表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

幼馴染みからの手紙

作者: 瑚々

幼馴染みものが書きたいなぁと思って書きました。普通に書く予定だったんですが…

私には手のかかる幼馴染みがいる。隣の家に住んでいて、同じ中学に通っていて、しかも同じクラスだ。これについては呪いか何かと疑いたくなる。だって小中の9年間ずっと同じクラスだったのだ。

それだけならよかったのに、この幼馴染ときたら昔からかなり性格悪かったんだよね。しかもそのフォローは全て私がやっていた。先生なんかには絶対バレないようにしてるからこっちがヒヤヒヤする事もやってたし、心臓に悪かった…

でも顔は良かったから時たま女の子に告白されてたんだよね。だけどその返事はそろって「え?無理」との事。なんで彼女作らなかったんだろう…?




その日はいつも通りに学校へ登校した。幼馴染み?漫画やアニメの中でもないんだから一緒に登校なんてしないよ。ていうか私よりアイツの方が学校へ行くの早いしね。いっかい何でそんなに早く行くのか聞いてみたら「だって、学校にいたらぎりぎりまで寝れるじゃん」と間顔で返ってきた。なんでこんな奴がモテるんだろうなぁ…


ドアをガラリと開け「おはよー」という。すると急にみんながこちらを振り向いた。急にみんなの視線が集まった事で私が驚いているといつも話している仲良しの子がこちらへとやって来た。


「あ、おはよう瑠璃(るり)ちゃん。ねぇ、春樹(はるき)くん知らない?」

「春樹?来てないの?」

「うん。それになんかおかしいの。春樹君が置いてた荷物とかも全部なくなってるの。それで、みんなで転校したんじゃないかって…。瑠璃ちゃんは何か知らないかな?」


話している最中に何となく嫌な予感はしたんだ。でも転校という単語が出てきた瞬間頭を鈍器で殴られた様な痛みを覚えた。春樹が、転校?そんなの何も聞いてない。何それ知らない、なんで、どうして?頭の中がそれでいっぱいになって、まだ話かけてくれていたようだけどそれすらも反応できない。


「瑠璃ちゃん?どうしたの?」


春樹が、私から離れて行くんだと思ったら何だかすごく怖くなって急に体が震えてきた。周りの子達が心配してくれてるようだけど落ち着かない。誰か、誰かって思ってたら突然耳元で声がした。はっとして顔をあげるとそこにいたのは担任の先生。どうやら私の体調が悪いのを見て、誰かが連れてきてくれたようだ。


早坂(はやさか)、大丈夫か?」

「はい、大丈夫、です…」

「一旦保健室に行ってこい、顔色が悪いぞ」


大丈夫と言ったものの実はなんだか気持ち悪くなってきたので、この申し出はありがたかった。こくと首を縦に振るとそのまま保健室に向かった。保健室でも顔色の悪さを心配されてしまった。昼になってもなかなか治らなかったので先生には自宅で安静にする様にと言われ私はその日早退した。




「ただいま…」


玄関を開け一応挨拶をする。けれど私の家は両親が共働きをしているためこの時間にはいない。姉も高校へ行ってるから、家にはだれもいない。なぜだかそれ嫌に寂しく感じられた。そのまま自分の部屋へ行こうとするとカタリと郵便受けから手紙が落ちた。何気なく拾ってみたそれは、今私が1番逢いたい人からのものだった。急いで自分の部屋に行く。制服を着替えようだとか、荷物を持っていかないとだなんて事は考える暇なんかなかった。今はただ少しでも早くこの手紙が読みたかった。

表を見ると見慣れた字で『早坂(はやさか)瑠璃(るり)様へ』と書かれている。少し歪な角張った字。ふと指でなぞり、封筒を開けた。そこにはこんな事が書かれていた。



瑠璃へ

たぶんお前は僕が転校したって聞いて驚いたんだろうね。てかそれで泣いちゃったりするのかな?そうだったらゴメン。

何も伝えずに言ったこと、悪いとは思うけど後悔はしてないよ。それに引っ越しの話自体は今月のはじめに聞かされたんだ。父さんが転勤する事になってね、家族で行くということになったんだよ。もちろんそんなの急すぎるし僕は嫌だったけど、父さんが単身赴任で行くのは母さんが嫌がったんだ。僕はまだ中学生だし、周りに親戚もいないから一緒に行くしかなかったんだ。


お前なら相談してくれたらよかったって思うだろうけどそれは僕がしたくなかったんだよねー。ほら、あと1週間もしたら文化祭が始まっちゃうだろ?瑠璃ってば実行委員会に入っちゃったじゃん。それでばたばたしてるの見てたから伝えなくなかったんだよ。だって2つの事を同時に考えて出来るほどお前器用じゃないだろ?

とまぁ、冗談はここまでとして僕がこの手紙を送ったのは転校の理由を知らせる以外にもうひとつあるんだよ?さてなんでしょうか?きっとお前だから突然の事にへ?って間抜けな声でも出てんじゃない?あ、やば、考えたら笑えてきたかも…。さて、正解発表といこうか。ちなみにお前は何て考えてたんだろう。気になるなぁー。

んじゃ、正解ね、僕はお前の事が好き。これを伝えるために書いたんだよ。これ、本当だから。いくら何でも嘘とか言うなよ、僕だってこれ言うの恥ずかしいんだから、2度言わすな。



どうせお前の事だから信じてないんだろうなぁ…

だったら教えてやるよ。僕とお前が出会ったのは幼稚園の頃だったかな。僕の家が引っ越して、そこからの付き合いだろ?僕はまぁ、昔からずっとこんな性格で、幼いながらにみんなから変な目で見られるってのは知ってたよ。それに加えて僕って顔立ち整ってるじゃん?だから女の子にはモテてたし、それが気にくわない連中からやっかまれてたりしたねー。いやー、懐かしい。僕は別にそれで殴られても良かったんだけどさ、お前が急にやって来てさ、何をするかと思えば僕の前で両手を広げて


「春樹は瑠璃のだから!いじめちゃダメなの!」


なんて言われて思わずいじめっ子達もポカンとしてたなー。あれは本当に笑った笑った。それで僕がくすくす笑ってたら


「春樹は何がそんなにおかしいの?瑠璃は正しい事言っただけだもん!」

「そっか。僕はさ、瑠璃のものなの?」

「そうだよ!だから春樹は瑠璃と一緒にいなきゃダメなんだからね!」


その時の僕は自分の事何かどうでも良かったんだよね。好きでもないし嫌いでもない。まぁ母さんと父さんが悲しむからって理由で何もしなかったけどいつかは死のうって考えてたんだよ。でもさ、瑠璃の一言でじゃあ生きなくちゃって思ったんだ。だって一緒にいるんだったら大人になってもって事だろ?なら死んじゃダメだよな。単純に嬉しかったってのもあったよ。僕は両親に愛されてるって自覚はあったけどさ、それとは違う誰かからの純粋で熱烈な好意が欲しかったんだよ。僕を必要としてくれる人がね。それが瑠璃、お前だよ。

お前と来たら普段は大人しくていい子ちゃんなのにたまにすごい傲慢だったよな。特に僕に対しては、かなりね。でも僕にとってそれはとても心地よかったんだよ。


引っ越し、伝えなくて悪かったな。正直言うとさ、寂しかったんだよ。瑠璃といて僕も楽しかった。瑠璃がいろんな所連れてってくれて、それに振り回されるってのもなんか嬉しかったんだ。それにお前と来たら大抵何かあったとしたら僕の事を1番に心配してくれて。これだけは直接伝えたかったんけどな、


瑠璃、好き、好きだよ。お前の事愛してるって言ってもいいと思えるくらいにはね


お前の事、傲慢だなんて言ったけどそれさ、僕もなんだよね。てか、お前に対しては独占欲がどうしようもなく出てくるんだよ。だからお前の引き出しの3番目、プレゼント入れといたから、ずっと付けとけ。高校出たら、迎えに行くから。あとスマホ、買ってもらったんだよね。電話番号書いとくからかけていいよ。てかかけて、声、聞きたいんだよ。じゃあ、またね。


手紙を読み終えた私はすぐにアイツが言っていた引き出しを開けた。そこに入っていたのはラッピングされた小さな小箱。開けてみると中に入っていたのはネックレスだった。ペンダントトップには私の名前であり、誕生石でもある瑠璃が付いていた。そして箱の中には小さなメモが2つ折りで入っていた。カサ、と開いてみるとそこに書いていたのは


『これ、僕のと石違いのだから。ちゃんと付けとけよ』


そっけなく、だが私にとっては何よりも嬉しい言葉。アイツとお揃いなのだと、考えてるだけで少しドキドキする。さっそく付けてみると首に少しだけ重みを感じる。でも私にとってはそれがとても心地よかった、だって、春樹の事を感じていられる。しばしそうやっていたけど私ははっと思いついて下へ行った。

何度も何度も番号を確認し、やっと押したのは5回も確認してからの事。プルルル、プルルル、プルルルとコールが何回かなった後に聞こえた声。


「はい、もしもし」


昨日聞いたのに、ずっとずっと聞いてきたのに、なんて事は全部すっ飛ばして、私は春樹の声を聞いただけで緊張してしまって何も言えずに無言になってしまった。でもそんな事はお見通しなのだろう。沈黙を破るように電話越しからくつくつと笑う声が聞こえている。思わずムッとなって


「なんで笑うの!」


だなんて言ってしまった。そしてすぐに後悔した。もっとちゃんとした事が言いたかったのに、口から出たのはいつもの様な責めるような口調。でもアイツはそんな事お構い無しにまだ笑い続けている。仕方ないのでしばらく待っていると


「はー笑った笑った。んでどうしたの瑠璃、急に電話なんかかけてきて?」

「急にって!春樹がかけろって言ったからかけたんじゃん!」

「いやーこんなに早くかけるとは思わなかったからさ、それで」


その先の言葉を聞いた瞬間頬が真っ赤に染まったのは仕方ないと思う。だってさ、あんな事言われたら…



「ネックレス、付けてるの?瑠璃」












その後の会話

「んでさ、瑠璃って大学どこ行くっけ」

「たぶん近くの〇〇大学かな?」

「ふーん、わかった。じゃあ僕もそこ行くから」

「え?本気で言ってるの!?」

「冗談でこんな事言うほど僕は馬鹿じゃないけど?」

「あ、そうだね…」

「そうそう、加奈さんにさ、僕が携帯持ってるって言ってみな」

「なんで?」

「なんでもいーから、言うんだよ」


ちなみにそれをお母さんに言ったら

「あらあら、じゃあ瑠璃も買わなきゃだめねぇ」

だなんて言って買ってくれました。ちなみにその時ニヤニヤしてた事については深く考えたくないです…

春樹の名前をフルネームで出せなかったのでついでに人物紹介もかねて


早坂(はやさか) 瑠璃(るり)

可愛い系の女の子。春樹と話す時は言葉使いが少し荒くなる。無自覚で春樹大好き。ポニーテール


九条(くじょう) 春樹(はるき)

クール系のイケメン。かなり性格悪い。瑠璃以外でも性格悪い。小さい頃から瑠璃が好き。メガネ


早坂(はやさか) 加奈(かな)

瑠璃のお母さん。春樹と瑠璃が思いあってる事を知ってた。というか春樹が相談してた。恋愛話好きな可愛いおばさま




前に書いたのを修正したら別ものになってしまいました…。でも非常に楽しかったです!他の人視点で書きたいと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ