんな蛮族が一気に農耕や牧畜のレベルを通り越して商業を手に入れます。
集団意識が育つ前に海洋国家、船舶による貿易行う、など基地外に刃物を渡したようなものです。
実際、めちゃくちゃになりました。
商売人を思い浮かべるとわかりますが、無尽蔵に欲望は肥大します。
アメリカが一番戦争を経験しているは、ロビイストという血塗られた献金者がお金が欲しいという理由で足を突っ込ませらとかが良くある例。
そして当時の資本家は海賊か?というほどの野蛮人
手つかみで食事する不潔な連中。それに欲望をひっつけると当時のヨーロッパ人となります。
いきなりアンモラルに、無制限に欲は肥大化していき、世界中を奈落の底に落とした理由が良くわかります。
そもそも自分が辿り着いたところがアメリカであると思わなかったコロンブスも散々な目にあってます。
投資を募ったものからは罪人あつかい、役立たずの地、持ってきたのは汚い葉っぱと梅毒のみ、騙しやがって!
#まあ汚い葉っぱは「タバコ」といって
あとで皆さんお世話になるんですけどね。
彼らの仲間も何としてでも財宝を手に入れようと現地の原住民を脅しまくります。
「決められた額の金塊を持ってこないと手首を切り落とすぞ!」
ひでぇ。
別に金がたくさん採れる地でもないのにね。
一応キリスト教徒の総本山でもあるので、その非道さをスペイン王家は咎めますが、スペイン軍が積極的にマンハントにいそしんでいたりするので効果はあんまなし。
尤も、いろいろな物語では数百人のヨーロッパ人が数万人の現地人を虐殺したとか言われますが、それは大いなる間違いです。
というか、別にマスケットって特別強いわけでもなし、ヨーロッパ人が当時戦争強かったわけでもなし。
普通に投槍で虐殺されたりとか、弓で射殺されたりしてます。
別に一方的でもないです。
しかし、コロンブスが上陸した6年後、アメリカ大陸の人口は1/3に減りました。
天然痘やペストを持ち込んだ不潔な連中。
アメリカを徹底的に殺したのは、不潔なヨーロッパ人そのものの生物兵器でした。
次に有名な連中は年にアステカ王国を侵略したコルテスでしょうか。
まあ、アステカ王国は、周辺に迷惑をかけまくった軍事国家でしたのでどっちもどっちというところでしょうが。
鎧袖一触、楽に征服出来たとありますが、スペイン人、結構戦死者多いです。
やはり自らを生物兵器とした疫病で政府を壊滅状態にしたのが大きいでしょう。
インカ帝国を征服したのはピサロ。
こちらも鎧袖一触というように後世に残していますが、苦労してますね。やっぱり疫病で人口激減が大きい。
とにかく富を手に入れるため、スペイン人はそこら中に航海を挑みます。
アメリカ大陸だけでなく、フィリピンと言った太平洋の島々まで。
悪魔のような彼らが上陸して、アメリカ大陸のありとあらゆる国家が滅亡します。
中国とイスラムで発明された武器、戦術を使って。
ま、たいしたことなかったんですけど。
どちらかというと最終兵器 自らが疫病流行らせる生物兵器で滅ぼすと。
インカ、アステカ、、マヤ(の末裔)、初代アメリカ合衆国(今でいうインディアン、実は現在の合衆国の連邦制度はインディアンのまとまり方を参考にしています)
ありとあらゆる国家が壊滅状態になりました。
個人として大いなる富をもたらし、金銀財宝、奴隷を得て蓄財しそれが更にモチベーションとなって次なるレコンキスタ(征服者)が続きます。
アメリカ大陸は南北で次々と厄災は広まっていったのでした。
しかしながら結果を見ると、たしかに文明国であるイスラムや中国が手を出さなかった理由はわかります。
これでヨーロッパが繁栄したかというと大いなる疑問で、結局目的であるまともな香辛料は大した量ではなく、金銀財宝は確かにあったのですが、別に生活必需品ではない貴金属は、単純に金銀の価値が下がって国家としての富をもたらしたわけではなく、むしろ海賊が跳梁跋扈の原因となり、ろくでもない暴力者を増やしただけ。
結局、文明としてのヨーロッパはアメリカからほとんど何も受け取れませんでした。
「たばこ」「梅毒」「麻薬」
コロンブスが持ってきたのは悪徳のみというのは正しいでしょうね。
当時のヨーロッパにとってのアメリカ大陸は悪徳と麻薬と性病を運んできたろくでもない地という 印象でした。
しかし、後のヨーロッパ繁栄を形作った種は次々とまかれていきます。
イスラムから積極的に船舶技術を得るきっかけ。
レコンキスタというろくでもない連中は少しづつ戦術という科学を手に入れ始めます。
だが何よりの恩恵は、中東にとってのインド、中国にとってのモンゴル、あるいはアフリカにとっての
サハラというべきフロンティアを見つけたことでしょうか。
いつでもフロンティアは発展を促します。
それに賭けた連中の9割以上は死だとしても、その時代にとっては家族を亡くす原因となる地かもしれませんが、ヨーロッパという文明にとっては刺激を与え、動くきっかけとなったのです。
しかもそのフロンティアは大西洋という「海」の障害物です。
まだ陸運と海運、どちらが富をもたらすかというと当時の人は首をかしげて答えられないでしょう。
しかし将来、海運の輸送費は陸運の1/50になり、アメリカがベトナムにはるばる兵を送るコストはソ連が短い距離を陸続きでアフガニスタンに送るコストの数分の一、海を自由に使える海洋国家という方向性が開けていきます。
尤も、本当にアメリカ大陸がヨーロッパ人に最大の恩恵を与えたのは「じゃがいも」です。
ヨーロッパの南部以外ろくな作物が採れなかった地、東洋やイスラムの大都市に比べてせいぜい万単位の都市だけ。
ヨーロッパが文明を手に入れる最初の一歩だったかもしれません。
ドイツ料理、イギリス料理がジャガイモとソーセージであること自体、その前の文明など神話程度になるくらい恩恵をもたらしていない証拠だったりします。
アメリカ大陸は、それが中国人だろうが、日本人だろうが、インド人だろうが、イスラム人だろうが、アフリカ人だろうが大して貴重なものではないかもしれません。
別に主食に困っているわけでもなし、中世を十分楽しんでいました。
ヨーロッパだけがアメリカ大陸を有効活用できたのです。
そしてこれ以降のシンデレラなお城、貞淑なお姫様、フォークやナイフ、パスタ、かっこいい騎士、伝統ある町並み、他国に後んじてようやく伝統やら歴史やらが手に入るようになります。




