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人間の歴史。  作者: TAK
江戸時代
128/176

泥縄で明治維新

さて、


「これではダメだ!」

「日本を変えねば滅ぶ!」

「幕府を倒せ!」

「新政府をつくって海外に対抗せねばならぬ!」


みんなが同じことを考えて動いている中、勝海舟、徳川慶喜、坂本竜馬達がトンデモナイことをしでかしました。

ラスボスが逃げやがった。


「魔王がファミレスでアルバイトすることになりました」

「魔王は転生して勇者になることにしました」


みたいな物語はおもしろおかしく大団円で終わるはずですが現実はそうはいかない。

まして、「世の為に魔王を倒して欲しい!」と言っていたお姫様が魔王を戻そうとする無茶苦茶さ。


「やっぱさー、幕府頑張ってほしいわけよ!」


権力移譲された皇室も何してよいかわからないんで。


討幕側も、なんとか謀略で魔王をラスボスの位置に戻そうと四苦八苦します。

なんか喜劇ですね。




まあ自らを省みないと何でもできます。

自爆覚悟のC4アタック、自ら滅ぶことを決めたら大抵の敵は倒せますからね。

みなさん、上手く世の中生きていたいなら誰かから死ぬほど憎まれないようにした方が良いですよ!?


一介の学生、一介のサラリーマンなど自爆覚悟なら簡単に不幸にできます。

どんなにクレバーに立ち回っても、C4(プラスチック爆弾)満載のトラックに突っ込まれたらすごい被害受けますからね。

そして相手がそれを出来ないと思うのは浅はか。

酒屋でシュナップスやウォッカ、テキーラやスピリタスを購入したらそれが武器です。

布突っ込んで火つけたら火炎瓶の出来上がり!


蛮勇?

そういえば「俺って優秀なハッカー、絶対ばれない!証拠の残さない!」と言っていたやつが、普通に部屋に踏み込まれ、普通に機材をすべて押収され、パスワードを自供させられ、普通に逮捕された奴がいます。

関係者に聞くと、知能犯気取りでクレバーに立ち回る奴ほど脆いとか。





なんか話がおかしくなりましたね。


しかし、徳川慶喜らがやってのけた「大政奉還」はこれぐらい狂った自爆攻撃に見えます。

もちろん、この核にあるのはどう考えても「日本を何とかしなきゃいかん」という克己心に見えます。

生きるだけだったら、その強大な軍事力で踏み潰してとんずらすれば良かったわけですからね。

討幕軍は、ラスボスに逃げられて呆然としている勇者になっちゃったわけです。



そしてこまった勇者は、、、違った「薩摩」は謀略で無理やり徳川慶喜を敵に戻し、鳥羽伏見で戦うことになります。

目指すは魔王城!じゃなくて慶喜が鎮座する大阪城!


新政府軍)5,000 vs 旧幕府軍)15,000


まあ幕府側は「新撰組」だの、治安部隊には良くても、戦力、兵力としては多分に疑わしい実力しかない部隊で、あっさり負けました。




勝てば官軍!、7日、朝廷において慶喜追討令が出され、旧幕府は朝敵とされました。

慶喜、直ちに江戸城へ撤退します。

これに批判する人多いですけど、


「返しまーす」

「戻す、やれ」

「やっぱお前は敵!」

「じゃ、返しまーす」

「やっぱやれ」


を繰り返されたらうんざりですよね。

まあ言うとおりにしてるのにいちゃもんつけてくる新政権、それに載せられて良いように言いくるめむりやり魔王様(慶喜)を担ごうとする部下たち、こんなん逃げたくなってくるものです。


最初は克己心と正義の「大政奉還」でしたが、こんな奴らとつきあってらんない、私だったらこいつら見捨てます。

魔王)慶喜さんも見捨てました。

どっちが見捨てたか、見捨てられたか...




幕府は、この敗戦にめげず、何としてでも勝ってラスボス)慶喜さんを勝たせようとヒートアップします。

もうええちゅうに。


薩摩はもう得意の絶頂。

なんか嬉しすぎて嬉ションでもするんじゃないかという勢いです。


「やっぱ実力行使だよなぁ!俺らTUEEE!」


なんか薩摩は狂い始めました。

西郷隆盛や大久保利通以外は、もう理性がふっとんでます。




土佐はなんか微妙に意気消沈です。

あんなに京の廟堂では得意の絶頂で容堂公が仕切っていたのにどっちらけ。

薩摩から「お前らどうする!?」「やる?」「やらない?」「やらないなら勝手にやるよ?」

ちょっとメインキャストから外されて少し困惑気味。





で、長州はどういう反応かというと...


「お前ら何やってくれてんの---!!!?」


長州征伐前には、自分たちが良く言われた言葉ですけどね。



いまや高杉晋作と大村益次郎が鍛え上げ、桂小五郎がまとめ上げた質実剛健なやつら。

あほな老害は排除気味。

とっても現実が見えている連中は、猪突猛進の馬鹿を見る目つきで薩摩を眺めています。


まあ大村益次郎も最後まで戦うつもりで、日本を二分して焼け野原にする覚悟はしてるんですけどね。

これから各勢力をまとめ上げ、鍛え上げ、日本に内戦をおこすつもりでした。


...しかし今じゃない。

だってあまりに幕府って強大ですもの。

適当にテロして、謀略して、適当に作り上げた軍隊で相手してよいものではない。

しかも相手の大鳥圭介は適塾で同門だった者。

実力を認めている相手が懇切丁寧に鍛え上げた洋式軍隊です。

弱いわきゃありません。


薩摩は、とくに西郷隆盛と一緒に戦っていた自称)志士たちが、、実質は何もできない不満屋ですが、、きゃんきゃん喚き散らします。

しかも、長州を崩壊寸前まで導いた老害共が結託して。


「戦は勢いなんだ!」

「今、この瞬間が時流って奴なんだよ!」

「君は戦争の素人だから教えてあげるけど、武士の僕なら戦機というものがわかるんだ!今だよ!」


あほか。

どこぞの太平洋戦争でもそういう参謀が居そうですが。

「釈迦に説法」という言葉さえ馬鹿らしく思えるようなトンデモない身の程知らずな言葉を吐きやがります。


なんとそんな効果が出たのか、この大事な時期に大村益次郎は左遷され、大久保利通の熱弁にほだされ、長州は薩摩と共に江戸へ侵攻を決めてしまいます。

10月27日、大村は掛助役に左遷されて

「ああいう勢いになると、そろばんも何も要るものじゃない。実に自分は俗論家であった。」




そしてさらにびっくり、常識的に考えて負けるはずの戦争だったのですが不戦勝を勝ち取りました。

江戸へ到着した徳川慶喜は、1月15日に小栗忠順(小栗上野介)を罷免。

2月12日、自ら慶喜は江戸城を出て謹慎し、反抗する意志がないことを示しました。

強大な幕府歩兵は解散、新政府軍に組み入れられることになります。


計9個連隊、48大隊、総員24000人の強大な兵力はあっさりと崩壊します。

正確には降伏を不服とした第11連隊、第12連隊の脱走兵約900名だけ残してですが。


そして陸軍総裁)勝海舟と、大総督府下参謀)西郷隆盛と交渉し江戸開城が成されます。

まさかの無血開城。

勝てば官軍とは良く言ったものです。

自分の数倍する幕府軍が勝手に自滅しました。

ここで「俺は知っていた」「実は俺のおかげ」「計算どおりだよフフフ」という人多数。

まあ後からなら何とでも言えますよね。

いよいよ図に乗る薩摩藩志士たち。





...実はここが内戦のクライマックスでした。

勝つか負けるかはこの時点。

なにも戦わずにクライマックスとは何ですが、まさにここが岐路。

大村益次郎も「人生わからんことだらけ」と思ったでしょう。

私でも思います。

人生分かれ道、これをあっさりクリアして残りは戦後処理みたいなもの。

新政府の勝利がきまった瞬間です。




残りは江戸彰義隊、松平容保が逃げた会津、近藤勇らが率いる甲陽鎮撫隊(大鳥圭介の幕府歩兵第七連隊含む)、奥羽越列藩同盟+幕府海軍、あとまだ帰順していない各藩。


「新政府軍は大変だった」「綱渡りだった」


実際に苦戦してはいましたが、現実はどうだったでしょうね?


単に薩摩をはじめ、普通にアホな志士が率いた討幕軍が弱かったのだと思ってしまいます。

いままで幕府軍が弱かった理由の背反ですね。

幕府が弱かったのは装備が旧かったから、途中までは本当ですが、途中から南北戦争でだぶついたスナイドルとか大量に出回ってます。

普通に指揮官が弱かったのでしょう。


そもそも、きゃんきゃん喚いているのは薩摩の志士か朝廷ばかりで、それ以外は粛々と後処理をこなしています。

さすがに自分たちの役立たず的な立ち位置が危ういので、「俺ってTUEE!」をアピールしたかったのでしょうか。




誰も総司令官ができないので大村益次郎が返り咲き、彼が仕切ることになります。


彰義隊の討伐は、薩摩のアホどもがまるで子供向け戦記物のように、「夜戦だ!」「奇襲だ!」「敵は強大だ!」と騒ぎましたが、結局は大村益次郎が歴史書から江戸の天候まで調べ、兵力配置、砲配置、火消しの勤務状況まで細かく指示し、昼間にまっとうに仕掛け、あっさり勝ちます。

嘘か誠か、碁を打ちながら時計を見て「そろそろですね」と呟いたら戦勝がの報告が来たとかの逸話があります。


あと作戦会議の時、武士の海江田信義に対して、農民医者の大村益次郎が「君はいくさを知らぬ」と言ってのけて後日の暗殺決定したとかなんとか。



東北戦争では、「苦戦」「弾薬くれ!」「援軍頼む」とかいうのを


「どれくらい」「どういう状況で」「何箱」「一日の消費量は?」


近代軍の将らしく聞き返して薩摩の将を怒らし、かつ大村益次郎が予想した時間通りに勝利出来ちゃって薩摩志士の面子丸つぶれとか。




西郷隆盛にも


「仲間が苦戦しているので白河城攻防戦行きたい!」

「でももうすぐ終わりますよ」

「でも行かせてくれ!」


で、命令違反に近い形で無理に行こうとし、言われたように終わってたとか。

西郷隆盛は「先生にご迷惑を..」と恐縮してましたが、彼は終わった後も怒りもせず、誇りもせず、ただ飄々と碁を打ってたらしいですけどね。


白河方面で大村と西郷は対立したとか言っていましたが、現実はこんな感じ。

ここで歴史書は諍いが起こったとか何とか言われてますが、大村益次郎には徹頭徹尾、謙虚に持ち上げてました。

偉い人だ。


部下のアホ志士たちはやはり「馬鹿にされた」と憤っていたようですが。



クライマックス後でも苦戦した理由はこんな感じでした。

口だけな薩摩の志士たちがきゃんきゃん喚き、その後に大村益次郎が計算通りに兵を動かし、「薩摩藩」「長州藩」「土佐藩」どころか新政府軍、幕府軍まで彼に従い、計算通りのスケジュールでこなしただけ。



しかし、戦争的にはクライマックスが過ぎましたが、明治政府の建国という意味ではここからがクライマックスとなりました。

薩長土肥、旧幕府軍、諸藩がどんどんと新政府軍に集まり、彼らは生き死にがかかっているし、ちょっとキ印で犠牲の多い口だけな薩摩の指揮官より、彼らを生かして帰してくれる大村益次郎に頼るようになります。

しかも威張りませんでしたしね...誰にも無口で傲岸不遜だったので、誰にでも威張ってたという考え方もありますが。


長州藩が彼に従うのは...上司の木戸孝允まで「先生」と呼んで従ってますが...当たり前ですが、薩摩の将兵も彼に従います。

西郷隆盛もそうですが、志士のうちまともな人、投降した旧幕府軍の兵士たちも、元志士も、みんな彼に従います。

どころか連戦連勝なので、神格化までし始めました。



指揮すれば必ず勝つならば当たり前なのかもしれませんが、それにしたって傲岸不遜な割に慕う人多い。

いろいろな歴史書で、彼の有能さを疑う人はいませんが、同時に不器用で無愛想、へんちくりん、嫌われ者という感じは、この事実からは受けませんね。


嫌われたのはアホな志士達だけでは...


歴史書では「兵をコマのように動かした」「人をモノのように扱った」でしたが、そもそもそれを書いたのが元志士連中でしたからね。


そんな評価で実際に兵は慕うかな?

まあ慕うは慕うでしょうが。

なにせ自分達を生き残らさせてくれる指揮官ですから。




とっても兵には慕われていたような感じまでします。

「薩長土肥」軍ではなく、彼を慕い/従うことで新政府軍の意識が芽生えました。



その現象を見て、主班である朝廷も彼に従うことになります。

彼に対して鬼のように勲章、爵位を与え、新政府軍の中心に据えようとします。

彼に会う前から評価の高かった勝海舟は、彼に江戸の警察権を全て渡しました。




「戦争は何も生まない」


廟堂ではあれだけピーチクパーチクやっても何も決まらなかったのに、ここでは大村益次郎を中心に新政府

の核らしきものが出来ていきます。


彼を慕い、神格化し、軍を中心とした新政府の礎がどんどん出来上がっていったのです。

もちろん軍は軍だけでは成り立ちません。

その費用の算段、軍のモラル維持、憲兵的な組織、軍が常駐することによる民衆への治安維持。

彼はヨーロッパに書いてある教科書通りにしただけですが、それにしても実行者としの辣腕を大いに見せつけ、軍以外の者も頼るようになります。


まさに戦争が彼を中心に据え、それを核として新政府が出来上がっていったのです。





もう一方の戦争の姿として、


謀略家として生きた大久保利通も、同じように泥縄式で権力が拡大し、外交的なフォロー、政治的なフォロー、いつの間に彼の役割も拡大して、政府の中心的な立ち位置として辣腕を奮い始めます。



彼は「クール」「薩摩を見捨てた」と言う評価はどうでしょうかね?

単に口下手なだけで、役立たずの海江田信義を最後まで世話しようとしたり、情に溺れた西郷隆盛をぎりぎりまで助けようとしたり、大村益次郎とは別な方向で、誠に九州男児っぽい情の人な気がしますけど。


しかし「クレバー」は確かです。

とっても賢かった。


大村益次郎と同様、西洋から見聞し、彼なりの工夫で日本向けに改編し、政治組織を作り上げていきました。


何もせず右往左往していただけの廟堂ではなく、まさに危機意識、というか瓦解したら崩壊ですから危機そのものですね、それをひとつひとつ潰し、泥縄で解決していくうちに権限が拡大し、大久保利通も重鎮に育っていきます。

まさに戦争が作り上げた政府ですね。



あ、もちろんその上司の桂小五郎(木戸孝允)や西郷隆盛もきちんとしてますよ。

彼らを見事に支え、サポートした理想の上司です。




戊辰戦争は1869年6月27日、函館で新撰組)土方歳三が戦死し、榎本武揚らが降伏して終結します。

新しい遺恨がたくさん吹き荒れたまま。

一緒に京で薩摩と並べた会津はとても彼らを憎むようになります。

西南戦争で大活躍したとかなんとか。

(現在の会津の鹿児島、山口嫌いは、多分に映画や時代劇小説の影響らしいですが)


それにしても、書いてみると本当にいい加減な組織だ...

中学生の次女と『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』を見に行きました。


姉の影響で、次女は保育園の頃からゲームを始めていたのですが(あんまよくない)、DSは難しくて始めたのはGAMEBOY ADVANCEのスーパーロボット大戦だったから。

4歳児にできるゲームって少ないのです。


で、映画館に就いた印象

・がらがらでした

・おっさんばっかり。女子は次女だけ

・話の内容は無難でした。ローグワンに期待したスターウォーズ「最後のジェダイ」よりなんぼかまし。

・ストーリーは無難。見て損はない。見なくても損はない。

・次女の感想「ポケモン映画みたい」


たしかに!

伝説のポケモンが暴走し、それを鎮めるサトシ達。

ちなみにタケシとグレッグルの役割がボスとボスボロットでした。

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