精神世界での結び付き
さて、そろそろ古代も終わらして中世を描きたいのですが、その前に残りの世界をさらっと描きましょう。
ちなみにアメリカ大陸はオルメカ文明の延長なのかテオティワカンがメキシコ湾とかにあります。
ピラミッドとかつくってます。
が、それくらいしかわからないので端折ります。
<インド>
インドは古代史以前は人類第二の発祥の地というかんじですが、一番肥沃なわけでもなく、発達しやすい場所でもなく中途半端な位置づけです。
そしてその後は古代~中世~近世までは一貫として西洋と東洋の通り道。
古代以前は中東と同様な衛星都市、東洋への経由地。
ローマが貿易を始めると、海運の中継地&避難地。
中世はご主人様が「元」とか「イスラム」になりますが同様。
近世になるとイギリス人の中国貿易の赤字解消のためのマネーロンダリングというかマネークリアリングというかお茶→綿花→大麻の三角貿易の中心地
なので世界4大文明と言われるわりに表舞台に立つことはとっても少ない。
さて、そんなインドを過去に遡って、
世界4大文明ともてはやされるインダス文明と呼ばれるものは、紀元前2000年頃に滅亡しています。
埋葬もされていない人骨が多数発見されていたため、アーリア人といった侵入者から虐殺されたとか、気候の変動により砂漠化が進んだとか、インダス川の流れが変わって貿易が上手くいかなくなったとか諸説はっきりしません。
まあ都市文明が滅ぶ時もそんなものですし、そんなものと位置づけましょう。
中東からはみ出してきた植民地を現地人が盛り上げただけの文明と考えれば、中途半端で、都市の規模も中規模、暮らしにくくなればさっさと中東に戻るだけ ...短命なのは当たり前なのかもしれません。
その短命な国家の一旦空白が生じた後、紀元前1800年ごとにアーリア人が西北から侵入し、ガンジス川流域に稲作を普及させました。
その後、人口が増大し、16の国が争う地となり、マガダ国マウリア朝が統一して北インドを統一しました。
しかし、紀元前317年頃建国され、紀元前2世紀初頭にまた分裂して滅びました。
しょっちゅう中途半端に勃興するのは、北インド統一と名をうちつつ都市国家と実情は変わらないからでしょうか?
あるいは普通に弱いとか。
その後の帝国は紀元前2世紀に匈奴に圧迫されて移動を開始した遊牧民「月氏」がバクトリアに定着し、その一番強大だった貴霜翕侯がインド北部で出来ます。
#また遊牧民
同時期に中央インドではサータヴァーハナ朝が起きます。
#こちらは出自がはっきりしない
どちらもバラモン教、仏教等の宗教が流行し、ローマとの貿易で富を得ていました。
中国-ローマの橋渡しで、邪魔者がパルティア(トルコ)というところでしょうか。
何となくインドは中東、地中海世界の延長という雰囲気が3世紀頃まで続きます。宗教も拝火教(バラモン教)なので、やはり中東からの気配がみれます。
が、結局これも分裂して滅びます。
インドは帝国というモノがかなり後世になるまでなかなか定着しません。
インド人はそれを必要としなかったのでしょう。
また、熱帯雨林はアフリカの例もあるように人口集中には苦労します。
作物はアフリカと違って稲作が可能なので、ずいぶんと食糧事情はましですが。
その後、中東、ローマの混乱の合間をぬってまた王朝を築いています。
「グプタ」
ペルシアと同様、周りが大混乱の中で文明の交差点としてそこそこ富んでいるのがインドです。
しかし何となく中東の衛星都市というか、特徴的なものはありません。
しかし、この頃は漢がステップベルトの騎馬民族を塗り替えるほど苛め抜きました。
そして東側から玉突きのように南西側のローマ、ペルシア、ヨーロッパ、インドに騎馬民族の圧力がかかります。
南西側の騎馬民族は「白いフン」「白匈奴」と呼ばれるエフタル。
ローマはヨーロッパを通してあぼーん。
ペルシアは耐え抜きましたが、そのごよわよわの状態でイスラムにあぼーん
インドは素直に国力足りずにあぼーん
やはりインドはペルシアほど強くありませんでした。
一応、ローマは中東を避けての貿易にインド洋使ったので富みましたが、この時代の主流は陸路なのです。
中途半端。
しかし宗教の方で注目です。
今までこの地は中東に準じて拝火教(ゾロアスター教)でしたが、ペルシアが拝火教からマニ教というユダヤ教・ゾロアスター教・キリスト教・グノーシス主義のごった煮宗教に代わり、とうとう袂を分かつことになります。
仏教と拝火教が混じった東洋と西洋の交差点らしくどっちつかずの宗教「ヒンドゥー教」。
いよいよ中東とは様相が異なる地になってきました。
これ以降、中東の世界観とは異なるモノになります。
そしてこの宗教は国が滅んでも長く生き残り、仏教抜いて世界NO.3宗教です。
<中国>
「漢が滅んだ」ところでいい加減で止めちゃったので一応。
中国は有名な三国志でぐちゃぐちゃな時代から晋という短命な政権、さらに遊牧民ががんばって(でもフンではなく高車?柔然?こちらもぐちゃぐちゃです)また中国を掻き混ぜ、その後北魏と劉宋がその合間をぬって微妙な関係となります。
いったい北魏が遊牧民なのか漢民族なのか。
ただし、その後の大帝国「隋」「唐」の下地が出来上がります。
遊牧民の方も「単丁」ではなく「ハーン」という概念が出現しました。モンゴルの萌芽でしょうか?
まあ前回も書きましたが、日本も世界史の舞台に頻繁に登場することになります。
古墳時代ですけど新羅や百済を従属させていた謎の国。
後代に中国がぐちゃぐちゃじゃなくなると、あっさり半島から追い出されましたが。
中東でもwaqwaq。不思議な国として。
<アフリカ>
「アクスム」というエチオピアあたりにキリスト教国があります。
エジプトと共に紀元前2000年ころからありますが、世界が大混乱になったのでそれなりの国と目立ちます。
空白地帯、かつ袋小路なので安定してます。
後世は空白ではなくなり、イスラムが席捲することになって滅びますが。
<ガーナ>
関係なく繁栄してます。全く謎。
ローマと交易していたので、この時代の北アフリカで多少はこの名が聞けますが...
案外、アフリカ大陸で席捲して大陸を大帝国ニグロイド一色にしていたのかもしれませんが。
<ヨーロッパ>
これも前々回にちょこっと出しました。
東ローマが中心ですが、貢ぎ物で周りに媚び売って何とか生き延びてます。
ローマなのに強大とは言い難く..
それ以外は遊牧民フン族や蛮族ゲルマン人に入れ替わり立ち替わり陵辱されたり、かれらが代わりにローマの文化を受け継いで文明国をうちたてたり。
ゲルマン人ゴート人がフランク(フランス)、神聖ローマ(ドイツ?)、イギリス?その他現ヨーロッパの先祖ができます。
アーサー王の伝説、ジークフリードはたぶんこの頃の話を神話化したモノ
すでにローマから洗礼をうけた周りの蛮族達は、自分たちでまともな国を作ろうとします。
それはゴート、ゲルマンだけではなく、遊牧民であるフン族までも。
決して強大とは言い難い時代が長く続きますが、封建主義ができあがる萌芽が出来ました。
さて、こんな感じで世界は動き、一気に中世となります。
私自身も中世とは何かとはなかなか説明しがたいのですが。
ただ中世というものがはじまって、それが何かを感じるのに一番良いのはインドかもしれません。
古代の帝国というものがまともに育たなかった理由が、中世は古代国家のままでは経営できなかった理由と合い通ずるものがあります
「国」「王朝」と言う意味ではインドはばらばらで連続していないものの、ある意味「国民性」「民族性」「地域性」が生ずるほどの結びつきがこの頃に出来上がります。
文化的にも一応連続性があります。
その文化的連続性の裏付け「宗教」です。
宗教そのものは石油のでる中東らしい宗教である拝火教がインドにも飛び火していたのが背景にあります。
拝火教も儀式を通じて王権を正当化する役割を担っていましたが、教えの内容には王にも口出しを許さず、戦乱の中でも影響力を保ち続けました。
ある意味、自然宗教らしい「大地」「火」「水」「太陽」などを神として崇拝するもので、「ヴェーダ」とよばれる神話群と複雑な儀式を柱としています。
が、現代のインド人らしい極め方、宇宙の根本的なしくみを探求することを始めます。
そして乾期と雨期を繰り返すインドの自然が生じたのか、ガンジス川の悠久の流れか、こういう概念が生じています。
「生あるものはいずれ死に、そしてまた生まれ変わる。
何になるかは生前の行いで決まるが、どんなにすばらしい生を
得てもいずれ別のものに生まれ変わるわけだから、この法則
そのものが苦しみだともいえる。」
一見、そのようなものと無関係に、仏教は独自に発達しましたが苦行では満足のいく結果を得られず、菩提樹の下で瞑想しているときに「仏」(真理にめざめた者)になったのは、そういう概念自体は延長として共有されたのかもしれません。
どちらにせよ、いままで中東と宗教観を共有していたモノが紀元前1500年くらいからバラモン教も含めて袂を別ちはじめ、独自のインドの概念を発生させました。
真理を知ること(悟り)が苦しみからの解放「救済」と直結し、ヴァルダマーナの教えは「ジャイナ教」、
シャカのそれは「仏教」として、後世に伝わることとなりました。
その後、仏教は世界三大宗教の一つとなるほど広まります。
#尤も人口ではヒンドゥー教が3位です
ただしそのご本尊であるインドは、拝火教が強力でした。
宇宙の心理まで取り込んだバラモン教は、ありとあらゆる宗教や神を飲み込み、独自に育っていったのです。
シヴァなど非アーリヤ系先住民の神々も含め、シャカまでヴィシュヌ神の化身と解釈し、宗教的規範や義務、通過儀礼を集大成した法典もでき、「ヒンドゥー教」が成立しました。
インド人らしく、宇宙まできれいに整理され、複雑な体系のカースト制度が気に入られたのかもしれません。
#最下層は一生最下層、生まれ変わったらがんばってねという
考え方は異教徒にはたまりませんが
仏教は分化し、中国、日本、ベトナム、チベット、モンゴルと広まりましたが、今までのインド人の文化はそれを取り込んだまま変質し、仏教はヒンドゥー教の一つの神として以外は消えてなくなってしまいました。
#逆に禅や、仏教もヒンドゥー教をとりいれて
変質しています。
西遊記の主人公「悟空」はヒンドゥーの神ハヌマーン
宗教が人や概念を結びつけたのは、後のヨーロッパ、あるいは儒教による中国とかがありますが、
インドが発達し、数学の天才、コンピュータの天才が多数産まれようが、国としてのインドは最下層は一生最下層という思想が社会全体に蔓延している(別にインドの法律で決っているわけではないのに)
現代の状態を鑑みると、本当の宗教国家はインドだよなぁと考えてしまいます。
#創価学会などかわいいもの
また、インドとその周りにしか流行らず、他の地域が見向きもしない理由もわかる気がします。
#あまりに偏っているので世界三大宗教は仏教となっている
なにせ、いきなり改宗したら最下層です。
どんなにがんばっても、良いことは生まれ変わってから起こる。
私は絶対ヒンドゥー教徒にはなりません。
生まれ変わってもインドには産まれたくありません。
#もっとも、さすがに最近のインテリゲンチャは宗教上の
カーストは無視しているらしいですが
ということでそれが中世というわけではないでしょうが、国家とは違うなにかが人とつながり、国家が連続しなくても民族性は連続を保つという古代とは違う体制が出来上がります。
インドはそれがたまたま宗教で、それが国が強くなくてもつなぎとめる。
ヨーロッパでは違う国家でもキリスト教を媒介にして同じルールで生き始める。
中東では国の政治と宗教ルールが同じようになり、国の連続性がなくても、分離糾合しても同じ体制を維持する。
あるいは中国は複数の宗教がごった煮になって、一見力がなくなったように見えても、中国に住めば何となくそういう意識で漢民族。
そういう不思議な中世をこれから語りましょう。




