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人間の歴史。  作者: TAK
日英同盟
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女王陛下万歳! ~イギリスってどういう国?~

今回からは日英同盟の話をしましょうか。


日本とイギリスとの攻守同盟条約。

「人間」の歴史と大上段なお題目をつけた割に随分とちっちゃい世界の話になりますね。

実際、条約自体はちっちゃな話です。

列強が世界の利権をむさぼっているなか、悲しいほど小国の日本がどうなろうがこうなろうがどうでもよい世界なので。




尤も、日本は実力に比べてかなり上げ底な評判です。

期待される存在ではありました。


薩英戦争でイギリスを敗り、、、戦闘自体は小型艦数隻で薩摩を占領「出来なかった」だけですがサッカーでも野球でも強豪に一泡吹かせただけで有名になるものです、、、世界中の新聞の一面にのる行為でした。


万博で特有の文化が「電気」と「日本」という言葉が世界中を席巻して、有名になりました。

日本に注目したのはゴッホだけではありません。


超大国「清」を打ち破った国、、、これも小国の取り合いで本国と関係なし、しかもその小国自体は双方ともそんな欲しくない、、として注目はされ、専門家自体は冷静に日本を見てますが、民主主義国家の民衆達は(ロシアは民主主義とは言い難いですが)、あるいは文民たちがその言葉を覚えることになります。






一応、そういう事情はあるものの、やはり日英同盟はイギリスの都合と言えましょう。

端的に言うとこの3つです。


・日英同盟vs露仏同盟

・ドイツとアメリカの伸長

・イギリスの斜陽とビジネス構造の変化


というような話をこれからしますが、そういえば超大国「イギリス」をあまり語ってなかったので、今回は背景としてそっちに行きましょう。







イギリスのイメージって何?というのはいろいろありますが、こんな感じ?


「大英帝国」

「God Save the Queen」

「歴史ある王家」

「貴族・騎士」




実はイメージと違って歴史は浅いです。


欧州の歴史も教科書では、あるいは聖書を混じらせて「中東-ギリシャ-ローマ」まで混ぜて「世界史」と言っているので、そもそも教科書のイメージより欧州全体は浅いですが、それより更に想像以上に浅い。

辺境、北方のおかげで農業限界(時代によって違いますが)、古代以前は通り道でさえない、中世以降は海洋民族のカモ、近世も大枚はたいた海軍で何とかなっているように見えるだけ。

フランスという欧州の雄に比べると悲しいほどの弱小国です。


そして、ヒトラーが純血ゲルマン云々という割に、アフリカ人だのローマ人だの中東人だのまぜこぜの遺伝子なのがヨーロッパ人ですが、それに比べてもさらにぐちゃぐちゃ遺伝子なのがイギリス人です。

戦乱の地だったのですね。






さて、有史以前はどのような感じだったのでしょう?


日本と同じ「島国」と言ってますが、実はかなり近い時期まで島国ではありません。

ヨーロッパと陸続き、テムズ川とセーヌ川はひとつの川でした。

島国と確認できる最新は8500年前。

それ以前のどこかでヨーロッパ大陸ではなくなっているのでしょうかはっきりはしてません。

日本と比べられることが多いですが、そもそも全然違うことがわかりますね。

そもそもヨーロッパ大陸から切り離されても、ドーバー海峡は日本海と違って泳いで渡れます。



ついでに日本の近所に文明、科学技術を仕入れられる超大国「中国」がいましたが、イギリスにヨーロッパという超大国があったか?といわれると微妙。

ローマから蛮族とみられていた欧州(南部以外)のさらに奥の辺境です。


日本と共通なのは長い間は狩猟民であったことくらい?

それも気候の問題で農耕への移行も日本より随分と遅いです。

北方なので気候が良いわけでもなし、北方の割に大型動物は少なそう、狩猟民の天国だったわけでもないですね。

日本は狩猟民の技術で定住できるほど良環境だったのですが。

紀元前3000年ころでも焼畑農業で定住生活からさえ遠いものでした。




石器時代。

ストーンヘンジも石器時代の遺跡でこの更に後です。

すでに中国では帝国同士が争ってガチンコ勝負、エジプト、中東、なぜかヨーロッパ史としてスタートしているこれらも頑張っていますが、もちろん仲間外ハブ

そもそも遅れているフランスあたりでもとっくに定住生活、アルプスの少女くらいの木造家屋が立ち並んでいたので更に「おっくれてる~」な国です。



ただ、遺跡にミケーネ文化の生活用品等々が出土しているので、地中海文明との貿易はしていたと思います。

北欧バイキングの影響なのか、あるいは地中海からの船舶か、彼ら自身の技術かはわかりませんが。

 #竜骨のある大型船をずいぶんと遅くまで

  建造できなかったので彼ら自身とは考えにくいです。

  でもドーバー海峡は泳いで渡れる。





ギリ古代?まだ青銅器時代?


紀元前1600年ごろ、温暖化も含めてようやく定住生活、大麦小麦の栽培を始めました。

ストーンヘンジもこの頃になると消え始めます。

民族的にはビーカー文化、ビーカー人とか言ってますが、遺伝子的にはケルト人と考えてよいです。

正確に言うと1-2万年くらい前にネアンデルタール人もいたのでそこら辺の混在は不明。

まだ遺伝子が混じりあうようなものではありませんでした。


日本との違い、

ユーラシア大陸を辿った最後の地という場所でもなく、わざわざゴールにするような魅力もなく、行く理由もなく、見捨てられたケルト人だけの土地。

古くから農耕やっていた植生豊かな日本と違い、どちらかというよギリ温帯なので定住もとっても遅め。

島国とは言い難い地勢でもあります。

攻めようと思えば、有史以前の技術でも可。

中途半端ですね。



大国との接触


大きな事件は紀元前55年、ローマのユリウス・カエサルがグレートブリテン島に侵攻し、ブリテン島のロンドン以南を征服します。


あんま影響なし。


ローマ人が勝手に来て、勝手に都市をつくり、温泉とか下水とか施設をつくり、そこら辺の技術継承なくゲルマン人の侵入時に勝手に去っていきました。

防衛線としてのフランス、ドイツと違ってあんま価値なかったのでしょう。

ローマの属地だったのに文化、文明度は随分と取り残された地となります。


ローマの文化が移譲されたか微妙ですね。

極論すればロンドンは温泉、下水あったぽいですがその後の戦乱でわからなくなってます。

影響なしというのは取り消します。

戦乱で、影響あったかどうかも分からない神話の時代になってしまいました。





世間的には古代~中世

個人的には鉄器時代くらい?


5世紀ごろのゲルマン人の侵攻で戦乱の世になります。


よく「アングロ・サクソン人」と呼ばれますが、多分単なるゲルマン人です。

元はドイツ北部のアングル人、ジュート人、サクソン人というだけ。


もっともゲルマン人も「ゲルマニアの人」という意味なので何が単なるかは微妙ではありますが。

(インドから北欧に移り住んだ遺伝子が地中海8周辺、中東と混血になったもの)

ドイツ地方は東欧や南から、イギリスは来たから侵入者、交流、戦乱でぐちゃぐちゃになりますが、まだ分化はしていない様子。

今でもイギリス人とドイツ人の違いはイギリス人とアメリカ人よりよほど遺伝子は近そうですが。


元のケルト人、継続的に来る北欧からのバイキングで戦乱の世になり、小王国が乱立します。

その小王国が「国」なのか「部族」程度なのかは微妙です。

魏志倭人伝の日本と同じ国程度と思っています。

現代の「市」にもならない村落で、都市国家とも言えない程度の規模の町とか?



7世紀の頃は整理され、アングロサクソン七王国と呼ばれる七か国になります。

NHKでやってたアニメはこれがモデルですね。


主要な南部はゲルマン人である「アングル人」が主要な民となり、元から住んでいたケルト人は吸収されます。

ウェールズは比較的浸透されず、スコットランドやアイルランドは純粋ケルト人が大きく残っている感じ。


イングランドの語源は「アングル人の地」。

独立したいという住民が定期的に現れるように、イギリス人でもアングル人が占めてない地ではこれを呼ばれると反感かうことがあります。


IRAもスコットランドでご先祖様が純粋ケルト人だからという部分が反抗の理由の一つというのもありますね。


プリンス・オブ・ウェールズ(ウェールズ大公)という戦艦も、アングル人に反抗したウェールズを征服した時、という征服される直前の王がそれを名乗ったウェールズ地方の誇りある名前が語源です。


アイルランドなどは13世紀ごろの薔薇戦争までは近親の意識もない全く別な国ですね。


更に、海洋技術が上がったか、あるいは人口爆発か、優れた技術をもつ北欧のデーン人、ヴァイキングが海沿いに侵攻し、奪うわ定住するわでますます混乱させる要因になってます。


イギリスの特徴「バラバラ」、中世では帝国と呼ばれるような強国にはなりにくい状態です。

中世も他国より一歩も二歩も遅れていますね。

日本も貧乏でしたが「倭」「日本」と呼ばれる国とまでは呼ばれなくてもそれなりの「国号」と呼ばれる統一感がありましたが、ただでさえ蛮族なヨーロッパのさらなる蛮族がイギリス。





トピック的な神話



ゲルマン人侵攻の5世紀ごろのアーサー王。

物語の域はでません。

邪馬台国と同じ、実際はしょぼい可能性大。

アンブローズ・マーリンに至ってはアーサー王に仕えたのか、ペンドラゴン王に仕えたのか全然別な人なのかも不明。

卑弥呼とアマテラスとか、複数人物の神話が混ぜ合わさった可能性大。

円卓の騎士に至っては、実際は12人なのか、13人なのか、300人なのかも知らない。

そもそも円卓で「王と家臣が平等!同列!」という美学がそぐわないので、後年の創作でしょう。

もっとも、後述しますが「円卓」の概念はイギリスの美学だったりします。

王も諸侯も盗賊上がりの英雄もみんな仲間!


中国人、というか朝鮮半島のトンデモ儒教の逆流で「上位者、儒者は汗をかかない」という東アジアの概念はイギリス人と上手く行かないわけだ。

ついでに武士でさえ実は庶民、農民な日本とは気が合うわけだ。




獅子心王と呼ばれ十字軍として大活躍した、とってもイギリスの英雄なリチャード1世は、たった10年の在位中イングランドに滞在することわずか6か月。

イギリスそのものにはあんま。

そもそもキリスト教だったかどうかも怪しいしね。


彼のおかげで次代のジョン王はフランスに振り回され、諸侯に反抗され、マグナ・カルタというとても王とは言えないような制限を加えられ、諸侯に頭が上がらない王たちが続く。

みんな平等!仲間!円卓の騎士の走りです。



弱小かつ、大国フランスに良いように介入され、無能な王が統一できないので早くから封建主義、、、というのは聞こえが良いのですがあまり統一政体らしくなってません。

そして海沿いの拠点のバイキングの方がよほど強い。

面倒な世界になってます。

この頃からフランスは大嫌い。

隣の好き勝手ほざく強国という感じ。

神話の時代なので、犠牲云々の前に、そんな犠牲もどうでも良い命の安い世界だったのでしょう。




中世でいよいよフランスとの本格的な争いが。


今までのフランスの介入を逆利用してフランス王を主張したイギリス人「エドワード3世」さんがフランス侵攻。

それ以外にも、フランスのちゃちゃでのスコットランド問題、ヴェネツィアの投資先、神聖ローマ帝国イタリアの暗躍、まあ様々な理由が蠢いています。


弱小なのになんで大国フランスに挑戦できるの?

弱小なので金満フランスとちがって蛮勇、なりふり構わずだったのです。

他国から来たであろう王が、ヴェネツィアからの豊富な金、蛮人な国民をまるで蛮族のように動かしてなりふりかまわずでした。

ロビンフッドの物語とか関係してますね。


本来、神話の時代のただの有名な盗賊だの海賊だのだったのですが、なぜか「森」「弓の名手」だの後付設定がされて「農夫ピアズの夢」とかでまとめられたり、獅子心王だ、アーサー王だのにくっついたりはなれたり。

単純に国家事業として庶民の趣味を「狩猟」にした影響ですね。


以前にも話しましたが、別に「クレシーの戦い」は古い技術のボウガンや騎士を、優れた長弓が叩きのめしたのではないですからね。

高価なボウガンや訓練が大変な騎士を、趣味が「狩猟」な民衆あがりの兵隊が叩きのめしただけですからね?

そして民衆あがりであろうジャンヌダルクが、礼儀もルールを破って横紙まくりにイギリス軍を襲い返しただけですからね?


ということで、そんな話はもっとおもしろい物語で読んでいただくとして、、こんな話が面白かったかな


城戸毅)百年戦争―中世末期の英仏関係―


絵がたくさんで面白いです。


そしてイギリスの国の標語はフランス語なのもこの頃の言葉だったから。

"Dieu et mon droit"(神と私の権利)


まあイギリス人もフランス人も、お互いが気に入らない背景の最初。



もっとも、何が功かわかりませんがイギリスは強力な政権の下地を持つことが出来るようになります。

フランス、大陸への入り口「カレー」以外、欧州大陸の全てを失い、戦争は内なる方向に向かい、薔薇戦争が始まります。

ここらへんの参考文献は、、シェイクスピア?

まあ日本の戦国時代と同じで、最初はドロドロ、泥田で転げるような、、イギリスの場合は泥畑なんすかね?、、小競り合い、足利政権みたいにみっともない国王で、私はあんまときめきませんでした。




しかし、その後のエリザベス女王はなかなかにドロドロとして面白い。

薔薇戦争で勝利し、長く続くと思われたテューダー朝はヘンリー8世と王妃キャサリンの子供は6人のうち5人が死産。

生き残った子供はメアリーだけ。

王妃キャサリンに見切りをつけたく教会にお伺いを立てたら反対されてローマ教会から独立、イングランド国教をつくってアンと結婚しましたとさ。

でも産まれたのは女子のエリザベスだけ。

でも可愛いエリザベスを後継ぎとして指定しましたとさ。

うーん、昼ドラ。


もちろん本来の長子メアリーさん激オコ。

宗教もなんかローマ法王から離れてドロドロ。


さらにお母さんは捏造された不義密通の罪でロンドン塔へ。

娘のエリザベスも浮気の結果の子として不幸な事に。

ついでに、、、、あー、てんこ盛りで面倒臭くなってきました。


まあその後の義母さんもいろいろ。

再婚劇だのなんだので更にいろいろ。

ついでに貴族共の策謀でドロドロ。


ここらへん実際の話を聞くと、陰鬱な名作映画エリザベス(監督:シェカール・カプール)でも描き切れてませんね。

あの陰惨な感じは良いんですが。

殺し合い、罪の着せあい、籠絡、陰謀、てんこ盛りです。


長子メアリーさんとは騙し合い殺し合い。

ウェールズ、スコットランド、土地同士の争いからめて足の引っ張り合い。


まあ陰惨な事だけではないですかね?

海賊女王グレイス・オマリーと意気投合する話とか、「エリザベス女王」が女傑の代表になるような陽気な話とかもありますし。

。。。その後はアイルランド蹂躙とかに続きますが。



。。。まあ、、、まあその、なんやかんやで、、、すいません描ききれないのでなんやかんやで誤魔化します、、、超教養あり、ラテン語の権威ロジャー・アスカムを師匠としたこの時代の最も教養のある女性となってイギリスの権威、教会、議会、超効率の良いイギリス国家と、国民の忠誠心を得て強国の元となりましたとさ。

弱小国家が頭を使い、各国を手玉にとっていつの間に独立国、強力な政治体制、ローマ法王を無視できる体制を作り上げました。


そしてその下のイギリス海軍が無敵艦隊を撃破し、イギリスの名を大いに高めました。

ついでに大西洋で海賊まがいのことをしてオランダ、スペインを野盗のごとくごとく襲いまくり、エリザベス女王のお財布が大いに潤いました。


どうでしょう?

イギリスは皆さんのイメージ通りでしょうか?


蛮族、実は大陸的な古代、戦乱で多民族、七王国どころではない混乱の地、プレイヤーはケルト人、ゲルマン人、海賊、フランス、どれもこれも一物アリ。

そして陰惨な陰謀劇でエリザベス女王を強国に育て上げ、強力で伝統あるロイヤルネイビーの仕事は海賊。


実は私的にはイメージ通り。


相変わらず弱小ですが、スペインを撃破するころにはとっても中身が詰まって強国になりそうな雰囲気が漂ってきたところで今回はやめましょうか。


次回は直接的に日英同盟につながるイギリスの強化、繁栄、孤立を書きましょう。

面白い国ですよ?

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