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人間の歴史。  作者: TAK
南北戦争
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リンカーン・コンチネンタル

リンカーン。


それは大統領専用車の勇であるキャディラックの創始者の一人、ヘンリー・マーティン・リーランドが親会社のGE「航空機エンジンは作らない」という方針に反発して作った会社です。


そのアメリカ人らしい独立心と将来性があたり、実に6500基のリバティエンジンを納めた成功者。

しかしまたアメリカ人らしい欠点、アップルの創業者と同じく思い込んだら止まらない!スタイルが先進的すぎるのかダサすぎるのか、自動車作って大失敗してまたもやフォードに身売りすることになります。




...という話ではないですよね。

ただ彼の会社「リンカーン」は自分が尊敬する偉人の名前を冠するもの、望みどおり大統領専用車はキャディラックかリンカーンかで2分し、ケネディが暗殺された事件もあったおかげで「リンカーン・コンチネンタル」は知らない人がいないくらい有名な車です。


軍艦も世界最大のニミッツ級空母の一つ「エイブラハム・リンカーン」をはじめ、原子力潜水艦その他大事な艦には名を冠し、プロジェクト名、書物、番組、、なぜか知的なイメージだから?とワシントンと二分した人気のネーミングには候補に挙がる大統領名です。

とってもアメリカ人に愛されています。


実際、アメリカ史にはとっても重要な人でしょう。

彼がいなくてもアメリカはお金持ちだったでしょうが、彼がいなかったらアメリカ合衆国は先進国イギリスやフランスに搾取される資源国になる可能性だってあったのです。

前回お話ししたように、彼の代の前後で巨額な投資が動き、彼がいる前の合衆国と、彼がいた後の合衆国はまるで違う様相を示します。


資源だって、人種だって南米や中南米と違いってあんまないです。

同じように現地人を滅ぼし、同じように白人が入植し、同じように黒人奴隷を購入し、同じように開拓し、最初は農業..といっても南米の方が稀少なモノだったりして北アメリカが富む理由なんてない。

石油だってメキシコと比べて...いえそもそも石油は結局、中東に奪われるのですから。


大体、日本の地下鉄の元祖ってアルゼンチンです。

合衆国だけが先進国ではない。

むしろ今はともかく、昔のアメリカ合衆国は先進国からほど遠い農業国。

石油が出るまでは工業も二流で金満国でさえありません

そういう世界から抜きん出て世界ナンバー1の覇権国家になるきっかけが南北戦争です。

そのようなことを成し遂げた彼は間違いなく偉人でしょう。



ただまあそういう事情の前にまずリンカーンのことをお話ししましょうかね。



まず出身は典型的なアメリカ農民です。


偉人伝では


「超貧乏、教育受けてない、がんばってそれを乗り越えて弁護士になり、大統領になりました」


こういう偉人伝が大人になってから、現実とあってたためしがないですね。

実際は比較的富裕だったケンタッキーの農業一家でした。


教育はほとんど受けてません。

実はこれも当時の合衆国では典型的。

その100年後の「大草原の小さな家」でも、広大な土地を耕す農民にとって、身近なインテリゲンチャは牧師様か小さな学校に一人か二人、あるいは学校もなくて巡回する教師に頼るというのが当然な世界です。


ま、当時は世界中で学校施設がしっかりしたところもないし、そんなすごい教育もないですけど。

たとえば現代の日本の高校生が習うのは、当時の大学どころか博士号並みの内容です。

きちんと授業を理解しているかどうかはともかく、時間割の半数は体育、軍隊教育とか物騒、社会福祉もいい加減、国民皆兵を狙っている近代国家はこんなものです。




むしろアメリカ人は世界中から比較的しても知識は豊かかも。

善良なピグリムファーザーズ達がつくった町内会レベルの社会は、意識が高く、献身的で学問の価値をよく知っています。

江戸時代の日本に似ているかも。


むしろ移民がまず集まる、荒れて荒んだスラムの中で生きる都会っ子より良いかんじです。

今の西海岸の都市とかも酷いですからね。

新参者の中国人、韓国人、メキシコ人が社会コミュニティをめちゃくちゃにして、めちゃくちゃなことしてアメリカを駄目にしたオバマ大統領が生まれ、その反感で別な感じでめちゃくちゃなトランプ大統領が当選して動乱な世界にするのはスラムと移民です。

昔っから変わらなかったりする。

 #そしてトランプみたいな富裕層の移民で富むのも

  アメリカ史で何度も繰り返されたこと


大した教育を受けていないはずのローラ・インガルスは大学まで受かり、大ベストセラーな作家にまでなりました。

リンカーン大統領も子供の頃は学校は行ってませんが、貪るように書物をあさり、教科書、児童書、歴史書、シェイクスピア、辞書、事典から法律書まで一生懸命読んだようです。

おかげで遊び好きだったのに運動しなくなって痩せまくり、友人達にとっても心配されたようですね。


教育うけてない、でも頭が良い、知識も豊富、なのは少数派ではあるでしょうがアメリカ人として稀少ではなかったのではないかな。

普通に学歴がないだけで知識高く、知性もありそうな良くあるアメリカ人な雰囲気醸し出しています。



最近、東南アジア出身の同僚をみて思うこと。


よく言われる「都会っこより文明知らない現地人の方がIQ高い」は本当だろうな。

だってのんべんだらりと生きてくより、生きる死ぬの狩猟民族の方が頭ぶん回します。


文明の憧れがすごい!

たまにくる船のコンテナから出てくる宝の山(ただの石けんや衣料や医薬品ですが)の先に何があるかとってもうらやましい。


そんなIQと憧憬意識をもったら知識は超吸収できます。


ちびまる子ちゃんの丸尾君より、サッカーその他でまず地頭鍛えてから勉強する大野君の方が将来性ありそうです。(←個人の意見です)




では話を続けましょう。


両親はバプテスト教会の信者。

当時は弱小。

リンカーンは幼い頃から反奴隷という考え方には馴染んでいました。

世界を跨げば一般的な考え方ですが。

アメリカでもこの頃から奴隷輸入は禁止になっています。

国内での売買のみOK



そして祖父がインディアンに殺されてます。

代理戦争が頻繁な頃の良くある事件。

父親は民兵が反撃してインディアンを殺してくれたので九死に一生を得ました。

へたすりゃ家族全員殺されていたでしょう。

アメリカ人、インディアンが嫌いなわけだ。

どちらが奪ったかはともかく。



土地権利書のトラブルで農地を失っています。

購入した土地がすでに売られていた土地だったと。

その裁判費用も含めて資産をたくさん失いました。

その頃から法制度の不備、役所の手続きの不備を嘆いています。

後に測量士と弁護士を目指すきっかけ。




その後は父の再婚だの、寒冷で不作とか、姉の病死とか、引っ越しだの辛い日々が続き、農業を一生懸命手伝いましたが、3回目の引っ越しくらいで独り立ちします。



最初は雑貨屋を開こうとしましたが、黒人奴隷に強盗で襲われたりしてます。

イリノイ州ニューセイラムは100人ちょっとの人口、荒くれ者の町で荒くれ者達相手の雑貨屋を開き、なかなか人付き合いは上手だったようです。

真面目、律儀、親切、人付き合いが上手い、ついでに体力頑健、なかなかの戦闘民族で雑貨屋を営む間のトラブルでレスリングの試合とかを受け、ジャイアン的な人に一目置かれる存在だったとか。

町の名士に気に入られて議員候補になったり、事業失敗して失業したり、インディアンとのブラックホーク戦争で民兵になったり、郵便屋さんになったり、裁判官の助手とか波瀾万丈?な人生をすごします。

印刷屋とか測量とか、事業は2-3回失敗してます。


収入はとっても低い。

子供の頃は貧乏ではありませんでしたが、若い頃は間違いなく貧乏でした。

まあ、大成したければ失敗は若い時にしておけ!って皆さん言いますよね。


まあそれでも人気はあったようで。

裁判官勤務をきっかけに弁護士になり、更にイリノイ州議員として当選し、1834年からようやく我々のイメージの政治家になりました。


必ず偉人伝で定番な「弁護士の勉強がんばった」伝説はあんま現実では書かれてませんね。

むしろ測量とか数学の勉強は大変だったみたいですが。

今の弁護士がインテリゲンチャなんで勘違いしているか、子供の頃から読んでる本で法律多かったので実は勉強は既にしていたのか、まあ両方でしょう。


なんとなく私のイメージは、現代のアメリカ人に良くいる、スタンドバイミーのジャイアン役の「クリストファー・チェンバーズ」を思い浮かべてしまいます。

子供の頃から乱暴者、だけど意外に面倒見良くて博識、勉強もそつなく出来る番長役。

だけど親のせいでちょっと虐げられていてエリートではない。

大人になっても偉くて良い奴だけどちょっと不幸を背負い込む。

お!?

好人物ですね。


まあ正直、リンカーンでもう一つのよく言われるブラックな評判、ヒステリー、乱暴者、下品、品性下劣とかささやかれているのもちょっと同意するもう一つの顔もあります。

荒くれ者の顔役だったわけですし。

それが正確かどうかはともかく、お金に苦労した分、政治家としてはお金のトラブルとか影をさしてはいます。


あと「奴隷反対」はアメリカ人としては結構当たり前の当時の認識、一方で積極的にインディアンを狩るべきという考え方も納得するような当時の状況では、現代の「聖人」のような人とは違うかもしれません。

すでに本国ヨーロッパは奴隷禁止なので一般人の認識。


そう考えるとバプテストとしての信徒で奴隷反対を唱えはしたモノのそれ以外は別、現代であてはめる「正義」な人だったかは考えさせられます。


少なくとも敬虔なパプテマス信徒、国際的にも奴隷売買は忌避されている、そんな世界で他のアメリカ合衆国国民と同様に奴隷は反対、でもじゃあ既に成り立っている農場経営はどうするのか?とか。

あと東側からだんだんとつらくなり、西に行くほど、北に行くほど農場経営がつらくなり、100人も満たない町、奴隷を購入なんてまだまだな農民を経験した彼が黒人奴隷をどう考える?の葛藤は見えますね。


そういうモノを背負っているのが彼でした。

そういえば彼の有能で何でも屋だったエピソード。

リンカーンはアメリカ合衆国大統領の中で唯一特許もってます。


船の船腹の水面下にベローズを取り付け、水深の浅い場所に来たときにベローズを空気で膨らませることで船が浮上して通過できるように考案したもの。

河川で行き来してモノを運んだ雑貨屋さんだった背景と、そのときの親分肌と何でもやった苦労が彼の為人なのでしょう。

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