エジソン・ゼネラル・エレクトリック・カンパニー→× ゼネラル・エレクトリック・カンパニー(GE社)
「電気」ってなあに?
実はあんまりわかってないです。
私が小学生の時「電子の流れ」とかで覚えていましたが、それでは電磁波や電磁誘導の説明がつきません。
光との関係だっておざなりですね。
いまや「電気」は、電荷の移動や相互作用によって発生するさまざまな物理現象、と曖昧な記載で誤魔化され、そもそも電気が一つの明確なセグメントを保っているのかさえあやふやになってきました。
まあそれを言い出したら、物理現象全てがそれに近くなっていますが。
長さも、重さも、時間も、電磁気も、それっぽいのは確かにあるのですが、「具体的になあに?」と言われると困ってしまいます。
光速でさえあやふやになっているし、電磁波の伝播速度、重力伝播、一般相対性理論で同速度と類推されているものさえ違っているそうです。
チェレンコフ放射まで言われるとなんのことやら。
最近「重力」「時間」なんて「ない」と言われているらしいです。
ここまでいくと「真空」が「ある」、宇宙の全ては「素粒子」で満たされている、いやエーテルはあるんだ、、、凡人には禅問答に聞こえてしまいます。
まあ仕方ない。
宇宙の全てがわかったら、宇宙の外というわからないものが出てくるものらしいですし。
謎は永遠になくなりません。
科学者でもない限り、何事もほどほどにした方が寝覚めはよくなります。
とは言いつつ、第二次産業革命と言われる場合は石油と対になっているものが「電気」です。
あまりに重要で夢があるので、この後の読み物に電気はとっても重要なネタになりました。
西欧社会でも17世紀頃からその認識はされ、使われてはいたのですが、一つの産業として明確になったのが19世紀後半。
まあ明確でなければ紀元前2750年頃から電気を発生させる魚とそのエネルギーについては記載があり、デンキナマズやシビレエイが導体を通すエネルギーを発する、痛風や頭痛の治療に使う、といったこともあるので随分と昔から使われてはいました。
紀元前600年頃にタレスが静電気に記載しており、当時は磁力と勘違いしてましたがその後の古代ギリシア人は磁力と電気の関係を記載しているので、そこは当時から現代並みに整理されていたみたいです。
「電気の発見はベンジャミンフランクリン!1752年!」とおぼえた人もたくさんいるかもしれませんが残念、15世紀のアラビア辞書にそういったことは記載されており、それ故に中国やアラブではその前に静電気、動電気、シビレエイやデンキナマズからのエネルギーは全て同じという認識はとっくにされてました。
西欧が「科学」という認識はがらがらと崩れ、教科書で覚えたことがどんどん無駄になっているようです。
中東、中国の当時の先進国っぷりがよくわかる事柄の一つです。
#イラクで発見された、紀元前250年の
バグダッド電池はさすがに眉唾らしいですが。
そして生物で「電気」はまず神経、多細胞生物として体の一部から受けた情報を瞬時に他の細胞に届ける仕組み、それをそのまま世界は電気通信としてまずは名を馳せるようになります。
第二次産業革命と言われる前から、鉄道と同時に引かれるのは電線、モールス信号でやり取りする様はまるで人間の神経のよう。
狼煙や手旗信号、数分に何ビットかの情報しか送れない仕組みは、1600ビット/分、約26.7ビット/秒の伝送レートを実現したのです。
情報量が桁違いになりました。
で、その通信は伝送としては電話、電信、無線通信、テレビジョンとして発達し、エネルギーを瞬時におくれる力は送電施設として発展し、エネルギーを送りやすくて他エネルギーに変換しやすい力はモーター、電球、電気コンロ、蓄音機といった製品に使われるようになります。
で、内容がどんなかは。。。まあ「エジソン」だけ知っていればよいですかね?
...乱暴な!
でもなぜだかエジソンの伝記って実は眉唾で、、、そもそもエジソン自体が眉唾で、その偉業とやらも結構な誤解が多いのでなんとも。
・生涯におよそ1,300もの発明と技術革新を行った偉大な人。
・エジソン・ゼネラル・エレクトリック会社、現ゼネラル・エレクトリック社を作った人。
・映画の父
・努力の人
・不屈の人
数々の偉業が述べられてます。
まあ例のよって例のごとく、伝記の典型的なパターンが記されてます。
障害があった(耳が不自由)→皆から蔑まれた→お母さんのおかげで学校行かなくても向上心富んでます→努力した→成功した→超偉大な人!!
ここらへんの誤解、日本の文科省(旧文部省)のせいと言われてます。
偉人が学校を否定するのはアレだから母親を教師にしてしまおうか
→お母さんは10代で結婚しているのでそんなはずない。ちなみにこの時代のアメリカはローラインガルスでもあるように、学校行かない人は案外多い。それでも教育程度高い人多いのはアメリカの底力!
耳を悪くしたのは意地悪な駅員のせいと創作してしまえ!偉人はとりあえずドラマティックに虐げられないと
→エジソン自身も実はよくわかってなかったらしいですが、正解はこの時代でよくある高熱で耳が不自由だったようです
とにかく電気の発明はたくさんあるけど面倒なんで全部エジソンにしてしまえ!
→実は0から発明したのってない
...実はこういう世界がよく電気の世界に現れており、理解するのに一番重要なところですね。
エジソンが全てを作ったというのは誠に図々しい勘違いですが、その誰かの勘違いのおかげで彼らの偉業を一つ一つ精査していくと電気が産業となる過程が良くわかります。
電気の業界ってちょっとづつちょっとづつ発展していくので、誰が最初で誰が最後ってないんです。
エジソンの「白熱灯」が電球の発明で、ナショナルの「パルックボール」(蛍光管を電球間に押し込めたもの)が電球の発明でない理由ってないですよね?
・最初に電気で光を灯したのは1808年「アーク灯」。
・電球にフィラメントを使用することを発明したのは1802年のハンフリー・デービー。
・フィラメントに炭素を利用することを考えたのは1850年)ジョセフ・スワン。
・1879年に京都の竹炭を使用して1200時間の実用に耐えたのがエジソンですが、全く同じ方式をドイツの時計職人ハインリッチ・ゴーベルが1854年に作ってました。
最終的にメジャーなタングステンフィラメントは1903年?
さて、エジソンが発明したのは何でしょう?
ちなみにエジソンらしい逸話は電球の発明?とやらに全て押し込められていて、
誰かの二番煎じ
その権利を図々しく主張して裁判
その裁判中は研究日誌の1879年の10月7日から21日までの部分が切り取って誤魔化しており、
裁判の決着前後にはジョセフ・スワンに投資して合弁会社にしてしまい、ビジネスで解決してその結末をうやむやにしてます。
それ以外も数々のトラブルの逸話を残し、「訴訟王」という名を馳せます。
発明は「1%のひらめきと99%の訴訟」と揶揄されていたのも有名な話。
そして電気に限らず、こんな感じで発展したのがアメリカ主人公の産業発展の物語となります。
エジソンという人物がどういう役割かはあやふやでも、電気の実用化は成し遂げられ、どんな役割かはあやふやでも彼が進めたのは疑いないでしょう。
科学畑で霞を食っているような人は利を得られず、エジソンのようなビジネスマンが利を取る世界。
そして霞食っているような人がどう負け惜しみを言おうが、彼が何かを成し遂げたのは確かな世界。
そんな感じで世界が進んでいくようになります。
まさに
資本主義万歳!
の典型例ですね。
ちょっとネガティブすぎなのでエジソンの貢献も書いておきましょうか。
発明に関してはそんな感じですが、エジソン=電球の発明 はビジネスとして成功させたからこそ。
1880年エジソンは送電事業に関連する特許を60件あまりも申請し、商品として電球を商品化し、発電施設、送電施設を整えてセットで売り出してます。
今までの考案者は、
デモンストレーションをし、
発表し、
他社に売り、
一部で使われ
それで終りでしたが、エジソンはそれで済ましていません。
アメリカの消費者にそれを使わせるところまでやっています。
「ビジネスマン」としてお金儲け、汚いところを揶揄する人はいますが、それでも彼が何かに大いに貢献したのは確かです。
ちなみにエジソンらしいオチ。
きちんと高等教育を受けていない、座学での勉強なので三角関数、微分積分といった基礎部分が足りず、最後まで直流発電にこだわって負けています。
直流送電は損失が多いことを理解するのにかなり苦しんだ様子。
そしてライバルを蹴落とすのにあるとあらゆる手段を使い、人々に「交流は危険」との印象を持たせるために「絞首刑は交流が使われている!」と言うためだけに交流の電気椅子を発明しシカゴ市に納めました。
史上初の電気椅子による死刑執行は目論み通りにならず、
「電気での処刑という残虐行為を首謀した恐ろしい人物はエジソン」
「電気はすべて怖い」
電気全体のネガティブキャンペーンになっただけでした。
ちなみに感電は直流でも起こります。
ピーク電圧は交流の方が高いですが(100Vだったらピークは141Vですが、大電流の遮断等は交流の方がしやすいので安全性で言えばどっちもどっち。
更に最後の最後、発電所に納入する発電機をめぐる戦いでも敗北し、そのあまりの醜い所業で出資者であるJ・Pモルガンから見切られ、エジソンは元々は自分が設立したエジソン・ゼネラル・エレクトリック・カンパニーの社長の座を失い、会社とは無関係とされ、社名から自分の名前も消され、ゼネラル・エレクトリック・カンパニー(GE社)となっています。
かなしい。
そしてゴールデンロッドからゴムを取るのに成功したとか、鉱山経営にも手を出して失敗とか、研究所に篭って死者との交信の実験を続けたとか、
1931年10月18日)84歳でその生涯を終えるまで前線で働き続けました。
とにかくアクティブな人という印象です。
うーん、ネガティブな話に戻ってしまいました。
どうしても私の考えるエジソンの偉大なところは、背中を覗くと俗人さも貼りついてしまいます。
発明家として名を馳せてますが、そのビジネスとしての実行力が私が尊敬し、彼を有名にした何かですしね。
そして彼は精力的でした。
彼が関わったもの、それが電気がどう発達、産業になったかとってもわかりやすいくなってます。
当たり前。
だってビジネスとしてモノになるものを精力的に手を付けたのがエジソンで、それは彼が最初に発明したものでなくてもその途中をステップアップしたものであるのは確かで、そして彼が無数の手を付けたもので「伝記」として残っているものは、それは電気事業として成功したものですから。
(伝記に載っていないものは、彼の無数に手を付けたもののうち発展しなかったモノ)
・電話
発明者はベルと呼ばれています。
1876年3月7日、米国特許174465号。
しかし最初の基礎的な考案は1844年、イタリア人)アントニオ・メウッチですね。
その後も夢のような話ですからたくさんの人が関わり、当然エジソンも関わっています。
1877年4月27日 炭素(黒鉛)送話機についての特許とってます。
ちなみに訴訟は15年!
1876年はプシュカーシュ・ティワダルが電話交換機を発明し、1878年にアメリカ各地で電話会社が148社開業してます。
音を電気信号に変えるマイク、電気信号を音に変えるスピーカー、その途中の送電設備(というか通信設備)、相手を選ぶための交換機、etcetcが中身ですね。
・蓄音機
1857年、フランス人エドゥアール=レオン・スコット・ド・マルタンヴィルが発明したフォノトグラフが、音を記憶する装置の最古のものです。
これは録音機と再生機は別なものという考え方。
その実験レベルのものを商品化にむけての発明はエジソンです。
1877年12月6日、発明しました。
原理は、
・金属の蝋管で音を拾い、その振動を直接針で回転する円筒に刻む
・その刻んだ円筒の溝で針を動かし、磁力で振動版を奮わせて音を出す(マグネティックスピーカー)
これを1887年、エミール・ベルリナーが水平なターンテーブルに載せた円盤にしレコードを発明します。
ここからが皆さんの想像するレコードプレーヤー・・・いまやレコードないですか。
そのプラスチック板に溝を彫り、音をそのまま刻んだものをレコードと言い、それを光の反射に置き換えたのがCDですね。
・電車
1835年、トーマス・ダヴェンポートが電動機を用いた電車作ります。
ちなみにその元になる電気モーターは1827年、ハンガリーのイェドリク・アーニョシュ
ドイツのウェルナー・ジーメンスが1879年に直流方式の電車を走らせ、その数年後に営業運転してます。
エジソンは1880年に電気機関車を設計し、ノーザン・パシフィック鉄道へ売り込みました。
#発明したとは言ってない
・鉱石分離装置
銅とかを分離します。
そういえばアルミとかは電気の発達は必須ですね。
関係ないけど。
・発電機
1827年、ハンガリーのイェドリク・アーニョシュがダイナモの概念を作りました。
でもその有用さに気づかなくて特許取ってない。
エジソンが有名なのは、それ以外の発明家はこの時代はお金儲けに疎かったからかもしれない。
ちなみにはじめっから完成度高くて、その後の製品はすべてこの延長です。
この後、エジソンは世界最初の電気会社を作りましたが、結局直流にこだわりすぎて上手くいってません。
5年後の1886年、皆がイメージする発電所をアメリカのジョージ・ウェスチングハウスが作ります。
変圧器を利用し、交流送電の発電会社。
・映画
1887年に動画撮影機"キネトグラフ"を発明しました。
実は部下のウィリアム・ディックソンの発明。
(別にエジソンは功を奪ってない。みんなが勝手に言ってるだけ)
ちなみにリュミエール兄弟やオーギュスタン・ルプランスという人に後れを取ってます。
エジソンが一番悪口言われる分野です。
独占、がめつい、仁義破り、評判は散々です。
各映画会社を抱えてトラストを行い、逆らうものはマフィアを使い、高価な特許料を徴収し、35mmフィルムのスプロケット規格を興して独占し(個人的にはとっても巧いと思うけど)、まだ発表されてない作品を騙して映画化したり、まあいろいろ。
ジョルジュ・メリエス『月世界旅行』を公開前に無断で複製しアメリカ中の映画館に売りつけ巨額の富を得たり、とってもド汚い。
ここらへんはマック・セネット「<喜劇映画>を発明した男 帝王マック・セネット、自らを語る」を読むと良いです。
面白いです。
・アルカリ蓄電池
電気自動車を夢見て蓄電池を発明?開発しました。
電池の開発に携わっている人は苦労がわかると思いますが、二つ以上の物資を混ぜて、離して、格納して、ひたすら電池開発は根気です。
まことにエジソンの強みというか、実に5万回も実験を繰り返したそうです。
まあ未だに電気自動車が実用化してる。。まあ実用化はしてるのか?。。メジャーではないことからわかるように実現は無理でした。
これは親友であり、自動車王のヘンリー・フォードに託して将来の実現を夢見てます。
ちなみにフォードは、エジソン照明会社でエンジニアとして働いていました。
その頃の熱意はエジソンは大層気に入り、生涯の親友です。
ちなみにエジソン研究所に所属していた日本人青年)岩垂邦彦は日本電気(NEC)の創始者。
それ以外の発明、、占いマシーン、交霊マシーン、ヘリコプター、選挙集票マシーンとか?
それ以外の数々の失敗。
最初の発明、株式表示板は成功してますね。
億円単位の特許料儲けて、それがエジソンの始まりかも。
本当の最初の最初の発明は、
鉄道会社の電信士をやっている時に、来る日も来る日も同じ「異常なし」電文を伝えるのが面倒くさくて時計と組み合わせて自動「異常なし」発信機をつくり、それを経営者に怪しまれてくびになりました。
まあはじめから
狡い、怠けるために努力する、ちょっとでも工夫する余地あると工夫する、すぐに実行する、
ここら辺がエジソンらしいと言えるでしょう。
モラルがないことも含めて。
一人の男が歴史を変えたかどうかは知りません。
誠にアメリカの「金ぴか時代」の偉人らしいというか。
あ、ちなみに彼のネガティブな話ばかり書いてますが、私的には偉いと思っていますよ?
確かに彼が0から発明したものなんてあんまりありませんが、電気製品なんてそんなものですし。
世界中の科学者や発明家はいろいろやりましたが、少なくとも彼のようにリスクを貼り、実行し、いろいろ手管を行わなかったのでエジソンにはなれなかったわけですから。
そして彼らは一生懸命探さないとその偉業は見つからないけど、エジソンはその行動故にまるで彼が発明のように書かれ、「エジソン」という名を冠した会社がそこらじゅうに出回ることになるのです。
そしてその時代のあらゆる発明に手をだし、それこそ人間離れした集中力で来る日も来る日も実験を繰り返す。
その気の遠くなるような作業の結果そのものを卑下する必要は全くないと思います。
アメリカの発明家チャールズ・ケタリング
「成功の99パーセントは、いままでの失敗の上に築かれる」
まさにこれを実行したのがエジソンで。
とにかく体を動かし、頭を動かし、手を動かし、それがエジソンのものかどうかは関係なく、何かを一歩一歩進めたのは確かです。
「天才は1%のひらめきと99%の汗」
まさに彼の言葉でしょう。
たまに「1%のひらめきがなければ99%の努力は無駄である」とかへんな意味づけをする人はいますが、エジソンは自分に1%のひらめきがあったかどうかの結果論など関係なく、生涯は努力をし続けました。
「ひらめきがない」とか逃げたりせずに。
もう一つの名言
「何かが君の考えたとおりに運ばなかったからといって、それが役立たずだという意味にはならない」
彼はそれを律儀に実行し続けたのでしょう。
彼はオランダ人の父と、スコットランド人の母から生まれました。
「ずうずうしい」「ひつこい」オランダ人を、ポジティブに考えれば「前向き」「ひたむき」。
「りくつっぽい」「くらい」スコットランド人も、ポジティブに考えれば「理性的」「真面目」
まさに典型的な性格を反映していると思います。
そして「性格」なんてネガにもポジにも考えられ、彼の後ろ暗いところ、俗人的な部分も含めて称えてしまいます。
そして時代は、金ぴか時代のアメリカ人がいろいろなものを作り上げていく世界になります。
それは今でも続いており、それを批判する人が多いし、私もアメリカ合衆国全てが正義などとても思えませんが、世界の何かをひっぱっていく合衆国の姿はどこかで納得してしまいます。
そういう時代に変わっていったのも第二次産業革命のもう一つの姿にみえます。
そして、まさにエジソンが資本主義の発達とは何かを現してますね。
好悪はともかく。
今回はこんな感じ。




