ドラえもんの道具で一番すっげえの何だよ?
ドラえもんの道具の話題、私の子供の頃の定番ではありました。
なにゆえこんなしょーもない話題になるのかは小学生らしいというか。
「やっぱタイムマシンだよな。過去に戻れれば何でもできる」
「タイムふろしきを自分にかければ何度でもやりなおせねぇか?」
「ばかだなぁ、そのうそほんとが最強。そんなこともわからねぇのかよ」
「タココプター、頭につけたら死ぬぜ。回転体には反力というのがあってだな..」
「暗記パンがあれば中間試験を乗り切れるのに。。」
さーせん、この中で大学生の頃の私が言った言葉もあります。
「俺かっけぇ」的な痛々しさは私の黒歴史です。
まあ世代を超えて話題になるのは偉大な作品ならでは。
小学生の娘とドラえもんの話が出来るというのは感慨深いものがあります。
鉄人兵団は新旧あわせて名作です。
「アガペー」というものを小学生に教えること。自然宗教がまかりとおる国で日本人だけが大昔からキリスト教徒に敬されるのはなんとなくわかる気がします。
さて、そのなかで「もしもボックス」というのもなかなかの定番だったりします。
魔界の話とかはこちらがメインのお話ですね。
もしアレキサンダー大王がローマが送り込んだ人、歴史改竄を目的に送り込んだ人、もしもボックスで「もしアレキサンダー大王がいなかったら?」とかの話題にしたらなかなか興味深いものがあります。
時代の流れや技術の裏付けなしに世界をひっくり返してぐちゃぐちゃにしたアレキサンダー大王、彼がどのような影響を世界に与えたのか。
たとえば、「大きいことは良いことだ」を定番で言った場合、自然の流れとして東の雄が「漢」、西の雄が「ペルシア」となっておかしくない流れでした。
環境に適応できるのならば、レッドオーシャン(殺し合いの海)では一番強くて大きいものが力を持つのは当然の事、進化論、経済論、社会、競合他社を論ずる場合でも当たり前の事です。
実際、ローマが滅びて邪魔者がいなくなったら、その時はご主人様が「ペルシア」ではなくて「イスラム」ではありましたが中東を中心に地中海を囲った覇者として君臨してました。
もちろん、ごちゃごちゃがあったので政権交代はいっぱいありますが、東の雄「漢」と並び立っておかしくない国です。
100万の大軍をあっさり準備できる。貿易の交差点、3大陸にまたがる有利さ。
確かにギリシアのごちゃごちゃした国で優れた重歩兵で陸での戦争は大変だったでしょう。
しかし、地中海にそこらじゅうに点在する植民地群、機会主義者の彼らは、自分たちが守ってくれるのならば親分がペルシアでも全然かまわないでしょう。
じっさいギリシア人はローマに支配されようが、イスラムに支配されようが、そしていまや西欧に支配されようが、べつにかまわず商売やってます。
フェニキアが混在しても問題なく商売したでしょう。というかローマで普通にそうしてます。
商業、貿易、文明とはそういうものです。
「俺が優れている」的な正義や優越を癒せるのは、歴史的にはいつも「お金」。
みんなが豊かになれば案外共存できるものです。
そうでないから今のイスラム問題とか、中国韓国の排斥運動があって、あのトランプ大統領が支持されるわけですから。
まあそんな感じで、地中海のご主人様はペルシア、世界の中心は中国と中東、こんな世界が続いたかもしれないのです。
しかし、アレキサンダー大王は時代を変えてしまいました。
ペルシアが地中海を奪う機会は永遠に失われたのです。
そしてそうなったら歴史の流れの必然が幅を利かせます。
その環境が整ったのならば「ローマ」が台頭するのはとても自然なこと。
むしろ中身を知れば知るほどこの国は「ボクノカンガエタテイコク」的な効率の良い素晴らしさがあります。
古代はこれ以降、「漢」でも「ペルシア」でもなく「ローマ」が牽引役になって時代を動かすことになります。
どころか現代文明に通ずる何かを誕生させたことは間違いありません。
アレキサンダー大王がつくった巨大国家が彼の死で瓦解し、 彼が作った中東や地中海地域の混沌を、ブルーオーシャン(誰もいない新天地の海)としての機会を与えます。
その中のプレイヤーはこんな感じ?
ギリシャ人:
ペルシアと戦い、アレキサンダー大王によって統一された後分裂、都市国家化、弱体化してます。
それと関係なく船で渡り歩く商売人として幅聞かせてます。
商売人としては弱小だったが、植民地(この場合は港湾都市というべきでしょうか?)をたくさん作り、むしろ本国が弱体したので好き勝手膨張し、それがいろいろな人にウザがられて、農業国だか貿易国だか良くわからない人達になってます。
カルタゴ:
よーするにフェニキア。地中海に限っては、あるいはペルシアが弱体したこの瞬間は地中海の超大国。
堅実にコロニーを発展させて北アフリカの農業を発展させ、かつ貿易でも第一人者。
エトルリア:
イタリアで高度な工芸技術と富で栄えている人達。ギリシャ人もフェニキア人も商売ネタをくれる大事な人達
ゴート人、ゲルマン人その他ヨーロッパ人:
クソ、カス。
何も考えていない狩猟採集民族。
一応アルプスの少女程度の文明(丸太小屋、家畜を引き連れて貧乏生活)は持っていたらしい。
キートン軍曹が世界4大文明に比すべき文明があったんだとかいってたけど本当かどうかは知らない。
こんな中で、イタリアでもローマしか占めていないローマ人は出る幕なさそうでした。
そもそもローマ人の首都ローマも、湿っぽく、不潔な低地と狭い台地でとても一等地と呼べないところ。
#みなさんのイメージでは低地で肥沃な土地という場所こそ
文明が発達するという認識でしょうが、むしろ古代で高台のほうが
清潔で住みやすいのです。
まあ神話でも何でも定番ですが、まずはロムルス王だか神話の王が都市国家を建設する原始的なことから始めてます。ギリシャ神話の英雄アイネイアスの子孫だそうです。きっとどうでも良い。
そしてその直後の伝説では
「嫁さん欲しい。女攫いに行こうぜ!ぶおーん、ぶおーん」
いきなり剥き出しです。
まあ戦争は人間がやること。そして人間が殺したいほど欲しいものは殺人事件の原因で良くわかります。
富(金・食べもの)の次は女です。
さすがに今の国家、数千万人から数億人の代表が「おんなほし~♪」はないでしょうが、結構WW2なんて洒落になってません。米軍、ソ連軍、中国軍(国民党、共産党含めて)は結構剥き出しで他の連合国をどんびきさせてます。
まあ正義の戦争でかっこつけてた日本もドイツも裏ではおんなじですけどね。こそこそと地位利用して女囲ったり、組織的に拉致とか。
どころか、大企業、省庁、警察、病院でも老害がばれてだんだんと改善されてはいるらしいですが...
克己心にとんで日本人を救え!可哀そうな難民を救え!とか高潔な人がいる一方、治外法権を利用していろいろやらかしている老害な外交官はいると小耳にはさむのは外国人だけではないような..
まあ県警やら病院やらで不正やら悪行やら報道されているのはむしろ健全化されている証拠と思っています。
むしろ未だに交通安全協会のお金を徴収したり、おじいちゃんが大名行列みたいにふんぞり返って治療やら授業やらをするこそこそした組織の方がまだまだ危険なような。そして日本にはそういう組織はたくさんあります。頭が痛いことです。
...話題が逸れました。
話を戻して、
まあそんな剥き出しの理由で強大なエトルリアに戦争吹っかけました。
勝ちました。
うわぁ
まあローマは格下、エトルリアの方がよっぽど格上なんですけどね。やっちゃいました。
ローマ人もびっくりでしょう。
そしてなんというか陳腐というか解決方法が、
攫われた女性たち。
「お父様、私はこの方を愛してます。この方と一緒になります」
「おとうちゃんをいじめるな!」
「孫よ。。。」
的ないまや三文芝居でも使わなくなった定番でなんとなく解決します。
マジです。
昼ドラです。
現実は想像できないほど驚きの連続であるとともに、信じられないほど陳腐な物語でもあります。
そして、そもそも最初からのこれが第一の「ローマらしさ」として醸造されます。
「元老院」「外国人との共存」
格上のエトルリア人様をアゴで使うわけにはいきません。
むしろ頭も良いし、政治の中枢を担ってもらいたい人達です。
ただの「貴族」ではなく、それこそ国会にも比すべき政治機関として、とっても深いところで政治に関わってもらうことになりました。
これ以降、これは一つのローマらしさとして、ローマが滅びるまで敗者を取り込んで新しい息吹を芽吹かせる体制が続きます。
「インフラ投資」
とにかくローマは古代の定義から言うととんでもない「悪地」です。
水はけが悪い、疾病が蔓延する、農作業しにくい、高級住宅地の候補なる丘も狭い七つしかありません。
とにもかくも改善です。
不潔で湿った低地は、エトルリア人の技術もあって水道、道路、灌漑という巨大都市に必須なインフラの技術をとてつもなく発達させました。
私は日本の公共投資についての批判についてはいつもこれを考えさせられます。
公共投資は民から富を奪う乱暴な儀式と。
たしかに政府に口利きできる怪しげな業者が地元の名士として幅を利かせて王様のようにふるまうというトラウマがこの悪名を補完してましたが。
そもそも日本政府は民主主義です。本来はお上、上位下達などないはずです。
が、これを引き込むことが政治家の役割になってしまっている。
極論すれば日本政府という法人は特殊です。
国民に税金を払ってもらって行うただのサービス機関ではありません。国民が富めば、それでよいという組織なのです。
たとえば道を作って、それ自体の儲けはなくても、それでガソリン代がXXへった、時間が短縮されて他の仕事が出来るようになった。時給換算でXX円得した。これでよかったりします。
日本政府は日本国を構成する何かが得すれば自然と得する組織になっています。
結局、民主主義そのものは欠陥でも公共投資は必要であればするべきなのです。
国民が得をするのならば。
癒着、配分の贔屓、まるで王様のように付随した力を権力としてしまう連中の排除が必要なのは間違いないですが。
きちんと信賞必罰すればよいんですけどね。
ローマはここらへん、実にうまくやっています。
まずもって儲けたり、周辺に感謝したり、故人を偲んだり、いろいろな理由での贈り物を公共投資としました。
「みんな祝ってくれてありがとう!みんなにこの道を贈るぞ!」
TAK道、TAK橋、TAK水道といった個人名のついたインフラがたくさんあります。
そして保守した人も尊ばれて追記していくのです。
「TAK道、TAK2世が作り直してXXX年までの保守料をもらっている」
みたいな。
そして役所も実に融通を利かせ、TAKさんのお金が足りなかったら追加したり、あるいは自分の投資にTAKを絡ませたり。
そしてそれを維持し続けるのも栄誉として担ったり。
ローマが滅んでもローマ街道がのこっていたりするのは、その名誉ある仕事をその後子子孫孫、何百年も続けたからとか。
そりゃまあ、システムとして作ることが栄誉!お金持ちの義務!ローマ市民もきちんと投資したことを称賛しているわけです。
そして癒着も何も損することが名誉なので、これの取り合い、日本のように賄賂を贈ってお金を誘導することもない。
見事に投資したことによる「信賞」とそもそも悪さをする「必罰」はローマ市民の義務を果たしていないという視線で何とかすると。
ということで、エトルリア人と共存することで、あとで滅ぶまでつづく「元老院」「インフラ」というローマらしさの2つを手に入れました。
さらに100万人都市ローマそのものがそれを補完することになります。
何もしない悪地は、インフラ投資をしたら素晴らしい都市になります。
むしろ良地に適当にインフラなしで作った都市よりポテンシャルが大きい。
湿地で悪地は、整備されれば良港をもっている、交通の便が良い更に人が増えれば拡大しやすい理想の都市になります。
中途半端な良地につくったいい加減な都市と違って、徹底的に計算されつくした水道とか。
多分、今のイタリアの水道より、当時のローマ人が死ぬほど四苦八苦してつくった水道の方がよほど清潔で美味しい水が飲めます。
常に詰まることもなく流れ続ける水が大人口を抱えることになります。
そして「ローマの道は。。」で有名なローマ街道。
これがどれだけローマの発展に貢献したことか。
公共投資は国民が得すれば黒字なのです。その証明のようなインフラがこちら。
直接的な利益は皆無なものの、貿易での整備された道は泥ぬかるみ獣道に比べて時間や手間を短縮する。
兵を素早く移動できる手段で防衛に貢献する。とくにハンニバルが攻めてきたときの勝因の一つがこれ。
通信、飛脚、替え馬制度と宿場町が物流の流れを良くし人の流動性を確保して富をもたらすようになる。
そして人が行きかう整備された道は猛獣や山賊まで駆逐し、とても安全と治安にも貢献する。
こんな感じでインフラを武器にどんどん国を大きくします。
周辺にギリシャ人がいくつもコロニーがあったのですが、それも飲み込んでいきます。
まずはイタリア半島の大半を支配しました。
その過程で次のローマらしさを手に入れます。
「共和制」
ギリシャ人も飲み込み、いよいよ本格的な支配体制を作り上げなければなりません。
ここに行く過程で、王政復古を望んでの反乱、エトルリア人の諸都市との対立、戦争による重装歩兵(ローマ市民)の地位の向上、いろいろあったようです。
そしてギリシャ人もローマのメンバとして乗り込んだ時、ギリシャ本国に留学したりして相当研究したようです。
王政は共存にはいまいちよろしくない、しかし民主制では衆愚(ちょうどアテナイで扇動政治家にだまされて滅ぼされちゃってましたし)が怖い、
結果、ホルテンシウス法で平民代表の護民官、王や貴族の集まりである元老院の二つを併存させ、緊急時は任期を決めた独裁官を置くという共和制(緊急時だけ独裁)で統治をおこなうことになりました。
S.P.Q.R.
いまでもイタリアのいろいろな場所で見る言葉。
もちろん、最初のこれはとても軽いものだったと思います。
「紳士淑女諸君!」
しかしローマが何百年も続き、この積み重ねがローマの精神として重いものになっていきました。
これもローマが滅ぶまで続いたSPQR(Senatus Populusque Romanus)の精神となります。
古代ローマ限定で考える人がいますが、んなこたぁございません。
アウグストゥスが皇帝であることは「元老院とローマの市民の代表」であること、
と誇りをもって述べています。歴代の皇帝はその言葉を裏切った時に殺されます。
実際、他国がきらびやかな宝石や王冠で着飾っている中、中心のローマはただの月桂樹だけで統治ができることを誇りに思っていました。
ありとあらゆる周辺諸国より大きな富、巨大な軍隊、周辺を言葉だけで従属できる力、それがトーガと月桂樹だけの皇帝がそれを行うのです。
煌びやかで金ぴかなペルシアの王を心底バカにできる力。
私は末期、煌びやかな王冠で着飾るローマの皇帝が生まれた時がローマの終りだった、と懐古する人に賛成してしまいます。
さて、最後のローマのエッセンスが揃い、市民=重歩兵=ローマという図式で強力な国家が生まれました。
イタリア半島の統一はその象徴だったと思います。
紀元前272年、大都市ローマから「元老院とローマの市民の代表」である独裁官が強力な重歩兵を引き連れ、ローマの大街道であるアッピア街道を南に突き進み、鎧袖一触でギリシアの植民市タレントゥムを陥落させ、イタリア半島の統一を成し遂げました。
もうローマという貧乏で不潔な湿地帯に住んでいた一部族ではありません。
港湾に直結して食糧その他物産がつねに入り、綺麗な街道が素早く市民に配られ、清潔な水道がひかれ、お風呂にも入れる素晴らしい大都市をもつ国家。
まごうことなき大国「ローマ」が出現したのです。
そして中東が弱体化した空白地帯に、
内海で原始的な船舶技術でも貿易のハイウェイにできる穏やかな海、
多民族、多環境、多様な資源、様々な価値観
防衛にとても有利なオセロの隅
このブルーオーシャンを手に入れる宝くじの筆頭候補に彼らはなりました。
しかし、彼らは直ちに次の試練が与えられます。
当時の超大国「カルタゴ」
彼らからいきなりナイフでヒ首を狙われました。
ギリシャの代わりに重歩兵を駆使し、道具や重歩兵の扱いが上手い地中海文明の代表というだけだったローマをまた更に一段階上に引きあげます。
具体的には地中海を「ローマ人の浴槽」とする多民族国家、貿易国家に仕立て上げたのです。




