帝国万歳!
都市国家が点在し、それがいくつか集約し、分散し、滅び、また勃興し、こんな時代が5-6000年前から繰り返していきました。
これら都市国家の痕跡が一番残っているのは中東からインドに続く間。
ですが中国の古代の痕跡である竹簡(竹でできた書籍)の記録、あやふやだが点在する痕跡等々を考えると、まあ似たような都市の勃興が他地域でも繰り返されていたことが想像できます。
#中国は痕跡が残りにくいのです。
なにせいつも繁栄していたので。
後世の巨大都市の「大都」も北
京の下に埋もれていました
しかしながら都市国家レベル(現在で行くと市町村くらい)は結構簡単に滅びます。
私は子供の頃はど田舎に住んでいましたが、近くの廃村等行くと数年もたつと廃墟、一世代も絶たずに痕跡が埋もれていきます。
生活している間は気づきませんが、生活していると何かと手入れはしているのです。
そして森や林は放っておくと侵食します。人が通ると踏み固めれる道も、予算で数年に一回行う道路工事も、用水路も、ぜーんぶ数十年もするとひび割れて埋まっていくもの。植物の力って奴ですね。
もう一つの例として、後世のマヤ文明。
この「マヤ」は「時間」という意味で、当時住んでいる人たちは「俺はマヤ人」なんて自覚ないです。
マヤ国などというものもないし、マヤ王朝などもありません。
あそこら辺の都市国家と、それが強力だった時は数都市がまとまって王朝らしきものが出来て、衰退して、また別都市が勃興して、滅びて、こんな繰り返しでいつの間に消えてしまいました。
「マヤ」という識別子は、ただ似たような生活、似たような産業、似たような知識を持っている人たちがあそこらへんに居たというだけ。
自分たちはどこぞの都市に所属していた自覚もあったろうし、その都市が強力だったときは数都市を支配下に置いていたかもしれませんが、別にマヤ帝国に所属していたつもりはありません。
そしてその国が消える時に嘆く人は誰もいません。
自分の都市が厄災でダメになり、ご先祖様の行っていた生活に戻るだけです。
しかも全期間を通して。最後の都市が消えたことを自覚した人は当時はいないのではないですかね?
ただ自都市が捨てなければならないことを嘆くだけで、自分が最後など毛ほども思ってなかった気がします。
「謎の文明」と言われますし、確かに不確かなところはたくさんあります。
ですがジャングルに埋もれて消えて行った理由については、上を考えるとあまり疑問ではないです。
都市国家はとても脆弱です。
天候が変わる、川筋が変わる、湖が無くなる、伝染病、地震や津波、産業が変わる。
貿易相手国がいなくなる、戦争で蹂躙される。
たった1-2世代でもいろいろな不幸や厄災が襲います。
そしてこれら都市に集まった理由は「楽だから」。
なので楽でなくなれば捨てるまでです。
都市に集積された数々の知識、石工や数学、アーチ建築等々も使っている人は使っており、役に立たなくなったら捨て、シンクタンクが既にないので忘れたらもう終わり。
マヤ文明は石斧や弓矢、金属があれば青銅器文明ぐらい持てるくらいの文明度、とすると、3-4000年前のユーラシア大陸の都市国家群の浮き沈みも時代は違えど似たような文明レベル、これを参考にするとある程度は当時が想像がつきます。
しかし生き残りゲームの末、都市国家がただの点在している都市国家ではなく明確に今の概念の「国」「国家」が5000年くらい前にでき始めます。
厄災も数都市が助け合い、首都があり、その首都が食糧が無くなろうと別なところから運べばよい。
ある都市がなくなってもその知識は中央政府に残ります。
私たちの考える「国」の概念ですね。
私の昔住んでいた隣村が消えたとしても、別に他の市町村は残り、その村にいた人は移住して同じ生活スタイルが続くまでです。
自分たちのノウハウは、必要であれば日本国政府が貯め、必要であれば供出してくれます。
たかが数十年に一回の厄災など凌げる体制ができ始めました。
そういった概念でできた最初の国は中東のエラム王国でしょうか。
チグリス・ユーフラテス川の流域を少し外れたイラン高原あたり。5000年前くらい前で、今のところ一番古い
外れているのはメソポタミアが骨肉の争いだったので、ちょっと避けた部分の方がでっかくなりやすかったのでしょうか?中東の覇権を握るべく中東地域で骨肉の争いをして、紀元前647年のスサの戦いでアッシリアに滅ぼされるまで頑張ります。
その後に勃興した他の二国で中東で三国志を長年始まりますが、立ち位置としては田舎者、あまり美味しい国ではない感じ?
このまま時代無視していっちゃいましょうか。
その2000年後あたり、チグリス・ユーフラテスという肥えたあたりに本命の「アッカド帝国」。
この帝国の跡地に「バビロニア王国」が出来ます。
この地域の中心ですね。
だいたいエランに遅れること500年くらい後。
もちろんその間も何もなかったわけではありません。
この王国をつくるための各都市が勃興し、糾合され、あるいは滅んでいたことでしょう。
紀元前2334年のサルゴン王が最初。
「英雄サルゴン」
地中海から紅海、ペルシア湾、、エブラ、タウルス山脈、レバノンを占領し、初めての大帝国を築き上げたとのこと。
その後、王朝が倒れ、セム語系のアムル人が建てた王朝が「バビロン」
都市国家ウルクとかの延長、都市ごとに守護神がいる多神教ですね。
なので王も神官です。
バビロン…4000年後あたりに地球を救う「バビル2世」が出るだけあってとっても文明が発達してます。
ハンムラビ王が有名。
ハンムラビ法典「目には目を、歯には歯を」。
さーせん、ミーハーで。
まあ本格的な国の法律(宗教の戒律かもしれませんが、この時代に違いはない)が出来たということで。
バベルの塔(後に嵐に覆われ、超能力者が住むという...)、空中庭園(天空の城ラピュタの元ネタと言われてます)、バビロン宮殿はイラクのフセイン大統領が後継者きどりで自分の宮殿立てちゃったので無茶苦茶になっちゃいましたが壮麗だったといわれてます。
他には積分積分、木星といった惑星の天体予測/位置計算、月食の予測。
占いで物価や天候を決めたとか言ってますが、たしかに宗教と科学は彼らにとって同じものでしょうね。微積分がわかる神官なら神に聞くまでもなく大抵の事がわかっちゃうかもしれない。
馬術もすぐれ、軍隊も強く、長きに渡って繁栄を続けます。
まさにこの地域の主人公です。
文明の中心国。
一度はアッシリアに吸収され、それを打倒して新バビロニアとして復活し、その後は紀元前16世紀頃にヒッタイト滅ぼされます。
そしてまあここら辺の地域は全て同じですが、最後に大帝国「ペルシャ」に呑みこまれます。
主人公であるバビロンがあるなら敵役も。
バビロンが出来る頃、敵役のアッシリアが同時期に生まれます。
場所はバビロン上流のアッシール地方。
バビロンと同じく神殿を中心とした都市は同じですが、彼らの王は「アッシュルの副王」と名乗り、神の代理人として独裁制ですね。
後に大帝国になってオリエント最大の版図を持つと「世界の王」。
ど真ん中に位置しているのですずや銅といった金属の交易を支配し、青銅器時代の繁栄を大いに享受しました。
彼らの偉業を並べると。
大量捕囚政策、
支配地への諜報戦
(征服地や服属地域の文化や言語、宗教や政治体制に関する情報を詳細に収集し、それに基づく飴と鞭で征服民をコントロールした)、
高度に発達した官僚制度
(少数で多数を効率よく支配する)、
戦意を上げるための閲兵式、
鉄の武器を使用し軍馬を用いた騎兵、
砦と武器庫や数々の軍事施設、
平時の武器の貯蔵庫と保守管理。
...うわぁ、ヒキますね。
戦争と統治ばっか。
スーパーロボット大戦の悪役になれます。
芸術も、ライオン狩りや軍隊ばかり。
残虐性と強欲を誇らしげに描いてます。
敵を責め苛む事で誇りとし、祭司達は絶えず戦争を扇動し、敵を滅ぼすことを詳細に記録し、神官たちはその奪ったものを糧として生きていました。
聖書で登場してますが悪役。
超悪役。
アッシリアの首都ニネベは「ライオンのねぐら」とか「流血の都市」と物騒に書かれてます。
イスラエルの神ヤハウエは預言者ヨナを「泣く子も黙る」アッシリアの首都ニネベに遣わしその残虐な国民を滅ぼすと告げさせます。
実際、たとえば現代の日本が海外のゲームでは残虐な悪役が多いので、実際は面白半分や正当化の必要性で話半分の悪役になったと言いたいところですが、本人達が描いた絵もそのものなので無理ですね。
正直、ロクでもない国と思います。
そしてロクでもない国にふさわしく、反乱多発で瓦解し、反乱軍の筆頭「新バビロニア国」他に国を引き千切られて消滅します。
残りの主要国は次に。
中東ばっかなのは記録が残っているからで、中国はそうとう大きな国家があったはずですがほとんど書けるものがありません。
インドは記録はありますが、これまとめて俯瞰して見るとしょぼい。
...それ以外を続けましょうか。
イスラエル国。
正式はイスラエル・ユダ連合王国、あるいはヘブライ王国、
ソロモン王が有名。
魔法使い。
途中でユダ国が分離し、最初のユダがイスラエルを裏切ります。「ユダ」という評判の悪い固有名詞はここから。
紀元前1021年から300年ばかし続きます。
当時のこの国の国民でも、3000年ばかり後に火種、火薬庫の国として復活するとは思わなかったでしょうね。しかも後継者と名乗ってはくれているものの、肌は白いし教えも全然違うし...
あと記録だけ見ると善王からほど遠く、なんか強権発動するわ、身内は贔屓するわ、公共事業は利権が絡むは賄賂が横行するわ、あんま聖書で懐かしむ、良さそうな国ではなさそうです。
最後は反乱ばっかで弱体化し、アッシリアに吸収されました。
ヒッタイト
3500年くらい前に起こった国。
謎の王国。
最初は黒海北部のど田舎に暮らしていましたが、突如黒海をぐるりと回って南に来て、今のトルコから南に攻め込み、戦車(要するに馬にひかせた馬車ですね)と鉄の武器でそこらじゅうを席巻、エジプトにまで迷惑をかけ、地中海まで乗り出して、なんか同じく謎の民「海の民」に沿岸を同時攻撃され、ずたずたにされて消えていきました。
謎同士が世界を席巻して、決戦して、なんだかわからないうちに消えました。
その後ペルシアとかに吸収され、散り散りになって後の記録残ってません。
あとフェニキアかなぁ。
エジプトと中東のはざまにいて、3500年前に(前1500年)あたりに勃興、レバノンはレバノン杉の国旗ですが、まさにそれを使って大型船をつくり、地中海をぶいぶい言わせてました。
本国のレバノンはアッシリアに攻められ、いろいろな国に長らく従属していつの間に消えましたが、その植民地のカルタゴは有名です。
後のローマ帝国に吸収されるまで長らく地中海の雄。
大金持ち。ローマが出現するまでこの地域最大の、狡猾な商人。
長らく生き延び、自分たちの商品を彼らに任せると大儲けしてくれるので大国から可愛がられます。
で、生意気で傲慢になって、小国ローマをぶん殴り...それからの話は後の楽しみにしましょうか。
中国は、夏→周とかあって、正直人口2万を超える当時では大国でした。その後にとっても短い時間で大帝国が出現するので発達してないわけないのですが、ほとんど記録に残っていません。
優れていたことは確かでしょうが...週刊モーニングで東周英雄伝とかありますね。
この直後に大帝国が躍り出て世界の中心になるますが、今の時期は何とも書きようがありません。
英雄物語を細かく書いてもね。
インドはコーサラ国とかマウリアとかが仏教やヒンドゥーのお経に出ます。
が、しょうじきパッとしない地域です。というか、ここ俯瞰するといつまでもパッとしない国です。
それ以外は...
後にローマだのマケドニアだの大帝国が出現するのもこの頃ですが、まだ見えてません。
後に中東の防波堤となって有名になったギリシャもこの頃。クレタとかも含めてローマ帝国を作る前の礎になります。まだ小さい。
エジプトもこの頃ですね。ここはすごい国です。
特筆すべき大国で、かつ後に長らく各征服国の知識の泉となって影響し続ける国です。
是非とも次回は書きましょうか。
今回はこんな感じ。




