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人間の歴史。  作者: TAK
江戸時代
118/176

東名阪

江戸城、名古屋城、大阪城は誰が作ったのか?

それが今回の命題。


「大阪城パークマネジメント共同事業体」「大林組」とかいうのは無しですよ。

とっても正解ですが、さすがにここの話でそれは..

大阪城のエレベータを無粋なものと考えるかどうかは別ですが。

実際、とっても感謝しているお年寄りとかいらっしゃいますので、そういう声を聞くと何ともです。





さて日本の特徴。


日本の東京、名古屋、大阪、こちらだけで実に日本のGDPの7割も叩き出しています。

これを誰が作り出したのか?

今回はこれが徳川家康の戦後処理の結果であることの回として書いてみましょう。





歴史からのイメージで、なぜかこんな感じになってますよね?


江戸=徳川家康

名古屋=織田信長

大阪=豊臣秀吉


こんなイメージは私だけ?


まあちょっと考えればわかりますが、織田信長=名古屋はないっすよね。

生まれは那古屋城でしたが実際にブイブイ言われたのは清州城。

徳川家康と清洲同盟、信長死後に跡継ぎを決める清州会議とか有名ですよね?

じつはこの頃、名古屋の中心地は清州です。

もっとも名古屋は穀倉地帯、田舎、農家のイメージで、織田信長はどんどん居城を変えていき、それを支える食糧生産地が名古屋。

今とイメージ違う?


美濃(岐阜)という肥沃な土地を狙うための戦略拠点)小牧山城、

  ↓

じっさいに強大になった織田家の中心地、商業都市になった岐阜城

  ↓

京という日本の中心ののど元であり、琵琶湖という商業、海運、防御に有効な後背をもった安土城


その後に出てくる平城、城とは商業地の中心というイメージは、まだ岐阜や安土は山城ではあるものの、作り上げたのが織田信長です。

壮大で壮麗で華美、見上げれば誇りさえもてる天守閣は町の中心に相応しい。

周りの商人を根こそぎかき集めてつくった街=城のイメージ戦略で愛着を持たせる。

そしてそれが人口集中を助長し、産業が発展する。

ちなみに名古屋城の大元の大元は今川家だったりする。

どうでもよい話ですがね。



大阪城は豊臣秀吉。

元々は石山本願寺があった場所で、信長が本願寺を虐殺ジェノサイドした跡地。

最初っから徹頭徹尾、信長はそれを狙ってたようですね。

その計画を実行したのが秀吉。

朝鮮出兵、九州平定、徳川家の改易、キリスト教禁止、嘘か誠か全部が信長の策だとか。

まあとってもリアリストで先の見える人だったっぽいのでありっちゃありですね。

で、秀吉がそれを引き継いだと。

私は秀吉は信長のアイデアを継いだだけとしてもとっても尊敬しますね。

信長生存の頃から実行者として恐ろしい手管を見せてましたし。



岐阜、安土の商業効果を文字どおり100倍にして実行してみました。

大成功です。

城の周りを人工的に地形を変え、堀をめぐらし、清潔ですごしやすい環境を整え、ありとあらゆる産業の人員を集め、日本の中心どころか世界有数の都市になりました。

これが信長の構想だとしても、ここまで規模がでかいことまで想像してたかはしらない。

まあ未曾有の、ありえないくらいでっかい都市です。

豊臣家の倉に金塊がたくさんはとってもわかる。

ちなみにその大阪城は破棄され、土に埋められ、その上に巨大な建造物が建てられ、今となってはどのようなものだったかは絵巻等で想像するしかありません。

ちなみにプラモデルの「大阪城」とはぜんぜん違いますからね?

埋められちゃって証拠隠滅されちゃって、この前NHK番組のタモリクラブで「石垣残ってた」程度が残滓です。





江戸城は、元々は上杉氏の家臣太田道灌が築いた小高い丘に建てた城です。

没落した江戸氏から引き継いだ上杉氏が小さな砦を建て、上杉朝良の隠居城だったとか。

小規模で海に面した、今からは想像つかないようなおんぼろな建物です。


太田道灌が築城の天才ってゲームでありますが良くわからない理屈です。

そのおんぼろの城を建てたから?

上杉を救った能力のある戦上手だったのは確かですが、暗殺されて死んじゃいました。


その後、荒れ果てた江戸城は北条敗北後の徳川家康によって建て直されます。

といっても小規模なもの、西ノ丸・三ノ丸・吹上・北ノ丸を増築、また道三堀や平川を移す、埋め立てを行い街を造る、くらい?


が、徳川家康の権力が増すごとに江戸城はどんどんでかくなる、最終的には日本最大のお城となりました。1636年が我々の想像する江戸城の最終形ですかね?

いまでも現存するんでとってもわかりやすい。



...でもないか。

桜田門、半蔵門、日比谷(門)、日本橋(呉服門)とか、現在残っている東京の地名は江戸城の門があった場所です。

さらに総構えとして、浜御殿、御成門、虎ノ門、四ツ谷、市ヶ谷、神田川、水道橋、両国、永代橋、具体的に浜離宮や東京タワー、両国国技館とかも江戸城の一部です。

でっかいですねぇ。

いまは高層ビルやら日比谷公園やらスタジアムやら大学やらが建っちゃってるんで街中にみえますが、あれも城の一部だったんですね。

神田川も本当は違う場所に流れていたんですが、強引に変更し、外堀&水道水として使用してます。

荒川とかも無理やり変更してます。


そしてその城下は各大名、女子供が住まう武家屋敷、商業地、物資集積地、「江戸前寿司」が江戸前で取れる魚をつかった寿司という意味ですが、そういった新鮮な魚を調達する漁港、木場は川から下った材木を集積する場所の意味で昔は地名ではありませんでした。

今では「木場」「新木場」とともに地下鉄の駅名ですが。


スケールでっかいです。

しかもそれはすべて「城作り」「軍事拠点」という名目で作ってますから、各大名から予算や労働力をもらってやってます。


。。。城作りなら仕方ないですね。

軍事拠点なら武士は武士の頭領である「将軍」に従う必要があります。

どう考えても他国の金で町作ってるように見えますが。

こうやって詐欺まがいの行為で地方財政と中央財政を健全化してるんですね。





それと同じ手法で徳川家康は名古屋も作っちゃいます。


織田家が清州に移していたので廃城になってた那古屋城の上にぼこっと積み上げて現代のイメージの平城にしてスケールのでかい工事したのが名古屋城。


1609年、現在の名古屋城の二ノ丸から三ノ丸北部を中心にかなり広い範囲で築城していたのですが、実際はどうであったかは推定となっちゃいますね。

南側は悪地で水はけの悪い土地だったんですがそこを治水し、伊勢湾に面した熱田神宮まで堀川がつくられて海からの船を市街地まで引き入れるなかなかスケールのでかいことしてます。

あんま名古屋城と関係ありませんが、同時期に木曽川も強引に変更してますね。

堤防を築き、いままでは防衛拠点とした面もあったのですがそれをすべて捨て、支流をたくさんつくって那古屋城下の水道、農業用水としての支流をたくさん作り、それも名古屋が肥沃な原動力となっています。


「尾張名古屋は城でもつ」


またぞろ全国の大名を使って現代でも通ずる産業の中心を作っちゃいました。

人の金で好き勝手やってます。

中部の産業の集積地、尾張藩という巨大な旗本達の行政府的な役割、食糧増産地、江戸大阪の経由地、いろいろな役割を持たされます。




実は大阪も同じく。

豊臣氏の大坂城の石垣と堀を破却し、埋め、そこに高さ10メートルの盛り土をして石垣を積み、そのまま独自のものに造り替えます。

豊臣家の偉業は地面の下。

我々が想像していた「大阪城=豊臣家」はずいぶんと違うイメージになってしまいました。

天守閣自体は豊臣の呪いか、3度焼けてますね。

雷で火薬庫爆発、二度目も雷で天守閣焼失、三度目は維新の影響で新政府軍のおかげで焼け野原。


城郭の大きさは豊臣時代の4分の1の規模、天守の高さはむしろでかい、堀割も江戸城をしのぐほど長い距離、商業の都市「大阪」らしく、縦横無尽に船が動き回れる河川、堀が巡らされます。

江戸は人質のための武家屋敷ですが、大阪は商業地として各藩の特産を集積する倉庫が立ち並ぶことになります。

船の行き来も激しく。


そして商家が勝手にどんどん大きくなっていき、どんどん巨大になっていく商業都市。

大阪は道を見てると作りが良くわかります。

碁盤目のようなきちんとした場所は徳川家主導の工事、雑多な縫うような道になると住民が勝手に工事した土地。

そうしたくなるほど魅力的な商業都市だったのでしょうね。

身分を超えた人が集まるとっても魅力的な都市になりました。



それ以外もいろいろなインフラに手を付けています。

各地域の整備、規模は小さいけど町おこし、各藩も東名阪を見て真似してます。

広島、山口、鹿児島、仙台、同じようなインフラ投資した都市ですね。


そして五街道を整備して行き来を簡単にしたり。

沿岸船便の整備も大変細かく策定してます。

徳川政権、インフラ投資の事をよくわかってらっしゃる。

ついでにお伊勢参りとかも庶民のレジャーとして流行ったり。


実に全盛期は年間70万人以上の人が行き来しています。


私が子供の頃、日本史はこんな感じ。


・箱根の関所は超怖い

・農民は奴隷同然。行き来も出来ない、身分も固定、旅行なんて一生に一度の楽しみ

・大名、手打ち、武士に這いつくばる農民庶民

・原始的で悲惨な生活


ぜーんぶウソでした!

ちなみに子供の頃の箱根の関所の展示物と、現代の箱根の関所は様子も変わってます。

ちょっと優しげです。


そして東名阪のでかさは徳川家康がつくってます。

信長秀吉関係なし。

というか秀吉の偉業は埋めてます。

信長・秀吉のアイデアを全国規模、各種特色を出して分業させてます。






日本は室町時代から脈々と続く開墾で生産量が激増してます。


急流、小さい日本の河川は、地形さえ有効に変えられれば実は治水がしやすくとっても有効なんですね。

特に米作は水のコントロールが重要ですから。

水のコントロールは治水が出来るなら実は日本の河川の方がしやすい。

そして兵士に払う給料は「石高」というだけにとってもお米は大事。

戦国大名は自分達の国力を国力を上げるためにとっても努力してます。

一次産業として極限まで上がってます。


そして山林のコントロール。

実は日本の山林は戦国時代は禿山になっているところ多数。

木はいろいろなものにつかえる資源です。

製鉄、木炭、紙、建造物、武器etcetc

そして切羽詰った戦国大名は各地で伐採、山を食いつぶしましたが、それを反省して幕府がコントロールします。

日本の山林の多くは江戸時代につくられたものだったりします。

すごしやすくて美しい山は、実は人工的だったんですね。

ちなみに私の家も三重の山奥です。

なぜだかとっても古くから植樹の管理をしてます。

だれか代わってくれないっすかね?

義務ないのになんか習慣でやっちゃって、日本政府むかつく。

下の住民のことなんて無視して荒地にしてしまえば良いんでしょうけどね。

なんとなくそれでは寝覚め悪い。

まあ、江戸時代もさりげに人に押し付けつつ、規制をしっかりしつつ、東名阪の、あるいはそれ以外の建材をしっかり提供してます。



そして鉄鉱石が取れないという古代の不幸は、職人が多いという近世の幸福につながってます。

どころか庶民レベルで技術が高い高い、維新の頃は蒸気船が作れる傘貼り職人、そしてそれを無能な家老が怒るという、現代でも続く日本人の矛盾が起こります。

なんでふんぞり返っているかわからない無能な上司っていますよね?

そういう人が出世できる妙ちきりんな信賞必罰は海外から見る日本アメージングの一つ。

ま、それが良いかどうかはともかく、そういう環境で二次産業もばっちり。




そして東名阪に集積することによって新しい商売が生まれる生まれる。

お伊勢参りにまつわる三次産業ってすごいですよ?


まるで旅行会社な「御師」。


かれらがガイドから宿の手配、「今夜もお楽しみですね」とか全部手配します。


そして庶民がそれを楽しめるように「旅行積立」。


それがとっても楽しいことをアピールするための広告代理店。


富くじ、お土産を運んでくれる宅急便、プレゼントのためのギフトセンター、ニコニコ現金払いが出来ない人は債符や債券、遠隔地でもツケ効きます。

風俗、売春も各種取り揃え、その間に奥様やお子様が楽しめる観劇その他レジャーも揃ええております。

それを支えるの巨大な物流もばっちり。

その日、その入用分だけそれこそ江戸からの巨船から細かく分かれ、最後は裏門の運河から台所の勝手口まで各種商店が入用な物資を至れり尽くせりで届けます。


すげえなぁ。



徳川家康がそれを計算していたかどうかはわかりません。

しかし、日本全国津々浦々、一次産業、二次産業、三次産業が各種取り揃えてあったのは確かです。

そして、あとはそれを交流、交雑させるための「巨大都市」「集積場所」「商圏」があればその歯車が回ります。




そしてそれを行き来するために、日本は圧倒的な武器も持っていました。


海岸線がむやみに多いことは、沿岸船舶だけで巨大な物流を支えることができます。

鉄道などなくても近代の物流を支えられる。

そしてそれを有効利用するために大都市には河川を張り巡らせる。

それこそ裏の河川から、勝手口に直接物資を贈れるのです。

縦横無尽の海運は、近代に比する物流を近世で実現してます。

そもそもヨーロッパよりずーっとやりやすい環境だったのです。

 #だからこそその後に黒船がおこる


そしてその河川は上下水道の利用、巨大都市はとっても清潔に、人口集中に有効です。

そしてその治水技術は農地に使えるという。


なんか良い感じなスパイラルに入ります。

日本はどんどん豊かになっていきました。


随分と教科書とイメージ違いますね?


それが本当の江戸時代といえましょう。

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