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人間の歴史。  作者: TAK
他の地域の人達
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うみはひろいな、おおきいな

さて、人間の歴史が200万年か20万年かは謎ですが、大帝国が東西に出来上がってある程度一段落しました。




人間が人間として成り立つ200万年~20万年でアフリカの森を追い出され、現代人の形が少しづつ形成され、集団をつくり、道具を作る石器時代とも言われないような時代は10万年単位、しかも誤差も10万年以上のあやふやな歴史がつづられます。


そしてサハラ砂漠と紅海をぬけてアフリカ大陸を飛出し、ユーラシア大陸に分散していったのは20万年~8万年くらいの所業。


7万5千年前の大厄災を被り、現代で想像できるような本当の衣服、住居を使用し始め、そしてユーラシア大陸を席巻したこと。


2-3万年から定住をはじめ、ここらへんでようやく定住を開始して誤差1000年単位以内に納まりそうな文明の萌芽が出来る。


1-2万年、農耕や牧畜らしきものができて「住む」「住所」「戸籍」「財産」ができたのがここらへん。


1万年くらい前から定住している村がだんだん大きくなり、政府っぽいものが出来上がり始める。


7千年くらい前から、村の延長の集落という概念から都市国家という本格的な「国」ができる。


5千年前からそれら都市国家が集中、糾合、分散、統一されて都市国家が「国家」に昇格。本格的な記録や事務作業も開始。同時に4大文明と言われるような各地方ごとの特色が現れはじめる。

特に「中国」「中東」で激しい動き。


4千年前から大帝国が出没。中東、中国、北アフリカで各地域が動乱、戦争、さらなる統一し始める、2500年前くらいに超大国「漢」「ペルシア」の出現。


こんな感じで人間が辿ってきた道が並びます。うーん、人類の足跡99%が終わってしまった。。。


この後の歴史はこの地域の2大国が詳細に記録を録っているので、暦誤差、未開地の謎、失われた文書等々はあれど、年単位の歴史がわかるようになります。まあ中国はいつだって話半分ですが。

この後は「古代」といわれる特色の人間達が動き回るようになります。


まあ俯瞰して見ると、アフリカを出る前はアフリカ大陸で、その後はユーラシア大陸が主導で、同時に人間の技術が底上げされていることがわかります。何度も文明が起こって滅び、繰り返してきたと考えにくい発達の仕方です。


私が子供のころ騙られたロマン「超古代文明」などないのだろうなぁとわかってしまいました。

がっかりです。


まあその理屈は簡単。



科学は人口。


教育方式、発達方向、食糧生産以外の余剰生産力がどれだけあるかのみ。

気候帯、地形。細かな誤差は認めますが、アフリカ大陸を出たとたんに、技術の底上げはユーラシア大陸に移ってしまった理由が良くわかります。


そして技術の伝播は結構簡単。

考えてみれば当たり前。

隣村が良い暮らしをしたら真似するのは当たり前。

そして現代に住む我々は、大昔の事情をまとめて続き物で見ていますが、極端なことを言うと100年オーダー、1000年オーダーの時間の流れは想像してません。

1000年くらいの誤差があっても、ヨーロッパの僻地とオーストラリアの僻地に壁画が見つかったら、「同時期」と言い切ってしまう異なる時間間隔に住んでいるのです。現代の我々は20年間も教育を受ければ、200年前の超難関高等教育を受けた研究者と同等の知識が叩き込まれているのです。(有効活用しているかは別)1000年の間にユーラシア大陸の端から端で同じ作物を育てているのはまあ当たり前。



ということで逆説的にラピュタはないんでしょうね。

ラピュタが作れるのならば、その技術的素材は他も知ってなければおかしいですし、それが伝わらないような小さなところに住んでいたらその少ない人口で小さな改善しかできず、万が一できたとしてもそれを行使せざるを得ず、行使したら周りに技術は伝播する。


人間が森から抜けた後は続き物として考えたら、枝分かれしてラピュタになる技術がどうしても思いつきません。

まあ夢は妄想でも捨てるべきではないですけどね!!

恐竜時代の兆年単位ならそういう機会はあるかもしれません。




またまた話が逸れてしまいました。

まあ逸れついでに、次に行く前のいままで語ってない場所にスポットを当ててみましょうか。



今まで、狩猟採集民、農耕民、騎馬民族(牧畜)といたものは出て、それが大帝国を作ったり、それを邪魔する役になったり、邪魔にムカつかれてやられまくったり、それら歴史を紡いできましたが、海洋民族だけが仲間外れです。


まあ正味の話、

漁業は生存のためのカロリーのほんの一部、騎馬民族とか一部族のスポットで充てたとしても魚が人間に提供するカロリーは微々たるもの。食卓に彩りを添える程度のものです。

まあ船舶が発達しない限りそれは沿岸に限るようになり、沿岸は大人口を採れるほどのカロリーが獲れず、余剰人口を作れないから科学技術は発達しない。

農耕民や遊牧民に技術の発達を期待するしかないのです。


で、たとえ他民族に底上げされたとしても、騎馬民族のように富を期待できる何かもなし、軍事力もなし。

結果的に、歴史に影響はほとんど与えないはずなのですが...

実際影響を与えてはいなくても、なぜか細かなところで大洋のそこら中に主没し始めたのが彼らです。


人口はともかく、生存権として占める面積が半端じゃありません。

太平洋全域、インド洋全域に散らばるとなると、人口は少なくとも目立つ目立つ..

それがこれから語る海洋民族。




紀元前後(200年前くらい)、地中海世界、中東世界、インドでは貿易や植民が目的でいろいろと海に乗り出しています。

船舶技術は着々と上がっています。

太平洋、大西洋のような荒波ではまだまだ沿岸でしょぼしょぼですが、地中海のような静かな海だと「フェニキア」といった貿易で食べていく人たちも出てきました。


が、それとはスケールも目的も違う海洋民族が突然、 インド洋や太平洋を席捲しはじめました。

西はマダカスカル、東は太平洋の先のイースター島や南アメリカまで、オーストラリアやインドネシア、台湾、日本、ハワイ、想像以上の広範囲に出没しています。


もちろん、あくまで歴史という後世の人間から見た突然であり、歴史でははっきりと見えない場所では脈々と彼らが表舞台に立つまでの技術を育てていたのは想像つきますが。



彼らは元々、ラピタ人という怪しげな謎民族の名称で語られていますが、ここらへんのルーツは5万年前の頃に遡ります。


その頃は海面は低く、タイ湾から南シナ海へかけてスンダランドという巨大な陸地としてありました。

オセアニア諸島が陸続き、オーストラリアへも丸木舟といった古代の渡航技術でもいける範囲でした。


やがて氷河期が終わり、海面が上昇し彼らは孤立しました。それは前に語った日本と同じですね。

日本と同じような大きな島、それだけで生存圏が満たせるニューギニアと言った大きな陸地はそのまま孤立し、そのまま発達し、多少の交流はあるものの、まあ他地域と同様に発達してきました。


しかし小さな島々に住む者は食糧確保、食糧不足にとても苦労します。

彼らが苦労して得たもの、特有の生活が海洋民族と呼ばれる民族を作りました。


生活はブタ、イモ、熱帯地方特有の生活スタイルですが、船舶技術の発達によって魚も重要な栄養源となっていきます。


彼らはかなり前から特徴的な船舶技術を持っていたと言われます。

そもそも島という限られた土地、植生に頼らねばならないため大型船等は期待できませんでした。

なので小型で取り回しの容易な丸木舟の延長。ダブル・カヌー(船をつなげて輸送トン数を上げ、遭難しにくくする技術)、クラブクロウ・セイル(いわゆる巻き帆。西洋のセイルより小型船だと効率が良いし扱いが容易)は彼ら特有の技術です。


船を扱ったことがある人は知っていますが、海難事故や難破は大型船の方が多いし、遠洋航海は食糧等の積み荷が確保できるなら小型船舶の方が強いのです。

大きくて長い大型船舶は、嵐の波、風はもろに衝撃を受け、そして陸にしか住んでいないものが想像つかないような巨大な風、波が海の上を通ります。

風速90mの嵐とか想像つきます?



そして小型船舶は波に翻弄され、風にふっとばされても「壊れる」という観点では意外に大丈夫。

小さいと通り抜けていきます。流体は「干渉」という動きをし、その波長と対象の大きさで2倍にも3倍にも衝撃を受けることもあれば、通り抜けるだけの時もあり。


ということで意外にも地中海やインド洋沿岸の連中よりも遠く、長い期間、漁業が出来るようになっていきました。


そして農耕民と違う理屈で、広い海を席巻することになります。


主目的は限られた土地での人口増加に対応するため、 「人減らし」


広義の意味では冒険や植民ですが、ようするに一定の広さしかない島に人が増えすぎると、いろいろな理屈で追い出すのです。


遺伝子が解析できるようになり、ミトコンドリア遺伝子を辿ることで人間がどのように動いたかが正確にわかるようになりましたが、たとえば日本人の解析をすると、ミトコンドリア遺伝子と、実際の遺伝子では異なる様相を占めます。

女性のみが受け継ぐので混じらず、その女性が辿った道筋はミトコンドリア遺伝子を解析することで綺麗にわかります。

が、男は辿れないんですね。

日本人が、解析したものより妙に南方系の遺伝子が多いのは、人減らしのために海の乗り出した彼らが海流に乗って日本に辿り着いたからと言われています。

確かに冒険と戦争は男が行うものと相場が決まっています。だって男は産めよ増やせよの義務もなければ、子宮が膨らむ大事な時期もないし。



彼らがありとあらゆる場所に席巻したのもとっても単純な理屈。


彼らの住んでいたあたり、たとえばマレーシアとかニューギニアの島々とか。

歩いて南北に移動できます。

緯度30度以内の貿易風に乗れば東、30度以外であれば偏西風で西に行きます。それを狙ったかどうかはともかく。(冒険なんで目的なんてなさそうですが)


ちなみにフェニキア人やペルシア人、インド人は貿易の為なので目的がある航海がメインで冒険なんてしません。そして偏西風が利用できるような南に張り出した土地もない。

沿岸で季節風を利用するしかありません。


  

航海術を駆使して東へと移動をはじめたのは、今から7,000~5,000年前といわれていますが、そもそも小規模なのでここら辺の痕跡は 実際の現地人の遺伝子や、「語」の調査、言い伝え、遺跡等で想像するしかありません。


彼らは普段は狩猟採集として生活し(その採取活動に漁業が含まれる)カヌーで生活しました。

そして、人口増加、飢饉、天候不順、きまぐれその他で大洋に乗り出し周囲の島々に足跡を残したのです。


小型ではありますが、船体の脇に腕木(アウトリガー)を付けて安定性を保ったり、ダブルカヌーとして複数のカヌーを繋げ、数週間分の生活品を持って大洋に乗り出したのです。


いまの常識から言うと、丸木船に毛の生えたよな船でよくも...


とか


筏のコンチキ号が大洋渡れて凄い!


とかありますが、 ヨット乗る方なら、嵐には小型船の方が遭難しにくいことはご存じでしょう。


更に、彼らが取り付けた帆「クラブクロウ・セイル」は、下手すりゃ西洋のセイル技術より高度なモノでした。

それに狩猟採集民は何も財産を持たないので気楽なモノです。

そんなわけで、数千年前からインド洋や太平洋のそこら中に彼らは席捲し、いろいろな痕跡が残りました。


ちなみに日本列島もその一つです。

沖縄、九州をはじめ、そこら中に彼らがたどり着いたであろう痕跡があります。


台湾(台湾はむしろ始祖に近いか..)、フィリピン、グアム、 ハワイ、太平洋の島々の観光地のほとんどの原住民は彼らです。


マダカスカル島に住んでいた住民は地理的にアフリカに関わらず、血統がインドに非常に近いのでレムリア大陸があったと誤解されました。


南アメリカ(インカ帝国あたり?)にも彼らの痕跡があると言われています。

なにせその手前のイースター等までは確実に来ていますし。

南アメリカから太平洋を渡ったコンチキ号はそれはそれで偉大ですが、実際は逆で、太平洋の島から最終的にはアメリカ大陸に辿り着きました。


そんな感じで数千年単位でいろいろな場所に広がり1世紀前後に、それら地で文明が花開いたというところでしょうか。



こういった状態なので、人類学的なサンプルが凄く多いです。

たとえば同島の同根から散らばった同文化程度の同民族が、一方では強大な国を築き、一方では狩猟採集民族に逆戻りと言った人間の発達は知能や技術レベルの前に、そもそも環境に依存するものあることを証明したり。

あるいは貿易で生きてきたある民族が強大になり、貿易相手の一方が滅ぶと急速にしぼんでいく貿易国家のあり方を証明できたり、


ジャレド・メイスン・ダイアモンド著作「銃・病原菌・鉄」がここらへん、興味深く書いています。

人間は思ったより環境依存であるというのは大賛成です。中南米でも車輪は発明されましたが、家畜もないところにそんなもの使う必要ありません。技術は必要なければ退化します。



イースターなどは環境破壊で森林がなくなり、材木ないから船も作れなくなり、漁業や航海技術まで捨て、農耕民族になりました。

あるいは今のミクロネシアの狩猟採集民族が普通に現存しており、これらの知能レベルが現代人より高いというサンプルを得られたり

 #考えてみれば当たり前ですよね。受験勉強より、その日を生きていく

  糧を得るための活動の方が、脳のエンジンをぶん回します。


非常に広範囲(=同遺伝子で全く異なる環境に行く)に乗り出した人達は、人間がどのように環境依存し、進化し、退化するかを研究する博士たちには注目の的。



ただし、18世紀あたりから世界を席巻したヨーロッパ人には忌み嫌われました。


石を削った不気味な偶像崇拝、生贄と言った毒々しいモノ、禍々しさの究極である喰人とか。

キリスト教徒にはたまらないモノがあふれていましたから。(仕方ないんですけどね。例えば船を作る技術が失われ、像を作るためにありとあらゆる自然破壊が行われたイースター島の一番大きな蛋白源は人です)


ま、島によって文化が様々になってしまったので 誰もが人を食べていたわけではないのですが、たとえば冒険家クック船長のように世界の最果てを探して数々の航海をし、数々の島を訪れて最後にハワイの人の胃袋に...

後代の我々は、他の訪れた親切な数々の島の人より、クック船長を食べちゃったハワイの食人族の方が印象深くなっちゃいますよね。


まあヨーロッパ人も切羽詰ったら食人してます。

たとえば18世紀になって、スウェーデン、ノルウェーから孤立したグリーンランドとか。

かわいそうに。大型のほ乳類が人間だけになったときの悲劇です。

 #横でこれを見ていたイヌイットはどう思ったのでしょう。

  セイウチ狩りができるイヌイットは、その技術がなくて

  人を食べてしまったヨーロッパ人を野蛮とみなしたことでしょう

 #寒空のグリーンランドの「グリーン」がなぜ命名されたかも含めて

  そういった話は別な場で..

  北朝鮮が「夢の国」と宣伝した朝日新聞みたいなモノでしょうか

  あるいは太平洋戦争で日本ボロ勝ち、アメリカ空母30隻沈めたよ♪

  と書いた旭日旗がシンボルの朝日新聞みたいなモノでしょうか。

  歴史は形を変えて繰り返します。

  

尤も、彼らはヨーロッパ人が愛してやまない大事なものも作り上げてます。

「サーフィン」ですね。

 #カヌーもか?

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