VOL.5
「所有、所有ですか……」
茫然自失の意味が、今初めて分かったかもしれない。
「ありえません……」
「でも、君のことを気に入ったのは事実じゃないかな?」
「もっとありえません!」
可笑しそうに、ミシェル様が首をかしげる。
「あの子はね、風習のこともよく知っているよ。それに、気に入った人以外には笑顔も見せない。困ったことだよ」
ため息をつくミシェル様を、呆然と見つめていた。
──いや、無いでしょ。だって、あのカイ様だよ?
仮に気に入ったとして、その理由は一つ!
「私を反応の面白い田舎娘だとか思っているんじゃないですか!?」
バン、と思いきり机をたたく。
「だってそうでしょ!? 王宮の人達皆お上品ですもん! カイ様をビンタしたのは私だけだと思いますよ!! どう思います、ミシェル様!」
「へっ!? どう思う、って……」
さすがのミシェル様でも、私のテンションについていくのは難しかった様だ。
「キミはやっぱり面白いけれど、それだけじゃないと思うよ。弟は結構神経質だよ」
立ち上がったミシェル様は、くしゃくしゃと私の頭を撫でた。そして部屋を出ていく。
そして、出て行く瞬間。
「流石に一国の王子をビンタするのは、まずいと思うな」
……はい、反省しております。
「おい、起きろ」
……どうやら、会見から戻った後眠ってしまった様だ。
口を開けて寝ていたのか、喉がカラカラに乾いている。
「みずください……」
相手が誰かも分からないま水を要求する。しばらく間が空いて、
「ほーら起きろー」
水を顔にかけられた。冷たい水が、一気に脳を冴えらせる。
「うわっ、冷たっ!!」
急いで上半身を起こすと、コップを片手に仁王立ちしたカイ様の姿。あれで水をかけられたらしい。寝る前に化粧を落としておいて、本当に良かった。
そこまで理解すると、怒りも沸いてくる。でも、ミシェル様のお言葉を思い出して耐えた。
「せっかく魔法の師を連れてきてやったのに、お前のその態度は何だ!」
と言うことは、後ろのあの人が師匠?
「初めまして! セシル・ルーシー・ヴィトンです。まだ初心者ですが、よろしくお願いします!」
「おい! 無視するな!」
何ですかカイ様。自己紹介中ですよ邪魔しないでください。
「まぁまぁ、二人とも落ち着いて」
おお、カイ様ばかりみてると仏の笑顔に見える。
「僕はカルハリト・ツァーニ。カルでいいよ」
私と同じ、青い髪と紫の瞳をもつ青年は、朗らかに微笑んだ。
なんかセシルがハイテンション過ぎて、作品全体が子供っぽい気がします(気づくのおせぇ)。
もう作者そのものですね。作者も基本的に声がデカいしテンション高いです。生暖かい目で見守って下さい。